その代わり次回は最初っからデートです。
???「デートかよ」
古代エジプト王はお帰り下さい。
トーナメントで騒ぎが起きた翌日。HRにて
「み、皆さんおはようございます………」
「おろ? シャルル、そんな格好してるって事はもう吹っ切れたのか?」
「シャルル、オハヨ、オハヨ」
「あ、新華」
新華が教室の入口に行くとシャルルが女物の制服で立っていた。
「吹っ切れたって訳じゃないけど…でももう隠すのはやめようって。昨日一夏と話してね」
「そうか。まぁ、良いことじゃないのか? あ、でも…そうなると先生と生徒会に仕事が…」
「へ?」
「なんでもない。よし、このタイミングなら問題無いか。後で連絡しよ」
「今日は、ですね。皆さんに転校生を紹介します。転校生と言いますか、既に紹介は済んでいると言いますか………」
「お、そろそろらしいな。シャルルだろ? 転校生? ってのは」
「あ、うん」
「次俺も用あるが、まぁ…頑張れ」
「? う、うん」
「じゃあ入ってください」
「失礼します」
シャルルが教室に入り一瞬の沈黙の後に騒がしくなるが、新華は扉から離れ携帯を取り出す。
「………………あ、夜遅くにすみません。青木 新華です。デュノア社長、シャルルがとうとう正体バラしたんで会見、お願いします。………はい。…はい。わかりました。」ドゴォン
「一夏ァ!! 死ねぇー!!」
「………すいません、幼馴染の1人が暴走してるだけです。ええ。………一夏の周りはわりとコレが普通ですよ? ………割り切る事をオススメします。でないと一夏と本人達以外やっていけません。………はい。では、夜分にスミマセンでした。………はい、それでは」
「---故に私の嫁にする」
「………なんなんだこの展開は。カオス」
「カオス、カオス」
「あ、新華! 助けてくれ!」
「自分で何とかしろバカタレ。これが鈍感の結果だ。たまには俺らの苦労も味わえ」
「アンタねえええええええ!」
「待て! 俺は悪く「悪いだろーが」新華!? 俺は被害者側だろ!?」
「アンタが悪いに決まってるでしょうが!」
なかなかにカオスな事になっている教室。シャルルは呆然とするが不機嫌な顔を隠そうとしていない。
「むー…」
「なんだ? シャルルもいっちょ前にヤキモチか?」
「………うん」
「あらら、素直な事で。あ、シャルルさ」
「………何?」
「今さっきシャルルの親父さんに連絡して、世間でもシャルルが女として出歩ける様に手配しといたから」
「………、え!? 新華、それってどういう事!?」
「もう肩肘張らず自由に生きろって事だろ? あ、家族に連絡とっとけよ? 前にUSB渡したし、その事もあるんじゃねぇか?」
「あ、うん…」
「とりあえず………お前ら! いい加減やめろや! 自 重 し ろ !」
新華は全員に怒鳴る。ラウラは鈴の攻撃を防いだので良しとする。
「何よ!」
「なんだ! 今取り込み中だ!」
「いくら新華さんでもこれだけは!」
「うるせぇ! いい加減にわがまま言うんじゃねぇ! テ メ ェ ら 廊 下 に 正 座 だ ぁ !」
怒鳴って箒、セシリア、一夏に拳骨を、鈴に腹パンを見舞った。
「「「「痛ったぁ!」」」」
「痛くしてんだ馬鹿ども! 鈴とセシリアは簡単にIS展開させんじゃねぇ! 箒! 刀を人に向かって振るなって言っただろうが!」
「ボーデヴィッヒはどうなのよ!」
「正当防衛だ馬鹿やろう! 教室の中でぶっぱするテメェが悪い! そして元凶の一夏はもっと悪い!」
「何で俺まで…」
「もうお前は喋るな!」
「ひでぇ! いつにも増して酷さがひでぇ!」
「日本語で喋れ! とりあえず、説教だ馬鹿が! 箒は刀没収!」
「何!?」
「何じゃねぇ! 当然の結果だ! 千冬さんに預ける!」
新華が4人に説教を今にも開始しようとしている時、ISを展開していたラウラと壇上にいるシャルル、山田先生に生徒達は呆然としていた。ただ山田先生が慌てて
「あ、青木君! その前にもう1人の紹介をお願いします!」
「「「「「「もう1人?」」」」」」
「あ。忘れてた。りょーかいです。お前ら、すぐに千冬さんとで説教するから覚悟しとけ」
箒から刀を没収して壇上に上がる新華。刀を持ったその姿は箒よりよっぽど似合っていた。そして新華は待機状態のクアンタを放り上げる。
「ほらサヤカ、昨日言った通りに挨拶だ」
『------』
「「「「「「えぇえっ!?」」」」」」
空中で一瞬でサヤカが現れる。皆いきなり全身虹色に輝く銀色の女性が出てきた事に驚きを隠せない。サヤカはフワリと着地し教室の大型ボードにアクセス、文字を打ち込む。
『はじめまして。
「………え」
「「「「「「ええええええええーーーーーーー!!?!?」」」」」」
