IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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44話。新華が切れます。

ちゅ、厨2病、一周回って大2病、恐るべし…自分でもこんなに早く書き上がるとは思わなかった…


騒ぎ

 

 

 

 

 

「そ、それは本当ですの!?」

「う、嘘じゃないでしょうね!?」

「ん? なんだ?」

「さあ?」

「なんだろーね~」

「また冒頭から前後が分からない会話か…」

「メメタァ、メメタァ」

 

 

 

 

 

月曜日、シャルルが女と一夏、新華に発覚した2日後。なんだか一夏とシャルルの距離が近い気がするこの頃。いつも通り登校すると教室から廊下に響くくらい大きな声が聞こえた。教室に入るとセシリアと鈴を含めた女子が群がっていた。

 

 

 

 

 

「本当だってば! この噂、学園中で持ちきりなのよ? 月末の学年別トーナメントで優勝したら織斑君と交際でき「俺がどうしたって?」」

「「「「「「きゃああああ!?」」」」」」

「ヴぉう!? み、耳が…」

「あおきー大丈夫~?」

「…なんで俺以外ダメージ行ってないんだよ…一瞬とはいえ波長が重なって恐ろしい事になってたぞ…」

「オンキョウ、オンキョウ」

「(珍しいな、新華が悶えるなんて)で、何の話だ? 俺の名前が出ていたみたいだけど」

「う、うん? そうだっけ?」

「さ、さあ? どうだったかしら?」

「?」

「…まだ耳キーンってなってら…でも大体把握した」

「え? 一体どう言う事だ?」

「教えない。その方が面白そうだから」

「なんだよ、教えてくれてもいいだろ?」

「一言言うとしたら、お前はお相手をハッキリ決めて身をさっさと固めるべきだと言うことかな」

「?」

 

 

 

 

 

新華は一夏が入るまでの会話を聞き取る事が出来たので内容を把握した。原因は分からないが。

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃああたし自分のクラスに戻るから!」

「そ、そうですわね! 私も自分の席に着きませんと」

「…何なんだ?」

「さあ…?」

「(箒が暗いな…何かあったのか?)」

「ハロハロ~」

「なんだろ~ね~」

 

 

 

 

 

まるで一夏達から逃げる様に女子達は解散していく。新華は箒が暗くなっているのに気付いたが、流石にこの騒ぎの原因であると予測するには情報が足りなかった。

 

 

 

 

 

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休み時間、新華は暗かった箒の事が気になり箒に話を聞きに行った。丁度一夏は離れた所にあるトイレに行っており都合が良かった。

 

 

 

 

 

「…つまり今度のトーナメント、優勝に一夏とのデート権が付いてくると。そしてその噂の発端は箒で、箒からすればこの噂は寝耳に水と」

「………そういう事だ」

「内容が捻じ曲げられてるな。しっかし箒も大きく出たな。優勝したら付き合ってもらうなんて。俺が鍛えた簪さん舐めてるだろ」

「…別にそういう訳ではない」

「無意識か? 優勝出来るって発言は自分が一番強いっていう傲慢だぞ? まぁそこは置いとこう。問題は、箒の宣言を一夏が受け取ったかだ。どうだ?」

「…受け取ったさ」

「そうかい。(多分買い物とか考えてるんだろうなあの馬鹿は。全く、コイツらは一夏の鈍感の恐ろしさを知らなさ過ぎる)」

「ホウキ、ガンバッタ、ホウキ、ガンバッタ」

「そうさハロ。あの1言を言うのにどれだけ勇気を出したか…」

「…はぁ…(勇気を出す所がちげぇ。そしてその勇気は無意味だ。呆れて物も言えねぇ)」

 

 

 

 

 

新華としては一夏が(女尊男卑の下らない馬鹿以外)誰と付き合っても問題無いのだが、理解者が少ないのに嘆いた。今の所理解者は新華と弾、更識姉妹、布仏姉妹くらいである。新華はこれ以上考えても無駄と割り切り話を変える事にした。

 

 

 

 

 

「ところで、その腰の刀は…」

「これか? 実家から送ってもらったものだ。名は緋宵(あけよい)。かの名匠、明動陽(あかるぎよう)の晩年の作だ」

「…真剣かよ。そんな物騒なもん何で送ってもらったんだよ…(ISの方が凶悪だが)」

「居合の練習に使うから問題無い」

「大有りだバカタレ。お前、自分が以前鈴に木刀で切り掛ったのを忘れたか? その勢いで死人出す気か? いくらIS学園がどこの機関にも所属しないとはいえ、日本人として銃刀法は守ろうぜ…」

