IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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151話の投稿です。お待たせしました。
いやぁAC3SL(PSP)クリアした後にACLR(PSP)買ってしまいまして。今では中量2脚愛用ですわ。SLの愛機(重2&フロート)が役に立ちやしねぇ、ハハッ。まぁ今では中立ED2つ目指しつつアリーナ1位に挑んでいるところなんですがね。

ああ、あとクアンタ最終改修終わりますた(リアル)。新華のエゴ・アームズもいい感じで再現出来始めてますし、ブレイヴ2機使って4脚計画とかリア充してます。なんで更新は遅いままになりますがご了承を。


ご挨拶:ロシア

 

 

 

 

 

 

---ロシア、一面雪景色の山間部

そこに4機の雪上迷彩が施されたロシア所属第3世代量産型ISが、警戒し雪原をスキャンしながら移動していた。

搭乗者であるロシア軍属の女性4人は、それぞれ目の前に移る空間ディスプレイに目を走らせ警戒、手に持つ武装をしっかり握り締める。

 

 

 

 

 

「…各機、反応はあった?」

「こちらスノウ2、機体反応どころか生体反応すら感知出来ず」

「スノウ3、同じく反応はありません。…不気味なまでに、ですね。金属探知にすら引っ掛かりません」

「スノウ4、同じく、です。反応どころか気配すら感じられないなんて…。これが、『蒼天使』ですか」

「演習であることに感謝しなくてはね。さて、彼は何を仕掛けてくるのか…」

 

 

 

 

 

彼女達が相手にしているのは刀奈関連でロシアに来ている新華である。以前のフランスの時同様、軍のIS訓練に参加することになっていた。

だが前回と違うのは今回は広大な土地での演習、すなわち広い視野と突発的な状況への対応に仲間との連携が特に重要視されるものだった。

 

 

 

 

 

「事前に確認した彼の機体装備なら、どこに居ようと私達を狙い撃ちに出来るから、各機油断しないように」

「手加減なんて出来ないって言ってましたね。言われたときは舐められてると言われたようでイラッとしましたけど」

「ですが、ならどうして未だに彼は攻撃してくるどころか姿を現さないのでしょうか」

 

 

 

 

 

演習が開始されて5分、新華の動きは掴めず仕舞いだった。スタート地点と思わしき場所は見つかったものの、そこから動向を掴むには残っていた情報が少なく、雪原には彼女達の声と風以外の音が無かった。

 

 

 

 

 

「考えられるのは、こちらを観察して隙を伺っているか罠を張っているか、ね。どちらにしろ厄介な相手ね」

「ですがスノウ1、どちらにしろそろそろ仕掛けてくる頃合ではありませんか?」

「そうね…---っ! 全機散開!」

 

 

 

 

 

スノウ1と呼ばれた女性の言葉と同時に4機がその場から弾かれるように離れる。直後彼女らが居た地点を大量のビームが焼いた。

ビームの熱が雪を焼いたことで水蒸気が発生し、それにより彼女達の視界が一時的に塞がれたが

 

 

 

 

 

「(今のビームの方向から逆算して、発射位置はっ)そこっ!」

 

 

 

 

 

スノウ2がおおまかな発射位置に当たりをつけ手のサブマシンガンを掃射する。それを感知したスノウ4も同じ方向に銃弾を打ち込んだ。

スノウ1、3もビームが飛来した方向に意識を向けるが、同時にスノウ1の背中から胸にかけて激痛が走った。

 

 

 

 

 

「があっ!?」

「!? スノ---」

 

 

 

 

 

スノウ1の悲鳴を聞いたスノウ3は驚きの声を上げ確認を取ろうと体の向きを変えた。直後、アラートが鳴りその場から飛び退く。

 

 

 

 

 

「っ、何っ!?」

「スノウ1、3! 何が起きたの!」

「スノウ1が狙撃されました! ターゲット発見!」

「なにぃ!?」

 

 

 

 

 

スノウ1が咳き込みつつ機体を後退させる。スノウ3が長距離から飛来した銃弾を回避しターゲットである新華を発見したが、同時に彼女らの背後で爆発が起きる。

 

