IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

44 / 173
42話。


ラウラとシャルル

 

 

 

 

 

 

土曜日の早朝、このところ毎日通っている訓練場に新華は居た。銃声が響く。

 

 

 

 

 

「………ふぅ。さて、ハロ」

「99.06%、99.06%」

「なかなかいい数値になってきたが、100%にしたいな。確実に当てるためにも。今日はこれくらいにしておくか」

「ハロッ、ハロッ」

 

 

 

 

 

新華はそう言っているが、生身で銃を扱う場合100%というのは有り得ない。どうしても銃を撃つ動作と撃った時の衝撃で銃口の向きが変わるからだ。それだけではなく人には癖やその場の環境、状態にも影響される。だが新華はどんな状況でも対応しなければならない事も多く、どうしても確実性を求めたくなり努力を続けるのだ。…とはいえ既に人間では無くなってきているが。

 

 

 

 

 

「さて…後は部屋に戻って汗流すかな。今日は授業午前で終わるし、内容の濃い訓練が出来るな」

「ハロッ、ハロッ」

「…ん? 誰か来たな」ガチャ

「む!? 何故貴様がここに居る!?」

「早朝訓練だ、見て分からないか? もう終わって帰る所だが」

 

 

 

 

 

新華が帰ろうとした時に訓練場に来たのはラウラだった。軍人らしく銃器を扱う施設がどれほどのものか気になったのだろう。しかしそこに新華が居た事が以外だったのか新華の予想以上に狼狽していた。

 

 

 

 

 

「訓練だと? 貴様が?」

「どう思っているかは知らんが、俺だって訓練や特訓はするさ。ちなみにここは入学初日から使っている。流石にこんな充実した施設を利用しない手は無いだろ? 取り敢えず退いてくれ、通れない」

「待て。訓練すると言ったな? なら少し付き合え」

「断る。帰るっつってんだ、いい加減どきやがれ。トレーニングなら千冬さんに頼めや。多分快く快諾してくれるぞ」

「例えそうでも教官に頼めるものか。なに、貴様がどれほどの実力があるのか見てやると言っているのだ。来い」

「だから断るっつってんだろ。まったく、どいつもこいつも実力差を分からない奴ばっかでめんどくせぇ。大した事ないのに調子のんな」

「何…?」

「軍人である自分と民間人(格下)との実力差を見せつけて楽しいか? 悪いが俺には理解出来ないな。理解出来る人間にまで墜ちたくはない」

 

 

 

 

 

新華はラウラに容赦の無い言葉を吐きながら千冬に対する文句の1つも出てくるが、言ってもしょうがないし新華にとってめんどくさい事なので一々言わない。

 

 

 

 

 

「貴様…!」

「反論されて怒るくらいなら始めから言うんじゃねぇ。それと自分の行動は千冬さんの評価を下げていく事に繋がると気付け。お前のその態度は反感買ってお前とドイツ軍だけじゃなく千冬さんの顔に泥を塗るんだぞ」

「な、なんだと!?」

「…話にならねぇ。軍人だから何か考えでもあるかと思えば…ただの力を持つ資格の無いガキじゃねぇか。まったく、千冬さんはちゃんと調教しておけよ、この失敗作に」

「しっ…!? き、きっさまああぁぁぁあああ!!! !?」

「はぁ~やだやだ。朝っぱらからウルサイ事で。無視してさっさと戻るか」

 

 

 

 

 

新華は散々ラウラを怒らせた後にハロを抱きかかえ、校舎の方向に向け一気に跳躍した………P・V・Fを展開して。今回は大きく跳躍する事が目的だったのでイド・アームズの『no name』を展開したが、内観還元力場により校舎の壁に軽く足を着けるほどに跳んだ。

 

 

 

 

 

「まったく面倒な事で。あの程度じゃ会長なら一蹴出来るな。さて、シャワー浴びて今日の授業も…寝るか」

「オヤスミ、オヤスミ」

「まだ早ぇよ」

 

 

 

 

 

離れた訓練場からラウラが怒鳴り散らしているのを完全に無視して寮に向かい歩きだした。しかしいつもなら訓練場から真っ直ぐ寮に戻るので通学路? をいつも通らない。そのせいか朝の自然を今までとは違ったものと感じ、部活の朝練をしている女生徒達にギョッと見られたりもしたが、基本有意義に過ごした。

