IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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32話でござい。
皆さん、ゴーレム戦ですよー


本当の、戦い

 

 

 

 

突然の乱入者にアリーナに居た殆どの人間が混乱しパニックになっていた。しかし一夏の試合の行方を見守っていた管制室でもそれは起きていた。

 

 

 

 

 

「織斑君、鳳さん! 今すぐアリーナから避難してください! すぐに先生方がISで向かいます!」

『いや、でも---うわっ!』

「! 何だ、あの機体は!?」

「ふ、フルスキンですの!? 新華さん、あの機体は!?」

「…知るか。確かにクアンタはフルスキンだがあんな機体を作ってるなんざ聞いたことねェ。情報も学園に提出したのしか公開してねぇしな」

「織斑君、鳳さん! 大丈夫ですか!? 早く避難を!」

『…いや、先生達が来るまで俺たちで食い止めます』

「なっ!? 無茶です! 相手は3機、しかもシールドを突破出来る火力を持ってあああ! お、お2人共!」

 

 

 

 

 

山田先生の言葉も虚しく、一夏と鈴は攻撃を仕掛けてきた射撃タイプと思われる1機と交戦状態に入ってしまう。鈴が衝撃砲で牽制し一夏が斬りに掛かるというやり方でいくのだろう、幼馴染というだけあってコンビネーションはなかなかのものだった。

 

 

 

 

 

「お、織斑君、鳳さん! 聞こえてますかー!?」

「ちっ、あの馬鹿戦力差を見極めろっての。織斑先生、俺も出ます。例えあの1機が何とかなったとしても残りの2機が攻撃を仕掛けるでしょうし、何よりあの赤い粒子を放っている機体は放って置けません」

「私も出ますわ! ISの使用許可を!」

「そうしたいのは山々だがな、これを見ろ」

「これは…」

「アリーナの遮断シールドレベルが4に強制変更…しかもご丁寧に全ての扉をロックしているとは…」

「そうだ。恐らくあの赤い粒子を放っている機体のせいだろう。これでは援護どころか避難も出来んな」

「で、でしたら! 政府に助成を」

「既にやっている。現在、3年生の精鋭がシステムクラックを進行中だ。遮断シールドが解除出来次第、部隊を突入させる」

「くぅ…待っている事しか出来ませんのね…」

「…織斑先生、俺のクアンタの全リミッター解除許可を。クアンタ本来の火力ならシールドをぶち抜けます」

「む、そうだったな」

 

 

 

 

 

一夏と鈴が戦っているのを見ながら全員焦っていた。

 

 

 

 

 

「しかもあの機体の中で2人と交戦しているのはあの射撃型のみです。残りの2機は様子を伺っているみたいですし、今なら間に合います。許可を」

「だが会場までの扉はどうする」

「ぶっ飛ばします。今回は緊急事態で時間も無い為緊急措置です。扉よりもあの2人の方が大事ですから」

「私も参りますわ! こんな所で何もしないで居たくはありませんわ!」

「…仕方ない、今回は緊急措置として許可する。だがあまり無茶はするな。それと出来ればあの3機のどれでもいい、捕獲しろ。原因の追求と調査を徹底的に行う」

「jud.」

「分かりましたわ!」

「………あれ? 篠ノ之さんは何処に行ったのでしょうか?」

「「「!!!」」」

 

 

 

 

 

新華とセシリアが物騒な方向で許可を千冬から得た時、ふと箒が居ない事に気付いた山田先生の言葉で硬直する。今までこの状況を何とかしようと集中していた為、箒の存在を忘れていたのである。

 

 

 

 

 

「まさか…!? あんの馬鹿がっ!」ダッ

「あっ、新華さん!? お待ちになって!」

「頼んだぞ、青木…」

 

 

 

 

 

新華は急いで管制室を出た。セシリアも続く形で新華を追いかける。新華は箒が何をしようとしているのか分かった。

 

 

 

 

 

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---一夏&鈴 side

 

 

「くっ」

「一夏! ちゃんと狙いなさいよ!」

「狙ってるっつーの!」

「だったらちゃんと当てなさいよね! ! 一夏、離脱!」

「お、おう!」

「ああもう! めんどくさいわねコイツ! それに上の2機が何にもしないのが気味悪いわ!」

「くっそ、まるで遊ばれているみたいだ…!」

 

 

 

 

 