 

 

 

 

「こん、のぉ!」

「ハ、ハローッ!」

「落ちなさ、いっ! 撃破!」

「ハロ~…」

 

 

 

 

 

スノウ4がαユニットとそれを制御するハロαを相手にタイマンで撃破していた。ただしこちらはビームによる弾幕を受けつつ行っていたので絶対防御の残りエネルギーが大幅に減っていた。

 

 

 

 

 

「スノウ4、避けて!」

「っ---きゃああ!」

 

 

 

 

 

スノウ2の声に反射的にその場から離れようと体を動かしたが、機体のマニュピレータが撃ち抜かれ手にしていたサブマシンガンも破壊されてしまう。

 

 

 

 

 

「止まるな! 狙い撃ちにされるぞ!」

「スノウ1、大丈夫ですか!」

「ああ、何とかな…げほっ、げほっ、奴は…」

「あそこです」

 

 

 

 

 

スノウ3がスノウ1の問いに答え雪山の山腹を指差した。ハイパーセンサーで確認出来たのは、脚部と胴体部だけ部分展開し対戦車ライフルを構え、銃口にSビットによる光の円を添え斜面を滑り降りている新華の姿だった。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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「α、ご苦労さん。後で回収しに行くまで待っててくれ」

『ハロ…』

「さて、誰も単機で突っ込んで来ないのは流石だな。だけど、いかんせん視野が狭い」

『---ハイパーセンサーの範囲を自分達でわざわざ狭めるなんて…』

「よっと、まぁしゃーないっしょ。基本的にスナイパーだろうが、っ一般のISが戦闘を行う領域は俺らには狭いからな」

 

 

 

 

 

雪山斜面を滑り落ちながら手にしたソ連製対戦車ライフル『デグチャレフPTRD1941』を撃ち込んでいる新華。

今回の演習は雪原で離れた場所からの同時スタートで始まった。そして彼女達が新華を探していた5分間にαユニット+ハロαを展開させ隠密行動を開始。自身はステルスを駆使し狙撃体勢に、ハロは狙撃を成功させるための囮役をこなした。

 

当然の事だがIS同士の戦闘は広い空間を必要とする。しかしその理由は『ISの高速・高機動戦闘に必要』だからでありただ単純に『戦闘による移動範囲』が広いというだけである。分かりやすい例を上げるとすれば福音戦。

そこでISの操縦者達が重要視するのは、当然の帰結として相手との間合いになる。しかしその間合いというのは主に近、中距離が主眼に置かれたものである。それはブリュンヒルデと名高い千冬や一夏を筆頭とする近接戦を得意とする者、山田先生やシャルロットのように中距離戦主体の者が殆どでセシリアのような狙撃特化型というのは珍しい。居たとしても相手が踏み込んでくる間合いにも注意しなければならないので、自然と近・中距離を最も意識するようになる。

故に今回新華が行ったような超長距離狙撃に対応する意識など持ち合わせて無く、無意識に索敵範囲を彼女達の想定する『遠距離』に絞ってしまっていた。故にそのハイパーセンサーを生かしきることが出来ずに新華の狙撃に晒されることとなってしまった。

最もこれが演習ではなく実際の遭遇戦であれば違ったかもしれないが、そうなった場合新華が反応を許さず精神系通常弾で確殺するかそもそも気付かせないので警戒も何もあったものではない。気付いた時には死んでいる。

 

 

 

 

 

「ま、クアンタのSビットが無けりゃそもそもこの戦法も出来なかったんだけどな」

『---量子ゲートに銃弾をくぐらせることで銃弾そのものをジャンプ、距離を問わずに狙撃を行う。上手く行って良かったですね』

「まぁな。最もサヤカのサポートが無けりゃさっきのマニュピどころか外してたし、そもクアンタじゃなかったらこういったオールラウンダー出来なかったんだけどなっと」

『---GN粒子様様ですね』

「お前が言うんかい。さて、狙撃はもう止めにして行くか。ハロFも出しておいて」

『---了解です』

 

