IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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連続投稿します。ご注意下さい。

さぁーて、スクラップの時間だぁ!


新華 VS セシリア

 

 

 

 

 

試合開始のブザーが鳴り戦闘が開始される。セシリアはブルーティアーズの主兵装『スターライトMkⅡ』を掛け声と同時に振りかぶって新華に向ける。

 

 

 

 

 

「………(既に動きに無駄が多い。振りかぶっている間に)」

「喰らいなさいな!」

 

 

 

 

 

スターライトが火を噴く。この武装はブルーティアーズと同時に主に中~狙撃用に作られている。故にその精度は大したものだが

 

 

 

 

 

「………(こうして相手に何かしらの行動を許してしまう)」

「んなっ!?」

 

 

 

 

 

クアンタが現在搭載している試合用に調節したGNソードビットが新華の目の前でサークル状のGNフィールドを形成する。スターライトの放ったレーザーはそれに接触した瞬間弾かれる。

セシリアはその光景に一瞬固まるが、流石は代表候補生と言うべきか効かないと分かると

 

 

 

 

 

「くっ、行きなさい! ブルーティアーズ!」

「………(遅い、遅すぎる。実戦なら既に3回死んでるぞ)」

 

 

 

 

 

ブルーティアーズの背中に装備されていた、機体と同じ名の特殊兵装『BT兵器』が射出される。この即座の判断は一夏と戦う前では行われなかっただろう。もし一夏の前にセシリアが戦っていたら、新華にわめき散らしてのスタートだっただろう。『第1世代で出来る事ではないうえ、BTのパクリではないか』と。

 

しかし一夏との戦闘で考え方が変わった彼女は油断を捨て何にでも対応出来るようにしていた。

 

 

 

 

 

「四方八方からのオールレンジからは逃れられないでしょう!?」

「………(やっぱどう見てもストフリのドラグーンだ。しかしこの数と練度では)」

 

 

 

 

 

新華は前方に展開していたSビットを、即座にフィールドの形成から自身を中心に飛び回らせる。そこにBTのオールレンジ攻撃が叩き込まれる。

 

 

 

 

 

しかしそれらは緑の線が通ると同時に霧散した。

 

 

 

 

「はッ?」

「………(動くまでもない。カタログスペック通りの性能を引き出せもしないのに宝の持ち腐れだ。それに)」

「くっ」

 

 

 

 

 

BTから放たれたレーザーは全て飛び回るソードビットの刃の部分で霧散され新華に届かない。セシリアは諦めずに時節スターライトからの射撃を織り交ぜて攻撃するが

 

 

 

 

 

「………(BTと本体、どちらか一方しか動かせないのなら只の的にしかならない。いくら適正があってもこれでは…な)」

 

 

 

 

 

全て新華が操作するソードビットの前にかき消されていた。この試合を見ている者は2つに分けられた。

 

 

 

 

 

「何だ、蒼天使と言っても手も足も出ないじゃない」

「そのまま押し切っちゃえー!」

「ふん、惨めに落とされなさい!」

 

 

 

 

 

1つは、本人がどれだけ焦っているかを理解出来ずセシリアが押し込んでいると勘違いして無責任に叫ぶ者。そしてもう1つは

 

 

 

 

 

---side 管制室

 

 

 

 

 

画面に映し出される新華とセシリアの試合を見ていた一夏と箒は開いた口が塞がらなかった。千冬と山田先生は事前に(たばね)経由の新華の戦闘記録を確認しており衝撃は軽減されていたが、2人は違った。

なんせ一夏が戦った時とは違いセシリアは最初から本気で新華を落としに掛かっている。しかし新華は試合が開始されてからその場を全く動いていない。更にBT兵器と思われる武装で完全に彼女の攻撃を打ち消していた。それも打ち出されるレーザーという『点』に常に動いている『線』で対応するという高度な技術を使って。

 

 

 

 

 

「…まさかこれ程の差があるなんて、少しオルコットさんが可哀想になってきました」

「試合用に設定した装備でアレをやるとはな。機体性能もそうだが、青木自身の技量がオルコットを全て上回っている。オルコットでは役者不足か」

 

 

 

 

 

冷静に分析する教師2人のセリフで我にかえる一夏と箒。しかし千冬の言葉に疑問を持つ。

 

 

 

 

 