「イホウ、イホウ」

「新華とて自分専用のISを昔から持ち歩いていたのだろう? 説得力が無いな」

「む…そう言われると言い返せないな。取り敢えず、取り扱いには気を付けろよ? 怪我でもさせたら大事だ」

「それくらい心得てる」

「どうだか…」

 

 

 

 

 

話終えた所で一夏が戻ってきた。丁度チャイムも鳴りそうだったから新華も自分の席に戻る。因みにシャルルは今まで女子に囲まれて動けなかった。

 

 

 

 

 

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放課後。新華、簪、一夏、シャルルの4人+1は訓練をする為に再び集まったが、セシリアと鈴は居なかった。

 

 

 

 

 

「鈴とセシリアどこ行った…? ま、別にいいか。今日も訓練に行くぞー」

「ハロッ、ハロッ」

「うん…」

「えっと、今日はどこのアリーナが使えたっけ?」

「えっと…」

「第3アリーナだ」

「「わあっ!?」」「きゃっ!?」

「箒ェ…」

「………そんなに驚く程の事か。失礼だぞ」

「お、おう。スマン」

「ご、ごめんなさい。行き成りの事でビックリしちゃって…」

「ご、ごめんなさい、篠ノ之さん…」

「あ、いや別に責めているわけでは…」

「…箒が居るって事は、打鉄の申請が通ったのか」

「ああ」

 

 

 

 

 

いつの間にか居た箒に新華以外の3人が驚き気まずくなるが、新華のフォローですぐ元の空気になる。

 

 

 

 

 

「ともかく、第3アリーナへと向かうぞ。今日は使用人数が少ないと聞いている。空間が空いていれば模擬戦も出来るだろう」

「そうだな。なるべく早く行こう」

「イソゲ、イソゲ」

「? なんで新華そんな急いでいるんだ?」

「何か嫌な感じがするんだよ…。セシリアと鈴が居ないのも気になる。ボーデヴィッヒもだ。たったそれだけだが、何だかな…」

「「「「??」」」」

 

 

 

 

 

新華以外の4人が疑問を持つが、新華は気にせず早く歩きだした。新華のNTとしての感覚が何かを訴えているなど、新華自身も気付いていないのだから。

 

 

 

 

 

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新華達一行が第3アリーナに近付くに連れ人が集まり騒ぎになっていた。どうやら誰かが模擬戦をしているようなのだが、様子がおかしく、新華の予感に応える様に騒ぎが大きくなっていた。

 

 

 

 

 

「ちょっと待てよ新華! 何処に行くんだ!」

「観客席だ。あそこなら今何が起きているのか1発で分かる」

「誰かが模擬戦をしているみたいだけど…新華待ってってば!」

「………」

 

 

 

 

 

新華はどんどん観客席に向かって行く。観客席に入った途端、ドゴォン! と大きな着弾音が響いた。

 

 

 

 

 

「「「「!?」」」」

「あんのガキィ…とうとうやりやがったな…」

「鈴! セシリア!」

「コウリュウ、ブルーティアーズ、トモニダメージレベルB、ダメージレベルB」

「何をしているんだ? …お、おい!」

『喰らえ!』

『無駄だ。このシュヴァルツェア・レーゲンの停止結界の前ではな』

 

 

 

 

 

模擬戦をしていたのは鈴とセシリアのコンビとラウラであった。実質2対1で、鈴とセシリアの2人は以前新華に言われたコンビネーションを用い攻めていたが状況はラウラの優勢だった。鈴の衝撃砲はPICによりラウラに届かずセシリアのBTを展開した狙撃は回避されていた。

 

 

 

 

 

「い、一方的じゃないか! 早く止めないと「待て一夏」なんで止めるんだよ新華!」

「教師が誰も止めに来ないと言うことは今回ボーデヴィッヒはアリーナの使用許可を取っている。恐らくあの2人もそうだろう。つまりあの模擬戦は正式なものだ。対して俺らはまだ使用許可を取ってない。介入出来ないんだよ」

「だからって、見過ごせるかよ!」

「そ、そうだよ! あれは明らかに可笑しい。早く止めないと!」

「だったら早く許可を取りに行くぞ。今ならまだ『きゃああ!』っ!」

「あ、い、イグニッション・ブースト…」

 

 

 

 

 