 

 

 

 

デチャグレフを収納し全装甲を展開する。そしてクアンタ特有の全身装甲を展開すると全ての推進力を使い、一気にスノウ達へと向かって行った。

だたし、一夏のようなブレオンでないと行わないような一直線な軌道で。背後の雪山で雪崩が起きハロFとFユニットが巻き込まれるが意に介さず。

 

 

 

 

 

「!? 舐めた真似を!」

「……」

 

 

 

 

 

スノウ2、4が真っ直ぐ向かってくる新華へと銃弾を叩き込もうと銃を掃射する。しかし新華は速度を保ったまま体の軸を回転させる変体機動で射線に入らず回避し尽す。

 

 

 

 

 

「なっ、当たらない!?」

「あんな機動、頭おかしいんじゃないの!?」

「(ひっでぇ言われよう)」

 

 

 

 

 

腰に手を回してGNソードⅤを両手に取り、スノウ2、4へと投げつけP・V・F『ストーリーズ・イレギュラー』と対構造物鉄鋼弾を展開し装填する。

 

 

 

 

 

「「んなっ!?」」

「(んで、こう!)」

 

 

 

 

 

 

スノウ2、4が驚き慌ててGNソードⅤを回避する間に銃口をスノウ1に定める。それに気付いたスノウ1がその場から飛び退きスノウ3が銃を向けるが

 

 

 

 

 

「くっ」

「はい残念」

「えっ!? きゃあ!」

「! スノウ4!?」

 

 

 

 

 

スノウ3が発砲するも新華はP・V・Fを雪に突き刺し真上に軌道変更、回避した。しかし放たれた弾丸はGNソードⅤに気を取られていたスノウ4に直撃してしまう。

そして驚きで動きが止まった瞬間を逃す筈も無く

 

 

 

 

 

「寝てろ」

「がっ」

 

 

 

 

 

何事かと状況を確認するためにスノウ4へと首を向けたスノウ2が、背後に立った新華の手刀を首に受け昏倒した。それに気付いたスノウ1が叫ぶ。

 

 

 

 

 

「っスノウ4! その場から離れろ! スノウ3は4の援護!」

「了解!」

「りょ、了解!」

「ほー(流石に早いか)」

 

 

 

 

 

スノウ1がIS用のダガーを手に新華へと突っ込み、スノウ3と4が合流して中距離の間合いを維持しスノウ1を援護しようと新華を囲む。

スノウ1を前衛にしつつ逃げ道を塞ぐ形で後衛が援護する。こうすることでスノウ3、4に意識を割きつつスノウ1との近接戦を行う必要があるので安定した戦闘が出来るようになるが、一歩間違えればフレンドリーファイアになる熟練の技である。

最も、千冬や新華といった頂点(キチガイ)には悪手であることに違いは無いのだが。

 

 

 

 

 

「(ま、そう来るよな)」

「距離が近ければ!」

「BT兵器は使えない!」

「あ、(普通は)そうなんだ。で、それが何か問題?」

 

 

 

 

 

新華がP・V・F(中距離武器)を展開したまま故かスノウ1がナイフをクアンタの装甲の隙間を狙って突き出す。その切っ先は真っ直ぐに胸部の円形パーツの淵に向かう、が。

ナイフを握る手首が新華の左手に掴まれ、銃口ががら空きの胴にカウンターで捻じ込まれる。

 

 

 

 

 

「ガハッ!?」

「「なっ!?」」

「銃は時に鈍器になる。まぁ」

 

 

 

 

 

『ストーリーズ・イレギュラー』の3つの銃口が捻じ込まれた状態で新華はトリガーを引く。3つの回転式ガトリング砲はスノウ1の血肉を食い散らかそうと思える程に回転し対構造物鉄鋼弾を吐き出す。

砲身と銃弾のゼロ距離攻撃は、先の狙撃で減らしていた絶対防御のエネルギーを一気に削り尽くす。

 

 

 

 

 

