IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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63話。
次回でIS学園に帰ります。


ミッションコンプリート

 

 

 

 

「青木 新華、以下7名、作戦完了。福音の搭乗者『ナターシャ・ファイルス』を保護し帰投しました」

「ああ。確認した。が、青木と更識以外は独断行動により重大な違反を起こした。帰ったら反省文の提出と懲罰用の特別トレーニングを組んでやるから、そのつもりでいろ---」

「「「「「「はい…」」」」」」

「---と言いたい所だが、それは無しだ。青木に感謝しろ」

「「「「「「は?」」」」」」

「あはは…やっぱりそうなりますよね…」

「山田先生? 一体どう言う事ですか?」

 

 

 

 

 

新華達全員が帰投し救急班に福音の搭乗者を頼んだ後、新華達は千冬の前に整列していた。千冬と山田先生の半笑いが気になり一夏は山田先生に聞く。

 

 

 

 

 

「えっとですね? 篠ノ之さん達が出ていって、織斑君達も出た後、青木君が作戦の内容を発表したんです。丁度織斑君が起きて青木君達と一緒に出た後ですね」

「えっと、その内容って…?」

「『先行して福音と戦闘している専用機持ち達と共に、予測される敵の出現とセカンドシフトした福音を、協力を申し出た織斑 一夏と更識 簪と共に対応する』でした。つまり」

「ぼ、僕たちの行動は全部新華に読まれてたって事!?」

「たりめーだ。なんの為に箒に出撃予定時間を教えたと思ってる」

「は?」

「どうせ暴走するなら、誘導して扱いやすい様にってな。かっかっか!」(笑)

「「「「「「………」」」」」」

 

 

 

 

 

新華の笑いとは反対に、一夏達は新華に驚愕していた。とうとうそこまで出来るようになったのかと。しかし笑いを途中でやめ新華は真面目な顔になる。

 

 

 

 

 

「真面目な話すると、俺手加減出来ないからファイルスさん殺しかねなかったんだわ。ほら、もう1機無人機で福音っぽいの落としたろ? 俺にとってアレが実戦だから。福音と戦ってたらああなってたかもしんないし」

「ああ…確かに」

「だろ? 千冬さんの知り合いらしいし、お前らが誰かの死を感じるのはまだ早いと思ったしな。精神崩壊させる奴が出かねん。故にお前らの暴走を許容したんよ。俺のクアンタとは違ってお前らの機体は競技仕様。助けるにはもってこいだろ?」

「それで、私に決断するよう言ったのだな」

「ああ。んで結果はご覧の通り。因みに作戦内容は俺のお前らに対する扱いだったり。まぁお前らはこれで反省文()しなくて済んだんだから、文句言うなよ?」

「「「「「「………、…? 反省文()?」」」」」」

「さすがに完全にお咎め無しってのは無いに決まってんだろ。俺も千冬さんが作るトレーニングメニューって気になるし、それにお前ら、ブリュンヒルデ(世界最強)による集中トレーニングで強くなりたくないのか?」

「「「「「「!!」」」」」」

「はい決定! ということで織斑先生、帰ったらよろしく」

「………お前は本当に乗せるのが上手くなったな」

「どうも」

 

 

 

 

 

新華にまんまと乗せられ一夏達は千冬の地獄の訓練をする事になった。新華も興味があるので参加する事になるが、調子にのった新華と、千冬、楯無の3人で更に鬼畜さが増すのを一夏達は知らない。

 

 

 

 

 

「まぁ、お疲れさん。山田先生、ファイルスさんの容体は?」

「安定してますよー。ただ疲労と体への負担が多かったので今日は安静ですね」

「そうですか。福音はファイルスさんと一緒で?」

「いえ、万が一の為にこちらで預かってます」

「了解です。さて、汗を流しに行こうかね。千冬さん、お先に失礼します」

「ああ。更識も行っていいぞ。お前は指揮官だった新華に許可を取っていたからな」

「はい…」

「え? じゃ俺は?」

「お前は残れ」

「不幸だ…」

「ツンツン頭でも無いのにそのセリフを使うなバカ。それにお前の何処が不幸だし。周りに女の子が沢山居て家族が居て、どこに不幸の要素があるよ」

「こうして理不尽な仕打ちを受けることだろ。それに女子が周りに居るのはIS学園だからだし」

「………ま、お前がそう思うならいいけどさ、後悔してから理解したなんて事にならないようにな」

「? お、おう」

 