『会話は出来るのですが、特殊な方法なのでご主人様とラウラ・ボーデヴィッヒ様以外に通じません。文字での挨拶をお許しください』
「何?」
「そうなのか、ラウラ?」
「あ、ええと…」
「ま、気にするな。基本は話せないから、話すなら文字で」
『------』『どうですか? 上手く出来ましたかご主人様!』
「あー上手く出来てたよ。よくやったよくやった」
『------』『えへへ。頭撫でてください!』
「はいはい………」ナデナデ
『------』『えへへー』
「………ってか画面にアクセスしたままだぞ。接続切れ」
『------』『了解です!』ブツッ
「ってか何度もそのご主人様やめろって言ってんだろうが」
『------』
「いや間違っちゃいねぇがよ…分かったから泣きそうな顔になるな」
『------』
「「「「「「なにその可愛い生き物」」」」」」
新華とサヤカのやり取りを見ていた生徒は1人残らずそのセリフを呟いた。そしてまた大騒ぎになるのは…書かなくていいよね?(byガノタ
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翌日。いつも通りに訓練を済ませ部屋に戻ろうと廊下を歩いていると
「一夏ぁ! ななっ、何をしているか軟弱者!」
「ん? 一夏の部屋から?」
『------』
「だな。また何かやらかしたか」
「ま、待て箒! これは違うぞ!」
「………なんか浮気がバレた夫の見苦しい言い訳みたいだな。もしかしたらデュノア社長もこうだったのか?」
そう言ってサヤカと共に一夏の部屋に向かう。そして入ってその光景を見た直後、サヤカの目を両手で隠した。
『------』
「見ちゃいけません。サヤカにはまだ早い。まだ生まれて3日の純粋な子には見せられません」
「し、新華か! いい所に! た、助けてくれ!」
「何してんだよお前は…箒、これは一体どういう状況だ?」
「私に聞くな! 私とて朝食に誘いに来れば…!」
「………頭が痛いな。で、そこのボーデヴィッヒはどうしてマッパなんだ」
「新華、その言い方はどうなんだ…」
「いえこれはですねお義父さま」
「「「お義父さまぁ!?」」」
『------』
「俺はヤッた事なんざ1度も無い! 清い童貞じゃ何か文句あるかゴルァ!」
『------』
「そうですよ。落ち着いてくださいお義父さま」
「ボーデヴィッヒ! お前は喋るな!」
新華が半ば切れているが元々はラウラが原因なので取り敢えず黙らせる。無論サヤカの目は両手で覆ったままだ。
「取り敢えず服を着ろ!」
「部屋に置いてきました」
「何でだ! それとさっきのふざけた呼び名は何だ!?」
「? 産んでくれた相手を親と呼ぶのでしょう?」
「いつ、誰が、お前を産んだってんだ!」
「この間の大会の時に私わ生まれ変わりました。あの光によって『ヴォーダン・オージェ』を制御する事が出来、教官によって初めて私は『ラウラ・ボーデヴィッヒ』という存在になれたのです。ゆえにお義父さまと」
「………頭痛ぇ。………って待て、そうなると千冬さんは…」
「そうですね。教官は母上という事になるのでしょう」
『------』
「そういう事言うんじゃありません。ってかその知識はどこから…って俺の記憶からか。全く厄介な」
「と言うことは、千冬さんと新華はラウラにとって夫婦になるのか?」
「新華………」
「一夏、お前のシスコンは知ってるから落ち着け睨むな。というか俺はそんな相手作らないって言っただろうが」
「「え?」」
「ああ、箒達には言って無かったか」
新華は以前一夏と弾に話した事を、自分の意思と考えを話した。すると箒とラウラは顔を歪めた。一夏も悲しそうな表情だった。
「新華が、人を、殺し…?」
「そうですか…それで尋常でない程の隠蔽がされていたのですね」
「ああ。今はもう隠蔽の必要が無いから大してしてないが弱みを作ると確実にソレを狙われる。特に今の世界は弱肉強食、女尊男卑だ。女尊男卑の馬鹿共を大量に制裁した事もあるから逆恨みも多いだろうな」
『------』
「…ですね。お義父さまはそれでいいのですか?」
「良いも悪いも無い。それに前に箒と一夏には言ったな? 俺には譲れない物があると。その為にも俺は死んだり利用されてはいけないんだ」
「そう、か」
ラウラはどこか納得していた感じだったが箒には衝撃が大きかったようだ。だが新華は呆れて箒に言う。
「なぁ箒。お前が持っていた刀も血を吸っているんじゃないのか? そうでなくとも人を殺す為に造られた物だって自覚はあるか?」
「な、に?」
