IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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59話目。
な、なんか一気に書けてしまった…
ただ、一気に書いたから色々とごちゃごちゃ…



ブリーフィング

 

 

 

 

 

花月荘最奥の宴会用の座敷部屋。そこにはいくつもの機材が置かれ空中ディスプレイが何枚も開き教師達が操作していた。

千冬が立ち、その向かい側に新華達は座っていた。

………ただ、その並び順が、とある部分の格差を表しているようで、涙を誘うものだったが。

左から新華、一夏、箒、セシリア、シャルル、鈴、ラウラ、簪。

 

………

 

悪意が感じられる…

 

………

 

>そっとしておこう

 

………

 

72?

 

………

 

 

くっ

 

 

 

 

 

「では、現状を説明する。2時間前、ハワイ沖で試験稼働中だったアメリカ・イスラエル共同開発の第3世代型の軍用IS『銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)』が制御下を離れ暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった」

「(名前、完全にクアンタを意識してやがるな。全く、いいセンスだと褒めるしかねぇじゃねぇか。厨二は世界共通か)」

 

 

 

 

 

心の中でかなりズレた考えをする新華。顔は真剣だが予定通り(・・・・)なので焦る理由が無いからだ。

一夏と箒は千冬の発言の意味が分かっていないらしく戸惑っているが、それ以外の面子は真剣に聞いている。特に軍人であるラウラの目は既に軍人のブリーフィングのそれだった。

 

 

 

 

 

「その後、衛星による追跡の結果、福音はここから2キロ先の空域を通過する事が分かった。時間にして50分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処する事になった」

「(軍の暴走に子供を使うか。政府の無能が浮き彫り過ぎて笑える。自衛隊のISで対処しろよ)」

「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。よって、本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」

「え?」

 

 

 

 

 

一夏の呆然とした声が聞こえるが無視。そんなものにかまっていられる程時間は無い。

 

 

 

 

 

「それでは作戦会議を始める。意見があるものは挙手するように」

「はい。目標ISの詳細なスペックを要求します」ノ

「わかった。ただしこれらは2ヶ国の最重要軍事機密だ。決して口外はするな。情報が漏洩した場合、諸君には査問委員会による裁判と最低でも2年の監視が付けられる」

「了解しました」

「(えっと、俺は全部知ってるうえに既に監視が付いてるけど…コイツらの為にも漏洩はしない方がいいか。する気も無いし)」

 

 

 

 

 

セシリアの発言の後に、千冬と新華達の間に画面が現われ全員の視線が集中する。

 

 

 

 

 

「広域殲滅を目的とした特殊射撃型………私と新華さんのISと同じく、オールレンジ攻撃を行えるようですわね」

「攻撃と機動の両方に特化した機体ね、厄介だわ。しかもスペック上ではあたしの甲龍(シェンロン)を上回っているから、向こうの方が有利」

「この特殊武装が曲者って感じはするね。丁度本国からリヴァイブ用の防御パッケージが来てるけど、連続しての防御は難しいと思う」

「しかもこのデータでは格闘性能が未知数だ。持っているスキルも分からん」

「織斑先生、偵察は出来ないのですか…?」

「無理だな。この機体は現在も超音速飛行を続けている。アプローチは出来て1回が限度だろう。青木の機体を除いてな」

「ですが、俺のクアンタは今現在αユニットとの同期作業がまだ済んでいません。第1世代機体なので調整が終わるまでは動かせません」

「そういう事だ」

「でしたら、やはり1撃必殺の攻撃力を持った機体で当たるしかありませんね」

 

 

 

 

 

山田先生の言葉で全員の視線が一夏に集中する。

 

 

 

 

 

「え…?」

「え、じゃねぇよ。お前の白式が要だって言ってんだよ」

「あんたの零落白夜でね」

「それしかありませんわね。ただ、問題は」

「どうやって一夏をそこまで運ぶか、だね。新華の機体は今使えないし、エネルギーは攻撃に全部回さないといけないと難しいだろうから、移動をどうするか」

「しかも目標に追いつける速度が出るISでなければいけないしな。超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」

「加えて、足でまといにならない戦闘能力と性能も必要…」

「ちょ、ちょっと待ってくれ! 俺が行くのか!?」

「「「「「「当然」」」」」」

「というか俺が出られない、アプローチは1回って所で気付け」

 

 

 

 

 

今更だが、ハロは2機とも収納している。流石に真面目な空気に入れる事は出来ないと判断したからだ。情報云々もありサヤカも大人しく待機させている。

 

