IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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54話。
書いてる内に内容が今までの1.5倍に…
あと始めに言っておきます。新華の心がある程度溶けてないと今回のイベントは発生しません(←言い訳


デートですねわか(ry

 

 

 

 

日曜日の朝。新華は部屋でハロでクアンタ(サヤカ)の調整と情報の整理をしようとしていた所に、楯無と簪の更識姉妹に連れ出され学園の外にある最寄りショッピングセンター『レゾナンス』に来ていた。

 

 

 

 

 

「ふう…ハロ作っといてよかった。じゃなきゃ荷物持ってかさばった」

「ハロハロ」

『------』

『---ああ、大丈夫だから。なんだかんだ言っても俺も男だからな。少しだけなら浮かれてもいいだろ?』

「新華君ー! これなんてどうかしら」

「いいんじゃないですか? 似合ってますよ」

 

 

 

 

 

現在レゾナンスの1角、洋服店に居る。新華の服装は黒の長ズボンに待機状態のクアンタ。外用のタンクトップに袖の無い蒼のパーカー、銀色のバイザー型のサングラスを付けハロを連れていた。サヤカはクアンタとして待機状態のまま新華の脳量子波で会話をしながら、同化していたサングラスで外の景色を見ていた。サヤカを人形態で外に出して騒ぎを起こさない為である。

どうして新華がここに居るか。それは今朝の事

 

 

 

 

 

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新華は今朝、いつも通り訓練をした後にシャワーを浴び、以前に簪と話していたルガーランスでも作るかと考えていた所に

 

 

 

 

 

「今日は外のレゾナンスに買い物に行くから、新華君にも来てもらいたいの」

「俺が行く意味ありますか? 荷物持ちだけなら勘弁願いたいんですが。何かあれば会長が自分でなんとか出来るでしょうし」

「どうせ学園から出る気なかったんでしょう? フランス以降自重するのは有難いけど、気分転換に良いわよ?」

「気分転換ねぇ…」

『------』

「…サヤカ、行きたそうにしてもお前が人前に出ると騒ぎになるから駄目」

『------』

「…あのグラサンを? やたらと同化すんなっつっただろうが。というかハロの中の幾つか、銀色になってると思えばやっぱ同化してたか」

『------』

「まぁ、それなら大丈夫だが…」

「話は纏まった? 簪ちゃんも居るわよ?」

 

 

 

 

 

私服の楯無の後ろから簪が顔を出す。こちらも私服だった。楯無は白と黒の半袖のひらひらした上着に髪より濃い蒼のスカート。簪は白のゆったりとしたドレスのような長い服だった。2人共、青い髪に美人であるからなかなか似合っておりそれぞれ楯無は活発、簪はおっとり系に見えた(・・・)。簪も戦闘の時は容赦無い(新華の影響)から活発系に新華は思うのだが、普段は穏やかにしているので合っている。

 

 

 

 

 

「め、迷惑だった…?」

「迷惑と言うよりは暇つぶしの方向が変わるだけだな。ま、ハロ連れてけば荷物は問題無いな」

「良かった…」

「そうね♪ じゃ、新華君の支度が終わったら行きましょう♪」

『------』

「サヤカも楽しみみたいですね。んじゃ、シャワーも浴びたんで後は着替えてハロの中身を整理します。中で少し待っててください」

 

 

 

 

 

という流れがあり3人+1人(?)+1体で外に出る事になったのだ。

このリア充めパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルパルルパルパルパルパルパルパルパルパル…(byガノタ

 

 

 

 

 

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「いい買い物したわね~」

「うん。新華君、荷物持ってくれてありがとう」

「いやいや。実際にはハロの中に入れてあるから問題無いよ。ただ結構な値段だったんじゃない?」

「タカイ、タカイ」

「こういうのはね、値段は敢えて気にしないのよ。楽しむのが目的なんだから」

「そんなもんですかね…」

 

 

 

 

 

