IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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50話。
「アユレディ?」

「「「「「「イェア!」」」」」」

「ヘーヘイヘイヘーイヘイ!」

「「「「「「ヘーイヘイヘイヘーイヘイ」」」」」」


学級崩壊(嘘)! 学年別タッグトーナメント

 

 

 

 

 

新華のフランス訪問から1週間が経ち6月最終週月曜日。IS学園は学年別トーナメントの盛り上がりを見せていた。

…来賓を含めて。

 

 

 

 

 

「つ、つっかれた~」

「オツカレ、オツカレ」

「つ、疲れたね…」

「みんな疲れたね~」

「お、新華、更識さん、のほほんさん。お疲れさん。しかし凄いなこりゃ…」

「3年にはスカウト、2年には1年間の成果の確認にそれぞれ人が来ているからね。1年には今のところ関係無いみたいだけど、それでもトーナメント上位入賞者には早速チェックが入ると思うよ」

「ふーん、ご苦労なこった」

「お前ね…この大会の結果関係なしにお前と俺、それにシャルルにはチェック入ってんだぞ」

「チェック、チェック」

「え? 何でだ? 大会はまだだろ?」

「あのな、俺ら数少ない男性操縦者。お前はブリュンヒルデの弟で俺は『蒼天使』でシャルルは代表候補生。むしろなんでこれでチェックしないんだよ」

「でも、シャルルは女の子だし」

「今日来た来賓どころかIS学園にその事を知っているのが何人居る? つまりは、そういう事だ。気を付けろ? 何処に耳があるか分からないからな」

 

 

 

 

 

新華は簪と本音と共に楯無に引っ張られ生徒会の仕事に朝から巻き込まれていた。生徒会は学園の中枢の1つでもあるので職員室と同じかそれ以上に書類と作業の量が多かった。次から次へと書類が追加され一般生徒達への指示や手伝い、先生方との連携などやる事が多かった。

特に新華は数少ない男手として引っ張りだこであり、その鋭い容姿からトラブルが発生した時の牽制、収拾に駆り出されていた。

一夏に注意を促したが、一夏の抜けっぷりに新華は心配になってくるのであった。まぁフランスの関係者であれば問題は無いのだが。

 

 

 

 

 

「でも一夏はボーデヴィッヒさんとの対決が気になるみたいだね」

「当然だ。売られた喧嘩で新華が怪我したんだ。その借りはキッチリ返す」

「その意気だ。だが、油断すんなよ? ここんとこの訓練でいいコンビネーションになったらしいが相手によって全部無駄になる事だってある」

「分かってる。少しだけど新華に教えてもらった事もあるからな」

「あ、あの特訓はキツかったよね」

「まったくだ。ただ、御陰で強くなったけどな」

 

 

 

 

 

新華がラウラに付けられた傷は今ではすっかり治っていたが、小さく痕が残っていた。新華はこの1週間の7割を楯無に拉致され仕事が終わるまで一夏達の訓練にあまり参加出来なかった。故に残った僅かな時間に詰め込んだ。

 

 

 

 

 

「でも気を付けていこう。ボーデヴィッヒさんは1年の中で更識さんと同じくらいかそれ以上に強い筈だから」

「そうだな。さて、こっちの準備は出来たぞ」

「僕も大丈夫だよ」

「簪さんと本音は?」

「ダイジョウブカ? ダイジョウブカ?」

「大丈夫」

「だいじょうぶだよ~」

「そか」

「そろそろ対戦表が決まるはずだよね」

「そろそろか。さて、ランセレはどういう組み合わせにしたのか…」

 

 

 

 

 

新華は密かにシャルルのISスーツの性能を考えていた。シャルルが女だと明かされた日にシャルルは以外と大き(・・)かったのを覚えている。男の悲しい(さが)がその事を記録していたがISスーツを着るとそんな物は無い様に見えた。見ないが。

 

 

 

 

 

