IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

41 / 173
39話目。やっとシャルとラウラが。
しかし暑い…; 昨日13:00〜22:00、今日9:30〜15:00、明日13:00〜22:00で文字通り汗水流して厨房でバイト…死ねる。


貴公子と軍人

 

 

 

 

「やっぱりハズキ社製のがいいな~」

「えー、あそこのってデザインだけって感じしない?」

「そのデザインが良いのよ!」

「私は性能的にミューレイ社のが良いなぁ。特にスムーズモデル」

「あー、アレは確かにいいんだけどねー、結構高いじゃん」

 

 

 

 

 

月曜日。新華が一夏達に心の内を吐露した翌日の朝。新華は一夏といつも通り登校した。一夏には登校途中でいつも通りでいる様にと言っているので、特にこれと言って違和感は無かった。どちらかと言うと何故かキョロキョロしている新華の方がおかしかったが。

さて、教室に入るとまるで一般の女子校の様にクラスメイトの女子が雑誌を見ながら談笑していた。新華と一夏、それに簪と別れた後の本音+ハロが入ってきた事に気付いた1人がこれ幸いにと一夏に話しかける。

 

 

 

 

 

「ねえねえ織斑君、織斑君のISスーツってどこ製のやつなの? 見たことない型だけど」

「あー、特注品だって。男のスーツが無いからどっかのラボが作ったらしいよ。えーっと、たしかイングリッドのストレートアームモデルって聞いてる。………新華何でそんなに驚いてんだよ」

「いや、よく覚えてたなと。てっきり俺が答えるハメになるかと思っていたのに」

「オボエテタ、オボエテタ」

「いや勉強の時に『さすがにこれだけは覚えとけ』って言ったの誰だよ。俺もよく覚えてたと思うけどさ」

「なんだ偶然か。なら納得だ」

「ISスーツは肌表面の微弱な電位差を検知することによって操縦者の動きをダイレクトに各部位へと伝達、ISはそこで必要な動きを行います。またこのスーツは耐久性にもすぐれ、一般的な小経口拳銃の銃弾程度なら完全に受け止める事が出来ます。あ、衝撃は消えませんのであしからず」

「おー…流石教師ですね。すらすらと言えるなんて」

 

 

 

 

 

一夏と新華の後ろから山田先生が入室しISスーツの特徴を話す。新華はその事に純粋に敬意を評した。

 

 

 

 

 

「さすが山ちゃん詳しい!」

「一応新華くんの言うとおり先生ですから…って山ちゃん!?」

「やまぴー見直した!」

「今日がISスーツの申し込み日ですからね。きちんと予習してきたんです。ってやまぴー!? あ、あのー。教師をあだ名で呼ぶのはちょっと…」

「えー、いいじゃんいいじゃん」

「まーやんは真面目っ子だねぇ」

「ま、まーやんって…」

「あれ? マヤマヤの方が良かった?」

「そ、それもちょっと…」

「もーじゃぁ、前のヤマヤに戻す?」

「あ、あれだけはやめてください! と、とにかくですね、ちゃんと先生と言って下さい。分かりましたか? わかりましたね?」

「「「「「「はーい」」」」」」

「うう…、織斑君や青木君は大丈夫ですよね?」

 

 

 

 

 

新華と一夏に振られるが

 

 

 

 

 

「まーそうですね。流石にやまぴーは無いですけど。精々『山先(山田先生)』とか『山T(山田teacher)』とかでしょうか? 中学ではこんな感じでしたね。まぁ嫌われてないだけ良いと思いますよ」

「え、えぇ!?」

「へ~やまてぃーか~」

「teacher、teacher」

「のほほんさんが言うと違和感感じないな。不思議」

「お、織斑君まで…」

 

 

 

 

 

新華のまさかの裏切り(?)に本音が乗り一夏まで載乗るので山田先生は気持ちorzになった。その直後に千冬が入室する。

 

 

 

 

 

「諸君、おはよう」

「お、おはようございます!」

「「「「「「おはようございます」」」」」」

「ぉはよーっす」

「おはようございます(あ、昨日俺が出した夏スーツ、早速着てくれてるな)」

「今日からは本格的な実戦訓練を開始する。訓練機ではあるがISを使用しての授業になるので気を引き締めるように。各々のISスーツが届くまで学校指定の物を使うので忘れないように。忘れた者には代わりに学校指定の水着で訓練を受けてもらう。それも無い者は、まぁ下着でもいいだろう」