一夏と鈴は、衝撃砲の援護と白式の加速で絶対に反応出来ない速度と角度で射撃型に攻撃していた。しかし射撃型はその攻撃をことごとく躱しビームによる砲撃や、ビーム発射口で肥大化した両腕で攻撃してくる。2人は戦い方も何もない無茶苦茶な攻撃に翻弄されていた。先程の攻撃もこれで4、5度目の試みだった。しかも鈴の言葉通り上空の2機は一切戦闘に関与せず、赤い粒子を放出しているISは何かを探すかのようにアリーナを何度も見渡し、バスターソードを持った機体は護衛をしている様だった。その2機に警戒しながら戦うせいで、一夏も鈴も本来の強さを発揮出来ずにいた。

 

 

 

 

 

「鈴、シールドエネルギー、あとどれくらい残ってる?」

「180ってところね。このままだとちょっとキツイわね…今の火力でアイツのシールドを突破して機能停止(ダウン)させるのは確立的に一桁台ってところじゃない?」

「ゼロじゃなきゃいいさ」

「あっきれた。確立はデカイほどいいじゃない。んで、どうするの」

「逃げたきゃ逃げてもいいぜ」

「なっ!? 馬鹿にしないでよ! アタシはこれでも代表候補生なのよ! こんなところで尻尾巻いて逃げるなんて、笑い話にもならないわ」

「そうか。じゃあ、お前の背中は、守ってみせる」

「え!? あ、う、うん。ありが------うひぃ!?」ビシュン

「大丈夫か!?」

「だ、大丈夫よ!」

 

 

 

 

 

一夏のセリフで鈴がモジモジしたが敵の攻撃で一気に現実に引き戻される。一夏はここで目の前の機体に違和感を感じ鈴に話す。

 

 

 

 

 

「なぁ鈴。なんかあの機体の動き、機械じみてないか?」

「ISは機械よ」

「いや、そうじゃなくてだな…あの機体、本当に人が乗っているのか?」

「はぁ? 人が乗らなきゃISは動かな----------そういえばあの機体、上の2機はともかく、さっきからあたし達が話している時はあんま攻撃してこないわね。まるで興味がありますって感じ…」

「だろ?」

「ううん、でも無人機なんて有り得ない(・・・・・)。ISは人が乗らなきゃ動かない。そういうものだもの」

「でもさ。仮に、仮にだ。もし無人機だったらどうだ?」

「何? 無人だったら勝てるって言うの?」

「ああ。人が乗ってないなら全力を出しても大丈夫だしな」

「でもさ、上に居る2機はどうするのよ。攻撃してくるかもしれないわよ」

「その時はその時だ。もしこのまま目の前のアイツを倒せずに2機も参戦したらマズイ。だったら今はあの2機を無視してアイツを倒す事に専念しよう」

 

 

 

 

 

一夏の判断で目の前の射撃型に集中する。一夏の頭には1つだけ策があった。

 

 

 

 

 

「でも全力もなにも攻撃自体当たらないじゃない」

「次は当てる」

「言い切ったわね。じゃぁあの機体が絶対に有り得ないけど無人機と仮定して攻めましょうか。…一夏」

「なんだ?」

「どうしたらいい?」

「俺が合図したらアイツに向けて最大出力で衝撃砲撃ってくれ」

「いいけど、当たんないわよ?」

「いいんだよ、当たらなくても」

「そ、じゃ早速『一夏ぁ!』なっ!?」

「な!? 何してんだ箒…」

『男なら…男なら、そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!』

 

 

 

 

 

突然一夏と鈴の耳に箒の声が響く。見ると一夏が出たピットから箒が生身で声をあげていた。箒の奇行に戸惑う一夏と鈴。しかし敵は待ってはくれない。射撃型ISはうっとおしそうに銃口を箒に向ける。

 

 

 

 

 

「! マズイ、箒! 逃げ---」

「………」ビシュゥ

「箒ー!」

『っ!』

『こんの…』

「「『「!!!!」』」」

『馬鹿があああああぁぁぁぁぁ!!』

 

 

 

 

 

箒にビームが向かいもうだめかとその場の全員が思った時、新華の声が響いた。射撃型のビームはクアンタのGNフィールドに弾かれピットに赤い線を描き霧散した。

 

 

 

 

 

『し、新華。すまな『死にてぇのか馬鹿野郎!』なっ!?』

『一夏を激励したいってんならやればいいさ! だがな、時と場所を考えろ! 死にたいなら他人に迷惑を掛けんじゃねぇ!』

「新華!? その言い方は…!」

『一夏! 今は目の前に集中しろ! チャンスを逃すぞ!』

「! っく、鈴! やれ!」

「わ、分かったわ!」

 

 

 

 

 

クアンタを部分展開した新華の叫びに一夏は文句を言おうとしたが、新華の言葉で我に返り目の前の射撃型に再び集中する。鈴に衝撃砲の指示を出し一夏はその射線上に移動し背を向ける。しかしこの時2人は上の2機が新華に反応したのに気付かなかった。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと! そこに居たら撃てないじゃない!」

「大丈夫だ! いいから撃て!」

「ああもう! どうなっても知らないわよ!」ドォン!