「新華君…?」

「簪さんそう怖い顔しないで」

「だめだよあおきー、女の子の前で別の女の子の事考えちゃ~」

「いや、別にそうゆうわけじゃなかったんだが…まぁ考えていたのも別にどうでもいいか。しかし一夏達は1回戦1組目ってのは些か早すぎじゃないか?」

「いいじゃないか、運が良いだろ。待ち時間に色々考えなくて済むし、こういうのは勢いが肝心だからな。出たとこ勝負、思い切りの良さで行きたいだろ」

「一夏らしいな」

「ラシイ、ラシイ」

「ふふっ、そうかもね。僕だったら1番最初に手の内を晒す事になるから、ちょっと考えがマイナスになってたかも」

「…皆、対戦表、決まったみたいだよ…」

「おっ、どれどれ…」

 

 

 

 

 

簪のセリフで全員が対戦表が映される画面に注目する。

 

 

 

 

 

「「…え?」」

「仕事し過ぎだろランセレェ…」

 

 

 

 

 

1年1回戦の一夏達の相手はラウラと、ランダムで選ばれた箒だった。

 

 

 

 

 

「うーん…真・飛鳥(マジで噛み合う) VS 空を飛ぶ程度の病人(絶望的に噛み合わない)ってとこか? 取り敢えず箒乙」

 

 

 

 

 

ちなみにアドベント閣下(相手が絶望レベル)は新華 & 楯無の組み合わせ。この大会には出ないが。

 

 

 

 

 

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side 一夏

 

 

 

 

 

「1戦目で当たるとはな。待つ手間が省けたというものだ」

「そりゃあ何よりだ、こっちも同じ気持ちだぜ。新華に怪我させた借りはここで返す」

「ふん…」

 

 

 

 

 

アリーナのフィールドで相対する一夏とラウラ。隣にはそれぞれシャルルと箒が居た。試合開始のブザーが鳴る。

 

 

 

3、2、1、ビーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「「叩きのめす」」

 

 

 

 

 

一夏とラウラは同時に飛び出した。一夏は瞬間加速を使い、ラウラはその一夏を見て右手を出す。その動作でAICが来るのを察し、両足を勢い良く前に出して急停止、そのまま斜め後方に下がる。

 

 

 

 

 

「ぐぅうっ…!」

「何…? ! くっ」

「がら空きだよ!」

 

 

 

 

 

一夏が下がった事で射線が開きシャルルのラファール・リヴァイブⅡのマシンガンが火を吹く。ラウラは反応しきれず、被弾した直後にAICを発動しそれ以上の被弾を防ぐ。

 

 

 

 

 

「(よし、上手くいった!)」

 

 

 

 

 

一夏は新華に教えてもらった技でラウラに攻撃を当てられた事に一瞬喜ぶが、油断せずに気を引き締める。この急停止+バックは新華から教わった新華の十八番技の1つ。

 

 

 

 

 

『一夏、お前には近接戦闘しか選択肢が無い。そんなんでAIC持ったボーデヴィッヒと戦うなんざ無謀にも程がある』

『随分ハッキリ言うな新華は…』

『こういう訓練でハッキリ言わなくてどうする。というかお前は近付いてAIC食らったら即終了だ。だから食らわない、もしくは食らっても次に活かせるリカバリーが必要だ。この場合リカバリーは何も出来なくなるお前に代わってタッグ相手のシャルルがどうにかするって感じになるな』

『そうだね。僕が何とかしないと』

『わかり易いやり方としては、ボーデヴィッヒがAICで一夏拘束→その隙にシャルルが回り込みボーデヴィッヒにダメージを与える→集中が途切れAICが切れる→一夏の斬撃だな』

『成程』

『ただ今回はボーデヴィッヒさんにもタッグ相手が居るからそれをどうにかするかだね』

『俺が居ない間にそこんトコは考えたんだろ? だが1番は一夏がAICに捕まらない事だな。そうすりゃ問題無い』

 

 

 

 

 

数日前に新華とした会話だ。特訓で新華は新華なりにラウラのAIC対策を考えていた。

 

 

 

 

 