「自覚無しか。いいか箒。知っているだろうが刀には観賞用と実戦用の2種類がある。だが過去の侍が存在していた頃にそんな概念があったと思うか?」
「………」
「世界大戦中の日本人にだって常に帯刀していた人物は歴史上に存在する。だが帯刀目的は護身用、つまり敵を斬り殺す為だ。箒は気軽に持っていたが、誰かを斬り殺す覚悟はあったのか?」
「き、斬り殺すようなヘマはしない!」
「ダウトだ。人がする事に絶対は無い。覚えておけ。『絶対に~しない』とか『~なんて有り得ない』なんて事はある筈がないんだよ。一歩間違えればお前も誰かを殺していたんだぞ? 人間は失敗する生き物。失敗しない奴が居たら、それは失敗を経験し続けた大人かただの機械、または人形だ」
『------』
「…お前はもう人形でもプログラムでもないだろ。失敗もこれから学べばいい。失敗から多くを学んで成長するんだ」
『------』
優しい目で新華はサヤカを見ていた。両目を塞がれたままだったがサヤカの方も理解したのか僅かに頷いた。
「…何か新華がそのサヤカに教えているのを見ていると父親って言われても違和感を感じなくなってくるな」
「勘弁してくれ…とにかく、話を戻すとラウラは呼び方を変えてくれ。この歳で親と呼ばれるのは精神的にくるものがある」
「わかりました。では………兄上とかは?」
「目上の呼び方はヤメロ。あと敬語もいらん。むず痒い」
「わかり…わかった。では………青木?」
「新華でいい。大体仲良くなった奴はそう呼んでるし。お前さんも大分性格柔らかくなったみたいだしな」
「わかった、新華。その代わりと言ってはなんだが、私の事もラウラでいい」
「わかった、ラウラ。んじゃ俺はいい加減部屋に戻るわ。シャワーも浴びたいし、いい加減手も疲れてきた」
『------』
「はいはい、部屋を出たら手をどけてやるよ。それじゃまた後でな」
「おう」
そう言って部屋を出た新華。その後我に帰った3人がまた騒ぎ出したが放っておいた。
尚、新華は部屋に戻ると何やら怖い笑みを持った楯無が居て、話を聞いた後に新華に怒っていた。
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朝食を終えハロとサヤカを連れ教室に入るとサヤカの周りに女子が群がった。ハロは颯爽と本音の腕に飛び込んでいたが。
「なんだか俺の
「あおきー気にしたらだめだよ~」
「いやー…でも時々感想欄で他の所行くからなぁ~」
「メメタァ、メメタァ」
「ん~? 何言ってるの~?」
「………悪い、少し電波が入ったらしい。忘れてくれ」
「わかった~」
『------』
「はいはい。ほらお前らー、サヤカが困ってるから程々にしろよー」
「「「「「「わかったー!」」」」」」
そうして本音と談笑していると、千冬が早めに来た。少しばかり驚くが、すぐにその原因はわかった。
「到着!」
「ご苦労な事だな」
「え?」
「シャルルも無断展開かよ………ああ、常識が、数少ない常識人が………」
「新華さん、しっかりしてくださいまし」
「無理。ホント弾呼んでこいよ~…俺の精神的負担が半端じゃねぇよ…これじゃまだ志甫の方がマシだった…あ、でも一兎が居たから問題なくなったんだっけ」
「? 誰ですの、そのお2方は」
「俺の知り合い」
『------』
「…辛いけど大丈夫だ。というかもうそろそろ授業始まりそうだから戻れ」
『------』
サヤカが待機状態に戻り、一夏とシャルルが罰を言い渡されて全員が席に着く。そのままチャイムが鳴りSHRが始まる。
いつもなら山田先生が居るはずなのだが、千冬の話によると今度の
「ええっ! じゃあ山ちゃん1足先に海に行ってるんですか! いいな~」
「ずるい! 私にも1声掛けてくれればよかったのに!」
「あー、泳いでるのかな~? 泳いでるんだろうな~」
「こいつら…学校並の人数での先生の仕事舐めすぎだろ…下見だと期待してる様な事は何も出来んぞ」
『------』
「ん? ああ、海水浴場から見る海はまた違うんだ。行った時の楽しみにしとけ」
「あー、一々騒ぐな、うっとおしい。山田先生は仕事で行っているんだ、遊びではない」
新華はパラベラム世界で孤児院の経営の手伝いをしていた。その上で最初の頃は彩夏先生に子供達を任せ自分が下調べに行く事が多かった。ただ行く先は大体
「(ただ、どうにも楽に終わりそうにないんだよな…ゆっくりしたいのに)」
新華は漠然とまた何かが起こりそうな、そんな予感を感じていた。
次回はデート! デート!
書いた後に気付いた。今回楯無の出番が殆ど無かった! 簪さんは全くなかった! ヒロインなのに!
次回サヤカは人形態にはしません。騒ぎが大きくなるので…
ちなみに新華は私服で行きます。