IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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大学より投稿ー

一夏とセシリアの細かい戦闘詳細は主に原作通りなので省きます。


一夏VSセシリア 最中

 

 

 

 

クラス代表決定戦 第3アリーナ、ピット内

そこには例の如く3つの人影と1つの丸い物体が。

 

 

 

 

 

「…箒。結局ISに乗った訓練出来なかったけど…剣道と新華の特訓しかしてなかったよな?」

「し、仕方ないだろう。訓練機が借りられなかったのだから」

「それでもISの勉強をするとかあったろ? 何で剣道と映画ばっかりだったんだ」

「…」フイッ

「目 を 逸 ら す な」

「何してたんだお前ら…」

「ホウキ、チャッカリサン、ホウキ、チャッカリサン」

「…五月蝿いぞハロ」

 

 

 

 

 

3人+1はそれぞれISスーツを着た一夏と制服の箒、同じく制服の新華とハロである。現在一夏の専用ISが届くのを待って、直ぐに装備出来るようピットで待機しているのだが

 

 

 

 

 

「教えるって剣道だけじゃ無くて知識もそうだろうに…一夏に教科書も渡してあるから問題無いだろう」

「…確かに剣道ばかりだった私にも責任はあるだろうが、一夏も新華から借りた映画を見たがっていたから…一夏とくっつけるし…」

「おいつまりはお前ら勉強する気無かったって事か? 俺の訓練口実にして勉強して無かったと。それに今の話だと箒もそうだが一夏は箒を責められる立場じゃねえぞ。箒も便乗するんじゃねぇ」

「「…」」フイッ×2

「目 を 逸 ら す な」

「ソラスナ、ソラスナ」

 

 

 

 

 

こんな感じでコント中である。しかし問題はこのようなコントが出来るだけの時間的余裕が有ると言うことだった。

 

 

 

 

 

 

「それにしても遅いな。もう予定の時間過ぎてるのに」

「確かに遅いな。何かトラブルでもあったのだろうか」

「さぁな(倉持技研の方々…お疲れ様っす。う詐欺の無茶ぶり相手によくこの日までに間に合わせましたね。リスペクトさせてもらいます)」

 

 

 

 

 

原因は一夏の専用機が未だに学園に届いていない事だった。今回一夏に与えられるISは本来岩倉技研で開発がストップしていた機体を束が改造し、技研が最終的に仕上げた物で性能が別物になっていた。しかし技研側から見たら開発中止したものを突然超有名人のワンオフ機にして、その機体がいつの間にか知らない形になっていた事で混乱に陥っていた。新華もこの束の無茶ぶりに巻き込まれ手伝いをさせられたので技研の内心を察し、職員の仕事振りに敬意を抱いていた。

そうして時間を潰している3人の所へ山田先生が走って来る。

 

 

 

 

 

「お、織斑君織斑君織斑君!」

「あ! 山田先生、そんなに慌ててどうしたんですか? 取り敢えず落ち着いて下さい。はい、深呼吸」

「はっ、はいっ! すーーーはーーーー、すーーーはーーーー、すーーー----」

「はい止めて!」

「うぐっ」

「………」

「………」

「…………………何してんの……………?」

「ぶはぁ! まだですか!?」

 

 

 

 

 

一夏の悪ふざけと素でそれに乗っかる山田先生。新華は思わず声を出し、「山田先生より彩夏先生の方が…どっこいか」と思ってしまった。

そこに更に千冬が現われ

 

 

 

 

 

「目上の人間には敬意を払え馬鹿者」スパァン

「ぐっ、ち、千冬姉ぇ…っだっ」ズバン

「織斑先生と呼べ。学習しろ。さもなくば死ね」

「教育者の言葉じゃないっすよ…一夏起きろー。お前が居ないと話が進まねぇんだ、ですよね?」

「そ、そうでした! 織斑君! 来ました! 織斑君の専用ISが!」

 

 

 

 

 

出席簿アタックを2コンボ喰らい沈んだ一夏を起こし先生方に話を促す。テンションが高いままの山田先生が重要な報告をすると千冬も喋り出す。

 

 

 

 

 

「織斑、直ぐに準備しろ。アリーナの使用時間は限られているからな。ぶっつけ本番でモノにしろ」

「ハッ、えっ、はい?」

「この程度の障害、男なら軽く超えて見せろ一夏」

「えっ? え? 一体…」

「「「早く!」」」

「あー、取り敢えず歩け」

「ハヤク、ハヤク」

 