『AICに捕まらないって…結構無理言ってない?』

『そうか? 別に範囲に入らなきゃいいし使用者のボーデヴィッヒが反応出来ない攻撃とかあるだろ。…軍人相手にはキツイか?』

『それにセシリアのBTを完全に避けてたしな。範囲に入らないってのもその範囲が分からないからなぁ』

『そこでだ。俺的にはカウンターって手もあると思うんだが』

『『カウンター?』』

『そう。一夏がAIC効果範囲に一気に近付いて発動する前にボーデヴィッヒから離れる。するとボーデヴィッヒはAICを発動、もしくは発動せずに驚いて隙が出来る。発動してても、シャルルがタッグ相手に向かっていれば意味無いから解除するだろうし、発動してなきゃシャルルの射撃でダメージが期待出来る』

『な、なるほど』

『ま、一夏にそれが出来るだけの機動性と瞬発性が必要だがな』

『その案もきつそうだね』

『でも手札は多い方がいいし、やるぞ。一夏の機動性うp訓練』

『『えっ』』

 

 

 

 

 

その時の訓練は酷かった。シャルルと新華の攻撃をひたすら避けまくるのを1時間程。その後休憩がてら新華がシャルルと簪さんの攻撃を避けまくるのを見ていた。さっきのバックも新華がその時に何度かやっていたもので特訓の末に出来る様になった。

 

 

 

 

 

「くっ、早いな」

「お褒めに預り光栄だっ!」

「くっ…」

「でえええい!」

 

 

 

 

 

一夏がラウラを横から強襲する。しかしその斬撃は箒の打鉄によって防がれる。

 

 

 

 

 

「私を忘れてもらっては困るな、一夏! 流石にボーデヴィッヒがやられるとマズイからな!」

「箒か!」

 

 

 

 

 

白式の雪平と打鉄の近接ブレードが火花を散らす。戦いは始まったばかり。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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観客席の一角。新華、簪、本音、セシリア、鈴の5人が席に座っていた。

 

 

 

 

 

「おーおー、上手くAIC避けたもんだ。箒もリカバーが効いてるが、ボーデヴィッヒの協調性の無さがアダだな。もう分断されやがった」

「箒さんじゃあ…」

「デュノアさんには勝てませんわね」

「そうだよね~。でもおりむーがその間にやられちゃったら」

「デュノアだけじゃ勝てないでしょうね。デュノアがどれだけ早く篠ノ之を倒せるかが勝負ね」

「だがシャルル相手じゃ箒に勝ち目は無い。いくら強くてもそれは剣道での話。ISを使う試合やシャルルの様な射撃型、それも熟練相手じゃせいぜい時間稼ぎが限度だ」

「厳しい事言いますわね…」

「事実だ。見ろ、完全に箒が押されている。例えボーデヴィッヒが単体で強くても今のコンビネーションの2人には勝てないだろうな。AICは虎の子であると同時に明確な欠点も存在する。シャルルのような器用な奴がそれを逃すとは思えない」

 

 

 

 

 

他の盛り上がっている生徒と来賓に構わず冷静な分析をしていく5人。特に新華はもう勝敗が見えていた。

 

 

 

 

 

「欠点って言うと…集中の事…」

「そう。AICは相手の慣性を殺してボコる拘束機能だ。だが使用する場合相手に集中して発動しなきゃならん。1 対 1じゃチートに成りえるが今回はタッグ戦、今の様に分断されている間に1人削らないと不利だ。だが一夏は特訓で機動性と俊敏性を手に入れているしそうそう落ちない。白式の性能もちゃんと引き出せてきているからな」

「では、この戦いは」

「分断された時点でボーデヴィッヒの負けは確定。このまま何もなければな…」

 

 

 

 

 

 

新華は胸騒ぎを感じていた。漠然とだが何かが起こると感じていたが、その何かが分からず、また束からの連絡も無いため試合を鑑賞していた。アリーナでは箒が戦闘不能に陥り、一夏とシャルルが連携でラウラを追い詰めたものの白式のエネルギーが無くなった所だった。

 

 

 

 

 

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「残念だったな」

「くっ!」

「限界までシールドエネルギーを消耗してはもう戦えまい! あと1撃でも入れば私の勝ちだ!」

「やらせないよ!」

「邪魔だ!」

 

 

 

 

 

ラウラが一夏に止めを刺そうとするがシャルルが妨害する。しかしラウラは4本のワイヤーで牽制して一夏への斬撃を止めない。

 