「「いやいやいやいや」俺ら男の前でそーゆーのは勘弁してください織斑先生」

「む、そういえばお前らが居たか。2人に見られたくなければ気を付ける様に」

 

 

 

 

 

千冬のセリフ同時に突っ込む一夏と新華をダシに使い千冬は注意を促す。殆どの女子は顔を赤くしていた。

なぜ学園指定のISスーツがあるのにそれぞれがISスーツを購入するのか。理由はIS本体にある。そもそもISは搭乗者の戦闘データや武装データを蓄積する事で『進化』する機械だとされている。一夏や新華の時の『1次移行』『2次移行』がそれにあたる。ISの進化は操縦者によって多者多様になるのでそれぞれに合ったISスーツが必要になるのである。ただ新華のクアンタは服の上から密着し脳波をクアンタの頭部で直接検知しているので新華にISスーツは必要無い。そもそもISスーツ自体新華は持っていない。

 

 

 

 

 

「では山田先生。HRを」

「は、はいっ。ええとですね…今日はなんと転校生を紹介します! しかも2名です!」

「え…」

「「「「「「ええええ!?」」」」」」

「え!? (あれ? でもなんでうちのクラス? 普通分散させるもんじゃ?)」

「………(違和感の元凶が居る…何だ? この感覚は。何だか、幼い感じだ)」

「テンコウセイ、テンコウセイ」

 

 

 

 

 

教室の生徒が騒ぐ中、新華は静かだった。理由は昨夜から新華が感じている違和感。新華がなにやらキョロキョロしていたのはコレである。山田先生の促しでその転校生が入って来る。すると教室に沈黙が降りた。

 

 

 

 

 

「お2人共、入ってきて下さい」

「はい。失礼します」

「………」

「「「「「「………」」」」」」

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。この国では不慣れな事も多いかと思いますが、皆さんよろしくお願いします」

「「「「「「………」」」」」」

「オトコ、オトコ」

「………お、男…?」

「(ん? 『デュノア』? ラファール・リヴァイブの? 息子が居たなんて情報は無かった筈だが…それより)」

「………」

「(あの眼帯女…アイツが違和感の原因か。軍人らしいな。名は…『ラウラ・ボーデヴィッヒ』。ドイツ軍属。専用機は『シュヴァルツェア・レーゲン』。…へぇ、千冬さんの教え子か。にしては大した事なさそうだな。んで…デザインベビーだと? ああ、施設を破壊する前に生まれてた訳ね。しかも『ヴォーダン・オージェ』とか、OOの超兵計画そのまんまっぽいよな。ん? ってことは脳量子波持ってる? んでこの違和感の正体は、脳量子波?)」

 

 

 

 

 

教室の全生徒が『男』のシャルルに意識が集中しているのに対し新華は隣でずっと黙っている女子に注目していた。即座にヴェーダから情報を引き出し確認、完全に個人情報だがヴェーダと束の前にはセキュリティなど無いに等しい。

 

 

 

 

 

「きゃ…」

「はい?」

「あ、やっば…!」

「来るぞ…」

「「「「「「きゃあああああぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」」」」」

「うわっ!」

「ぐおおおおおおおお………」

「ぐぅっ、毎回毎回、耳栓の上からっ…!」

「男子! 3人目の男子!」

「しかもうちのクラス!」

「美形! 守ってあげたくなる系の!」

「地球に生まれて良かった~!」

「(おい最後の。俺はその『地球』に3度生まれて今のとこ全部死と絶望の連続だが? もっと世界を見ろよ、そんな事言えなくなるから)」

「あー騒ぐな、静かにしろ」

「み、皆さんお静かに! まだ自己紹介は終わっていませんから!」

 

 

 

 

 

千冬と山田先生の言葉に生徒達はラウラに視線を向けたが、ラウラは微動だにせず黙ったままだった。

 

 

 

 

 

