ブザーが切れると同時に一夏と鈴の両方が動いた。
ガキィンと音を鳴らし互いの得物をぶつけ合う。一夏は瞬時に呼び出した『雪片弐型』を、鈴はハルバートの様な青龍刀を2振り持ち回転を加えながら一夏を弾き飛ばす。しかし一夏はセシリアと新華、簪に教わり、箒と共に練習した
「へぇ、今のを防ぐ何てやるじゃない。でも!」
「くっ…!」
「この連撃はどうかしらね!」キンキンキンキン
「くっ、うおっ!(まずい! いったん距離を取って…)」
「………甘い! 今のはジャブよ!」ドゴォン!
「ぐあぁ!」
クルクルと青龍刀を回転させながら一夏と切り結ぶが、一夏がその勢いに押され距離を取ろうとしたとき甲龍の
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「やっぱり一夏にはキツイか。あの距離での射撃はまず外さないし」
「あれは…?」
「『衝撃砲』ですわね。空間自体に圧力をかけ砲身を生成、余剰で生じる衝撃をそのまま砲弾化して打ち出す、私のBTと同じ第3世代兵器ですわね」
「しかも全て圧力でやるお陰で砲身も砲弾も見えない。避けるには操縦者の視線で砲撃地点を予測するか、殺気を感じて回避するか、衝撃砲の射程、射線上から退避するかだな」
「…そんな事そうそう出来ませんわよ?」
「前者2つは織斑先生が、後者は山田先生が出来るけど? ですよね?」
「そうだな。山田先生も実力者だからな。鳳を相手にするなど、造作もないだろう」
「そ、それほどでもありませんよ」
画面では一夏が鈴の衝撃砲から逃れる為にアリーナを縦横無尽に駆け回っているのが映っていた。新華、千冬には緊張を感じられなかったが、箒は無言になって心配そうに一夏を見続け、セシリアは甲龍の武装と鈴の腕をよく観察し、山田先生は副担任として勝負の行方を見守っていた。
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「なかなか避けるじゃない。この衝撃砲『龍砲』は砲身も砲弾も見えないのが特徴なのに」
「…生憎、そんなに柔な訓練積んでないからな。それに当たって負けたりしたら、訓練に付き合ってくれた4人に悪いからな。絶対に…勝つ」
「へ、へぇ…言うじゃない」
「(とはいえ、このままじゃジリ貧だ。ハイパーセンサーが衝撃砲の発射を空間の歪みと大気の乱れから計算して教えてくれるが、どうにも遅い。どこかで先手を取らなきゃ…)」
「(あ、あたし何こんな時にドキッとしちゃってんのよ! )」
鈴が一夏のキリッとした顔にトギマギしているのをよそに、一夏は焦っていた。新華達に鍛えられたとはいえ流石に見えない砲弾には対処仕切れていなかった。何とか射線から退くことでギリギリ回避に成功していたが、いつかは動きが鈍り直撃を貰い落とされるのを自覚していた。一夏はある事をする決意をした。以前に習得した技を。
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「バリアー無効化攻撃?」
「そうだ」
セシリア戦の後、一夏と箒は何故あと一歩の所で敗北になったのか、その原因を探っていた。新華はこの時、更識姉妹の喧嘩の真っ最中で簪を鍛える為に一夏達を放置していたので話を聞く事が出来ずにいた。試合の時のIS
「『雪片』の特殊能力がそれだ。相手のエネルギー残量に関係無く、それを切り裂いて本体を直接ダメージを与える事が出来る。そうするとどうなる? 篠ノ之」
「は、はい。ISの絶対防御が発動して大幅にシールドエネルギーを削ぐ事が出来ます」
「その通りだ。私がかつて世界一の座に居たのも、この『雪片』のこの能力による所が大きい」
「へぇ…ってことは、最後の1撃が決まっていたら勝ってた?」
「当たっていれば、な。大体、何故負けたと思っている」
「えっと、何故かシールドエネルギーが0になって…」