 

 

 

 

新華にとって幸せとは笑い合える仲間が居て、家に家族が居て、平和にバカ笑いが出来る日常である。新華はその崩壊を経験している。そして後悔も。

 

 

 

 

 

「もう出てきていいぞ、サヤカ、ハロ兄弟」

『------』

「「ハロッ!」」

「お疲れさん。部屋に戻るぞ」

『------』

「「リョウカイ、リョウカイ!」」

「簪さんもお疲れさん。どうだった? 初めての実戦は」

「…とても緊張した。でも、為になったと思う」

「なら良かったな。でも変に自信付けないでくれよ? でないと死ぬからな。今回は1 対 複数に持ち込めたし、何よりこちら側は複数で攻撃できたからな。それに怪我でもしたら会長が悲しむぞ」

「…わかった」

 

 

 

 

 

2人+1人(?)+2機で旅館へ戻って行く新華達。新華は本音と合流した簪を置いてシャワーを浴び、浴衣に着替えアメリカ・イスラエル側と政府側に提出するレポートを書いていく。書き終わる頃に夕食の時間になり、ハロ兄弟を連れ、小さくなったサヤカを頭に乗せ昨日と同じ宴会場へと向かう。

 

 

 

 

 

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宴会場。座る場所が全体的に変更されていた。簪は隣のままだが本音が簪を挟んだ反対側に座り簪に色々と聞いていた。しかし新華にとってそれは問題なかった。例え本音が他の女子と共に簪に聞こうとしようが簪は喋らないから。本音も知っても重要な事なら口には出さないので冗談でやっていると分かる。しかし問題は

 

 

 

 

 

「ね、ね、結局何だったの? おしえてよ~」

「………駄目、機密だから」

「ちぇ~、シャルロットってばお堅いなぁ~」

「あのねぇ、聞いたら制約付くんだよ? いいの?」

「あー…それは困るかなぁ」

「だったら、余計駄目だよ。はい、この話はおしまい。もう何も答えないよ」

「ブーブー」

 

 

 

 

 

一夏の向かい側であり新華の隣に座るシャルルだった。一夏の両隣には箒とラウラが座りなかなか一夏ハーレムの包囲網が敷かれていると思ったのだが、当のシャルルからはどちらかと言うと新華の隣に座っている事にそわそわしている感じがしていた。新華は何か嫌な予感というか外れてて欲しい予感というか

 

 

 

 

 

『------』

「………うん、何となく、何となくそんな気がするけど、何故? いやほんと、何故? でも1番は、外れててくれ俺の勘…!」

「? 新華君、どうしたの…?」

「いや、何でもない。うん、何でもないんだ…!」

「…?」

 

 

 

 

 

新華が必死に予感を否定しようとするが、一夏がまた2828しているのでワイヤーを付けたハリセンを器用に操作し、一夏の額を叩き手元に戻す。

 

 

 

 

 

「あだっ!」

「お前さ、いい加減に他人を見て2828すんのやめろよ。かなりウザイぞ」

「え、だってシャルが…」

「ん? 僕がどうかしたの?」

「どうもしない。どうもしないぞ。だからシャルルは一夏を見てなさい。それが俺の心に優しいから」

「?」

 

 

 

 

 

シャルルは新華の堅い顔を見て可愛く首を傾げる。だが新華は食べるスピードを上げさっさと食べ終えてしまった。

 

 

 

 

 

「ごっそさん。さて、部屋に戻ってクアンタの調整とデータの整理をするかな。お先」

「あ、新華」

「また後で…」

「また後でお話しよ~ね~」

「はいはい。ハロ兄弟、戻ってこい」

「「ハロッ」」

「サヤカ、飯終わったから戻っていいぞ」

『------』

「ん? 別にそのままでもいいが…なぜに?」

『------』

「まぁ、確かに普段より高いだろうが…意味あるのか? それ」

 

 

 

 

 

ハロを呼び戻しサヤカを頭に乗せたまま宴会場を出ていく。向かうのは自室ではなく、外。

 

 

 

 

 

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旅館の敷地内にある海に突き出た崖。サヤカを元の大きさに戻しハロを静かにさせた新華が行くと既に千冬が居り、視線の先には束が居た。

 

 

 

 

 