「俺はそればっかだがな、っと。はい終了です」

「ぐっ」

 

 

 

 

 

スノウ1のエネルギーが切れたことを確認し、スノウ1の手首から喉へと腕を回しP・V・Fを『ストーリーズ・イレギュラー』から『ライフジャッジメント』へと変える。

 

 

 

 

 

「さて、どうする?」

「なっ」

「なっ何を!? スノウ1は」

「戦闘不能? アホか甘えんな。絶対防御切れて動けないだけならただの的なんだよ」

「ぐっ」

 

 

 

 

 

首に回した手に込める力を強め『ライフジャッジメント』の銃口をスノウ1のコメカミに当てる。真っ白な銃はスノウ3、4の目を引いたがそれ以上に隊長を人質に取られたという事実が彼女達を動けなくしていた。

だが新華の行動は終わっていなかった。

 

 

 

 

 

「ほらほら、ただの的はこの人だけじゃないぞ------ハロ! GO!」

「え」

 

 

 

 

 

新華の叫びと同時に、雪の中からユニットFが飛び出し気絶し倒れているスノウ2へと向かう。雪崩に紛れ込ませたせいでスノウ達は気づくことが出来なかった。故に彼女達にとって最悪の状況が完成してしまった。

 

 

 

 

 

「スノウ2! くっ」

「おっと動くな。動けば雪の上に花が咲くぞ」

「こ、これは演習でしょう!?」

「演習だから手を抜くのか? 違うだろ。もう1度言わないと分からないか? 甘えるな」

「くそっ」

「まぁでも---」

 

 

 

 

 

スノウ3、4が狼狽している間に新華はSビット、Cファンネル、GNプリスティスを射出。そのまま何も出来ないスノウ3、4を切り刻み撃ち抜いた。

 

 

 

 

 

「「きゃあああああ!?」」

「はい全機エネルギーエンプティ。全滅判定により演習終了ってことで。ハロF、戻ってこい」

「リョウカイ、リョウカイ」

『---GNソードⅤとαの位置表示します』

「おし、回収しに行くか」

 

 

 

 

 

戦闘が終了したことを宣言しスノウ1をあっさり放す。寒いからか装甲や武装はそのままに雪の上を歩いていく。

 

 

 

 

 

「スノウチームの回収要請してっと。あーあー本部、応答願います」

『はい、こちら本部』

「演習終了です。スノウチーム全機リタイアなので回収願います」

『了解しました。回収班を回しますので待機願います』

「Jud. …さて、回収ついでにスノウチームの介抱でもしますか」

 

 

 

 

 

そう言うと飛来したユニットFに翳すよう手を上げる。ハロFがユニットを収納し自由落下するが綺麗な軌道を描いて上げた手に収まった。

その後ハロαを回収しつつスノウチームを簡単に介抱し、回収班と共にロシア軍基地へと帰還した。

 

 

 

 

 

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---基地内食堂

スノウチームと共に帰還した新華は、意識を取り戻したスノウ1と共に司令部へと出向し、一通りの報告を終えた後に食堂に居た。

そこで預けていたハロOに録画されていた今回の演習を見つつレポートを記入しようと思ったのだが…

 

 

 

 

 

「…なぁ」

「何?」

「少しでいいから離れてくれ。レポートに集中出来ない」

「やーよ。寒いもの」

「暖房効いてるだろー」

 

 

 

 

 

先程から刀奈が後ろから抱き着いてきて集中出来ずにいた。時間は昼過ぎ故に人は疎ら……の筈だが、『蒼天使』というIS界の超VIPの1人を一目見ようと代表候補生や操縦者を始めとした軍関係者たちが押し掛けていた。

 

 

 

 

 

「しかし今日のは随分張り切っていたわね。IS学園じゃ出来ない派手なことしてたし」

「環境によって戦い方も変えるって。……まぁ今考えると雪崩起こしたのはやり過ぎかなとは思うが」

「そういえばあの対戦車砲、何か意味あったの?」

「契約者でツキアカリなミチシルベ的な。あれ真冬のシベリアからスタートだし」

 