 

 

 

 

 

--------

------------------

-------------------------------

 

 

 

 

 

時間は大きく跳び放課後、第3アリーナ。新華はいつもの面子+シャルルで集まっていた。ただ新華はいつもと違い指導していなかった。その主な理由としてはシャルルが優秀な指導を行なっているからである。

 

 

 

 

 

「えとね、一夏がオルコットさんや凰さんに勝てないのは、単純に射撃武器の特性を把握仕切れてないからだよ」

「そ、そうか? 一応分かっているつもりだったんだが…」

「うーん、知識として知っているだけって感じなんだよね。さっき僕と戦った時もあまり間合い詰められなかったよね?」

「た、確かに。瞬間加速も読まれてたしな」

「一夏のISは近接格闘オンリーの機体だからより深く射撃武器の特性を把握しないといけないんだよ」

「なんか新華にもそんな事言われたな」

「でしょ? 更に一夏の瞬間加速は直線的だから反応出来なくても軌道予測で攻撃出来ちゃうしね」

「あー…そうだった。つい熱くなると新華のアドバイス無視して突撃しちゃうんだよなぁー。でも新華の見本はなんか出来ないし」

「あはは…あれはもう人じゃ無い域まで入っているからね。瞬間加速の繰り返しでアニメみたいな高機動なんて普通出来ないよ。それに瞬間加速の最中に無理矢理軌道を変えたりすると、空気抵抗とか圧力の関係で最悪骨折しちゃうし」

「確かにな」

 

 

 

 

 

シャルルと一夏は新華の人離れした動きを思い出して苦笑いした。シャルルの提案で一度全員がそれぞれ一夏に指導をしてみる事になり、時間もあったので実際にやってみたのだが………

 

 

 

 

 

『いつも通りまず戦ってその後反省だ。動きをよく見て良いと思ったら自分のものにしろ』←実践タイプ

『こう、ずばーっとやってからがきんっ! どかん! という感じだ』←感覚タイプその1

『なんとなく分かるでしょ? 感覚よ感覚。…はぁ? なんでわかんないのよ馬鹿』←感覚タイプその2

『防御の時は右半身を斜め前方へ5度傾けて、回避の時は後方へ20度反転ですわ』←理論タイプ

 

 

 

 

 

新華はいつも通りとして、その後の3人は酷かった。セシリアは一見わかり易いと思うかもしれないが、細かく数値で指示するのでかえって分かりにくかった。簪はいつも新華と共に指導に入っているので辞退していた。ただ一夏はそれだけではなくISスーツの露出に今頃トギマギして気が散っていたが。

 

 

 

 

 

「ふん。私のアドバイスをちゃんと聞いておけばいいものを…っ!?」スパァン

「あんなに分かりやすく教えてあげたのに、なによ、あうっ!?」スパァン

「私の理論整然とした説明の何が不満だというのかしら、きゃうっ!?」スパァン

「不満しか無いわアホ共。箒と鈴は論外として、セシリアは数値が多くて細かすぎる。2次元やヴァーチャルでやるならそれでもいいが、実際に実行する場合もっと曖昧じゃないとかえって分かりにくいからな」

「うん、セシリアさんはそこを直すと分かりやすくなると思う…」

「アイマイ、アイマイ」

「「私(あたし)の指導の何処が駄目なんだ(だっての)!?」」

「擬音だけで伝わると思っている時点でだめだ。その擬音の中身を詳しくしろ。無理なら俺みたいにまず自分で実践して見せるのもいい。取り敢えず擬音から離れろ」

「ショウサイ、ショウサイ」

 

 

 

 

 

一夏とシャルルと離れた所に新華達は居た。通常運転。ちなみにここ第3アリーナは3人の男子が居るので多くの女子が集まり、その上で自分達も訓練をしているせいでかなり狭い。時々流れ弾が来たり、新華に向けて意図的な銃弾が飛んで来るが、クアンタの腕部のみの部分展開で弾いたりイド・アームズ『no name』で相殺したり(・・・・・)と問題にしていなかった。ただシャルルにとっては衝撃が強すぎたようで目を疑ったりフリーズしていたが。

 

 

 

 

 

