「ちょっとよろしくて?」
男2人で苦しんでいる所に1人の女子が話しかけてきた。金髪ロールでお嬢様と解る喋り方だった。
「ん? なんだ?」
「あ? 何?」
「まあなんなんですの! そのお返事は! 私に話しかけられるだけでも光栄なのですから、それ相応の態度と言うものがあるのではないのかしら?」
「…」
「あ”? 舐めてんのかテメェ」
彼女の反応に沈黙する一夏と思いっきりガンを飛ばす新華。一夏は苦手意識を持つ程度だが新華は早速毛嫌いし始めた。
「悪いな、俺君が誰だか知らないし」
「
「おう、知らん」
「さっきの自己紹介で一夏のインパクトがでかかったからなぁ…それに代表候補生なんぞ一々確認しねぇし」
「あ、質問いいか?」
「ふんっ、下々の者の要求に応えるのも貴族の務めですわ。よろしくってよ」
「…ハロ」「ハロッ」
「代表候補生って何? っだ!」スパァン!
金髪の彼女---セシリア・オルコットの見下した発言を華麗にスルーした一夏は、誰もが分かっている部分を質問し、新華はそれを察知してハロから愛用のハリセンを出して叩く。
尚、教室でこの会話を聞いていた生徒は全員ずっこけた。
「おいこら、お前文系じゃなかったのか? 字で分かれや」
「あ、あなた本気で知らないとおっしゃいますの!?」
「おう、知らん」
「信じられませんわ。極東にはテレビも無いのかしら…」
「テメェ人を侮辱すんのもいい加減にしろやコラ…、一夏、字を見ろ。端折るがつまりIS国家代表の候補生のことだ」
「そう、つまりはエリートなのですわ!」
新華が一夏に代表候補生の説明を簡単にすると、セシリアは胸に手を当てて偉そうに言い放つ。
「って言っても代表候補生位なら努力次第で誰でもなれるから自慢する程じゃぁねぇけどな。問題はそっからどうするかだし。ここにいる全員でも努力次第で候補生になれるし。ついでに言うと、大抵こういう自意識過剰な奴って実際は噛ませか大したことない奴って相場が決まってるんだよな」
「なっ、あなた私を侮辱しますの!?」
「事実じゃね?」
「なんっ…ん、んんっ。とにかく、本来なら私の様な人間に話しかけられるだけでも光栄なことなのですよ?そのあたりを理解していただけるかしら?」
「そうか、それはラッキーだ」「そーなのかー」
「…馬鹿にしていますの?」
「イェアwww もちろんさぁ♫」
新華はノッてきたのかセシリアを明らかに挑発していた。一夏は殆ど素だったが、そこに新華の挑発が加わりどう見ても馬鹿にしかしていなかった。セシリアはかなりイラつきながらも自分を誇示しようとする。
「くっ。だ、大体あなたISについて何も知らないくせに、よくこの学園に入れましたわね。男性でISを操縦できると聞いていましたから少しは期待していたのですけれど、残念過ぎますわね」
「俺に何か期待されても困るんだが」
「俺のネタは無視? そうですか、無視ですか」
「ふん。まぁ、でも私は優秀ですからあなたの様な人間でも優しく教えて差し上げますのよ? まぁ、泣いて頼まれたら、ですけども。何せ私入試で唯一教官を倒したエリート中のエリートですから」
セシリアの方も話している内にノッてきたのか、声のトーンを上げながら教卓に立つ。一夏は今の発言の中に思い当たる所があったのか、
「なぁ、入試ってあのISに乗って戦うアレか?」
と聞く。
「それなら俺も教官倒したんだが」
「はっ?」
「っていうか倒したと言うよりあれは自爆だったけど」
「何があったんだお前んとこ…?」
「いや、行き成り量産機で突っ込んで来たから避けただけだったんだけど、そのまま壁にぶつかって気絶してた」
「んだそりゃ? 試験以前の問題じゃねぇか」
「そう言う新華はどうだったんだよ。心配ないと思うけど」
「あぁ、それなんだがな? 俺は免除」
「「ハッ?」」
「ほら、あの
「ま、マジか…」
「あなた一体…?」
キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴り呆然としている2人が我に返る。
「ほれ、先生が来たぞ。席に戻れ。っていうか何でハロ喋らなかったんだ? 空気読んだのか?」
「授業を始めるぞ。さっさと席に…着いたな」
千冬と山田先生が教室に入り前に立つ。それまで立っていた生徒は驚異的な速度で席に着く。今回の授業は山田先生が窓側に立ち教壇には千冬が立つ。
「これより再来週行われるクラス対抗戦に出る代表者を決める。クラス代表者とは、対抗戦だけでなく生徒会の会議や委員会への出席など…まぁクラス長と考えてくれていい。自薦他薦は問わない。誰か居ないか?」
「はい。織斑君がいいと思います」
「え!? お、俺!?」
「私もそれがいいと思います」
「なっ」
「私は青木君がいいと思います」
「やっぱ出るよな…」
「私も青木君を推薦します」
「…言い忘れたが織斑はともかく、青木には特殊な理由があってクラス代表を含めた役職につかせる事は出来ない。織斑ならともかくな」
「何故2回言ったし」
「「では織斑君で」」
「えっ、またか!?」
「他には居ないのか? 居ないなら無投票当選だぞ」
「ちょ、ちょっと待った! 新華は何で駄目なんだ!? それに俺はそんなのやらn「納得がいきませんわ!」?」
セシリアが席を勢い良く立ち上がり喋り出す。
「サイコガンダムさんがログインしました(声的に)」
