IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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149話。
日常回になりますが、次回は150.5話にしようと思っています。新華達以外のsideの予定です。
どうしよう、亡国の戦力が足りないからあのキャラ軍団を出したい…。でもこれ以上キャラを増やすと執筆時、脳内で登場人物を動かすのに苦労する、確実に…。
それ以外にも出すつもりのガンダムキャラはまだ居るのに…。例えばシーマ様の元上司のバラシー(中の人)+赤稲妻とか…ロシアで熊親子とか…。


テスト後、冬休み前

 

 

 

 

 

---IS学園生徒会室

期末テストが終わった12月中旬。久しぶりに穏やかな空間がそこにあった。

 

 

 

 

 

「終わったあー…」

「お疲れ。出来はどうだった?」

「皆のお陰で高得点狙えそうだ」

「それはなにより」

 

 

 

 

 

机に突っ伏す一夏とお茶を片手に寛ぐ新華。テスト期間の間勉強詰めだった2人だが精神的な消耗は面白いくらいに違った。

 

 

 

 

 

「筆記テストだけじゃなくてIS使った実技試験もあったもんなぁ」

「専用機持ちは全員千冬さん&暮桜との一騎打ちで、死屍累々だったなw いやぁ千冬さんお前の時は張り切ってたぞ。テストだったのは最初だけで教導になってたし」

「その中で唯一千冬姉に撃墜されなかった奴は見ているところが違うなぁ…」

 

 

 

 

 

一夏が横目で新華を見る。一般生徒達は山田先生を筆頭とした教師+打鉄orラファール・リヴァイヴが相手だったが、一夏の言う通り専用機持ちは千冬の暮桜が相手になっていた。

最近勘を取り戻してきた千冬(ブリュンヒルデ)と専用機『暮桜』のコンボは伊達ではなく、刀奈が食い下がったが新華以外のメンバーは全滅というありさまだった。

 

 

 

 

 

「安心しろ、誰が見ても同じ事言うから。なぁ?」

「そうそう。明らかに織斑先生の太刀筋が私達の時と違って遅くなっていたもの。同じ零落白夜の使い手としてってだけじゃなかったわよ?」

「簡易とはいえ零落白夜が使えるシャルロットも近付かれて溶かされたのにな」

「『足を踏ん張り腰に力を入れないか!』だったわね。明らかに私達より長い間打ち合いしていたものだから、覚えてるわよ」

 

 

 

 

 

話を聞いていた刀奈も新華の台詞に同意し嘆息する。

 

 

 

 

 

「でも、素手で雪平折った時は目を疑ったぞ」

「一応テストは公式扱いで武装一つ縛りになっちまってるからな。別にP・V・Fでもよかったんだが、千冬さん相手に中遠距離武器だけの選択は自殺行為過ぎる」

「だからって素手と頭の機関砲だけって選択も無いと思うぞ…」

「下手に武器持ってたら弾かれて隙を作らされそうだったし。頭部バルカンだけなら牽制になるし直進してくる相手の進路に弾置けば運動エネルギー増し増しで馬鹿出来ないダメージも期待出来たしな」

「実際その通りになったのよねぇ…。で、雪平を破壊した原理は?」

「白刃取りした時にGN粒子を逆流させて零落白夜機能を無効化、後は見てたから分かるだろうが、零落白夜が無くなって強度が落ちた状態のを白羽取りの状態から体を捻って膝で勢い良く割った」

「逆流って…えげつねぇ」

「織斑先生が戸惑うわけね…」

 

 

 

 

 

白羽取りした際に新華側の絶対防御も削れていたので最終的に相打ち判定となったが、剣を折られた千冬からすれば完全敗北もいいところだった。

 

 

 

 

 

「そのためのフラジールです」

「フラジール?」

「なんでもない。一歩遅かったら収納と再展開のコンボで良いの食らってたからギリギリだったから油断は出来ないけども。というかそもそも千冬さんの復帰トレーニング俺も付き合ったんだぜ? 対応出来てしかるべきだろ」