「…挨拶をしろ、ラウラ」

「はっ、教官」

「…ここではそう呼ぶな。もう私は教官ではないし、ここではお前も一般生徒だ。私の事は織斑先生と呼べ」

「了解しました」

「(軍の感覚のままか…危険だな。注意しておくか)」

「ラウラ・ボーデヴィッヒだ」

「「「「「「………」」」」」」

「…あ、あの、以上…ですか?」

「以上だ」

「…(あれ? 俺の時と違って千冬姉が叩かない?)」

「(ま、軍人は基本堅物の方が好ましいが、気持ちの切り替えが出来てないわな、ありゃ。…ちょっと試そうかな?)」

「! 貴様が…!」

「え?」

「(期待外れだな。行動が幼稚だ。取り敢えず、『止まれ』)」キイィン

「!? 何だっ、! アイツは…!」

「(…マジで脳量子波かよ。んじゃ『もう1度言う、止まれ』)」

「! な、なんだこれは…」

「「「「「「???」」」」」」

 

 

 

 

 

ラウラが一夏を確認した途端、嫉妬の感情を膨らませたと思えば一夏に近付き叩こうとした。新華は寸前でラウラに脳量子波を送り止まらせる。ラウラはそこで新華に気付くが新華の脳量子波を受け、初めての感覚に戸惑った。しかし他の生徒には能量思波は感じ取れないので怪訝な表情にならざるをえなかった。

 

 

 

 

 

「貴様は…」

「あー………ゴホンゴホン! ではHRを終わる。各々はすぐに着替えて第2グラウンドに集合せよ。今日は2組と合同でIS模擬戦闘を行う。解散!」

「くっ…………私は認めん。貴様があの人の弟であるなど、認めるものか」

「は?」

 

 

 

 

 

流石軍人と言うべきかラウラは新華に1睨みし一夏に1言呟きさっさと教室を出ていってしまった。

 

 

 

 

 

「おい織斑、青木。デュノアの面倒を見てやれ。同じ男子だろう」

「あ、はい」

「了解っス」

「君が織斑君に青木君? はじめまして。僕は」

「ああ、いいから。とにかく移動が先だ。早くしないと」

「そうそう。挨拶は後にした方がいい。もう来てるぞ、完全に包囲される前に急ごう」

「イソゲ、イソゲ」

「もうか! 取り敢えず男子は空いてるアリーナ更衣室で着替えるんだ。これから実習の度にこの移動だから早めに慣れてくれ」

「う、うん…」

「ん、どうした? トイレか?」

「トイレ? トイレ?」

「トイ…ち、違うよ!」

「あのな、行き成り他人に手を握られたら誰だって戸惑うだろうが。ほんっとにお前は…」

「あ、そうか。ゴメン」

「い、いいよ別に…」//////

「………来たぞ」

「ああっ! 転校生発見!」

「しかも織斑君と青木君と一緒! しかも織斑君と転校生君は手を繋いでる!」

 

 

 

 

 

3人で廊下に出て話していた所を偵察の女子に見つかる。一夏はシャルルの顔が赤くなっている事に疑問を持ち新華は訝しげな視線を送るがすぐに目の前に出てきた肉壁に目を向け突破口を探す。

…と言っても新華は着替えないので1人で突破しても問題は無いのだが、千冬に面倒を見るよう言われているし、何より面白くなりそうな事を見逃す訳にはいかない。

 

 

 

 

 

「(後で調べてみるが…恐らくシャルルは『女』だ。デュノアに息子が居るなんて情報は無かったし男で代表候補生ならどんなに規制をしても存在している限り情報が全く無いなんてほぼ無い。更にヴェーダの監視をくぐり抜けるだけの能力はあそこには無い。それに一夏と俺の『男』に対する反応が女子のそれだ。どうにか誤魔化そうとしているが、素人だな。どうやらややこしそうだな)」

「居た! 皆こっちよ!」

「者共であえ、であえー!」

「青木君も確認! 至急薫子さんを!」

「げっ、足止めか!? くっそ無駄に統率がとれてやがる…」

「織斑君の黒髪もいいけど、金髪ってのもいいわね」

「しかも瞳はアメジスト!」

「きゃあああ! 織斑君と転校生君が手を繋いでる!」

「日本に生まれて良かった! お母さん有難う!」

「くっ、一夏、デュノア! こっちだ」

「お、おう!」

 

 

 

 

 

3人が居る所に続々と生徒が群がる。新華の先導で難なく逃れて行くが急がないと追いつかれる。

 

 

 

 

 