「千冬さん。先に来てましたか」

「…青木か。この時間は外出禁止だ。はやく戻れ」

「出来ない相談ですね。俺はそこのう詐欺に用があります。色々と聞きたい事がありますし、今回のミッションの報酬も受け取らなくちゃいけませんし」

「………何?」

「しんくんも来たね」

「白々しい。この場所を指定したのはそっちだろうが。んで? 紅椿はどれだけ稼働した?」

「『絢爛舞踏』を含めて42%。まぁこんなところだよね」

「天才を自称するなら100%にしろよ。これで100%は箒次第とか言うなら天才の肩書きを返上しな」

「厳しい事言うね、しんくんは。今日の昼からずっとそうだよね? どうしてかな?」

「…自分で気付けないのは致命的だな。だが、まだ希望は残ってる」

「………新華に束。お前らは何をしている?」

 

 

 

 

 

凄く違和感を感じさせず会話する2人に千冬が問いかける。すると千冬が聞きたくなかった答えが返ってきた。

 

 

 

 

 

「今回の騒動………に見せかけた『実験』ですよ、千冬さん。紅椿の実験と箒の願いを叶える為、そこのう詐欺の自己満足を満たす為の」

「…やはりか。では、あの無人機もか?」

「当たり前でしょう。ついでに言うと以前に学園を襲撃した『ゴーレム』と言う名の無人機も、う詐欺が開発に関わって(・・・・)ます」

「しんくんネタバレし過ぎー。というか今の束さんはそこの銀色のに興味があるんだけどなー」

『------』

「大丈夫。…触れさせると思いますか? わざわざ()に情報を与える程バカじゃありません。それにどういう存在か、もう知ってるんでしょう? ハッキングを繰り返して」

「当然。でも実物を使って色々とやってみたい事もあるんだよ」

『------』

「『吐き気がする』ですって。嫌われましたね」

「ありゃりゃ」

「………お前ら、やっていい事と悪い事の区別も出来んのか」

「出来ますよ。ただ、俺はそれを自覚したうえでやってますけどね、そこのう詐欺とは違って」

「だろうな」

「むー! ちーちゃんも厳しいよ!」

 

 

 

 

 

束はツキアカリの下で膨れる。その顔は歳に似合わず可愛いものだったが、千冬と、特に新華からの視線は冷たいものだった。

 

 

 

 

 

「話を戻しますが、う詐欺、千冬さんにどこまで話した? 空気的にもう結構話してるだろう」

「そうだねー…。ちーちゃんが『白騎士・蒼天使事件』と今回の事件について考察をした所でしんくんが来たから…だいたい話し終わったね」

「なんだ。じゃあ俺が最初に言ったのは答え合わせになったか。んじゃ、今度は俺の方だ。今回までのミッションは『IS学園で夏休みまでの期間、篠ノ之 束から来る事件内容を踏まえたうえで、織斑 一夏と篠ノ之 箒の両名を程々に(・・・)守り成長を促す事。加えて、それまでに入手した物は所持品として扱ってもいいものとする』だったな」

「なんだと! 新華、それは本当か!?」

「ええ。それで、ミッションはコンプリートだ」

「あれー? まだ夏休みにまだ入ってないでしょー。だったらまだミッションは終わってないよー」

「残り少ない期間でアンタは何か作って襲撃させられるのか? それに一夏達を守るのは言われなくてもやるさ」

「束さんがIS学園に入れなかったとしても?」

「その時は、影で守っていたか放っておいたな。俺が居なければゴーレムの数は減っていただろうし福音の無人機Ver.も出さなかっただろうしな」

 

 

 

 

 

そう言って新華は頭を振る。IFの話に意味があるのは原因を特定する時。今更ストーリー上のIFを想像しても意味がないのだと。

 

 

 

 

 

「………で? 報酬は当然持ってきてるんだろ?」

「うん。流石にしんくんとの約束を違えるほど束さんもバカじゃないよ~。本当は直接しんくんの部屋に置いておこうと思ったんだけどね」

「来んな。兎に角、よこせ」

「はいはい………っと」

 

 

 

 

 

新華に向けて束は報酬を放り渡す。それを新華がキャッチする。手にあるのは、IS関係者なら誰もが欲しがるであろう球体だった。

 

 

 

 

 