「そんな選出は認められません! 男がクラス代表なんていい恥晒しですわ! このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえとおっしゃるのですか!? 大体、文化としても後進的な国に暮らさなくてはいけないこと自体私にとっては耐え難い苦痛で…!」
「(嫌な感じだ、あいつ。自分の立場を振りかざすばかりで、人の話を聞こうとしない)イギリスだって大したお国自慢無いだろ。世界一不味い料理で何年覇者だよ」
「あらら」
「なっ美味しい料理は沢山ありますわ! あなた、私の祖国を侮辱しますの!?」
「…」
「………」
「「………」」
売り言葉に買い言葉。2人の言葉が途切れクラス中の視線が2人に向けられる。その中で新華は、今の会話にあきれて物も言えなかった。
セシリアは日本人の前で堂々と日本を貶した挙句母国が貶されるとそれに噛み付き、一夏は貶される事に我慢ならなかったようでセシリアの母国イギリスを貶すという、まんま子供の喧嘩だった。
「…決闘ですわ! わざと負けたりでもしたら私の小間使い、いえ奴隷にしますわよ!」
「ああいいぜ、しのごの言うより分かりやすい」
「おいおいおいおい…展開が早ぇよ。それに何だ今のやり取り、常識を疑うぞ。何だあれか? コイツらは脳筋か?」
新華の目の前で早々と会話が進む。新華は思わず『此処って世界を代表する国立学園だよな?』と思った。そのまま静かな教師2人の方を向くと、2人共先程から表情を変えていなかった。傍から見れば教師として平然としているよう見えただろう。
しかし色々と規格外な新華は、その表情から漏れ出る怒気を感じた。千冬はキリッとした顔で、山田先生はニコニコ笑顔で。
「(千冬さんより笑顔のままの山田先生の方が怖く感じるのは、気のせいじゃ無いな)」
「なら、ハンデはどうするんだ?」
「あら? もう」
「いや、俺がどれだけのハンデ付ければいいのかって」
そのセリフを一夏が放った一呼吸後、教室の生徒の殆どが爆発するように一斉に笑い出した。
「織斑君、それ本気で言ってるー?」
「男が女より強かったって言うのは昔の話だよ?」
「オルコットさんは代表候補生だから、素人の織斑君がむしろハンデを貰う方だよ?」
「今なら間に合うからやめといた方がいいって」
「………」
一夏はクラス中からの反応に驚いた。そしてオルコットが代表候補生だということを思い出して取り消そうと思った。しかし
「あ、あぁ。そうだな。ハンデは取り消…!」
一夏が言い終わる前にパンッと音が鳴る。同時にオルコットを含め笑っていた女生徒達に殺意で出来た圧力がかかった。
「な…んだ…?」
「これ…は…!?」
「…やっぱり一夏とオルコットも
「「!?!」」
それまで笑っていた女生徒達はその顔を凍らせ、オルコットは辛うじて喋れる位。教室がビリビリと鳴っている中平然と一夏の方に歩く新華は、オルコットと一夏の丁度中間で止まった。そして一夏ようやく、目の前の幼馴染から殺気が発せられていると分かった。
「あ…なた………一体………」
「し…んか…?」
「…おい、今笑った奴ら」
「「「「!!」」」」
一夏とオルコットが話しかけるのを無視して新華は動けない女生徒達に話し掛けた。女生徒達はこの状況の原因が新華だと気付き、話かけられた事で体を震わせる。
「女が男より強いってんなら、誰でもいい今すぐ笑ってみろよ。笑えるからさっき笑ってたんだろ?」
「「「「…」」」」
「オルコットも、この程度で動けなくなるんだったらISから降りな。死ぬぞ?」
「なっ…」
「あと一夏。お前は他人に流され過ぎだ。そんなホイホイ考えを変えるんじゃねぇ。
「うっ…」
「それとさっきの決闘
オルコットと一夏、動けない女生徒に言いたい事を言い切った新華。言ったら満足したのか小さく息を吐いて殺気を収めた。周囲の女子は圧力から解放され深呼吸をする。その中で最初に動いたのはオルコットだった。
「っ…! あなた何をしてくれますの!? このセシリア・オル「黙れ雑魚が。喧嘩売るのはは相手をよく見てからにしろ」んなっ!?」
「お、おい新華言い過ぎだろ! いくらなんでも「何時まで立っているつもりだお前ら」ち、千冬姉ェ、っだ」
出席簿で一夏の頭を小突く千冬。その顔には呆れの色が浮かんでいた。
「織斑先生と呼べと言っただろうが馬鹿者。これ以上は埒があかん。クラス代表が決まらないようならオルコットと織斑の2人で試合をして決めろ。日にちは来週、第3アリーナで行う事とする。織斑とオルコットは、それまで準備をしておく様に。それと青木の発言や行動、扱いに納得がいかない者もいるだろう。この試合の後に、青木にも試合に出ることとする」
「…俺もですか? 確かにその方が手っ取り早いですが、いささか強引過ぎじゃないですか?」
「口で言っても信じない奴らが余りにも多い。生徒会の面子や
「その代わり俺が面倒い事になるのが目に見えるんですが」
「そこは我慢しろ、そしていい加減に席に着け。もうこれは決定事項だ。織斑とオルコットも席に着け」
「はーい」
「くっ、わかりました」
「あ、ああ」
新華と千冬との会話に殆どの生徒は?を浮かべていた。しかし席に3人が着いた後千冬が授業を始めたため深く考える事は出来なかった。
駆け足!
抜けている部分が所々あると思いますが、原作もってないのでどうしようもありません。
ハロは本当に空気読みました。