「な、何? なんで皆騒いでいるの?」

「そりゃ男子が俺たちだけだからだろ」

「…?」

「いや、普通に珍しいだろ、男子のIS操縦者って。今んとこ俺たちだけだろ」

「あっ、ああうん! そうだね」

「………(確定。やっぱコイツ女だわ)」

「それとアレだ。この学園女子にとって俺ら男が珍しいから接触が少なくて、俺らウーパールーパー状態なんだよ」

「ウーパー…何?」

「一夏その例えはどうよ…。ウーパールーパーは正式名称『メキシコサラマンダー』。両生網有尾目トラフサンショウウオ科トラフサンショウウオ属の有尾類。1985年に日清焼きそばU.F.O.のCMで『ウーパールーパー』と初めて呼ばれてブームになった生き物だ。見た目は顔がキュウベェに近い白い水中トカゲと思えばいい。ちなみにその顔から別名『アホトロール』とも呼ばれる」

「へ、へぇ…」

「出た新華のトリビア。ってか流行ったの大分昔だな」

「イズミ、イズミ」

「なんでお前流行った事知ってたんだよ…俺だって名前の由来検索して初めて流行ってた事知ったのに」

 

 

 

 

 

何度か道を曲がりどんどん外を目指す。時々見つかるが新華の先導でやり過ごしたり撒いたり出来ていた。

 

 

 

 

 

「しかし、まぁ助かったよ」

「何が?」

「(もう少し隠す位の努力しろよ…)」

「いや、やっぱ女子校の中に男2人だけってのは辛いからな。1人とはいえ仲間が増えるのは心強いもんだ」

「そう…だね。仲間は多い方がいいよね」

「だろ? ま、なんにしても、これからよろしくな。俺は織斑 一夏。一夏って気軽に呼んでくれ」

「俺は、知ってるだろうが青木 新華だ。新華って呼んでくれると楽に過ごせる。んでこのさっきから足元に転がってるのはハロっつって俺のペットロボ兼PCだ。基本無視の方向で問題ないから」

「ヨロシク、ヨロシク」

「えっと…よ、よろしく。2人共も僕の事はシャルルでいいよ」

「わかった。シャルル」

「おK。よろしく、シャルル」

 

 

 

 

 

挨拶が終わった所で校舎を無事に抜け出す。新華は一夏が本当にくだらない事を考えているのに気付いていたがいつもの事なのでスルー。

 

 

 

 

 

「よし、到着! 逃げてたから時間がヤバい! さっさと着替えないと」バサッ

「うわっ!」//////

「ん? 荷物でも忘れたのか?って何で着替えないんだ? 早く着替えないと遅れるぞ。」

「う、うん着替えるけど…新華は着替えないの?」

「着替えない。そもそもISスーツ持ってねぇし要らないからな」

「そ、そうなの!? 着た方がいいんじゃ…」

「着た所でなんも変わらん。だったら私服とか自然体の方が楽だ。それより、早くしろ。恥ずかしいなら向こう向いてるが?」

「あ、お、お願い…」

「あいよ。ほれハロ。こっち来い」

「ハロッ」テーン

「一夏も、おら」

「おうっていててててて! 無理に頭まわすな!」

「遅せえんだよ。シャルル、今のうちに」

「う、うん。ありがとう」

「気にしなさんな」

「キニスルナ、キニスルナ」

 

 

 

 

 

ハロを抱いたまま一夏とシャルルとは反対方向に体ごと向ける新華。一夏の着替えを見ても新華はホモでは無い(むしろムッツリ)なのでテキトーにハロのコンディションを確認していく。

 

 

 

 

 

「………終わったよ」

「「早っ」」

「えっと…急いだからね」

「いやいや早すぎじゃないか? なんかコツでもあるのか?」

「い、いや別に…って一夏はまだなの?」

「ああ。まだご覧の有様だ。これ着るとき裸だから着ずらいよなぁ。引っかかるし」

「ひ、引っかかる?」

「おう」

「ヒッカカル、ヒッカカル」

「………」//////

「(…本当なんでコイツを潜入させたんだよ。バレバレ。でもコレシャルル男ならホモォ…だな、うん。近付きたくなくなるな。薄い本が夢盛りだね)」

「よっと。よし、2人とも、行こうぜ」

「う、うん」

「おし。間に合うな」

 

 

 

 

 

一夏とシャルルの着替えが終わったので3人で更衣室を後にする。途中一夏が何度かシャルルとの会話で空回りし新華のハリセンが2回程唸った。

 

 

 

 

 

 




本当新華トンデモですね。ちなみにウーパールーパーの記述は我らがwiki先生からです。
ラウラを造った施設は既に新華が破壊済です。人造人間とかも命を弄んでいるという考えなので。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。