「それは、ISコアか!」

「ご明察。契約通りオリジナルだな。確かに確認した。これにてミッションは完遂、今、この時をもって俺とアンタは敵同士だ」

「新華…?」

「…悲しいな、そんな事言われると」

「俺の静止を振り切って亡国機業と手を組んだバカはどこのどいつだ」

「な、なんだと…! 束、本当か」

「うん。ほんとはしんくんにも少しは協力して欲しかったんだけどね…」

「俺らを殺しかけた糞ビッチのいる組織なんざ居たくないね。却下だ」

「ほらね」

「束、お前は…」

「あと、う詐欺。最後に聞きたい事がある」

「何かな?」

 

 

 

 

 

新華が束に問いかける。新華にとって最も重要であると言える問いだった。

 

 

 

 

 

「あんたは箒と一夏をどう思っている? 正直に、俺の目を見て言ってくれ」

「新華…?」

「勿論、大切な妹と親友の弟だよ? でも、それがどうしたの?」

「………………」

「新華?」

「しんくん?」

「ああ…よかった。安心したよ」

『------』

「サヤカ、ああはなるな。ちゃんと自分の気持ちを理解して自覚しろ。あんな---」

 

 

 

 

 

新華はハッキリと言う。

 

 

 

 

 

「あんな愛情と物欲を無意識に入れ替え気付かないようなキチガイになるな」

 

 

 

 

 

風が吹く。新華にとって可笑しい所は多々あった。まだIS学園に入学する前、箒からの電話で一喜一憂したり、時節物思いに耽るときは『いっくんと仲良くしてるよね? 箒ちゃんは』や『箒ちゃんの為に何か出来ないかな?』などと言う事もあり紅椿の時のキチガイっぷりに違和感を感じたのだ。そして新華の問いに答えた時の束の瞳には純粋に妹を想う心を感じる事ができた。

つまり、束の心は歪んでいるが姉としての想いを持ちながらにして物欲、つまりISに関する研究や開発も持ち箒や一夏、千冬、新華が関わると後者を優先してしまうという事だ。普通の人間なら有り得ないキチガイさ。だが姉としての優しさも有った事で新華は寧ろ安心した。キチガイで敵という認識は変わらないが。

 

 

 

 

 

「………しんくん? どういう意味かな?」

「自分で気付け。でないと大切なもの全てを失って絶望する事になるぞ。無自覚な歪みはその身を滅ぼす。かつてそれでどれだけの犠牲が出たか…」

「…新華、何を言っている?」

「あの自分の行為を隠そうとした永山、自分達の未来の為にと散々人類を利用した阿部 城士郎、カソウサスにて志甫を犠牲にしようとした自称人類を愛するマッドサイエンティスト。戦争をしたくて同族を実験台に差し出した乾燥者。その乾燥者を研究、実験しP・V・Fを生み出した灰色領域など、う詐欺より狂って歪んでる奴らは居た。そいつらは何かしらの欲に自身の行動原理を完全に振り切っていた」

 

 

 

 

 

新華の口から出てくる聞き慣れない単語の数々に千冬も束も戸惑うしかない。新華も2人が知らない事を前提で話していた。殆ど衝動的だが新華が自分から過去の事を話すのはこれが初めてである。

 

 

 

 

 

「…? しんくんは何を言っているのかな?」

「(束でも分からないのか? それに『P・V・Fを生み出した』? P・V・Fとは新華のクアンタの武装の1つの筈だ。何も知らないと言った筈の新華が知っている、いや理解しているというのか?)」

「例を簡単に挙げただけだ。そいつらは全員死亡してるがな、俺の手に掛からず。まあこの後どうなるかはあんた次第だ。精々利用されて戻れなくならないようにな」

「大丈夫だよ。束さんはそんなヘマしないし」

「………くーちゃんにしっかり見ておいて貰う必要がありそうだな。よろしく言っておいてくれ」

「本当にしんくん束さんを信用してないよね! でも一気にいつも通りに戻ってくれて安心かな!」

「うっさい。どうせちょくちょく無理すんだろうが。くーちゃんのサポートが無かったら栄養失調で倒れてるぞ」

「しんくんがくーちゃんに色々教えたからもう大丈夫ですよーだ」

「ちゃんとくーちゃんに文句言わなければな。基本くーちゃんはアンタに逆らえないんだから無理に付き合わせんなよ」

「わかってるよー」

 

 

 

 

 

新華の口調が普段の物に戻り会話も日常さが戻る。先程まで真剣な話をしていたとは思えない程に。

 

 

 

 

 