「一夏の『白式』って後付武装(イコライザ)が無いんだよね?」

「ああ、何度か調べてもらったんだけど、拡張領域(バススロット)に空きが無いってさ。だから量子変換(インストール)は期待できないって言われた」

「たぶんだけどそれって単一仕様(ワンオフ・アビリティー)の方に容量を使っているからだよ」

「えっと、たしかISと操縦者の両方が最高の状態の時に発生するやつだよな?」

「そう。でも普通はセカンドシフトの時に発現するんだよ。それでも発現しない機体の方が圧倒的に多いけどね。それでそれ以外の特殊能力を誰でも使える様にしたのが第3世代IS。オルコットさんのBTや凰さんの衝撃砲がそうだよ」

「なるほど。それで、やっぱ白式の単一仕様って『零落白夜』だよな」

「そうだね。でも白式は第1形態なのにアビリティーがあるってすごい異常事態だよ。前例が全く無いからね。しかもそのアビリティーって織斑先生の…初代『ブリュンヒルデ』が使っていたISと同じなんだよね?」

「そそ。まぁ姉弟だからとか、そんなもんじゃないのか?」

「うぅん、姉弟だからってだけじゃ理由にならないよ。さっき一夏が言った様にISと操縦者が最高状態の時に発現するものだし、姉妹で同じだった人は居ないからね」

「そっか。ま、この話は結論も出なさそうだし置いといて、だ。訓練再会すっか」

「あ、うんそうだね。じゃあ、はいこれ」

 

 

 

 

 

シャルルは一夏に先程まで使っていた55口径アサルトライフル『ヴェント』を渡す。

 

 

 

 

 

「へぇ…55口径か。ISの標準的な銃だな」

「そうなのか? 白式で銃持った事無いから分からないんだが、何で新華はそんな…えっと何口径?」

「55口径だ。口径は字の如く銃口の大きさを示している。例えば、俺のこの『no name』は45口径。それでこっちの、っと。『ストーリーズ・イレギュラー』も45口径だ。見れば分かると思うが銃口が幾つあっても統一して口径は記される。それに銃器を数多く見てると大体銃の形と大きさで分かるもんさ」

「そ、そうか。あれ? そういえば他の機体の装備って使えないんじゃないのか?」

「普通はね。でも所有者が使用許可すれば登録してある人全員が使えるんだよ。…うん、今一夏と白式に使用許諾を発行したから、試しに撃ってみて。目標はあそこにある的ね」

「お、おう」

 

 

 

 

 

新華がP・V・Fを展開して説明してシャルルの指示のまま一夏が銃を構える。新華は一夏が銃を構えるのを見た後、簪達の方を向く。

 

 

 

 

 

「さて、俺達は俺達でやるか。今日は場所があまり取れないから一夏の横で射撃の訓練といきますかね。っつっても箒は打鉄に銃無いだろうからシャルルに一夏と一緒に教わって来い」

「あ、ああ。済まない」

「しょうがねぇだろ。ほら、さっさと行かねぇと終わっちまうぞ」

「ああ」

「あ、あたしも」

「オメェらは自前があるだろうが。基礎訓練も欠かすな。たまにはやれ、いい機会だしな」

「くっ、折角のチャンスが…!」

「だーかーらー、あの鈍感はそうそうどうにもならねぇっての。いいからさっさと来やがれ」

「新華君、お疲れ様…」

「オツカレ、オツカレ」

「体力使ってねぇのにな。精神(こっち)に来る。ま、いいさ。はい、こっちこっち」

 

 

 

 

 

新華の指示で全員並ぶ。専用機持ちが同時に6人並ぶと壮観で、他の生徒たちも色めきたっていた。

 

 

 

 

 

「さて、射撃はセシリアの独壇場かもしれんが、たまには落ち着いて精密射撃もしてみろ。鈴も精度を高めて、簪さんはマルチロックの調整と早打ち、そして精度を上げよう」

「フフフ…ここは一夏さんに私の美しい射撃をご披露する時ですわ!」

「ふん、的なんて綺麗に吹き飛ばせばいいんでしょ!」

「ん…なるべく早く…そして1点に…」

「ちゃんと見てるから落ち着いてな」

 

 

 

 

 