洋服店を出た一行はショッピングモール内をぶらついていた。テキトーに話をしながらぶらつく3人は、傍から見たら美女2人を侍らせている男の敵か美女2人を守るボディーガードに見える。まぁ前者にしか殆ど見えないのだが。その証拠に殆どの方向から殺意を含んだ嫉妬の視線が新華に集中している。

 

 

 

 

 

『------』

「サヤカもはしゃいでますね。初めて見た外が楽しいようです」

「そうなの? 私達には声が聞こえないからサッパリね。たしかラウラちゃんは分かるんだったかしら?」

「ええ」

「脳量子波…でいいの? 新華君は何で使えるの…?」

「さぁ? ラウラに関しては予想出来ますが俺に関してはどうも。ウチの両親は一般人ですからね」

イッパンジン(一般人)? イッパンジン(逸般人)?」

「…新華君の親という時点で一般人じゃないのだけどね」

「そこは置いときましょう。次はドコ行きます?」

 

 

 

 

 

なんだかんだで買い物(ほぼひやかし)を楽しむ新華。その中で

 

 

 

 

 

「(あ、コレ2人にどうかな?)」

 

 

 

 

 

などと買い物もしていた。新華の持ち金は念の為3万ある。女性との買い物は金を使うと想像しての事だった。最初の人生では大学に入るまで他人と接触する勇気は無く、2度目の人生ではそんな余裕は無く、今世に至っては女尊男卑で女性が傲慢になっている事とそこまで仲の良い女性を友人の箒や鈴、蘭以外で作る事をしなかった。故に同年代の誰よりも人生経験は有るのに女性に関しては、同年代の一夏に遅れをとっていた。

まぁ比べる相手が悪いのと、一夏の近くに居て女子の感情を感じる事が出来たので新華もそこそこ…どころか下手すると一夏より扱いが上手くなった。NTとイノベで感情の機敏が分かるのでヤバい事になっていた。鈍感じゃないし。

 

閑話休題

 

 

 

 

 

 

時節ゲーセンに寄ってヌイグルミを2人に苦労の末取ってあげたり、昼食でゆったりしたりと、明らかにリア充な、明らかにデートな買い物を楽しむ3人とサヤカであった。

 

 

 

 

 

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そうして歩いて行くと、先程とは違う洋服店に着いた。そこで新華はある事を思い出す。

 

 

 

 

 

「ああ、そういやもう臨海学校ですね」

「ん? ああ、そうね。新華君は水着あるの?」

「ありますよ流石に…うちの両親が気を利かせて入学初日に荷物と一緒に送ってくれましたから。ここでも買い物します?」

「ナニカカウカ? ナニカカウカ?」

「そうね…簪ちゃん、新しい水着、買う?」

「………」

 

 

 

 

 

簪は楯無と新華の顔を交互に見た後

 

 

 

 

 

「………買う」

「分かったわ♪ 新華君も買う?」

「いえ、タカ○シで買った3000円くらいのがあるんで、大丈夫です。あまり使ってないんでまだまだ使えますし」

「そう? じゃあ選ぶの手伝ってくれる?」

「さ、流石にそれは勘弁してください。色々とアレなんで」

「ん~? アレってどういう意味かな~?」2828

「ほっといてください」

「…?」

「簪ちゃん。アレっていうのはね…」

「いらんこと吹き込むな!」

 

 

 

 

 

嬉々とした表情で()に男の(さが)を吹き込もうとする楯無(ヘタレ姉)。流石に女性の生着替えを平然と待っていられる程一夏ではないので丁重にお断りする。

 

 

 

 

 

「また酷い事言われた気がするわ…」

「メメタァ、メメタァ」

「事実でしょうが。俺は1人でぶらつくんで、ゆっくり選んでください。決まったり何かあれば呼んでくれればすぐ戻りますんで」

「ハロに、でいい…?」

「いいよ? そうしてくれればハロが足にタックルしてくるから曲聞いてても分かるし」

「わかったわ。その前に、新華君はどんなのがお好み?」

「なんで女性物の水着の好みを言わなくちゃなんないんですか…」

「参考にするのよ。簪ちゃんも新華君の好み、気になるわよねー」

「う、うん。どんなのが良いと思う…?」

「どんなのがって言われましても…」

 