「ぐっ! …ォオオオオ!」

 

 

 

 

 

一夏は瞬時加速の原理を利用し衝撃砲のエネルギーを取り込みエネルギーを回復すると同時に加速する。その速さは見事射撃型の右腕を切り離す事に成功するが、残った左腕で地面に叩きつけられ銃口が近距離で向けられる。一夏はピンチのはずだったが顔には笑みが浮かんでいた。

 

 

 

 

 

「『一夏!』」

「…狙いは?」

『完璧ですわ!』ビシュウ

 

 

 

 

 

新華の後にピットに入っていたセシリアが射撃型を狙撃、貫いた。その攻撃で射撃型が倒れ機能停止した。

 

 

 

 

 

『ギリギリ間に合いましたわ』

「セシリアなら出来ると思っていたさ」

『そ、そうですの…当然ですわ! なにせ私はセシリア・オルコット、イギリスの国家代表候補生ですもの!』

『お前ら! 油断すんな! まだ2機…らぁ!』

「!? 新華っ…ぅお!」

 

 

 

 

 

上空に居た2機の内バスターソードを背負った機体が新華に切り掛る。新華は咄嗟にP・V・F『ストーリーズ・イレギュラー』を展開し受け流すが、そのままバスターソード持ちは射撃型を回収し粒子を発している機体の所まで上昇した。

 

 

 

 

 

「な!? しまった、逃げられる!」

『いや…違う』

「え?」

『何をする気ですの…?』

 

 

 

 

 

赤い粒子を出している機体はおもむろに射撃型にコードを突き刺す。すると射撃型が痙攣を起こした様に振動し再起動した。

 

 

 

 

 

「はぁ!?」

「なんですって…!?」

『…チッ、一夏、鈴! それにセシリア! ピットに戻れ! どうやら今度のターゲットは俺みたいだ』

「何っ! だったら俺も…!」

『さっきの戦闘で消耗しているだろうが。むしろ足手纏いになる。さっさと戻れ。エネルギーもねぇだろ』

「なっ! あたし達じゃ邪魔だっての!?」

『そうですわ新華さん! 私なら援護くらい…』

『いらん』

「新華! だけど!」

『一夏…まだ認識出来ていないようだから教えてやる』

 

 

 

 

 

新華はクアンタを展開、武装を全て装備し上空の3機を見つめる。

 

 

 

 

 

『…ここからは試合や今の戦闘の様なお遊び(・・・)じゃない』

「なっ、お遊びですって!? あんた…!」

『…互いを潰し合う殺し合い(・・・・)、本当の、戦いだ』

「!」

 

 

 

 

 

一夏達は新華の言葉でゾッとした。新華の言葉には真剣さと納得させるだけの説得力があった。

 

 

 

 

 

『…さっさと引っ込め。流れ弾に気をつけろ。今のクアンタは全リミッターを解除しているからな』ドンッ

「あっ! 新華!」

 

 

 

 

 

新華は一夏達に言葉を告げた後、ピットを飛び出し3機の元へ向かった。一夏達は見ている事しか出来なかった。

 

 

 

 

 

---side out

 

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「(さて…見た感じスローネチームだな。名前は『ゴーレムトリニティ』ってところか)」

「………」

「(…あれは擬似太陽炉か。精々利用させてもらおう)」

 

 

 

 

 

新華は3機を目の前にして動揺を全くしていなかった。それどころか不自然な余裕まであった。

 

 

 

 

 

「………(一夏達の成長の為にも)徹底的に、殺らせて、もらう」

「「「………」」」

 

 

 

 

 

新華はGNソードⅤを構える。同時に3機も戦闘体勢に以降したようで、バスターソード持ちを前衛としたフォーメーションを組んだ。

 

 

 

 

 

「………! (沈め!)」

「「「………」」」

 

 

 

 

 

戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 




な、何か最初に考えていた時より戦闘が長くなってる…
ちなみに更識姉妹は生徒の避難誘導で出撃出来ませんでした。次回は出そうかなと、思っております。出撃はしませんが。

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