IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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41話。前話含めて2、3話でラウラ暴走まで行くと思っていた自分の見通しの甘さ…まだイベントはありますた。暴動まで、まだあります。お待ちください。
ああ…蒼穹が書けない…


危機回避

 

 

 

IS学園食堂

 

 

 

 

 

「…あら? 新華君に簪ちゃん、本音ちゃん。3人だけ? 織斑君達は居ないのね」

「あ、会長に虚さん。命の危険を感じて避難してます」

「………なにそれ? どういう事なの?」

「なんか~あおきーが~、『なんかヤバい』とか言って~、3人で食べてる~」

「キケン、キケン」

「…一体何があったのですか?」

「えっと…」

 

 

 

 

 

楯無と虚が食堂に入るといつもなら一夏達と共に居る新華達3人が居た。

 

 

 

 

 

「新華君が織斑君達にお昼を誘われた時、セシリアさんの持っていたバスケットを見て慌てて断ったの…」

「…何があったの新華君」

「あのバスケット見た途端、脳が危険信号を激しく鳴らしまして。特に違和感は無かったはずなんですけど、どうしても嫌な予感が収まらなかったので此処にいます」

「それじゃあ織斑君達はどこか別の場所で食事をしているのね」

「屋上行くって言ってたんで、行けば会えるんじゃないですかね。なにか用事でもあったんですか?」

「いえ。ただあなたが織斑君と居ない事に違和感を感じただけよ」

「そういう言い方止めてください。腐った奴等が喜びそうですから。それにそこまで一緒にいるわけじゃありませんし。アイツら一夏にアピールするためか、箒、鈴、セシリアの3人が弁当自作してましたし、んなもん持ってない俺らは自然と食堂に来るしかありませんから」

「それもそうよねー。新華君は女の子からの手作りのお弁当に興味は無いの?」

「あります。ありますが…今までそんな経験無いんで当の昔に諦めてます。一夏ならともかく、俺にそんなイベントは友人の弾と共に無いですから」

「…あなたもそれなりにチャンスがあったみたいだけど?」

「そのチャンスを素直に受けられると思ってますか? 分かっているでしょう?」

「そうだけどね…」

「「?」」

 

 

 

 

 

新華と楯無の会話で簪と本音は首を傾げるが、新華の内心を間接的に聞いた楯無は胸が締め付けられる様だった。楯無と虚は3人の隣の席に座り食事を始める。

 

 

 

 

 

「転校生君も一緒に屋上?」

「ええ。半ば一夏に連れて行かれる形で。ただ凄いセリフ落として多くの生徒を堕として行きましたが」

「あー、あちこちで夢見ごちにボーッとしている子が居るのはそれなの」

「あれは凄かった…えっと、なんだっけ?」

「ハロ、サイセイ、サイセイ、『僕の様な者の為に咲き誇る花の一時を奪う事は出来ません。こうして甘い芳香に包まれているだけで、もう既に酔ってしまいそうなのですから』、サイセイカンリョウ、サイセイカンリョウ」

「おー、ハロハロちゃんと録ってたんだ~。偉いね~」

「………ハロ万能説。しかも下心も感じませんでしたし、もうなんと言うか…ね。引くより関心しました、ええ」

「凄いとしか言えないわねー。美形で特別で性格も良いし保護欲をそそるタイプの貴公子。また争奪戦が激しくなるわー」

「その貴公子の事なんですが…1つ聞いてもいいっスか?」

「何かしら」

 

 

 

 

 

新華は空になった食器を片付け楯無に小さく耳打ちをする。楯無は近付いた新華の顔にドキッとなるが耳に入った言葉に驚く。

 

 

 

 

 

「彼シャルルは…本当は『男』ではなく『女』でしょう?」

「! ………なぜそれを私に聞くのかしら?」

「聞けるのがあなたと虚さん、それと千冬さん位ですから。流石にこんな事そうそう言えませんし、問題だらけですから」

「………」

「「?」」

 

 

 

 

 

簪は新華と姉の顔が近い事にムッとなったが、2人の顔が真剣なものだったので首をまた傾げるしかなかった。

 

 

 

 

 

「…ノーコメントとさせて貰うわ」

「…そうですか。でも知っているなら早めに対処をした方がいいです。あれは、素人過ぎます。あれではあっという間にボロが出て取り返しが付かなくなりますよ」

「そう」

「ええ。聞きたいのはそれだけです。どうせシャルルは一夏の部屋になるんでしょうし」

 

 

 

 

 

そう言うと新華は椅子に座る。

 