「さて、もう用も終わったし旅館に戻りましょうかね。レポートの提出もしなきゃいけないし」

「そっか。じゃあ束さんからちーちゃんとしんくんに1つだけ質問するよ」

「…何だ」

「何?」

「今の世界は楽しい?」

「そこそこにな」

「楽しまなきゃやってらんねぇよ。なんの為にこの世界に生まれてきたと思ってんだ」

「そっか」

 

 

 

 

 

そのまま束は何か呟くと一瞬で消えた。しかし新華は見えていた。束が崖からそのまま飛び降りたのを。そして下には移動式ラボの『吾輩は猫である』があると予想出来た。

 

 

 

 

 

「全く、いつまでもガキなんだからな、束さんは。んじゃ千冬さん。先戻りますね」

「…ああ。私はしばらくここに居る。じきに戻る」

「了解です。では」

 

 

 

 

 

ISコアをハロ弟に入れその場を去る新華。千冬は近くの木に寄り掛かり今の会話を自分の中で整理していた。

 

 

 

 

 

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「あ、新華君………」

「あ、新華。どこに行ってたの?」

「簪さんにシャルル? ちょっとな。そっちこそ何で外に居るんだ?」

「「ガイシュツキンシ、ガイシュツキンシ」」

「でも新華も外に出てたでしょ? それで一夏も居ないから探してたんだよ」

「一夏もか? 俺は用事があったから出てたけど、何してんだあいつ?」

「分からない…。一緒じゃないの…?」

「ああ。って事は他の専用機持ち達も外に?」

「うん。僕は簪さんと新華を探しに。他の皆は一夏を探しに」

「…何故シャルルが一夏ではなく俺を?」

「………わかんない。でもなんとなく」

「………そうか」

「うん」

 

 

 

 

 

新華は旅館に戻る途中で浴衣の簪とシャルルに会った。シャルルは福音から庇われた時から自分が一夏よりも新華の方を好きになりそうで、気付けば簪と一緒に新華を探していたのだ。簪はただ新華と話をして一緒に居たかったから探していた。

 

 

 

 

 

「じゃ、旅館に戻るか。一夏も戻るだろうし、先生方に見つからないうちに」

「うん………。………? 何か、音が…?」

「これって、ISの発砲音!?」

「あっちからだ。だが…」

「「だが?」」

「…この感じは一夏絡みな気がする。取り敢えず行くとするか」

「「ミニイク、ミニイク」」

 

 

 

 

 

3人+2機は音の方向へ向かうがすぐに向こうから音源がやってきた。

 

 

 

 

 

「のわああああああ!」

「待ちなさい一夏ぁー!」

「うふふ、うふふふふふふふふふふ………」

「待つのだ嫁よ!」

「待ったら殺す気だろう!」

「何してんだあのバカ共は…」

「え、一夏に篠ノ之さん!? それに皆ISを展開してる!?」

「えっと………」

 

 

 

 

 

3人は影からその光景を見た。水着姿の一夏が、これまた水着姿の箒をお姫様だっこしながら猛ダッシュ。追いかけるのはISを展開した鈴、セシリア、ラウラの3人。流石の新華でもこれは状況が掴めなかった。取り敢えずする事は

 

 

 

 

 

「簪さんとシャルルは一夏と箒の保護。加えてこの状況の原因と過程を箒から(・・・)聞き出して。一夏じゃ駄目だから」

「わかった」

「うん…」

「俺は、あの無断IS展開してる馬鹿どもをピチュらせてくるわ。ハロ兄弟、戻れ」

「「リョウカイ、リョウカイ」」

「さて、行動開始!」

「「うん」」

 

 

 

 

 

新華がクアンタで飛び出し3人に攻撃。戦闘の間に2人は一夏と箒の保護に入る。

………その後、新華に説教されながら廊下で正座させられる一夏、箒、鈴、セシリア、ラウラと、その光景を苦笑いで見る簪とシャルルの姿が旅館で確認され、その後正座を強要された5人は戻ってきた千冬に更に説教を受けた。

 

 

 

 

 

 




中的にあまり時間は経ってない筈なのに内容が濃いですね。色々ヤバめですし。

束の正確はまだ救いが有るようにしました。でないと以前に書いた『う詐欺が箒の電話の後どれだけうっとおしかったか』という感じの文に矛盾が出るので。

あと、書いた初期は簪をヤンデレにしようかと考えましたが、この感じだとセシリアの方がヤンデレっぽいですよね。どうしようか…

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