IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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161話目になります。
リオオリンピックかぁ…


混沌の戦場

 

 

 

 

 

 

---竹島基地、ドック水中

新華は目の前に迫る黄金色の機体を確認した。その機体は一直線に自分へと向かってくる。

 

 

 

 

 

「青木 新華!」

「スコール・ミューゼル!」

 

 

 

 

 

『ゴーレムⅣ』を上に切り裂いて『GNソードⅥ』を構える。スコールの纏う機体は黄金色のままだったが、全身装甲に変更され頭部は見覚えのあるツインアイになっていた。

 

 

 

 

 

「今あなたの相手をしている暇は無いのよ!」

 

 

 

 

 

その叫びと共に4基の浮遊砲台、ドラグーンが新華の目の前でビームを放ち水蒸気爆発を引き起こす。

 

 

 

 

 

「この程度で見えなくなるとでも…っ!」

 

 

 

 

 

水泡と熱量と衝撃を装甲で受け、目前に迫る悪意に対し『GNソードⅥ』を突き出す。

今回使用している『GNソードⅥ』は新華が新造したオリジナル武装であり、『GNソード』『GNソードⅢ』と同様に実体剣部と砲口が別々になっている。特徴的なのは実弾とビームを選択して射撃可能な点であり、Sビットと合体・併用することで威力を増加させることも可能になっている。勿論『ライザーソード』も使えるがエネルギーの効率化により、従来のそれよりも薄く『斬る』イメージが濃くなっている。

 

 

 

 

 

「なっ!?」

『これは!』

 

 

 

 

 

新華とサヤカが驚いたのは、突き出した『GNソードⅥ』に当たった武器と、眼前に現れた機体がスコールのそれとは違っていたからだった。

同時に、新華はその目で、サヤカは新華の記憶の中で見たことがあった。

 

 

 

 

 

「『クロスドレッサー』!?」

『ご主人様、スコール・ミューゼルが!』

 

 

 

 

 

真っ黒な装甲に狼を想起させる頭部、P・V・Fのように右腕と一体化したガンランス。『寄生型P・V・F』と分類され『灰色領域』によって作られた『スキゾイド・ドーベルマン』。新華自身は交戦していないものの、戦後で資料に目を通していた。

しかし実際に見せ付けられ、更にその機体内部から悪意を感じたことで怒りを隠せなかった。

 

 

 

 

 

「クソがっ! 逃げるな! 外道があああ!」

『ご主人様!』

「分かっている! 出し惜しみしている場合じゃない、トランザムだ!」

『はい!』

 

 

 

 

 

上昇し基地出口に向かうスコールと複数体の『スキゾイド・ドーベルマン』もどきに叫び、一気に殲滅するために切り札を1つ使う。

新華に向かってくる『スキゾイド・ドーベルマン』は3機居てランスを突き出したり射出してきたが…

 

 

 

 

 

『貴様さえ…貴様さえ居らねば!』

『このような惨めな姿を…何故このような目に』

『怨むぞスコール・ミューゼル…怨むぞ青木 新華!』

「寝ていろ老害共(・・・)!」

 

 

 

 

 

搭乗者の憎しみを無視しライザーソードを展開した『GNソードⅥ』を振るう。体を捻り180度回転させて放ったその攻撃は、目の前の『スキゾイド・ドーベルマン』もどきに回避させる暇を与えず周りの無人機を巻き込んだ。

 

 

 

 

 

「Bチーム新華よりCチーム! そっちにスコール・ミューゼルが有人機と共に向かっている! こちらはトランザムを使い殲滅後応援に向かう」

 

 

 

 

 

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---side ガンペリー

 

 

 

 

 

『スコールの搭乗機は金の全身装甲でビーム兵器のBTを装備。また随伴機の有人機は射出可能なランスを装備している!』

「数は?」

『6! 残りの無人機はこっちで全部落とす!』

「分かったわ」

 

 

 

 

 

新華からの通信を受け刀奈は戦場を確認する。

敵IS2機を実達は確実に追い詰めていた。敵は4対2で戦おうとしていたが…

 

 

 

 

 

『このっ、この程度なのですか! あなたにその『サイレント・ゼルフィス』を駆る資格はありませんわ!』

『元々そちらの物でしたわね。私では役者不足でしょう』

『それもそのような下品な色に…! 許してはおけませんわ!』

 

 

 

 

 

セシリアがピンク色の『サイレント・ゼルフィス』を1対1で圧倒していたため、2対1どころか3対1と1対1という面白い構図になっていた。

故に『黒騎士』のマドカは3機のMSの猛攻を受けていた。

 

 

 

 

 

『遅い!』

『チィ! 流石に分が悪い!』

『逃がさない、捕まえて更生させてやる!』

『2人共、熱くなり過ぎるな。エネルギー残量は?』

 

 

 

 

 

真が近接攻撃を仕掛け実がビームサーベルで隙を突きスウェンが援護する。マドカの『黒騎士』は近接主体の零落白夜使用機で、光学兵器によるエネルギー攻撃を吸収出来る盾を持っていたが既に真に斬られていた。

 

 

 

 

 