「何故かではない。必然だ。考えてみろ、『雪片』の特殊攻撃を行うのにどれだけのエネルギーを必要とするのかを。馬鹿かお前は」
「…あー」
一夏は千冬の言葉で理解する。つまりは『雪片』の特殊攻撃を行うだけのエネルギーを、シールドエネルギーから持ってきていると言うことで。
「つまり…自分のシールドエネルギーを攻撃に転化しているという事ですか?」
「そうだ。つまり欠陥機だ」
「欠陥機!? いま欠陥機って言ったよな!? うがっ」バシッ
「言い方が悪かったな。そもそもISはそもそも完成していないのだから欠陥もなにもない。ただ他の機体より少し攻撃特化になっているだけだ。大方、拡張領域も埋まっているだろう?」
「そ、それも欠陥だったのか…」
「話は最後まで聞け馬鹿者。本来拡張領域用に開けられている容量を全て使って雪片を振っているのだ。その威力は全IS中トップクラスだ。例外を除いてな」
「例外?」
「青木の『Evolveクアンタ』だ。あの機体だけは白騎士と同時期に開発されたにも関わらず現行する全てのISをも大きく上回る性能を誇っている。その詳しい性能はISコア並、もしくはそれ以上に謎に包まれている。分かっているのは、青木自身が提示した公開情報くらいだ。それ以上はこのIS学園でも解析出来ていない」
「うへぇ、マジか…」
「どこまでも規格外だな
千冬の言葉を聞き改めて開発者の束のレベルのおかしさを実感する一夏と箒。しかし千冬は自分で話すことで改めて新華の異様さを実感していた。クアンタは束が作ったものでは無い為か、出自が分からないだけでなく束ですら永久機関の仕組みやフルスキンの仕組みを
「と、話が逸れたな。大体お前の様な素人が射撃戦闘など出来るものか。反動制御、弾道予測からの距離の取り方、一零停止、
「…ごめんなさい」
「わかればいい。1つの事を極める方が、お前には向いているさ。なにせ------私の弟だからな」
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それから新華が訓練に復帰してからは、新華も千冬と同じ事を考えていたため射撃訓練はセシリアに最低限だけ任せて近接戦闘、戦闘での回避訓練を重点的に行なってきていた。その訓練は今鈴の衝撃砲の回避や武器の打ち合いに役立っていた。一夏は訓練で身に付けた『
「鈴」
「な、なによ」
「…本気で行くからな」
「なっなによ、そんなの当たり前じゃないっ。と、とにかく、格の違いってやつを見せてあげるわよ!」
「………」
「………」
「…ハアァ!」
お互いに構え、一瞬の沈黙の後一夏は真正面から瞬時加速で鈴に切り掛る。一瞬で加速した事で鈴はその速度に面くらい対応が遅れ、一夏の剣筋は直撃するラインを描く。
その時
ドゴオオオオオォォォォォォン!!!!!!
「「!?」」
先程の戦闘とは比べ物にならない衝撃がアリーナ全体に走り、アリーナの中心に大きな煙が上がる。
「な、なんだ!? 何が起こって…!?」
「一夏! 試合は中止よ! 今すぐピットに戻って!」
「はぁ!? 何を言って…!」---ステージの中央と上空に熱源反応、所属不明のISと断定、ロックされています。
「なっ」
「上空にも!?」
ISのハイパーセンサーが侵入者を知らせる。アリーナのシールドはISと同じ物で出来ている。つまりISのシールドを貫通出来る攻撃力を持った機体が乱入し一夏をロックしているという事。鈴の声に釣られるように一夏は鈴と共に、開けられたと思われるアリーナシールドの穴を見る。
そこには
「な…なによ…あれ…」
「…だ、堕天使…?」
バスターソードを背負った機体に守られる様に、赤い粒子を空に向け大量に撒き散らす女性特有のラインを持ったISが居た。
ようやくゴーレムⅠキタ━(゚∀゚)━!
書きたかった戦闘ですが、早めに終わる気がします。
原作とは違うのだよ、原作とは!