それぞれが武器を展開しそれぞれが的に当てていく。新華は複数だったが全て見て指示を出していく。一夏達の方も順調に進んでいるのかどんどん撃っていた。

 

 

 

 

 

「…そういえば新華さ」

「ん? 何だシャルル」

「新華の…えっと『Evolve クアンタ』だっけ? にも射撃武器は有る筈だけど、何でこういった銃を扱う訓練していなかったの? 聞けば知識でしか教えてなかったみたいだけど」

「ああ、それか。クアンタに搭載されてる武器はどれも既存のISのマニュピレータより小さくてな。ほら、クアンタって俺の体に張り付く形で展開するから大きさが一般のISより小さいだろ? だからクアンタ以外には扱えないんだよ。それに射撃に使うエネルギーはクアンタの無限機関『GNドライブ』から生まれるエネルギーしか使えないから更に扱えなくて。自然と一夏の体に叩き込むやり方しか出来なかったんだ。だからシャルルのように汎用型の武装を多く持つ存在って有難いよ」

「そ、そうなんだ。…だったら新華も撃ってみる? 新華の機体が小さくても対して大きい武装ならなんとか扱えるでしょ?」

「いいのか? そしたら遠慮なく扱わせてもらうが」

「代わりと言ったらアレなんだけど…後でいいから新華の機体の武装、触らせてくれないかな?」

「いいぞー。(見た所で手に入るのはアイデアと理不尽だと思うがな)」

 

 

 

 

 

新華はシャルルが使用許諾を出したのを確認した後、一夏が使っていた『ヴェント』の弾倉を交換してもらい受け取ろうとしたが…

 

 

 

 

 

「ねぇ、ちょっとアレ…」

「うそ…ドイツの第3世代機じゃない」

「まだ本国でトライアル段階って聞いていたけど…」

「邪気が来たか。おお黒い黒い」

「…『蒼天使』、今は貴様にも用は有るが、おいそこの」

「…? 俺か? …なんだ?」

「貴様も専用機持ちらしいな。ならば話が早い、私と戦え」

「嫌だね、断る。今訓練中なんだ、邪魔するなよ」

「おお…一夏が女子からの誘いを断るとは…」

「いや新華、俺だって断る時はあるぞ? ってか何で行き成り戦うなんて言うんだ? 理由が無いぞ」

「お前に無くても私には有る」

「…千冬姉の事か?」

「分かっているようだな。貴様らが居なければ教官が大会2連覇の偉業を成し得ただろう事は用意に想像できる。私は貴様らを、貴様らの存在を認めない」

「『…で?』って話だな。確かにその通りだが、軍人が私情で民間人相手に兵器扱うんじゃねぇよ。ガキの癇癪かっての」

 

 

 

 

 

新華はラウラ相手に辛辣に言葉を放つ。朝の事も有りラウラの新華に対する印象は最悪になっていた。新華のラウラに対する印象も最悪だが。

 

 

 

 

 

「とっとと帰れ。今は訓練中だ。邪魔なんだよ」

「…ならば戦わざるを得ないようにしてやる!」

 

 

 

 

 

そう言うとラウラはその右肩部分に浮いている大型のキャノンを一夏に向けて放った。しかしそれが一夏に届く事は無い。

シャルルがシールドを展開して一夏に向かってきた砲弾を防ぎ手に『ヴェント』を持ちラウラに向けた。同時に新華もクアンタを展開して牽制する。

 

 

 

 

 

「…こんな密集空間でいきなり戦闘を始めようとするなんて、ドイツの人は沸点が低いんだね。ビールだけじゃなく頭もホットなのかな?」

「貴様…」

「…いい加減にしろガキンチョ」

「…ほう、それが噂の『蒼天使』…いや、『Evolve クアンタ』か。しかしフランスの第2世代型(アンティーク)第1世代型(時代遅れ)如きで私の前に立ち塞がるとはな。ここは博物館か何かか」

「未だに量産化の目処が立たないドイツの第3世代型(ルーキー)よりは動けるだろうからね」

「………(実は一夏の白式のコアが001『白騎士』の物だから否定出来なかったり。クアンタも散々使い込んでるしなぁ…ホント、この相棒(クアンタ)には感謝してもし切れないな)」

『そこの生徒、何をしている! 学年とクラス、出席番号を言え!』

 

 

 

 

 