 

 

 

 

新華は明後日の方を見ながら考える。

 

 

 

 

 

「…髪に合わせてってのはどうかな? 後は本人が無理しない感じで」

「無理しない…?」

「そう。背伸びしないって言うの? 自然体が1番だよね」

「ふむふむ。じゃあおねーさんが際どいビキニだったら?」

「まず引いて、それから他人の振りでもしますかね? それが素だって言うなら苦笑いで済ましますけど」

「でしょうね…じゃあ、どんなのがいいと思うかしら?」

「軽くセクハラになるんでノーコメントで」

『------』

「興味出しても駄目。出たら騒ぎになる今人数少なくても騒ぎになるのは早いから。ってか人形態になられると曲が聞けなくなるから困るんだが」

「サヤカちゃんは何て…?」

「『自分も見てみたい、着てみたい』だそうです。というか見た目服来てるし、自分の機体(Evolveクアンタ)が水着とか…」

「んー、いいんじゃない? 減るもんじゃないでしょ?」

「減ります。俺のクアンタへの愛着がガリガリ減ります。搭乗する度思い出しそうでダメです」

 

 

 

 

 

サヤカはクアンタの自我意識である。つまりサヤカ=クアンタ。今までほぼ毎日24時間肌身離さず身に付けていたモノがいきなり女性の姿になり水着を着て楽しむ。いろいろと興味が出て楽しみたいのは分かるが、クアンタは新華にとってハロに並ぶかそれ以上の無くてはならない物。しかも他のISとは違いクアンタはフルスキンで新華の体に密着するように展開する。ソレがノリノリで水着を着るとなると新華にとっては『自分が水着を間接的に着た?』という風に考えてしまい愛着と言うか集中力が減るのだ。

 

 

 

 

 

『------』

「はいはい、慌てなくとも捨てたりしねぇよ。ってか捨てると思うか? 殆ど体の1部だぞ、お前は」

「殆ど24時間付けてるものねぇ…」

「そ、そんなに…?」

「こうして普段過ごしている時は当たり前、寝るときもずっと付けてる。外すのは風呂の時と着替える時くらいだな」

「すごいね…」

「そうか? 他の人のスマホや携帯と同じだと思うけど。ま、取り敢えずどっかぶらついているから、何かあれば連絡してくれ」

「わかったわ」

「うん」

「じゃ、行くぞハロ」

「ユクゾッ、ユクユクユクゾッ」

 

 

 

 

 

ハロのトキ化を無視して新華は歩いて行った。その後ろ姿を姉妹は見送って買い物を始めた。

だが3人は知らない。その店は新華達3人が他の店を回っている間に一夏達が騒動を起こしていた店だと。新華が歩いた先に一夏達が来る事を。

 

 

 

 

 

『------』

『---あー、楽しんでるようで何より。ハシャギ過ぎて人形態になるなよ』

 

 

 

 

 

脳量子波でサヤカに釘を刺す。新華とサヤカは普段から脳量子波で会話出来るが、新華の方が脳量子波だけでの会話に慣れていないのでIS学園敷地内や専用機メンバーの前では口に出して会話している。外で話すとブツブツ言っている不審者なので自重する為に脳量子波での会話を心がけている。

 

 

 

 

 

「………」♪~♪

 

 

 

 

 

クアンタ待機状態のMP3から伸ばしたイヤホンで、頭に特殊な銃を撃ちたくなるゲームの曲を聞いていた。住みづらいぽではありません。しばらく歩くと新華の視界にある店が入った。

 

 

 

 

 

「………お」

 

 

 

 

 

楽器店。店頭には幾つかの楽器が並び電源が入っている。店内に入り幾つか楽器を見てまわる。

 