 

 

 

 

 

既にアリーナ内にオルコットが待機しているからまくし立てる3人だが一夏は行き成りの展開に着いて行けず、新華が促しピット搬入口へ近付く。すると搬入口のハッチが開き中から灰色のISが現れた。

 

 

 

 

 

「これが…」

「はい! 織斑君の専用IS、『白式(びゃくしき)』です!」

「時間が無い。直ぐに装着しろ。フォーマットとフィッティングは実戦中に行え。できなければ負けるだけだ。分かったな」

「あ、ああ。…あれ?」

「ん? どうした一夏?」

「(完成したときも思ったが、やっぱ白じゃねぇよな…001コア使っているとはいえ、名前通りになるのはこの後だな)」

 

 

 

 

 

一夏が白式に触れた時、一夏は疑問の声を上げた。それは千冬の言葉に反応したのでは無く

 

 

 

 

 

「いや、試験の時始めてISに触れた時に感じた電撃の様な感覚が無いんだ」

「ん? そうなん? …あー、そういや俺もそんな事あったな」

「新華もか? 何だったんだろうあれ…」

 

 

 

 

 

新華は一夏が束に嵌められていたとき別行動で被害に遭って無いのでその感覚は分からなかったが、クアンタ(当時はOO)に始めて乗った時に同じ様な事が起きていた。ただ、新華の方は生体認証と脳領思波の登録、ヴェーダのリンクと、同時にいくつもの動作が起きた為それどころでは無くなり今まで忘れていたが。

一夏は『白式』に乗り込み体を任せる。

 

 

 

 

 

「背中を預ける様に、そうだ、座る感じでいい。後は機体の方でやってくれる」

 

 

 

 

 

千冬がそう言って一夏に指示を出す。一夏が千冬の言うとおりにするやいなや、白式が反応して一夏の体に装甲を合わせていく。カシュカシュと装甲が動き音を立てて空気を抜き完全に一夏にマッチする。直後一夏の目の前に薄い電子の膜が貼られハイパーセンサーが起動された事を告げ色々なゲージや数値が表れる。

 

 

 

 

 

「ちゃんと起動したみたいだな。一夏、相手、オルコットのIS情報出てるか?」

「ああ。ちゃんと見えてるぜ」

「大丈夫か一夏。気分は悪くないか」

「大丈夫だ千冬姉ぇ、いける」

「そうか」

 

 

 

 

 

一夏と千冬の問答に新華は姉弟の感覚を感じて思わず「やっぱ千冬さんも何だかんだで一夏が心配なんだな」と思い2828しかけるが

 

 

 

 

 

「おおっと」サッ ヒュン

「チッ」

「千冬さーん、今目でしたよー。流石に危ねーです」

「…次は無いと思え」

「はーい」

 

 

 

 

 

やはり千冬にバレてしまいお約束に。そうこうしている内に発進用のゲートが開き始める。千冬と山田先生は管制のため管制室に移動する。

 

 

 

 

 

「箒」

「な、なんだ?」

「行ってくる」

「あ…あぁ、勝ってこい。一夏」

「…お前らもう結婚しろよ。ハァ…」

「けっ…! 新華何を…!?///」

「何で行き成り? それと新華」

「ん?」

「お前の協力、無駄にはしない」

「おう。ま、無理せずお前のペースで行ってこい」

「ああ」

 

 

 

 

 

ゲートが完全に開き一夏は何時でも発進出来る体勢に入る。

 

 

 

 

 

『織斑君聞こえますか』

「! 山田先生。はい、聞こえます」

『織斑君が外に出た後、直ぐに試合が始まる訳ではありません。全体放送で開始の合図とブザーが鳴るのでそれまでは空中で待機していてください』

「分かりました」

『では、射出!』

「よしっ!」

 

 

 

 

 

 

一夏がアリーナに射出されるのを箒と2人で見届け、山田先生と千冬が居る管制室まで移動する。ピットから試合を観るのは流れ弾などで危険な為マトモに鑑賞出来ないのと、管制室には大型のモニターがあり鑑賞に適している為である。

 

 

 

 

 

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管制室

 

「失礼しまーす」

「失礼します」

 

 

 

 

 

新華と箒が管制室に着いた時、一夏とオルコットの試合が始まるギリギリ前だった。

 

 

 

 

 

