IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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152話です。
4ヶ月もお待たせして申し訳ありませんでしたァ!
2ヶ月バイトがミッチリ入ってて200時間以上働いてました…。そしてレポートも絶妙なタイミングで提出期限がががが

あと『F-storm』氏の方でコラボやりました。最初だけ読んでると新華がただのヤリチ●ですが、気になった方は是非。
というかコラボってアレみたいに話し合いながら書く物だと思ってたんですが、最近なんか違う気がしてならない…


クリスマス

 

 

 

 

 

---12月24日クリスマスイヴ、ソレスタルビーイング

どこの町も浮かれ、賑わいを見せる日の1つ。ロシアから帰国した新華は

 

 

 

 

 

「メリイィィィィクリスマアァァァス!」

 

 

 

 

 

孤児院のホールで孤児全員を巻き込んだ毎年恒例行事を行っていた。

 

 

 

 

 

「さぁ今年も! 毎年恒例基本全員参加のクリスマスパーティーを実施しまーす! じゃんじゃん食って飲もうぜ!」

「「「「「「「YAAAAAAAHAAAAAAA!!!」」」」」」

 

 

 

 

 

新華の叫びにオッサン勢と元気な子供がバイキング形式で続き並べられた料理を手に取る。

この日は警備部のメンバーも交代で参加するようになっており、現在この場に居ない者も後から来ることになっていた。

最もオッサン勢にそこまで飲む者は居ないが

 

 

 

 

 

「はぐっ、はぐっ」

「チキンんめぇ!」

「……(このポテトの塩、明らかに厳選してある件。コンビニのより明らかに美味いんだけど)」

 

 

 

 

 

子供達はガツガツと用意された料理を口に入れ、オッサン勢は手にした酒に合うお抓みを探してふらつき、子持ちや家庭持ちは家族で楽しんでいた。

和気藹々としたホールの中、新華は

 

 

 

 

 

「父さん、母さん」

「あら、新華」

「手伝ってくれてありがと。人数割と多いし大変だったでしょ」

「いや、元気な子が多かったから大丈夫だ。しかし…」

「?」

「これだけの人数がこの場所に、それも人種もバラバラなのに住んでいると思うと、不思議な気持ちでな」

「あー、そりゃねぇ…」

 

 

 

 

 

調理場付近で一息付いていた父と母に声を掛ける。父も母も始めての人数によるクリスマスに疲れたのか、賑やかなホールを見渡して溜息を吐いた。

 

 

 

 

 

「今年も人が増えたから。今更っちゃ今更だけど、父さんと母さんは初参加だもんね。俺も初だったりするけど」

「…そういえば新華は毎年クリスマスとお正月にはちゃんと帰ってきてたわね」

「うん。流石にあん畜生に振り回されたとしても、ちゃんと最後は家で過ごそうと思ってたから」

「なんだか、大変な事になっちゃったわね」

「うん……」

 

 

 

 

 

青木母の言葉に思いっきり引け目を感じて新華のまとう空気が暗くなる。それに気付いた両親が慌てるが

 

 

 

 

 

「どーん!」

「ぉおっ!?」

「なーに暗くなってるのよ。パーティーなんだから主催は明るくいなさい!」

 

 

 

 

 

後ろから刀奈が飛び付き新華の頬を突く。新華はいきなり飛び掛られたので体勢を崩すも、笑って彼女を背負った。

遅れて人数分の食器を持ったシャルロットと簪も来た。

 

 

 

 

 

「よっと、はは。悪い悪い」

「ほら、折角なんだし皆で回りましょ!」

「そうそう。折角のパーティーなんだからね?」

「料理もおいしそうだし、楽しいと思う…よ?」

「ああ、そりゃ楽しくなるな、絶対。それに新しく入ったやつも居ることだし、紹介もしようか。父さんと母さんも来る?」

 

 

 

 

 

背中の刀奈を下ろしシャルロット、簪からそれぞれ紙皿と箸を受け取り両親へと視線を向ける。

 

 

 

 

 

「いや、お前達だけで行ってきなさい。私達は私達で回るから」

「ん、分かった。じゃあ()ず3馬鹿+新人のところ行くか」

 

 

 

 

 

両親から移動させた視線の先に居る少年4人をロックオンし5人で向かう。

 

 

 

 

 

「楽しんでるかお前らー?」

「あ、新華さん」

「…!? ど、どうも」

「体調はどうよ?」

「え、ええ。お陰様で」

「そりゃよかった」

 