 

 

 

 

「(まぁ、俺が弾けるのはピアノだけなんだけどね)」

 

 

 

 

 

中学の時に『楽器を弾けるようになりたい同好会』で活動していたから少しは興味があった。弾はギターとドラム、一夏はギターとボーカル、鈴は一夏と同じ、そして新華はピアノだけ弾ける。そうピアノだけである。手先も器用で並列思考も出来るが何故か弾けるのはピアノだけ。

他の3人なら努力次第で他の楽器も出来るが新華はピアノ以外は何故か出来なかった。まぁ困る事は無いので本人にとってどうでもよかったりするのだが。

 

 

 

 

 

「(まぁ弾けるけど楽器のメーカーとかに興味無いしねー…)」

『------』

『---はい同化しようとしないー。帰ったらヴェーダで構造とか教えてやるから』

『------』

『---は? 弾くの聞きたい? 別に良いが…何でだ?』

『------』

『---まぁ、データが入っているのと生で聞くのは確かに違うが…』

『------』

『---わかった、わかったよ。今時間あるし、たまには弾くのもいいだろ』

「ハロ、楽譜データ出せ。そうだな………まずは慣らしで『UC 001』」

「リョウカイ、リョウカイ」

 

 

 

 

 

新華が展示の電子ピアノの前に座るとハロがピアノの平らな部分に飛び乗る。新華の指示通り画面に『U.C.0001』の楽譜を映し、新華はそれを確認すると鍵盤に指を置く。そして音の確認をした後

 

 

 

 

 

「------」♪~

 

 

 

 

 

なめらかに鍵盤を押して弾く。ゆっくりと店の中と外に音色が響く。

 

 

 

 

 

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---side 一夏&シャルロット&鈴&セシリア

 

 

 

 

 

一夏とシャルロットは水着を買った後、鈴とセシリアを加えた4人でデートにしか見えないお店回りをしていた。千冬は買い物が終わった後は仕事があると言い学園に山田先生と帰っていた。帰る時に鈴とセシリアが一夏とシャルロットに合流し行動する。

ちなみに、一夏に向かう殺気(もはや嫉妬を超えた)は新華のそれより多かった。

 

 

 

 

 

「ふー…思ってた以上に買っちゃったね」

「ああ、そうだな。水着だけのつもりが色々買わされたし」

「あんたねぇ…買わされたって言うんじゃないわよ『買ってあげた』って言うべきでしょうが」

「そうですわ一夏さん。女性には気を利かせて何かしら奢るものですわよ?」

 

 

 

 

 

新華が聞けば『今日のお前らが言うなスレはここですか』とか言うだろう。自分で言うなと。だが一夏はその言葉に納得(?)して気にしない。

 

 

 

 

 

「そういうもんか? まぁ荷物持つ位はするけどさ」

「僕のも一緒に持ってもらっちゃって悪いね一夏」

「別にいいさ。男手があるのに女の子に荷物持たせるのもどうかと思うし」

「でも新華なら『知らん。自分で持て』とか言うんでしょうね」

「ですわね。その場面が頭に浮かぶようですわ」

 

 

 

 

 

新華に対して失礼だがあながち間違ってない事を言いつつ店の商品を見て回る。しばらくすると一夏と鈴の耳が聞き覚えのあるメロディを捉えた。

 

 

 

 

 

「…ん? この曲は…鈴! 聞こえてるか?」

「ええ、聞こえてるわよ。このピアノの音と曲、アタシが気付かないわけないでしょ」

「? お2人共、何を言ってるんですの?」

「一夏? どうしたの?」

「ああ、良く耳を澄ませてくれ。ピアノの音が聞こえると思うから」

 

 

 

 

 

一夏の言う通りにシャルロットとセシリアは耳をすませた。するとかすかにピアノの優しい音色が聞こえてきた。

 

 

 

 

 