 

 

 

 

「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟が無いのなら、無理強いはしない」

「………やります。俺が、やってみせます!」

「よし。それでは作戦の具体的な内容に入る。現在、青木の機体以外で最高速度が出るのは誰の機体だ?」

「それなら、私のブルーティアーズが。丁度イギリス本国から強襲用高機動パッケージ『ストライクガンナー』が送られて来ていますし、超高感度ハイパーセンサーも付いてます」

「ふむ。オルコット、超音速下での戦闘訓練時間は?」

「20時間です」

「よし、それならば「待った待ーった!」…またか」

「その作戦はちょっと待ったなんだよー!」

「…青木」

「う詐欺を部屋の外にシュウウウウウウウウ!」

「みゃー!?」

「超! エキサイティン!」

 

 

 

 

 

 

新華の早業で背負投の容量で屋根から飛び降りてきた束が外に投げ出される。ふすまは束の存在に気付いた新華が既に開けていた。

 

 

 

 

 

「「「「「「………」」」」」」

「ナイスだ、青木」

「早いよしんくんー! 動きがキレッキレ過ぎて反応出来ないよー!」

「せめてふすまから入ってこいや。話はそれからだ」

 

 

 

 

 

またしても3人の間で行われるカオスな応酬。その場の誰もがついていけない。無論箒も。

 

 

 

 

 

「それは後にしてー、聞いて聞いて! ここは断・然! 紅椿の出番なんだよ!」

「なに?」

「紅椿のスペックを見て見て! パッケージなんか無くても超高速機動が出来るんだよ!」

「(完全にガキだな。箒の意思を完全に無視して自分のおもちゃ(・・・・)を自慢したがっている。それで優越感に浸ってやがる)」

「紅椿の展開装甲を調節して、ほいほいほいっと! ほら! これでスピードもバッチリ!」

 

 

 

 

 

一夏が首を傾げてるのを横に束は空中のディスプレイを勝手に弄り紅椿のスペックを出して操作する。

 

 

 

 

 

「説明しましょう! 展開装甲っていうのはね、この天才束さんが作った第4世代型ISの装備なんだよー!」

「第…4!?」

「はーい、ここで心優しい束さんの解説~! いっくんのためにね。へへん、うれし「話進めろ。時間が勿体無い」しんくーん! ばっさり言わないでー! まずね、第1世代というのは『ISの完成』を目標とした機体。次の第2世代型は『後付武装による多様化』。第3世代型は『操縦者のイメージ・インターフェイスを利用した特殊兵器の実装』だね。空間制圧作用兵器にBTにAICなどがあるね。………で、第4世代型っていうのが『パッケージ換装を必要としない万能機』という絶賛机上の空論中のもの。はい、いっくん理解出来ました? 先生は「お前が先生なんて、おこがましい」「束、お前が教師を名乗るな」しんくんに加えちーちゃんまで!?」

 

 

 

 

 

新華と千冬の容赦の無い口撃でヨヨヨとなる束。しかし新華と千冬の視線は極限まで冷めている。

 

 

 

 

 

「え、えーと…たしか、いま各国がやっと第3世代機の1号試作機が出来た段階だよな」

「ちっちっち。束さんはそんじょそこらの天才とは違うんだよ。このくらいはお茶の子さいさいなのさ! 具体的には白式の雪平弐型に使用されてまーす。試しに私に突っ込んだー」

「「「「「え!?」」」」」

「試し…?」

「それで、うまくいった(・・・・・・)ので、なんとなんと! 紅椿の全身のアーマーに展開装甲を採用してるんだよ! システム最大稼働時にはスペックデータは更にバイプッシュ!」

「(言質…取れた、取れてしまったな。『うまくいったので』か………一夏()実験したってことだな)」

「ちょ、ちょっと待ってください。え? 全身? 全身が、雪平弐型と同じ? それって…」

「うん。無茶苦茶強いよ。具体的にはしんくんのISに迫るくらい」

 

 

 

 

 

束のセリフに簪と新華が嫌な顔になるが、最後のセリフで新華に視線が集中する。

 

 

 

 

 

「っは。クアンタの展開装甲を参考にして開発しても偉くも何ともねぇよ。ただのパクリじゃねぇか」

「パクリって言わないでよー! 確かに参考にしたけどさ、しんくん全く使わなかったじゃない!」

「もう殆どTPS(トランストフェイズシフト)装甲の変わりだったからな。使う必要もない。それに、運用思想が第4世代を体現してる(・・・・・・・・・・)だろうが、クアンタは。オーバーテクノロジーの塊と張り合うな」