 

 

 

 

実、真、スウェンの3人と1人の体が細い金髪の少年の集いに声を掛ける。

 

 

 

 

 

「新華、彼が新人さん?」

「そう。ついこの間面倒見ることになってな。ああ一応紹介しとくよ。『レイ・ザ・バレル』。ちょっと訳アリのところから預かってる」

「そうなんだ。よろしくね」

「よ、よろしく」

 

 

 

 

 

アズラエルの協力者で亡国機業からの離反者『ラウ・ル・クルーゼ』の身内の少年、『レイ・ザ・バレル』。

彼らはラウラやマドカのプロトタイプとも言える技術を使ったクローンで、レイは『研究用サンプル』としてとある施設にて『冷凍保管』されていたのをクルーゼが救出した、彼の弟と言える存在だった。

だがクローン技術が確立していない当初の彼は体が弱く、かつての実、まではいかないまでも薬物の投与が行われており体がボロボロだった。

 

 

 

 

 

「じゃんじゃん食べなさいな。新陳代謝も良くなってるはずだし沢山食って運動しな」

「ですが…」

「遠慮は要らんよ? というか只でさえ体細いし弱ってたんだから食え。前にお世話になっていたところでも言われなかったん?」

「ギル…ラウの、友人の家ではあまり、その。(体の関係で)消化に悪いものは…」

「あー、そうかそうか。…まぁ、無理しない範囲で。実」

「フォローっしょ。分かってるって」

「というわけで、真。その手に持った肉の山は自分で処理しなさい。残すなよ」

「えーっ!?」

「だからやめておけと言っただろう…」

 

 

 

 

 

皿2枚を両手に持ち声を上げる真と溜息を吐くスウェン。そこで新華は実を手招きしレイ達に聞こえないよう会話をする。

 

 

 

 

 

「彼、ちゃんと連れ出してくれてありがとうな」

「いや、別にいいけど。本当にいいの? 自由に歩かせて」

「いいんだよ。議t…前に世話になってたトコでも多少の運動させてたらしいしさ」

「だけどさ…」

「なーに? いかがわしい所にでも行こうとしたの?」

 

 

 

 

 

あらかじめ新華は実に部屋から出なくなるであろうレイを連れ出すよう頼んでいた。レイは実と同じように被検体として弄ばれていたので、あまり人と対等な関係で接する事が極端に少なかった。クルーゼによる救出後も彼の友人である『ギルバート・デュランダル』の元に居たときも、必要以上には外を出歩かなかった。

それを聞いた上で、孤児院内部だけでもいいからと実に任せたら、どういう経緯があったかは分からないが真とスウェンも加わり3馬鹿+αが出来ていた。

新華の背中から刀奈も会話に参加する。

 

 

 

 

 

「(そんなんじゃ)ないです。そもそも彼、CBから出ようとしませんし。ただ、割とボーっとしている事が多いんだよな」

「ふむ、例えば?」

「んー……」

「………」

 

 

 

 

 

新華と実が真面目な表情になり、それを交互に見る刀奈。

 

 

 

 

 

「よく孤児院連中に連れられて裏の空き地や林の中に行くんだけどさ。目を離すと直ぐにボーっと」

「ほむほむ」

「で、声を掛けると反応するんだけど……」

「うむむ……」

 

 

 

 

 

実は視線が気になるも、しばらく新華と話し込みレイや真達が騒がしくなるとそちらへと行ってしまった。

 

 

 

 

 

「…で、どうした? 俺と実の顔を見比べて」

「んー、いやね、同じ顔に見えるけど全然違うなーって思ってね」

「…そうか?」

「そうよ。まー私達やご両親のような近い人なら分かるけど、新華君のことを理解してない人や実君を知らない人には分からないでしょうけどね」

「ほほー。そういや学園祭の時に実が俺と間違えられたって言ってたな」

 

 

 

 

 

そう言ってまた移動し、今度は警備組のカナードと劾、そして一緒に居るメリオルに声を掛けた。

 

 

 

 

 

「お疲れ様です。楽しんでますかー?」

「おう、来たか。…まぁ、お前さんには敵わなんとは思うがな」

「実際楽しいので否定はしません。っと、お二人は今日夜の担当でしたね」

「ああ。しばらくゆっくりしたら行くが、入れ替わりでジニン達が来ることになっている」

「ですか」

「う、あの人達が来るんだ…」

「……あー」

 

 

 

 

 