「…聞こえた! でも、これがどうかしたの?」

「えっと、この曲は中学の時に新華がよく弾いてた曲の1つなんだ」

「新華さんが?」

「へぇー…新華って、ピアノ弾けるんだ。でも何で新華って分かるの?」

「何となく、かな? とにかく行ってみよう。多分新華で間違いないから」

「う、うん」

 

 

 

 

 

4人は音源へと向かった。そして楽器店に到着すると、一夏と鈴の想像通り、電子ピアノで2曲目となる『UC OYM-PF』を新華が弾いていた。

 

 

 

 

 

「------」♪~

「おお…やっぱり新華だ。新華も来てたのなら教えてくれてもいいのに」

「相変わらずピアノだけは弾くの上手よね、新華って」

「本当に、お上手ですわね…それに、なんでしょうか、安心感も感じますわ」

「………」

 

 

 

 

 

一夏達以外にも聞き入っている人は、その場に立ち止まり新華の演奏を静かに聞いていた。新華は余程集中しているのか、一夏達が来ている事に気付かず鍵盤とハロに映し出されている楽譜に視線を向けていた。

 

 

 

 

 

「なんだっけこの曲?」

「確か、『U.C.0096』とか言ってなかった?」

「そうだっけ? まぁ後でまた新華に聞けばいいか。しかし相変わらず綺麗な音色の曲だよな~」

「中学の時から、とおっしゃっていましたが、何か音楽に関わる事をしていらしたので?」

「ああ。親友の1人の弾って奴が部長の『楽器が弾けるようになりたい同好会』ってのがあってな? 弾と鈴と新華と俺で放課後たまに楽器を借りて弾いてたんだ。新華はピアノ以外は全然駄目だったけど、今みたいにピアノは凄く上手くなってさ」

「それで、普段楽譜とか用意してないアタシ達の変わりに楽譜をどっかから持ってきたり、演奏の指導とかしてくれてたわね。上手くなれば全員で演奏とかもしてたし」

「そうなんですの」

「………」

「? シャル、さっきから新華を見てるけど、どうかしたのか?」

「え!? あ、うんなんでもないよ!」

「? そうか」

 

 

 

 

 

シャルロットが慌てたのに首を傾げ新華の方に視線を戻す一夏。シャルロットは新華の真剣な表情に、何故か安心感を覚えた。シャルロットは新華経由で父から渡されたUSB、その中にあった映像を思い出した。

 

 

 

 

 

『今まで、まともに父親として接してあげる事が出来なくて、済まなかった。青木 新華君のお陰で現在の状況に余裕が出来たよ』

 

 

 

 

 

父であるデュノア社長が今まで見たことが無い笑みをしていた。それだけで驚愕に値するものだったが、シャルロットは『新華のお陰』といった部分に更に驚愕していた。確かに新華はフランスに行って父と会っていたらしい。だがそれがまさか自分の為だとは思いもしなかった。

映像を進めると新華が自分の家庭問題に解決の糸口を与えただけでなく、会社の経営に大きな影響を与えた事を知った。

何故、新華はそんな事をしたのか。本当ならば重大な事である。

 

『蒼天使』が1人の少女を救う為に国を渡り問題を解決!

 

多くの新聞やゴシップ誌の見出しにそう書かれ騒がれるはずだった。しかし現実では

 

行き過ぎた女性の末路! あの『デュノア社』も喰い物に!?

 

などと新華の情報は出ていなかった。シャルロット自身の事は女尊男卑に染まったある議員の指示で強制的に親から引き離された哀れな少女という扱いになり、その人間ドラマの様なストーリーがシャルロットの知らない所で世間に認識されていた。

 

 

 

 

 

『それで今後のシャルロットの扱いだが…今まで通り、いや今までより学園生活を楽しんでもらいたい。勿論代表候補生としての仕事もしてもらう事になるが、今までのような窮屈な思いはもうしなくてもいい』

 

 

 

 

 