「なぁ千ふ…織斑先生、試合用ってどう言うことだ? まさか新華は本気でやってないのか?」

「ん、お前らにはまだ公開されていなかったか。青木のあの機体は本来奴の身体能力と相まって恐ろしい戦闘能力を発揮する。しかも搭載されている武装の殆どはIS学園(ここ)で使用するにはあまりにも危険だ。故に政府からの指示でリミッターを掛ける事になっている」

「そのリミッターで本来の性能の5割も出せない筈なんです」

「は!?」

「5割!? あれで!?」

「理論上ではそうなっている。だがあいつはそれを逆手に取っている」

「ど、どう言う事だ?」

 

 

 

 

 

千冬と山田先生の言葉で一夏と箒は先程以上の衝撃を受ける。新華はハンデを背負った状態であの芸当をやっていると。しかし続く千冬の言葉で新華のこの試合の目的を知る。

 

 

 

 

 

「オルコットがBTと自身の同時行動が出来ないのに合わせて自分も動かずに、集中して操作を行い練度を上げるつもりなのだろう。それに加えIS学園の生徒のレベルを測ろうとしている。『制限有りの不利な条件』での戦闘訓練まで行なっている様だな」

「えっ、てことは新華は操作しながら自分も動けるのか?」

「ああ。動けるどころか本来あいつは 1 対 多数 の戦闘を最も得意とする。加えてあの機体も設計思想が多数との戦闘を前提に作られている様だからな」

「…何で千冬姉ぇはそんなに知っているんだ?」

「…束が青木の存在を発表した後、奴の戦闘映像を送り付けてきたからだ。御陰で信じられない教師が出てこのような茶番になったが」

「あの人は何をしているんだ…」

 

 

 

 

 

箒が頭を抑えた時、戦いに変化が起きた。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

「くぅッ!」

「…………(そろそろいいだろう。片付ける)」

 

 

 

 

 

セシリアがBTの補給を行う為に呼び戻す。指示を受けたBTが母機であるブルーティアーズに戻ってゆく。同時に新華もソードビットを戻しようやく体を動かす。その動作をセシリアは見逃さず、ここぞとばかりにスターライトの引き金を引く。

 

 

 

 

 

「………(この程度の射撃なんぞ、絶対防御を使うまでもない)」

「ッ!?」

 

 

 

 

 

新華はセシリアからの殺気と、銃口からレーザーの軌道を読み最小限の動きで回避する。絶対防御が発動すると思っていたセシリアは動揺するが射撃を止めようとはしなかった。むしろ射撃の密度を増してゆく。しかし足や上半身など重心の大きい部分を振り回して---AMBACでの回避方で---新華は全てを回避する。

 

 

 

 

 

「何故当たりませんの!? それ以前に何故絶対防御が発動していませんの!?」

「………(俺の戦闘データを組み合わせて完成した『ピンポイントバリア』。なかなか俺好みだ)」

 

 

 

 

 

新華は入学して義務化されるまで絶対防御を使おうとはしなかった。絶対防御に慣れてしまうと回避が疎かになり落とされる確立が上がってくるからだ。それまでは回避をするかP・V・F イド・アームズ『no name』によるトラウマシェルで防いでいた。義務化された時はむしろ戦闘の邪魔になってくる故どうしたものかと考えていた時、待機状態のクアンタに入れていた『マクロス』の曲を聞きピンポイントバリアの存在を思い出す。

すぐさま自身のこれまでの戦闘データを組み合わせ、自身の反応出来ない位の至近弾に反応するように設定、調整した。結果今の様にギリギリで回避しても確実に直撃しなければ絶対防御は発動しなくなっていた。

しかもそれまで直撃時に直接体に衝撃が伝わっていたものが大幅に軽減される事となり動きが格段に大胆なものになった。

 

これはある意味IS学園がクアンタを強化したと言えよう。IS学園に新華が通わなければ生まれなかった機能なのだから。

 

 

 

 

 

「くっ、これなら!?」

「………(ミサイルはそこに有ったか。出し惜しみする余裕すら無くなって冷静では無くなったな。よし---)」

「もう1度! BT(ブルーティアーズ)!」

「! (今が狩り時だ!)」

 

 

 

 

 

新華はミサイルに向け加速し側面を足場代わりにして跳躍。ミサイルを踏みつけた事でミサイルが爆発するがそれすら利用してセシリアの視界からGN粒子を残し一瞬のみ消える。しかしこの一瞬が決定的だった。

 

 

 