カナードと劾との会話に出てきた名前に、シャルロットが難色を示した。一応、シャルロットはジニン、ソンネン、ワーカーと顔合わせは済ませていた。

 

 

 

 

 

「当時は今の状況を想像してなかったからなぁ。なんというか、スマン」

「ああ、いや、気にしなくてもいいよ。僕が苦手なだけで、あの時の事は謝ってくれたからね」

「3人共再会早々に頭を下げての謝罪でしたね。経営部と警備部は事情を把握してましたが、当時見ていた子供達は驚いてましたね」

 

 

 

 

 

シャルロットと3人は互いに出来るだけ遭遇しないようにしていたため、オータム捕獲後のリザルトが初再会でした。

 

 

 

 

 

「院長の人材マニアは今に始まったことではありませんから」

「マニアって程じゃないんだけどなぁ」

「俺達を前にしておいてよく言う。その辺は置いておいて、だ」

「これからも同じ環境下で過ごす者同士で解決するしかないだろう」

「うう、そうですよね…」

「いや本当にスマン。俺も手伝うから」

 

 

 

 

 

軽く会話をしてからまた移動する。次に遭遇したのは開発部のルイードとその妻マレーネだった。

 

 

 

 

 

「お、ルイードさん、マレーネさん。楽しんでますかー?」

「ん? ああ、新華君達か。楽しませてもらってるよ」

「そりゃよかった。ってあれ? フェルトちゃんはどうしたんです?」

「フェルトならあそこだよ」

 

 

 

 

 

マレーネが指差す方を見ると、ルイードの赤髪にマレーネの顔立ちの少女が子供達の輪の中で笑っていた。

 

 

 

 

 

「皆楽しんでくれてるみたいですねー。よかったよかった」

「日本語がまだ上手く話せない子が多いけど、年長組がサポートしているようだよ。フェルトもよく遊び相手になってもらっているそうだ」

「実や真達ですか?」

「いや、彼らよりトラッシュ君やフリッツ君の方が接する機会が多いようだよ」

 

 

 

 

 

見るとトラッシュとフリッツの2名が孤児院事務部のセイラと共に、紙皿に料理を取ってあげる等の世話をしていた。

 

 

 

 

 

「なるほど」

「詳しいことはマスさんから聞いてくれ。定期報告も上がっている筈だし」

「イエッサ」

 

 

 

 

 

新華とルイードが会話する横で簪とマレーネもそれぞれ会話していた。

 

 

 

 

 

「私のようにISから降りて専業主婦になるのも居れば、フランス現国家代表のように降りないのも居る」

「…はい」

「今持ってるそのIS(チカラ)、手放す覚悟もしておきなさい」

「はい」

「いい返事だ。何か相談があればいつでも聞いてあげるから、その時はいらっしゃい。もちろん、もう2人も同様にね」

「その時は、お願いします」

 

 

 

 

元代表候補生として現代表候補生の簪達に思うところがあったのだろうか、簡単な忠告というか人生の先輩からのアドバイスを行っていた。

ルイードも新華も技術屋であるので、彼らが揃ったときの起きる事態への対処もレクチャーする。

 

 

 

 

 

「……で、以前預かったシューズなんだが。アレをそのまま販売しようとすると危なくてね」

「あー、転倒とかの問題がやっぱありますもんね」

「そうなんだよ。だから販売するのは少し様子見で、まずCB内部でレンタルとかでお試しした方がいいと思うんだ」

「ふむ、そうなるとボウリング施設やスキー場のシューズ貸し出しと同じやり方でやれば…新たに貸し出し機を作るか発注する必要がありますね」

「そこは経営部と相談してくれ。それと最新型MSの……」

「…いい加減にしなさい」

「いででででで!」

 

 

 

 

 

マレーネが新華と仕事の話を始めようとしたルイードの耳を摘み引っ張る。それにより開発談義も中断された。

 

 

 

 

 

「そういう話は後にするって言ってたでしょ」

「すまんすまん! 分かったから手を離してくれ! 痛たたたた!」

「時によっては、こういったブレーキ役もこなす必要もあるから気を付けなさい?」

「はい」

「あのー、マレーネさん? 簪に一体何を教えているんでせうか?」

「旦那の手綱の握り方」

「……」

 

 

 

 

 

パッと手を離し事も無げに言うマレーネの言葉に、簪に目を向けた新華。

 

 

 

 

 

「ん、頑張る」

「お、お手柔らかにな?」

 

 

 

 