「あっぶね、ギリギリセーフか? 何やら言い合っているな」

「青木に篠ノ之か。勝手に入るなと言いたい所だがあいつの試合も気になる所だろう。今回は許可しよう」

「ありがとうございます」

「アザーっす」

「だが新華、お前は駄目だ」

「うぇえええい!?」

「五月蝿い」ブンッ

「サーセン」ヒョイッ

 

 

 

 

 

最早お決まりのパターンでボケとツッコミの応酬が行われる。千冬のツッコミ(?)を華麗にかわした新華が口を開く。

 

 

 

 

 

「ま、只でさえ実力が違うのにわざわざハンデを与える訳が無いと言う事ですよね?」

「そうだ。限りなく少ないオルコットの勝利が完全に消える。お前は更衣室で待機していろ」

「…やはり新華はとんでもないな」

 

ビーーー

 

 

 

 

 

そうこうしている間に試合開始のブザーが鳴りセシリアが銃を撃つ。

 

 

 

 

 

「む、始まったな。試合終了のブザーは更衣室からでも聞こえる。聞こえ次第ピットに向かえ」

「了解っス。ではまた後で」

「チフユマタアトデ、ホウキマタアトデ」

 

 

 

 

 

新華は1人ハロを連れ管制室を出て男子更衣室へ向かう。

 

 

 

 

 

「あら、いらっしゃい♪」

「ナスダァ!」

 

 

 

 

 

そこには観戦している筈の生徒会長が居た。

 

 

 

 

 

「いやいや、ホント何で居るんですか。世界初の男性操縦者とイギリス代表候補生の対戦ですよ? あなたロシアの代表なんですから観て報告するべきでしょう」

「大丈夫。虚ちゃんに織斑君を中心にして記録しておく様頼んであるから。それにあの状態の代表候補生は観るまでも無いわ。私としてはこの後の試合の方が重要なんだけどね」

「そうでしょうけどね…一夏(あいつ)を舐めてると後悔しますよ。あなたや俺の様な計算で戦う奴にとってあの馬鹿は時に驚異になります。恐らくオルコットも計算で動くタイプなので最初は優勢でも後々厳しくなると思いますよ」

 

 

 

 

 

アリーナの方向から歓声が聞こえる。始まってから時間が経つので状況が変わったのであろう。2人は生徒達の声から盛り上がりを感じていた。

 

 

 

 

 

「そうみたいね。でも素人とエリートでは過程はどうあれ結果は見えているんじゃない?」

「まぁそうなんですけどね。でもあいつは戦闘に関しては千冬さんに似て接近戦に特化していて体で覚えるタイプなんで、戦闘中に実力を上げられるんですよ。つまりあいつに最強の刀と最高の機動力を持たせれば化けます。しかもオルコットは主に中遠距離が得意で近接が苦手。そこを付けばイイとこまで行きますよ」

「あらあら随分と信頼しているのね。流石は幼馴染と言ったところかしら」

 

 

 

 

 

生徒達の声が戸惑いと驚きのざわめきに変わる。新華は何が起きたのか大体予想したが目の前の生徒会長は怪訝な表情でアリーナの方に顔を向ける。

 

 

 

 

 

「? (どうしたのかしら。試合が終わったのならブザーが鳴る筈)」

「…実は一夏は時間が無くて初期設定で戦ってたんですよ。恐らく1次移行(ファーストシフト)が完了したんじゃないですかね」

「! じゃあ今まで代表候補生相手に初期設定で相手をして落とされなかったって言うの?」

「それが一夏です。ああ言うのを主人公って言うんですかね? あいつはここぞって時に強いんです。ま、」

 

 

ブーーーーーー『試合終了です。勝者、セシリア・オルコット』

 

 

「詰めが甘いですけどね」

「イチカアマイ、イチカアマイ」

 

 

 

 

 

新華は一夏達が居るであろう先程のピットへ足を向ける。

 

 

 

 

 

「あら、着替えなくていいのかしら? これからあなたの試合があるんでしょう?」

「問題無いですよ。ISスーツ着てるからって反応が早くなる訳ではありませんし。俺の機体(クアンタ)は特殊過ぎますから」

「そうだったわね。私も虚ちゃんとあなたの試合を観戦させてもらうから、期待してるわよ」

「りょーかいです。ではもう行きますね」

「ええ。また後でね」

「ハロハロ」

 

 

 

 

 

更衣室を後にする新華。そのまま一夏達が居るピットに向かう。あれだけの啖呵を切って負けた一夏が千冬と箒に絞られている姿を予想しながら。

 

 

 

 

 

 




今日はここまでっ!

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