「ふーんだ。紅椿の展開装甲は発展したタイプだから攻撃、防御、機動と用途に応じて切り替えが可能なんだから! 第4世代型の目標である即時万能対応機(リアルタイム・マルチロール・アクトレス)ってやつだし!」

「クアンタは全部出来るからな? その為の無限機関だし、なんの為にクアンタの武装の殆どが複合武装だと思ってやがる。あと、クアンタと張り合うならフルスキンを完成させてから出直しな」

「なにょー!」

「なぁ、完全論破されて、今どんな気持ち? N(なぁ)D(どんな)K(気持ち)? NDK?」

「むきー!」

 

 

 

 

 

地団駄踏んでる束に限りなく凍える様な冷たい視線を叩く新華。今の会話で簪は疑問を持つ。

 

 

 

 

 

「あれ…? オーバーテクノロジーって、クアンタは博士が開発した物じゃないの?」

「あ………やべ、そういう設定だっけ」

「「「「「設定!?」」」」」

「青木…もう言ってもいいのではないか? ここまでくれば言っても変わらんだろう」

「んー…それもそうか。クアンタはこのバカう詐欺が作ったもんじゃねぇから」

「「「「「「………、はぁ!?」」」」」」

「無限機関なんざ、あの大きさで、それも4つも作れる訳ねぇだろうが。それに今このう詐欺は第4世代機を開発したって言ったよな? でもクアンタを本当に開発してりゃもう量産してたり第5や第6世代を開発しててもおかしくないだろ」

「「「「「「………」」」」」」

「じゃあ、誰が作ったの…?」

「知らん」

「「「「「「え…」」」」」」

「というか話が脱線し過ぎだろ。今問題は急いで一夏をさっさと戦闘空域まで運ぶって話だろうが」

 

 

 

 

 

色々と混乱が起きている部屋をよそに新華は自分が座っていた所に戻る。

 

 

 

 

 

「時間が無いんだろ? 早く話を進めろ。全く、無駄な時間を消費した」

「お前が言うな青木。で、話を戻して………束、紅椿の調整にはどれくらい掛かる?」

「お、織斑先生!? わ、私とブルーティアーズなら必ず作戦を成功させてみせますわ!」

「そのパッケージは量子変換(インストール)してあるのか?」

「そ、それは………まだですが…」

「ちなみに紅椿の調整時間は7分も有れば余裕だよ!」

「よし。では本作戦は織斑、篠ノ之の両名による目標の追跡及び撃墜を目標とする」

「では、俺のクアンタの調整が済み次第アフターケアにいつでも回れる様にします」

「ん、そうだな。そうしろ。作戦開始は30分後。各員、直ちに準備に掛かれ!」

「「「「「「はっ!」」」」」」

「Jud.」

「手が空いている者はそれぞれ運搬など手伝える範囲で行動しろ。作戦要員はISの調整を行え。オルコットはいざと言う時の為にパッケージの量子変換の作業をしろ」

「わかりましたわ」

「ええと、俺は…」

「白式のセットアップを済ませておけ。あと、エネルギーは満タンにしておけよ」

「りょ、了解」

 

 

 

 

 

全員が動き出し作戦開始の準備が始まる。一夏は作戦への不安を抱き、箒は一夏とようやく活躍して隣に居る事ができる事に浮かれ、千冬は一抹の不安を感じ、束は予定(・・)の最終調整を行う。

新華は

 

 

 

 

 

「αユニットを早く仕上げるぞ。ハロ兄弟、サヤカ。出てきて作業を再開させる。作戦…ではなく、ミッションは、開始された(・・・・・)

「「リョウカイ、リョウカイ!」」

『------』

「分かってる。このミッションは褒められたものじゃない。だけど、仕事は最後までやり通すしかないんだよ」

 

 

 

 

 

コンテナを出して作業を開始した。作戦とは別に受けた、最後のミッションの為に。

 

 

 

 

 

 




もうさっさと撃墜させて2回戦まで行きたい…
そうすれば新華の戦闘シーンが書けるのに…

正直MSとISじゃ積み重ねられてきた年月が違う。というか白騎士ってMS-06かRXー78ー2って感じがしますな。初めての機体でそれまでの兵器を凌駕するって感じで。そして61式戦車やリジーナが現代兵器に相当すると。つまりは現代兵器も使い方によってISを撃破出来ますと。
実際に物量作戦やISに搭乗していない時にISパイロットを殺せば勝ちですし。

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