騒ぎを聞きつけたのだろう、担当の教師が管制室から怒鳴った。それでラウラは興を削がれ後ろに下がった。

 

 

 

 

 

「………ふん、今日は引こう」

「………(言ってろガキ)」

「一夏、大丈夫?」

「ああ。助かったよ。シャルルの方こそ大丈夫か?」

「大丈夫大丈夫」

「…よっと。あー時間の無駄だったな。もう4時かよ、これじゃあんま訓練続行しても効果無いな。もう解散って感じかねシャルルさんよ」

「あ、うん、そうだね。もう閉館しちゃうし、今日はもうあがろっか」

 

 

 

 

 

新華がクアンタを戻してシャルルと話し解散が決まる。

 

 

 

 

 

「なんなのよアイツ…気に食わないわね」

「そうですわね…行き成り喧嘩を売るとは、いい度胸ですわね」

「新華君、平気? その子(クアンタ)を、その、貶されたけど…」

「あの程度じゃ問題無い。ってかむしろ滑稽だよね。セシリアとの戦闘データ見れば時代遅れどうかは判断出来るだろうに」

「っ! そ、そうですわね…」

「さて、着替えに行くか。あ、シャルル。銃ありがとうな。色々参考になった」

「…私からも礼を言おう。なかなか良い体験だった」

「それなら良かった、どういたしまして。えっと…じゃぁ一夏と新華は先に行ってて」

「分かった」

「おK。おつかれー」(_´Д`)ノ~~

 

 

 

 

 

一夏と新華はシャルルを気遣い先に更衣室に向かった。一夏も新華に言われたせいかあまりしつこくシャルルを着替えに無理して付き合わせる事はしなかった。何より女子からの腐った視線が怖かったので。女子達も仲良く纏まって更衣室に戻っており談笑する位だった。

 

 

 

 

 

「しかしまぁ、贅沢だよな」

「これだけの広さを3人で殆ど貸し切っているもんだからな、この更衣室。ただ早朝の市民プールの更衣室みたいで楽だろ。贅沢だが、故に楽でいい」

「カシキリ、カシキリ」

「だだ。ただやっぱ…風呂入りたいなー…」

「同感だな。シャワーで汗流すだけじゃなくてゆっくり湯船に浸かりたいな」

「そうそう。そういえば、男子にシャルルが加わって3人になったから山田先生が大浴場のタイムテーブル調整してくれてるらしいぞ」

「そりゃありがてぇな」

「よし、着替え終わり」

 

 

 

 

 

新華と一夏が会話している間に一夏は着替え終わる。そこに山田先生が来る。

 

 

 

 

 

「あのー、織斑君と青木君にデュノア君居ますかー?」

「はい? えっと、織斑と青木は居ます」

「入っても大丈夫ですかー? まだ着替え途中だったりしますー?」

「大丈夫ですよ、山田先生。入って来てください」

「そうですかー、それでは失礼しますねー」バシュッ

「今シャルルはまだアリーナの方に居るんですが、何か大事な話が有るなら呼んできますよ?」

「ああ、いえそんなに大事な話ではありませんから。お2人のどちらかから伝えてください。ええとですね、今月下旬から大浴場が使える様になります。結局時間別に分けると問題が起きそうだったので、男子は周2回の使用日を設ける事になりました」

「本当ですか!」

「一夏、嬉しいのは分かったから落ち着け」

「あ、悪い。でも本当に嬉しいです、助かります。ありがとうございます、山田先生!」ガシィ!

「有難う御座います、山田先生」

「い、いえ仕事ですから…」//////

 

 

 

 

 

一夏が上がったテンションのまま山田先生の手を取る。山田先生は至近距離で一夏の満面に笑みを食らい顔が赤くなっていた。

 

 

 

 

 

「いやいや山田先生のお陰ですよ。本当にありがとうございます」

「そ、そうですか? そう言われると照れちゃいますね。あはは…」//////

「…ふぅ(落ちたか? まぁ山田先生は天然っぽいから落ちてもおかしくないな。…なんか後ろから怒気を感じる)」

「………一夏、何をしているの?」

「「おおう」ってシャルルか」

「まだ更衣室に居たんだ。それで、先生の手を握って何してるの?」

「あ、いや、何でもない」パッ

「あ…」

「?」

「な、なんでもありませんよ!?」

「(はい落ち確定ー。山田先生、争奪戦、頑張ってください。一番の強敵はあなたの同僚、千冬さんです)」

「一夏、先に戻っててって行ったよね」

「お、おう。すまん」

「(あっちはあっちでラブコメかよ…なんか、空気だな、俺)」遠い目

「喜べシャルル、今月下旬から大浴場が使えるらしいぞ!」

「そう」

 