 

 

「…! (行け! ソードビット!)」

「なっ、何処に…………!」

 

 

 

 

 

冷静さを失ったセシリアは視界から消えた新華を再び捉えようとするが

 

 

 

 

 

ドドドドンッ

 

 

 

「なっ、BTが! キャアアアアア!」

「………(機体に頼り過ぎだ。ミサイル菅の次は)」

 

 

 

 

 

空中に射出されていたBT4機が一瞬で破壊された直後、ブルーティアーズのスカートに隠されていたミサイルBTも破壊される。

この時点でセシリアの戦意は風前の灯だったが新華は止まらない。

 

 

 

 

 

「ああっ!!」

 

 

 

 

 

ソードビットの正確な斬撃でマニュピレータがスターライトごと切り離され微塵に切られ爆散する。すかさず新華はソードビットを4機帰投させ残りの大きい2機からグリップを出して逆手で持ちセシリアを上から重力と加速、そして体を回転させた斬撃を放つ。

 

 

 

 

 

「ぐ、うううぅぅぅぅ!」

「………(やりすぎたか? だがこれで)」

 

 

 

 

 

勢いのまま地面を踏みしめる。少々小さなクレーターが出来るが反作用すら利用し勢い良く空中に舞い戻る。体制を崩したセシリアの目の前で急停止して絶対防御を強引に破り、首にソードビットの刃を添える。

 

 

 

 

 

「………終わりだ」

「…っ、はっ」

 

 

 

 

 

セシリアは怯えた目で新華を見る。ツインアイの奥に存在する新華の目は、試合開始当初の無機質なままだった。アリーナに居る全員が絶句し沈黙が続く。

 

 

 

 

 

『………………はっ、し、試合終了! 勝者、青木 新華!』

 

 

 

 

 

我に返った教師がセシリアに戦闘続行能力が無いと判断し試合終了のブザーを鳴らす。新華はセシリアの首に添えていたソードビットを下ろし手放と、ソードビットは自由落下の途中で動き背中のシールドに収まった。

 

 

 

 

 

「…………ミッション終了。帰投する」

「……」

 

 

 

 

 

セシリアから距離を取り背を向けてピットに戻ろうとする新華。しかしセシリアは戦闘のショックからか虚ろな目で震えていた。だがそれも唐突に終わる。

 

 

 

 

 

「…フゥッ」

 

 

 

 

 

試合が終わり新華が離れた事で安心したのだろう、セシリアの全身から力が抜けボロボロのブルーティアーズが落下する。

 

 

 

 

 

『ッ!? オルコットさん!?』

「オルコットさん!」

「アレ不味いんじゃない!?」

「オルコットさんしっかりー!」

 

 

 

 

 

それを見ていた全生徒と教師が叫ぶ。その叫びで新華は後ろを振り向きセシリアが気絶している事に気付く。

 

 

 

 

 

「チッ(やりすぎた! 試合設定解除、リミッター解除!)」

 

 

 

 

 

新華は即座にリミッターを解除しクアンタを本来の姿に戻す。

肩のシールド全てにソードビットが搭載され腰に2つのGNプリスティス、フルセイバーユニットが展開、両手に指先全てがビーム砲になっている大型ハンドユニットが装備され、最後に肩のシールド内のスラスターがGNドライブに戻る。

 

試合の時とは比べ物にならない量のGN粒子を生成、放出する。

新華はその全てを制御し一瞬で落下中セシリアのに近付き先程展開した大型ハンドユニットで支え、自身はゆっくり減速した。

彼女に衝撃を与えず着地する。

 

 

 

 

 

「………(全く、手間かけさせやがる)」

 

 

 

 

 

大型ハンドユニットでセシリアを支えているため自然とお姫様だっこになってしまうが、その姿はGN粒子によって傷ついた女騎士を支える天使の様で神秘的だった。

 

 

 

 

 

 




新華が後のラウラと同じことを考えてます。
最初セシリアのフルボッコのやり方を二つ考えていたんですが、書いていく内にどちらも使ってしまった…どうでしたか?
流石に四つの内一つだけGNドライブの使用では戦闘能力は激減して五割どころじゃないですよね…
ソードビットはMGだとグリップ出して手に持たせられるので今回利用させてもらいました。

一部分『蒼月のイリス』…だったかな? から表現を持ってきている部分があるんですが…わかる人いるかな? あれも多分マイナーラノベなので

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