「ふむ、Aチーム、状況はどうですか」

『こちらAチーム、カナードだ。現在管制室に織斑と更識が残り情報を集めている。俺とデュノアはMS隊と合流し、新型無人機と交戦中だ』

「了解。増援は必要ですか?」

『いや、問題は無い。すぐ終わる。歩兵隊も順調に基地を制圧しているからな』

「分かりました。何かあればすぐ連絡を」

『分かっている』

 

 

 

 

 

刀奈は基地に侵入しているAチームと連絡を取り、Cチームに指示を出す。

 

 

 

 

 

「はい、Cチーム傾注! さっきの通信は聞いていたわね? そこで山田先生、凰ちゃん、ボーデヴィッヒちゃんに出撃してもらいます」

「会長、俺と箒は?」

「まだ様子見。嫌な予感がするもの。じゃあ順次出撃---」

 

 

 

 

 

してください、と言おうとした時、ガンペリーの船体が大きく揺れた。

 

 

 

 

 

「!? 衝撃、下から!」

「総員ガンペリーから出なさい!」

 

 

 

 

 

続けて2度、3度と衝撃が走り全員がコンテナから飛び出す。6人がISを展開して振り向くと、プロペラが吹き飛び落下していくガンペリーの姿があった。

 

 

 

 

 

「なっ、誰よ今の!」

「敵襲でしょうね。織斑君と篠ノ之ちゃんは私と迎撃、山田先生達はBチームの方へ!」

「わかりました!」

「っ! 会長、来ます!」

 

 

 

 

山田先生、鈴、ラウラが実達の方へ向かうと、海面から1機の白いISが表れる。刀奈達がその姿を確認すると、その機体、『白獅子(レオン)』が刀奈を見る。

 

 

 

 

 

「…あの機体はどうやら、私をご指名のようね。織斑君、篠ノ之ちゃん、援護をお願い」

「はい!」

「わかりました。あの機体はまさか姉さんが…?」

「それを考えるのは後。来るわよ!」

 

 

 

 

 

刀奈達3人は身構える。下から3人、正確には刀奈1人を確認した『白獅子』は両手の銃口を向け

 

 

 

 

 

『ターゲット確認、排除開始』

 

 

 

 

 

刀奈目掛け飛び上がりビームを放つ。3人は散開し戦闘を開始する。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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---side リリーマルレーン

 

 

『シーマ艦隊』旗艦『リリーマルレーン』では、艦隊司令のシーマ・ガラハウが僚艦からの報告を受けていた。

 

 

 

 

 

「…それは確かなのかい?」

「はっ、報告によると海底方向で何かを落としたような着水音を1つ、ISサイズの何かが戦場へ向けて高速移動した音を拾った、と」

「位置は?」

「水深3000m程です。いかが致しやしょう?」

 

 

 

 

 

伊達に最新鋭潜水艦郡ごと離反しただけのことはあり、彼女の率いる艦隊は実に優秀だった。

---『白獅子』の出撃で起きた音を拾うくらいに。

 

 

 

 

 

「そうさね……3艦で音のあった場所を監視させな。武装の使用は各艦長に任せる」

「アイサー!」

 

 

 

 

 

部下に指示を出したシーマは思考を巡らせる。

 

 

 

 

 

「(この付近にアタシら以外の潜水艦は居ないし確認していない。となると篠ノ之 束の移動ラボか。おそらく音の正体はISのような何かじゃなくISだと考えた方がいいね)」

 

 

 

 

 

彼女の指揮官としての思考が状況の分析と予想を行う。

 

 

 

 

 

「(出たのは博士かクロエってガキかどちらか、はたまた新しい無人機か…。どちらにせよ警戒は必要か)」

 

 

 

 

 

彼女の頭の中で情報が形になりやるべきことを見つけていく。現在の戦況、これから起きるであろう状況、誰がどう行動し、どう結果が出るか、またどういう結果にすべきか。

 

 

 

 

 

「…MS隊と歩兵隊の現状は?」

「はっ。歩兵隊は軽傷者数名、MS隊は負傷者無しです。歩兵隊は基地内部の9割を既に制圧。ただ、基地最深部で石油タンクとプラントを発見したとの報告が」

「何? 本当かいそいつは」

「現在調査中ですが、確実だそうでさ。それとMS隊ですが、ドッグの抵抗勢力はほぼ無力化に成功。基地内部で無人機が暴れていたそうですがCBの連中と合流して交戦中とのことでさ」

「よし、なら後は予定通りだ。基地を完全に制圧したら捕虜を一箇所に集めて引き渡しの用意。MS隊も時間まで待機させな」

「アイサー!」

 

 

 

 

 

報告を聞き手に持つ扇子をパンッと鳴らす。そして腕時計で現時刻を確認する。

 

 

 

 

 

「……もうすぐ夜明けかねぇ」

 

 

 

 

 

畳んだ扇子で肩を叩きながら、天井の向こう側にある水上方向に目を向ける。

島で行われている戦いは激しく、しかし確実に終息へと向かっていた。

 

 

 

 

 

 




次回は戦闘onlyの予定です。今年中にこの作品を完結させたい…!

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