 

 

 

 

「何の話だったの?」

「あおきー私にも聞かせて~」

「キカセロ、キカセロ」

「駄目。強いて言うなら仕事の事かな。生徒会じゃ無い方の」

「それじゃぁ~しょうがないかぁ~」

「そ。諦めて。…あ、簪さんじっとしてて」

「? …っ!?」

「ほらご飯粒。勿体無いな、はむ」

「「「「「「おおー!」」」」」」

「っ、っ!?」//////

「かんちゃん良かったね~」

「む~…」

「お嬢様、嫉妬してないで早く食べましょう」

「し、嫉妬なんてしてないわよ…」

 

 

 

 

 

簪の頬に残っていた米粒を取り新華は口にした。周りはそれに色めきたち簪は真っ赤に、楯無は新華を睨んだ。

 

 

 

 

 

「ご飯1粒でも無駄にはしません。きっちり綺麗に食べて『ごちそうさま』と言うまでが食事です。異論は認めません」

「まるでおばあちゃーん」

「ぐっ、『勿体無いオバケ』と言われてもコレだけは譲らん!」

「おかーさんみたいでおばーちゃんみたいだね~あおきーは~。ね~ハロ~」

「ホゴシャ、ホゴシャ」

「…ぐはぁっ!」バタッ

「あら死んだわね。でもお母さんやお祖母さんじゃなくてオカンよね」

「鋭い見た目に反して面倒見が良いのがギャップとなりそう見せるのでしょう」

「バス停持たせたら完璧かなぁ~?」

「ああ…あのゲームの人…。確か…ガキさん…?」

「ガキさんならいいか」ムクッ

「あ、起きた」

「あのオカンならむしろ誇るレベルだ。不良は潰すが。バス停は持てる…か? いや持てないな…持てないよな?」

「新華君ならあっさり持つ気がするわね」

「持てるでしょう」

「持てそうだよね~」

「持てると、思う…」

「モテルゾ、モテルゾ」

 

 

 

 

 

結局ここもここで男子を中心にグループが形成され、女子の希望はシャルルに集まるのだが…結果は分かりきっている。

 

 

 

 

 

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1年1組教室。新華はハロを持った本音と教室に戻った。次の授業では前の授業の続きのIS整備をするので一夏とシャルルを待っていたのだが、一夏とシャルル、そして箒、鈴、セシリアが変な雰囲気で教室に戻って来た。

 

 

 

 

 

「…一夏、お前3人に何かしたか?」

「行き成りヒデェ! なんでそう何でも俺が原因みたいに言うんだよ」

「一夏の馬鹿はこう言っておりますが、お3方、どうですかい?」

「「「………」」」

「ふむ、大方一夏がシャルルに対してホモォ的な事を口走ったとか?」

「そうだ。そうだが…」

「なんであんた分かるのよ! そういうあんたもそっちじゃないでしょうね!?」

「ま、まさか新華さんまで!?」

「あ”? 俺はノーマルだ。気持ち悪い事言うんじゃねぇ。一夏と一緒にすんな」

「俺もノーマルだっての!」

「「「「そう見えないからでしょう(だろう)が!」」」」

「え、えぇっと…」

「ミンナ、ナカヨシ、ミンナ、ナカヨシ」

「仲良いよねぇ~」

 

 

 

 

 

7人+1のグループはどこか楽しげに騒ぐ。シャルルは新華が生み出す流れにまだ追いついていないが、時間の問題だろう。

 

 

 

 

 

「おら、着替えあるんだからくだらない事で時間かけんな。一夏はまた着替えないといけないし急げ」

「たまには新華も着替えろよ。時間掛かるのが分かるから」

「わかっているが、だったら尚更着替えん。持ってねぇし。ただ整備で要るのはISスーツじゃなくて作業服な気がするよな。じゃね? シャルル」

「あ、うん。開発とか整備は会社の人だと皆作業服着てるけど、ISスーツには防弾出来る強度があるし」

「そう言う問題じゃねェんだけどな…ま、いいか。そら行くぞ」

「ユクゾッ、ユクゾッ」テーンテーン

「だからハロそれやめろ」

「ハロハロ~」コロコロ

 

 

 

 

 

新華の促しで移動する7人+1。騒ぎながらだったが新華は少し心が暖かくなった。

 

 

 

 

 

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「んで、やっぱり一夏の部屋にシャルルでしたね。ボーデヴィッヒと同じ部屋になった人には合掌ですが」