全員がアリーナ内部に注目する。ラウラが一気に加速し鈴に格闘戦を挑もうとする。しかしラウラが展開した近接武器は超高熱のプラズマ刃。打ち合うのは非常にマズイ故、鈴の得意な格闘戦が潰されていた。鈴は後退して逃げるもラウラの機体の各所から出たプリスティスに似たワイヤーブレードが襲いかかる。そして追い詰められた鈴は余り距離が無いにも関わらず衝撃砲を放つが止められる。そのままラウラがプラズマ刃で止めを刺そうとした時、セシリアが間に入りラウラに向けミサイルを発射、2人を巻き込み爆発し新華とラウラを覗く全員がホッとした。

 

 

 

 

 

『無茶するわね、アンタ…』

「ふう、何とかなったみたいだな」

「半ば自殺行為だったけど、あれは直撃した筈だよ」

「…まだだ」

「新華?」

『苦情は後で。けれど、これでダメージは…』

『終わりか?』

「「「「『『!!?』』」」」」

『ならば…私の番だ!』

 

 

 

 

 

煙が晴れると殆ど無傷のラウラが浮いていた。そして言うと同時に鈴とセシリアを痛め付け始めた。

 

 

 

 

 

「こ、こんな…」

「くっそ! 我慢出来ねぇ! 新華、俺は…新華?」

「し、新華君!? どうしたの!?」

「………ぁ」

 

 

 

 

 

新華はその光景を見て動きを止め震えていた。思い出すのは前世の、まだP・V・Fを手に入れる前の自分。両親に捨てられ、何年も経った後に戻ってきたあのクズ2人。虐待を受け友と疎遠になり暴力に怯えたあの日々。新華の目には最初怯えが浮かんでいたが徐々に怒りが沸き上がってくる。そんな新華の様子に一夏達は驚いた。今まで、それこそ誰よりも付き合いの長い一夏ですらこんな新華を見た事が無い。

新華の意識は現在2人を痛めつけているラウラに向いていた。今のラウラの表情は自分の力に酔いしれ他人を痛めつける事で愉悦感を感じて嫌らしい笑みになっていた。そしてその顔は新華を虐待していた時のクズと重なった。しかもラウラは軍人である筈だった。

 

 

 

 

 

「………っ!」

 

 

 

 

 

新華の怒りは膨れあがり怒りを超え殺意を超え---憎悪となった。

その時の新華の顔を、一夏達は何も言えずに見ていた。一夏は新華の心の内を聞いたことがある、しかしそれは弱さだった。新華の中にある怒りまでは分からなかった。簪も、今まで近くに居たがこんな新華は知らなかった。それこそ新華を聖人のようなイメージを持っていたのだ。ショックは大きい。

新華は右腕にエゴ・アームズ『ストーリーズ・イレギュラー』を展開、装填するのは成形(せいけい)対構造物炸薬弾---P・V・F用HEAT。『選択戦争』前に開発された成形精神波炸薬弾の、戦争後に作られ新華、志甫、勇樹の3人とサードプロメテウスファイアの護衛、軍属のパラベラムに優先して教えられた(・・・・・)派生弾。3つのドラム型弾倉を叩き込みフルオートでアリーナのバリアに発砲する。

 

 

 

 

 

ガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

 

「「「「!?!?」」」」

 

 

 

 

 

アリーナのシールドは簡単に破壊され大穴が空き、すぐに修復される筈の穴は塞がらなかった。そして放たれた弾はバリアが無かったかの様に貫通していき、鈴とセシリアの首に巻き付き締めていたワイヤーを破壊した。

 

 

 

 

 

「! 今のは、貴様か! 『蒼天使』!」

「ぐっ、うう…」

「がっ、かはっがはっ」

「! 鈴! セシリア!」

 

 

 

 

 

ラウラは新華を睨みつけ一夏は開放された2人の名を呼ぶが返事は無かった。新華はラウラにありったけの憎悪を叩きつけ穴を開けた壁に足を掛ける。

 

 

 

 

 

「き、貴様…! なんだこの重圧は…っ!」

「ラウラァ…」

 

 

 

 

 

新華がラウラの名を呟く。その言葉にはその場に居た誰もが寒気を覚えた。

 

 

 

 

 

「ボォオオオオデヴィッヒィィィィイイイイイイイ!!!!!!」

 

 

 

 

 

怒りの形相そのままに新華はP・V・Fのみでラウラのシュヴァルツェア・レーゲンに突っ込んで行く。その速度はまるで弾丸だった。

 

 

 

 

 

 




さて、次回はお待ちかね、P・V・F新華 VS ISラウラで行きます。
P・V・F用HEATは自己解釈です。終戦後に開発されててもおかしく無いと思うんですよね。あとP・V・Fの弾は精神から作り出すので教えて貰えば生み出せると考えました。

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