 

 

 

 

「うぁ!」

「シャルル! くっ!」

「次は貴様だ! 落ちろ!」

「ぐあっ…!」

「は、ははっ! 手こずらせて! 私の勝ちだ!」

「まだ終わってないよ!」

 

 

 

 

 

ラウラが一夏と白式が脱力するのを見て勝利宣言をするが、シャルルが瞬間加速を使いラウラを強襲する。

 

 

 

 

 

「な、瞬間加速だと!? データでは…」

「使って無かった? 当然だよ、今初めて使ったからね」

「なんだと…! まさか、この戦いで覚えたというのか!?」

「データに頼り過ぎだよ!」

「ふっ…だが私の停止結界の前では無力!」

 

 

 

 

 

ラウラがシャルルに対してAICを発動させようとする。しかし寸での所でラウラの予想していない所から射撃が叩き込まれる。ラウラが銃撃の元を見ると、一夏が以前訓練の時使っていた55口径アサルトライフル『ヴェント』を構えて不敵に笑っていた。

 

 

 

 

 

「これならAICは使えないだろ!」

「この…死に損ないがぁ!」

「でも、間合いに入る事は出来た」

「それが、どうしたぁ! 第2世代型の攻撃力では、このシュヴァルツェア・レーゲンを落とす事など………!」

「この距離なら、外さない…!」

 

 

 

 

 

シャルルはラウラの目を見ながらほぼ零距離で盾の表面装甲を強制解除(パージ)する。中から出てきたのは69口径パイルバンカー『灰色の鱗殻(グレー・スケール)』。通称『盾殺し(シールド・ピアース)』。ここに来てラウラに焦りの表情が浮かぶ。盾殺しは単純な攻撃力では第2世代最強武器と言われており、その威力は第3世代に引けを取らない。

 

 

 

 

 

「「おおおお!」」

 

 

 

 

 

シャルルとラウラの声と影が重なる。お互いに相手に近接武器を当てようと交錯。一瞬の駆け引きに勝利したのは

 

 

 

 

 

「!!! ぐうぅっ…!」

 

 

 

 

 

シャルルだった。盾殺しの杭がラウラの腹部に叩きつけられ、パイルバンカーとしての効果を発揮する。リボルバー機構により何度も零距離から強力な衝撃を与え内部に無視出来ないダメージを与えていく。あと少しでラウラを倒せるという所で異変が起きる。

 

 

 

 

 

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---side ラウラ

 

 

 

 

 

「(こんな………こんな所で負けるのか、私は…)」

 

 

 

 

 

何度も衝撃を受け朦朧としだした意識の中、ラウラは自分の惨めさと悔しさを感じていた。今回の敗因は相手の力量を見誤り侮った事。流石のラウラでも認めるしかなかった。しかし

 

 

 

 

 

「(私は負けられない! 負けるわけにはいかない!)」

 

 

 

 

 

ラウラはデザインベビー、つまり作られた命。軍で生み出され戦う事のみを目的に作られ、育てられ、鍛えられた。教えられる事も戦闘や戦術、兵器の扱いばかり。しかり戦闘の為に作られたラウラは優秀な『性能』を、最高レベルを維持していた。ISが出るまでは。

当時ドイツはISの個々の適正を高める為に『ヴォーダン・オージェ』、新華から見れば『デットコピー』である擬似ハイパーセンサーを肉体に直接埋め込む処置が行われた。同僚が次々と処置に成功する中ラウラはその処置に適応出来なかった。埋め込まれた左目は機能のON OFFの切り替えが出来ずにONの状態のまま固定され金色の瞳のまま変化しなくなり制御不能になった。

この『事故』からラウラは『出来損ない』の烙印を押され、今まで築いたトップの座から転がり落ちていった。なんてことはない、ラウラもIS登場における被害者だった。その点では他の国の男性軍人と変わらない。しかしラウラはISに適正がある女性であり、何より絶望から救い出してくれる『光』であるブリュンヒルデ、織斑 千冬が教官として来た事で変わる。

 

 

 

 

 