 

 

 

 

シャルルと一夏のラブコメを遠い目で見ながら静かに空気を読んでるハロを抱きかかえ新華は突っ立っていた。

 

 

 

 

 

「ああ、そういえば織斑君にはもう1件用事があるんです。白式の正式な登録に関する書類があるので、枚数は多いですが記入してもらいたいので、職員室まで来てもらえます?」

「わかりました。じゃあシャルル、長くなりそうだから先に部屋に戻ってシャワーを使ってくれよ」

「うん、わかった」

「新華も先戻っててくれ」

「あいよ」

「じゃあ山田先生。行きましょう」

「はい」

 

 

 

 

 

一夏と山田先生が出ていき新華と不機嫌気味なシャルルが取り残された。

 

 

 

 

 

「………………。はぁ…(何をイライラしているんだか…)」

「(ラブコメ臭がまだ漂ってるな…)」

「…新華も先に戻ってて。着替えて1人で戻るから」

「はいよ。あ、そうだ。今のうち言っておいた方がいいよな」

「イッテオク、イッテオク」

「? 何かな?」

「青春するのも良いが、自分の立場を自覚しておけよ? バレバレだからな、男装お嬢様」

「っ!? い、今…何っ!?」

「それが駄目だっつってんの。その程度の偽装で俺を騙せると思わない様に。最近じゃ一夏も違和感を覚えているみたいだから、気を付けな」

「ちょっ、ちょっと待って…!」

「待たない。まぁメンドクサイから誰にも言わないでおくが、さっさと着替えとけよ。ジャッ」バシュッ

「マタナ、マタナ」

 

 

 

 

 

新華が更衣室を出たあと、更衣室には呆然としたシャルルだけが残された。

 

 

 

 

 

-----

----------

-------------------

 

 

 

 

 

「ふぅ、やっぱり風呂入れると分かっただけでも気持ち違うもんだな。気持ち良かった」

 

 

 

 

 

1050室に戻った新華は早速シャワーを浴びてベットに座った。いつも通りのタンクトップ+長ズボンと言う部屋着(普段着?)である。

 

 

 

 

 

「さてと…簪さんと話してた『ルガーランス』でも設計してみるかね。もう暇だし」

 

 

 

 

 

以前簪と雑談していた時、アニメの話になり『ファフナー』の話題になった。その中でアニメの武装を作るとしたら何が良いかという話題になり、新華が推した『ルガーランス』の話題で盛り上がったのだ。

新華が武装を設計する場合、ハロやヴェーダを使い短時間で設計するのだが、それは『ガンダム』作品の物だけで他の作品の武装となると1から作らないといけない。『ガンダム』の作品ならデータがヴェーダに存在するので改良するだけで良いのだが、それ以外となると出来ないのだ。しかし新華は束と共に行動しハロを作る位の技術は最低あるうえ、作る事自体も楽しんでいるのでノリノリである。

 

 

 

 

 

「さて…充電中のハロをPCモードで起動して………と。ん?」

 

 

 

 

 

新華がハロを開くと同時に携帯が振動しメールを伝えてきた。何気なく見ると一夏からであった。

 

 

 

 

 

「? どうしたんだあの馬鹿。えっと何々…」

 

 

 

 

 

メールを読むと新華は手を額に当て上を向いた。

 

 

 

 

 

「言ったそばからバレるなよシャルルェ………」

 

 

 

 

 

メールの内容は、『シャルルが実は女だった。とにかく新華助けてくれ』だった。

 

 

 

 

 




新華のラウラに対するセリフが過激ですが、基本新華は軍人のIS乗りに対してはこんな感じです。今までクズな操縦者ばかり殺してきたんで。
原作より一夏達は能力が上がっていますが結果は変わりません。そこまでの文才は無いので、スミマセン。原作に添います。でも原作ブレイク既にしているという…。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。