この言葉がシャルロットに、学園に自分の正体を打ち明ける最後の1押しになった。まだ戸惑う事は多かったが、父親の瞳に真剣な物を感じる事が出来たシャルロットは、その言葉を信じる事にしたのだ。だが、次の言葉でシャルロットは新華を変に意識してしまう事になる。

 

 

 

 

 

『ところで会社からの指令なのだが、以前に出した指令は破棄し、新たに『織斑 一夏、もしくは青木 新華の引き入れをせよ』…つまりシャルロットが好意を抱いているであろう織斑君か、我々の恩人である新華君のどちらかを家に挨拶に来させなさいという事だ』

 

 

 

 

 

その言葉を聞いた瞬間、シャルロットはフリーズした。確かに一夏に好意を抱いている事は事実だったが家に挨拶に来させるというのは、そういう事だろうと理解し顔が真っ赤になった。だが問題は新華も父親の選択肢に入っていた事だ。家庭の問題に介入し好転させた事や経営難を救ってくれた事などが新華を選択肢に入れる要因だった事は分かる。しかし

 

 

 

 

 

「意識しちゃうよ………」

 

 

 

 

 

一夏の事が好きなのを自覚しているシャルロットだが、そういった話を知り指令として半ば強制的に受けてしまえば、異性である新華を変に意識せざるをえなかった。

 

 

 

 

 

「------ふぅ。『UC OYM-PF』で慣らしを終わらして、次は『B-Bird』を弾くか。ハロ、データを」

「ハロッ」

「………あ」ドクン

 

 

 

 

 

曲が終わり次の曲を決めた新華の顔をシャルロットは見た。その顔は音楽を純粋に楽しむ儚い笑みが表されていた。普段の鋭い目はバイザーによって見えないが、代わりに目以外の器官が柔らかな笑みを強調しシャルロットの心臓を大きく跳ねさせた。

 

 

 

 

 

「…よし。………------」♪~

 

 

 

 

 

再び鍵盤に指を置きなめらかにピアノを弾く新華。曲は先程とは違い明るめの曲だったが、先程の曲と同じようにどこか悲しさを感じさせた。

 

 

 

 

 

「-----孤独さえ知らーぁなーいぃーまーまー」♪~

「「「「…え?」」」」

 

 

 

 

 

新華が突然、歌い出した。その声は澄んで、綺麗だった。どうやら新華はノリノリらしく、歌詞の内容は寂しさを感じさせる物だったが、新華の顔はハッキリと優しさを(たた)えたものになり、いつの間にか横ではサヤカが新華を見守っていた。

呆然とした4人だったが、その曲に引き込まれる様に聞く事に集中していた。シャルロットは新華の笑顔と声に心臓が先程から強く鳴るのに戸惑っていた。

 

 

 

 

 

「(え? どうして!? なんでこんなに………!? まさか………)」

 

 

 

 

 

シャルロットは歌いながらピアノを弾く新華を見る。すると新華と会ってから今日までの言葉が思い出される。

 

 

 

 

 

『俺は、知ってるだろうが青木 新華だ。新華って呼んでくれると楽に過ごせる』

『気にしなさんな』

『だからシャルルのように汎用型の武装を多く持つ存在って有難いよ』

『青春するのも良いが、自分の立場を自覚しておけよ? バレバレだからな、男装お嬢様』

『まぁメンドクサイから誰にも言わないでおくが、さっさと着替えとけよ』

『俺が居るって事完全に忘れてんだろコラ。あと、風呂には体洗ってから入れ』

『そうか。まぁ、良いことじゃないのか?』

『今さっきシャルルの親父さんに連絡して、世間でもシャルルが女として出歩ける様に手配しといたから』

『もう肩肘張らず自由に生きろって事だろ? あ、家族に連絡とっとけよ? 前にUSB渡したし、その事もあるんじゃねぇか?』

 

 

 

 

 

自分を思いやる言葉と行動。一夏とは違い全てを知った上での発言、全てを察し自分に気を利かせ見守ってくれていた瞳。そして父親からの指令。意識した所に綺麗な声に優しさMAXっぽい新華の笑顔。