 

引っ張られた耳を赤くしたルイードを尻目にその場を離れる新華達。

その後も粗方回り時間が過ぎると、新華は3馬鹿を連れて会場を出て着替え

 

 

 

 

 

「メリィクリスマァァァァス!!」

 

 

 

 

 

袋を担いだサンタ服姿で再登場した。3馬鹿も同じ姿であり、更に先程まで姿の見えなかったサヤカの姿もあった。

 

 

 

 

 

「大人以外は集合! 今年のプレゼントを取りにこーい」

 

 

 

 

 

そう言って子供達を招集する新華。毎年プレゼントだけ用意していたがこの役割は実達に任せていたので、割と楽しみにしていた。

サヤカ、実、真、スウェン達もそれを手伝うように子供達へのプレゼントを渡す為に手に取る。

そして新華の召集で子供達が群がる。

 

 

 

 

 

「よーしよーし、良い子は好きだぞー? ほい、一人一つずつなー」

「はーい押さないでくださいね。転ぶと危ないですよー」

「おい、こら押すなお前ら! 危ない!」

「コラ、プレゼント貰った奴は離れてろ。あとそこ! 開けるんなら部屋に戻ってから! いつも言ってるだろ!」

「全員分ある。慌てなくても貰えなかったなんて事は無いから安心しろ」

 

 

 

 

 

いつも通りに慣れた手つきでプレゼントを渡していく実達。新華も笑顔で、傍からもても分かるくらいは嬉しそうにプレゼントを渡していた。

……本当に子供が好きだなお前は。

そんなこんなで時間もあっという間に過ぎ、パーティーが終わる。

新華達は会場を片付け、自分達の部屋へと戻っていく。

 

 

 

 

 

「お疲れ様ー。ふぅ、初参加にしてはスルーされなくって良かった」

「まぁ、そうねぇ」

「? 何か含みがある言い方だな?」

「いや、うん。気付いていないならいいんだよ」

「そうか?」

「(…新華君に女の子ばっかり集まってて、私達と同じ目で見られていたんだけど…)」

「(気付いていない、というか反応してないだけですねぇこれは。まぁ単純に恋愛事はご主人様の中で決着付いてるからでしょうけど)」

 

 

 

 

 

青木宅の新華の部屋に新華を含めた5人が揃っていた。新華とサヤカはともかく、刀奈達はゲストルームを使わずに泊り込みというか、ゲストルームを荷物置き場にして入り浸っていた。

 

 

 

 

 

「そういえばサヤカはパーティーに来るの遅かったね。何かあったの? ハロ達も居ないし」

「ああ、それはですね。最新装備のマッチングをしていたんですよ。ハロ達は現在研究室で調整中ですし」

「最新装備? また作ったのね」

「まぁな。再生産したαユニットを使ってるからイマイチ時間掛かるのよな。テストして再調整後にもう1度生産し直すつもりだけど」

「…それって、私達にも使える?」

「勿論。今の内に使用許可発行しとこうか?」

「うん」

 

 

 

 

 

投影ディスプレイを操作しつつ新華は3人の様子を見てサヤカとタイミングを計っていた。

 

 

 

 

 

『もうそろそろいいかな?』

『ですから大丈夫ですって。何度もタイミングの確認はしたじゃないですか。情緒の最中でも無ければ、ご主人様達の間柄で失敗することの方がありえませんって』

『うむむ…。よっし』

 

 

 

 

 

脳量子波での会話をした後、新華は気合を入れて3つの箱を取り出す。それぞれ片手で持てる程度の大きさだが3個同時に持つには厳しいという微妙な大きさだった。

 

 

 

 

 

「あら、新華君その箱は?」

「えー、今日の為に用意した3人へのクリスマスプレゼント…だな」

「えっ、本当!」

「嘘言ってどうするんだよ。で、受け取ってくれると嬉しいんだが…」

「勿論! ねぇ、ここで開けてもいい?」

「いいともさ」

 

 

 

 

 

そう言うと刀奈達は包みを開けると、中に目を閉じたフェレットのような小動物が居た。

 

 

 

 

 

「あら可愛い」

「わわっ、フェレット!?」

「えっと…これって、ロボット…? 凄い、本物みたい…」

「またハロ、トリィに続き頑張ってみました。ちなみに何の動物でしょうか。ヒントは額の金属です」

「額の金属…?」

 

 

 

 

 

新たなペットロボを持ち上げると、新華の言った通り額に宝石のように赤く光る金属が埋め込まれていた。

 