 

 

 

 

こうなった原因は司令部で一通りの用件を済ませた後、新華とサヤカが代表候補生と女性操縦者達に囲まれ1時間程拘束されたからである。

超VIPとはいえ年頃の男児、しかも男性操縦者の片割れ。代表候補生の女子や相手の居ない体を持て余した女性達にとっていい標的である。加え先程の演習を見ていない者など居らず戦闘に関する質問やハロ、サヤカへの興味を隠さない者、体を押し付けて明らかに誘惑する者など多くが群がった。

当然男性軍人やISの割を食っている者も居るのでやっかみの視線もあったが、何より刀奈が最も面白く感じていなかった。

 

 

 

 

 

「外道プレイもしてたわね?」

「アレ、実際やられると結構キツイぞ? 相手の精神状態によっては本当に行動出来なくなるから」

「……やられた事あるの?」

あっち(パラベラム)でな。人手不足の影響で治安も悪かった時もあったし組織運営って本当に金が要るし子供は基本非力だから、狙われ易くって」

「ああ、なるほどね。確かにそれは辛いわね」

「生きた心地がしなかったよ。でも、一度経験すれば心構えが出来るし対策も立てられる。次は無いだろうさ」

 

 

 

 

 

パラベラム時代、戦争直後『エリシュオン』が発足するまでの間の短期間は治安が悪いとしか言いようが無かった。自衛隊や警察の人手不足も深刻であり無政府状態の当時は力による治安維持以外に取れる手段があまりにも少な過ぎた。

元城戸高校は避難所としての機能を使うことで人が集まり、それが原因でいざこざが起きることも多々あった。新華が言った通り凶器を手に人質を取り暴走する者まで出たこともあった。そして、それらを『パラベラム』として解決することも。

しかしそういったいざこざを解決していく中で、そういった事への対処方法を確立し効率化されていく。対処法を構築しイメージトレーニングや体を動かすことで『次』に備えることが当たり前になっていった。

 

ISはパラベラムのP・V・Fよりも絶対防御やハイパーセンサーといった『便利過ぎる』機能が多い故にそういった事への対処が疎かである。無論軍の教育の中に組み込まれてはいるが多くの操縦者が『ISなら何とかなるだろう』と高を括っているせいで意味を成していなかった。

そも、新華が殺してきたIS至上主義達はそう言って精神形通常弾やリミッター無しのクアンタの装備の餌食になっていたのであるが。

 

 

 

 

 

「悪役ご苦労様ね」

「まぁな。とはいえ、そもそもそういった事態にならないのが最善なんだがな」

「それもそうだけど、相手が新華君じゃ酷ってものよ。機体性能から操縦者の実力、搭乗時間に至る全てが違うのだから」

「確かに。もし量産型同士なら勝ち目は十分有るわな」

「P・V・F無しで?」

「無しで」

「そういうものかしら」

「そういうもんだ。例えばこの最初の狙撃だが、クアンタじゃなく量産型だったなら…」

 

 

 

 

 

そう言ってハロOの画面を2人で覗き込む2人の顔は近く、当たり前のように談笑する様は見ている者の嫉妬を煽り既婚者からは微笑ましく見られていた。

 

 

 

 

 

「彼らを見ていると士官学校時代を思い出すな、ホリー」

「ふふっ、そうね。でもあそこまで風紀を乱しかねない行動はしていなかったと思うのだけれど?」

「もしあれば私が苦言を呈していただろうな。が、今の時代だと他国では特に珍しくないのかもしれんな」

「いや父さんも母さんも止めましょうよアレ。ハーキュリーのおじさんまで変な事言わないでください」

「はっはっは! 何、ちょっとしたジョークというやつだよ」

 

 

 

 

 

中にはそう話す軍人一家とその親友も居り、彼らのように話のネタにする者も居た。

 

 

 

 

 