「ボーデヴィッヒさんってそんなにヒドイの?」

「軍人って事に誇りがあるのはいいんですが、それ故に軍人でなくISに乗る生徒を拒絶+見下しています。軍人と力の意味を履き違えていますね。全く千冬さんはその部分の教育を怠ったみたいで」

「あらら~、それじゃぁキツイわね。でも新華君の一歩間違えれば同じだったんじゃない?」

「ええ。ですが俺にはアイツと違って周りに親が、友人が、戦友(・・)が居ました。守りたい者、共に遊ぶ者、共に戦う者(一兎達)が。皆のお陰で居場所が有る。感謝しても仕切れません」

「…前から思っているけど随分と成熟しているわよね。精神年齢いくつよ」

「さぁ? 案外一夏より低いかもしれませんよ」

「無いわね」

 

 

 

 

 

いつもの1050室。今日も新華は楯無と話す。ハロは充電中。

 

 

 

 

 

「話を戻しますが、会長も気を付けた方がいいかもしれませんよ。顔を合わせば噛み付いてくると思いますから」

「あら、心配してくれるの?」

「ええ、ボーデヴィッヒを。あのレベルなら会長は問題無いでしょう? プライドを傷付けられて追い詰められた彼女が暴走して後処理に巻き込まれるのは目に見えているので、そうならない様にと」

「バッサリ言うわね…」

「本来ならこう言うのは教官やった千冬さんの役目なんですがねぇ…一夏がせめてボーデヴィッヒを落としてくれれば楽になるかもしれませんが…」

「今のところは、そんな兆しは無しと」

「それどころか接触すらありませんね。千冬さんは学園教師って立場に逃げて役に立ちませんし、メンドクサイ」

「元世界最強によくそんな事言えるわね…織斑先生は逃げてるんじゃなくて、仕事をしているだけでしょう」

「ですから、仕事に逃げてるんですよ。今日の午前の授業でもボーデヴィッヒの班が気まずかったのを、自分は一夏達の指導に行き山田先生に任せてますからね。担任教師でかつての教え子なら直接指導するのが筋なのに…ボーデヴィッヒ自身も千冬さんの指示なら喜んで従うでしょうし」

 

 

 

 

 

新華は自分の責任と言えるラウラの教育を怠っている千冬に文句の1つも言いたかった。だが千冬は聞きそうにも無いしそこまで教える必要も無い。何よりそんな事しなくてもラウラは新華にとって脅威にならない。今もしIS学園など世間の目が無ければ殺せる程、新華はラウラを評価も認識もしていない。

 

 

 

 

 

「ま、もし何かあれば『降りかかる火の粉は払う』だけですし。だいたいそこまでするのも面倒ですし」

「…ドイツのエースであるIS乗りの軍人を『火の粉』とはね…。あなたも彼女を見下してない?」

「妥当な評価だと思いますがね。AICも俺から見たらもう対抗策はありますし」

「…そう。でも人はそれだけじゃないと言ったのはあなたよ?」

「ま、そこはちゃんと意識してますよ。でも…」

「でも?」

「そんな事させない程に圧倒、もしくは瞬殺出来ますしね」

「………」

 

 

 

 

 

新華のセリフに誇張は無い。IS同士で戦えばラウラに勝機は殆ど無い。お互い生身ならいい勝負が出来るだろうが、今の他人を見下したラウラ相手ならいくらでも付け入る隙はある。新華が生身でラウラがISに乗っていても、新華のリミッターを外した身体能力とP・V・Fが合わさればどうなるかは分からない。

 

 

 

 

 

「ま、クアンタにもリミッターはありますし? その中で精々抗わせて頂きますが」

「…抗う、ねぇ…」

「さて、今日もいつも通り眠いんで、寝させてもらいます。最後、電気お願いしますね」

 

 

 

 

 

新華はすぐに布団に横になり目を閉じる。そんな、変化があっても変わらない新華を楯無は見つめる。

 

 

 

 

 

「ではおやすみなさい」

「…ええ、おやすみなさい」

「………zzz」

 

 

 

 

 

まだ見ぬ明日に少しばかり期待して新華は眠る。その心は疲れたままに…

 

 

 

 

 




今回ホモォ多いですね。すみません。
お母さんとかお祖母さんとか言われるより『P3荒垣さんに近いオカン』と言われればマイナスからプラス評価に思えますよね? ね? ただ新華は庇いますが死にません、というか死なせません。
P・V・F新華 VS ISラウラはあと少ししたらやる予定です。結果は…まぁ、おたのしみに。ガノタの頭の中では既に勝敗は着いてます。

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