………キュンときちゃったらしいです。

 

 

 

 

 

「(え、え!? 嘘!? だって僕は一夏の事が好きで………!)」

 

 

 

 

 

しばらくシャルロットは新華の顔をマトモに見られなくなりますた。

 

 

 

 

 

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「------同じ闇を照らしー、出せーる日ーまでーーーー………------」♪~、♪

 

 

 

 

 

新華は『B-Bird』を弾き終わり腕を上に伸ばしリラックスする。するといつの間にか演奏を聞いて集まっていたのか、新華に向けて拍手が湧いた。

 

 

 

 

 

「ぅお!? いつの間にこんなに人が集まってんの!? ってサヤカ、どさくさ紛れに人形態になるなよ! 騒ぎがデカくなるだろ!? 取り敢えず戻れ!」

『------』

「(´・ω・`)じゃねぇから! そんな顔してもダメです! 早く戻りなさい!」

「…お、おう新華。新華も来てたんだな」

「お、一夏か。取り敢えずこの視線の集中放火から出るぞ。後ろの3人も遅れるな! ハロ、PCモード解除でこっちに着いて来い」

「リョウカイ、リョウカイ」

 

 

 

 

 

すぐさま新華は一夏達を連れ人混みを抜ける。適当な所で足を止め新華は一夏達と向き合う。

 

 

 

 

 

「ここまで来ればいいだろう。しかし一夏達も来てたとはね」

「それはこっちのセリフだよ。新華は1人か?」

「いや、会長と簪さんとだ」

「なんだ? デートか?」

「アホか。それはお前だろうが」

「俺はシャルと買い物に来ただけだぞ」

「『シャル』ねぇ…なんだかそのシャルさんは先程から顔が赤いようですが、どうかしたんかい?」

「? ほんとだ。シャル、具合でも悪いのか?」

「う、うぅん! そんな事ないよ!?」

「? そうか」

「鈴とセシリアも一夏と一緒に?」

「いえ、私達は偶然(・・)一夏さんとデュノアさんと会いまして、ええ偶然(・・)運良く会えたので共に行動しているのですわ」

「そうね。偶然(・・)会えたから一緒に行動してるのよ」

「………お前らも苦労してんな」

 

 

 

 

 

鈴とセシリアに同情の視線を送ると、丁度ハロが新華の足にタックルしてきた。

 

 

 

 

 

「ん? そうか、終わったか。お前ら、会長と簪さんの買い物が終わったらしいから一緒に来るか?」

「おう、いいぞ。皆もそれでいいか?」

「………私はそれで構いませんわ」

「………あたしもそれでいいわよ」

「………僕もそれでいいかな」

「何で3人共俺をそんなに睨むんだよ」

「たりめーだろーが。ほら、行くぞ」

「ユクユクユクゾッ、ユクユクユクゾッ」

 

 

 

 

 

5人は新華を先頭に移動する。その先は一夏が騒ぎを起こした洋服店。

 

 

 

 

 

「あ、ここって」

「ん? どうした」

「あ、いや、この店はさっき来たからさ」

「へぇ」

「新華君お待たせー」

「あ、会長に簪さん。もう決まりました?」

「うん…良いもの、買った」

「んじゃ荷物はこっちに。ハロに入れときますから」

「「「「!?!?」」」」

「………なに驚いてんだテメーら」

「いや、新華が自分から荷物持つって言うなんて」

「アンタにホント一体何があったの…?」

「大げさな。俺だって相手に気を利かせる事くらいあらぁ」

「買い物の時は割と持ってくれるわよ? まぁ今日みたいに買い物に付き合ってくれる時は稀だけど」

「「「「それを聞いて安心しました」」」」

「お 前 ら な」

 

 

 

 

 

新華が4人にジト目を向けるが即座に明後日の方を向かれた。楯無は笑いながら

 

 

 

 

 