 

 

 

 

「額に赤い金属…小さい…新華君の作った…」

「あっ、分かった! カーバンクル!」

「正解。と言っても色以外はFFを参考にしてるんだがな」

 

 

 

 

 

ハロ、トリィに続くハンドメイドペットロボ第3弾は、刀奈のが水色、簪のが赤色、シャルロットのがオレンジ色の『カーバンクル』であった。

ハロ、トリィ製作の経験を生かし、特殊ギミックと共に防御システムも組み込んだ最新型である。

 

 

 

 

 

「俺のハロ同様に収納出来るようにしてあるが、特殊ギミックを追加してたら空き容量が少なくてな。筆記用具と手持ち武装1つか2つ分の容量しか確保出来んかった」

「いやいやいや、十分よ? これだけの物を作るの大変だったでしょう?」

「物作りは好きな方だし、プレゼント何にするか考えたら(指輪以外で)こういったのしか思い浮かばんかった」

「新華君らしい…」

 

 

 

 

 

新華の説明を受けながらカーバンクルを起動し認証を行っていく。それぞれの固体は起動したばかりか3人を所持者と認識すると、膝や肩に乗って眠るように目を閉じてしまう。

 

 

 

 

 

「あ、あれ? 寝ちゃった?」

「ああ、単純に最適化しているだけだぞ? ちなみに学習型AI搭載してて1日の最後に充電しながら最適化するルーチン組んでるから、帰巣本能的な行動を取るしな」

「…ハロちゃん達みたいに新華君と一緒にすると、よく寝る子になるか沢山手伝ってくれる子になるって事ね」

「……ハロ達の変なAIに影響されなきゃいいんだけどナー」

「ふふっ、新華次第だねー」

 

 

 

 

 

そういった他愛の無い会話をしている間、サヤカはニコニコと静かに笑ってた。

 

 

 

 

 

「そういえば…新華君、サヤカちゃんへのプレゼントとか、あるの…?」

「ふえ?」

「まあ、一応な?」

「え?」

 

 

 

 

 

そう言って新華は自分の机の下から小さな箱を取り出し、面食らっているサヤカに手渡す。

 

 

 

 

 

「え、え? どういうことですか?」

「いや、どういうことも何もさ。サヤカにもプレゼントを用意していただけだが? いやーコッソリ気付かれないようにするのは大変だった」

「いえ、あの…」

「…ふふっ、素直に受け取って上げなさいな」

「あ、はい。…まさか私にも用意してくださってるとは思わなかったので…」

 

 

 

 

 

そう言いつつ、サヤカも早速箱を開けて中身を確かめる。中に入っていたのは赤い花のブローチだった。

 

 

 

 

 

「ブローチ、ですか」

「ほら、サヤカは一応ISだろ? だから3人に作ったような機械だと合わないと思ってさ。ここは敢えて自然的かつ外見的な物にしようと」

「へぇ、やるわね新華君」

「あ、ありがとうございます」

「似合うといいんだが」

「付けてみますね」

 

 

 

 

 

早速サヤカは人形態で衣服の胸元に当たる位置にブローチを付ける。

 

 

 

 

 

「おお、いいんでない?」

「似合ってるよ」

「ありがとうございます。……この花、『エゾギク』でしょうか」

「花言葉は『信じる気持ち』ってね。まー要するにコンゴトモヨロシク…って何度も言ってる事だけど」

「! はい!」

 

 

 

 

 

サヤカの満面の笑みを見てホッコリする新華。

今年のクリスマスもこうして無事に過ごすことが出来た新華達。

つかの間の休息を経て、翌日から新華は再び日本を発ちフランスへと向かった。

クリスマスを挟んで、最後の実家への挨拶だった。

 

 

 

 

 

 




非リア充童貞になァ! リア充共のクリスマスイベントなんぞ! 簡単に書けるわきゃねぇだろおおおおおおお!
という訳で、時間が掛かった癖に低クオリティの巻です。ホント申し訳ない。

ちなみにクリスマスプレゼントの没ネタもあります。
~没その1、ドラゴン編
刀奈:レグナ
簪:アンヘル
シャルロット:ミハエル
・没理由は新宿に行くと人類が終わりそうで縁起が悪すぎた

~没その2、戦闘機編
刀奈:⊿
簪:POW
シャルロット:アルバトロス
・没理由は新華がケルベロスになって最終決戦で行方不明になりそうで縁起が。

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