『ここ最近の成績は振るわないようだが、なに、心配するな。1ヶ月で部隊内最強の地位へと戻れるだろう。なにせ、私が教えるのだからな』

 

 

 

 

 

それが初めて会い言われた言葉。そしてその言葉に偽りは無くラウラはIS専門に染まった部隊の中で再び最強の座に返り咲いた。すでにその時点でラウラは千冬に強い憧れを持つ様になった。自分を疎み嘲笑っていた部隊員達を気に留めない程に。

ラウラの中で千冬とは教官であり絶対的な神のような存在であり、理想だった。その理想に少しでも近づくため、憧れの人物の側に少しでも居たかったから訓練以外にもラウラは千冬の所へ足を運んだ。そしてある時、聞いた事があった。

 

 

 

 

 

『教官はどうしてあそこまで強いのですか? どうすれば強くなるのでしょうか』

 

 

 

 

 

その質問をした時の千冬の顔は、普段の鬼教官と言われた物ではなく、僅かに優しさを持った表情になった。

曰く、弟とその友人に『好敵手』が居る。

弟からは強さの意味と原動力を貰い、その友人であり好敵手からは共に高みを目指す楽しさと戦いの経験を貰ったと言う。そして2人を見てそれぞれ方向性は違うが強さの先に何があるのかを知ったと。

ラウラはそれがよく分からなかった。家族と呼べる人物はデザインベビーである自分には居らず優しさなど意味の無いものだと思っていたから。

自分の弟と好敵手の事---特に弟の事---を話す千冬は、優しい笑みでどこか気恥しそうな表情、『姉』の表情になっていた。

ラウラにとって千冬とはいつも厳しく凛々しく堂々としている教官だった。故にその表情と、そんな表情をさせる2人、特に弟の一夏の存在が許せなかった。認められなかった。

 

 

 

 

 

「(だから、敗北させると決めたのだ! あの男達を、私の力で、完膚なきまでに叩き伏せると!)」

 

 

 

 

 

力を願った。圧倒的な、絶対的な力を。するとラウラの中でナニカが身じろぎした。頭の中に声が響く。

 

 

 

 

 

『---願うか? 汝、自らの変革を望むか…? より強い力を欲するか…?』

「(言うまでもない。力があるのなら、それを得られるのなら、私など---)」

『------駄目だ、それは変革ではない、ただの堕落だ!------』

 

 

 

 

 

声が聞こえた。最初に聞こえたナニカからの声ではなく、どこか悲しさを感じさせ包み込むような優しさを持った声が。この1ヶ月に散々聞いた教官の『好敵手』の物。認められない男の1人の物。しかしその声はラウラには届かなかった。今の我武者羅に力を欲し駄々をこねるラウラの『心』には。

 

 

 

 

 

「(空っぽの私が奴等を叩き潰せるのなら!)」

『------そんな考えでは誰もお前を見ない! 俺たちも、千冬さんも! そんなんじゃ!------』

「(五月蝿い! 私は、決めたんだ。叩き潰すと。教官に必要のない優しさなどという物を与えた貴様らを!)」

『------ボーデヴィッヒ!------』

「(力を、比類なき最強を! 唯一無二の絶対を! 私によこせえええええええ!!!)」

『------止めろ! ボーデヴィッヒ!------』

 

 

 

 

 

Damage Level------D.

Mind Condition------Uplift.

Certification------Clear.

 

[Valkyrie Trace System]------boot.

 

 

 

 

 

 




まず1つ。最近wiki見直したらシャルルの母親って原作2年前に死んでる設定だったんですね…指摘してくださった皆さん、ありがとうございます。ですが今更ストーリーの変更もしたくないので自己解釈って事で許してください。

ニコ動であの作品は面白かったですよね。ただ空を飛ぶ程度の病人は個々に強い故に強かったですが、別に箒もラウラもそれ程ではないのでやられます。

アドベント閣下、いいですよね!

新華のお陰で一夏達も強くなってます。しかし箒も強くなっているので時間的には原作と変わりません。中身のレベルが高くなっているだけで。

千冬が言っていた強さの先にある物は、一夏の場合原作通りに優しさと大切な物ですが、新華の場合だと途方もない悲しさと虚しさです。

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