「フフッ、さて、もうそろそろ帰りましょうか。結構長居しちゃったみたいだしね」

「あ、もうこんな時間か。会長、簪さん、楽しめましたか?」

「ええ、勿論♪」

「うん。楽しめたよ…!」

「それは良かった。一夏達はどうする? お前らも帰るか?」

「…そうだな、もう1通り見て回った気がするし、もう帰って荷物を片付けるか」

「わかりましたわ」

「いいわよ」

「うん、僕も大丈夫」

「よし、じゃあ全員で帰るか」

 

 

 

 

 

3人+4人+1人(?)+1体はレゾナンスを出てIS学園行きのモノレールに乗り込みIS学園へと帰る。

 

 

 

 

 

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「んー! 今日はお疲れさま。付き合ってもらって悪かったわね」

「気分転換、出来ましたしいいですよ。あ、荷物の事なんですが、先に簪さんの部屋に行って渡してから俺らの部屋に戻りましょうか?」

「…いいの?」

「ハロの中に全部入ってるから問題無いよ。会長もそれでいいですか?」

「いいわよ~」

「一夏達は自分で持ってるからここで解散かね?」

「そうだな。っていうか俺らの荷物もハロに入れさせてくれても良かっただろ」

「ハロにそんな余裕はねぇよ。これでも買い物の為にハロの中整理したんだし。部屋にハロの中にあった物が置いてあるからな」

「そうなのか?」

 

 

 

 

 

日が暮れかけている時に一行はIS学園の寮の前に着いた。気付かない内にレゾナンスに長居していたらしい。

 

 

 

 

 

「もうバイザー外してもいいか。サヤカ、もういいぞ」

『------』

「早速人形態か。楽しかったのは良いが、バイザーで我慢しろって言っただろうが。しばらく人形態禁止な」

『------』

「それが自業自得ってやつだ。しばらくすれば大丈夫になると思うから我慢しろ」

「相変わらず父親してるよな」

「だね。新華って昔からこうだって聞いたけど」

「そうなのよ。アタシらの保護者って言われてたくらいだもの」

「なんだか微笑ましいですわね」

「そこ、黙れ。あ、そうそう。会長と簪さんに………」

「「?」」

「はいコレ」

 

 

 

 

 

新華はポケットから楯無と簪にそれぞれキーホルダーを渡した。蒼の石の付いているキーホルダー。

 

 

 

 

 

「なんかパワーストーンとか書いてあったけど、2人に似合うと思ってさ。タンザナイトだったかな? ネガティブをポジティブに変えるって書いてあったし良いかな? ってさ」

「あ………ありがとう…!」ニコッ

「ありがとう、素直に嬉しいわ」ニコッ

「なら良かった。結構な値段だったからな。って何だお前ら、そんなに目を見開いて」

「…新華が、あの新華が!」

「じょじょじょ女子にプレゼントォ!?」

「うそ…」

「信じられませんわ………」

「お前らとはじっくり話す必要がありそうだな…?」

「…ふふ」ニコニコ

「………」ニコニコ

 

 

 

 

 

またいつも通りに騒いで寮へと戻って行く一行。更識姉妹の機嫌はずっと良かったままだった。

 

 

 

 

 

 




更識姉妹は新華の影響を受けて原作とは少し違います。新華も更識姉妹の影響で柔らかくなって? ます。
石の値段なんか知らんわ………テキトーです。新華が途中に2人にどうかな? とか言ってたのはあの石です。
石の詳細は、自分で調べてください。結構凄い石でした。

さて、シャルルを新華に惚れさせてサブヒロインに…理由としましては、あれだけやっといて惚れないってのは無いかなってのと、新華に惚れさせる事でシャルルの嫉妬による暴走を無くす事が目的です。
するとどうでしょう。新華から一夏に集中したシャルルは、ヒロインズの中で最も良妻になるキャラとなるのです! シャルロッ党の人から見れば一夏以外に惚れているから不愉快かもしれませんが、最終的に新華はシャルルとは結ばれないので我慢してください。

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