「この後予定は無いわよね?」

「ん、そうだな。ホテルに荷物を置いてあるし、ああ、土産を買う必要はあるか」

「じゃあ一緒に見て回りましょ! 良いお店知ってるの」

「おっ、じゃあ頼む。店回るのって意外と体力使うんだよな、寒いし」

「そ・れ・と、新華君あんまり服持ってないでしょ?」

 

 

 

 

 

刀奈がそう言う新華の服装は暖房の効いている基地内だからか、至極普通のスーツだった。そしてそのスーツは、以前フランスに行った後になって父が新調してくれたものであった。

逆に言えば、それ以外の正装は持ち合わせていない。それどころか私服も少ない。原因は

 

 

 

 

 

「いや前までは結構持ってたんだけど、やっぱ血が、な? 買うこともあったけどお古として実にあげちゃったやつも結構あったし、ぶっちゃけ下着4着+ズボン2着の長袖2着で生きていける」

「どう考えても少ないでしょ。中学の時とかここみたいな寒い地方に行ったときはどうしてたのよ」

「動けば何とかなる。それに、流血って雪を解かせるんだぜ?」

「絶対に買いに行くわよ。それで、帰ったらご両親に言っておくからね」

「ちょっ、それは簡便!」

「だーめ」

 

 

 

 

 

新華が帰宅後に説教フラグが立つも2人の体勢は変わっていない。

そして先程から会話に参加していないサヤカは

 

 

 

 

 

「ご主人様が最近相手してくれませんよー」

「ハロ」

「機能のアップデートや新装備の開発の時は当然としても、それ以外の普段何も無い時必ず刀奈さん、簪さん、シャルロットさんの3人のうち最低1人が居るんですよー」

「ハロ」

「いえ、それはそれでいいんですけどね? 偶には私が喋れる前の時くらいに構ってくれてもいいんじゃないかと」

「ハロ」

「やっぱり小人状態で居た方がいいんでしょうかねー。でもそれだとご主人様と皆さんの間に入ってしまいますしー…」

「ハロ」

「………α、F、聞いてます?」

「「ハロハロ」」

 

 

 

 

 

ユニットが破壊され残骸を収納して暇なハロαと同じくユニットを収納しただけで暇なハロFを抱えぶつくさと呟いていた。

ハロαとFのAIが無駄に成長しつつあるが、構ってもらえない理由の1つが割りと精神的に成長してしまった自分自身だと気付くのはいつになるのだろうか。

 

 

 

 

 

「……最近のニュースでも纏めましょうか。なにやらきな臭い行方不明事件が多発しているようですしね。福音ちゃんも居るでしょうし、聞いてみるのもアリでしょうか」

「サヤカ、さっきから何1人で呟いてんだ」

「サヤカちゃんもこっちにいらっしゃい」

「はーい」

 

 

 

 

 

新華と刀奈に呼ばれトコトコと駆け寄るサヤカ。一緒に転がって付いていくハロ2機。

 

 

 

 

 

「ヤレヤレ、ヤレヤレ」

「シャーネーナ、シャーネーナ」

「うるさいですよ」

「「……ハロ」」

 

 

 

 

 

呆れたように言葉を発するハロ2機に睨みを利かせるも、ヤレヤレと言わんばかりに、溜息を付くように左右に揺れた。

その後、サヤカの見た目も考慮して3人+3機で店を回ることになった。私服に興味の無い技術系夫とファザコン娘の服を見繕う妻の図が出来上がることになる。

最も本人達は平和な時間を満喫出来るので問題は無かっただろう。邪魔が入らなければ。

 

その日、ロシアのマスコミ全社が動き(一部女性の独断)、後日新華に関する情報は恐ろしいくらいに出回らず各社は沈黙と謝罪を行うことになった。

尚あまりにしつこい馬鹿はトラウマを抱えた模様。

 

 

 

 

 




おかしい。最初は荒熊出してシリアス感というかパラベラム感出そうと考えていたのにどうしてこんなにもISをやっているのだろうか。相変わらずパラベラム要素が薄っぺらいで工藤!
それと時間が経つに連れ主人公の細かい設定が忘れがちになって困る。んで読み直すと拙さで死ぬ。

次回、クリスマス編

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