「あ、そうだったの」

「まあでも、千冬さんに勝つことでテストの合否が決まるわけでもなし、あまり気にする必要も無いさね」

 

 

 

 

 

乾いた喉を潤すように茶を啜る。ほふぅと息を吐くと視線を宙に投げた。

 

 

 

 

 

「もう冬休みかー。あと終業式やって、来年ちょこっと授業やったら、虚さんの卒業式ですよね」

「あ、そっか。この中で布仏さんだけが3年生だから、新年度は布仏さん抜きでやるのか」

「そういうことになりますね」

「そうなると会計が空きますけど…新しく誰か生徒会に入れるとややこしくなりそうですよね…」

 

 

 

 

 

簪が虚を見ながら言うが、実際問題『更識家』関係者と2人の男性操縦者で固まっている中に無関係の新人を入れるのは気が引けた。

それだけでなく虚が3年生主席の成績を収めつつ会計をこなし、その上で刀奈の従者としての役割もこなしているという事実により、新たに会計を行う者が気負いしてしまうことが安易に考えられた。

加えて生徒会長の刀奈、補佐の新華、書記補佐の簪が恋人関係であることも大いに問題となる。

 

 

 

 

 

「とはいえ、生徒会に入って下克上を成したいって子も居るでしょうから、人材の心配はあまりしなくてもいいかもね」

「仕事に関しては入ってから指導すればいいでしょう。会計の仕事もそれほど難しくないので。ただ数が多いので根気がある人物が望ましいです」

「確かにそうね。まぁその辺も追々考えましょ」

「そうですね」

 

 

 

 

 

そう言って会話が途切れる。テスト期間だったので全部活動の活動が停止されていた。故に生徒会が行う仕事は殆ど無く、わざわざ暖房が効いた部屋を出る気も起きずにのんびりとしていた。

視線を横にずらすと、暖かさのせいか簪と本音が書記の席で眠っていた。それぞれハロα、Fを抱え自分が着ていたコートを毛布代わりにしているので肩が冷えることはない。

 

 

 

 

 

「むにゃむ~…」

「くー…」

「ハロッ?」

「…部屋に戻る時は背負っていくか」

「のほほんさんは?」

「虚さんがおぶっていきます?」

「それは流石に恥ずかしいので、その時になれば起こします」

 

 

 

 

 

トリィとハロOの遊び相手になっているサヤカを視界に入れつつ、再びお茶を啜る。啜っている最中に一夏が思い出して声を話題を振る。

 

 

 

 

 

「そういや新華は冬休みの予定ってどうなってるんだ?」

「あ? とりあえず楯無会長の実家とシャルロットん家にちゃんとした挨拶行く予定だけど」

「生徒会長とシャルの家?」

「うん、まぁ、ね? 責任は取らな、アカンでしょ。というか取らせてくだしあ」

「あーうん、そうだよな」

 

 

 

 

 

机に頭を付けた新華を見て一夏は納得する。責任感が強い新華なのだからこうなるのは当然の流れであろう。

そもそもあそこまでイチャついて新華が彼女らを手放せるとも思えなかった。

 

 

 

 

 

「ふふ、もう新華君の匂いを染み付けさせたものね♪」

「ごふっ」

「そ・れ・に、幸せにしてくれるんでしょ?」

「それはもう全身全霊一生涯掛けて絶対に」

「うん、私達も新華君を幸せにしてあげる。だから、ね?」

「…ああ!」

「うんっ、大好き!」

「おっと、俺も大好きだよコノヤロウ!」

「アマーイ」

 

 

 

 

 

刀奈と新華の見つめ合ってからの抱き付き合いという一連の光景に耐えられず一夏が声を上げる。同じように2人のやりとりを見ていた虚は現実逃避するようにお茶を啜った。

 

 

 

 

 

「で、話戻すけどさ。出かけるにしてもクリスマスと初詣は例年通り帰ってくるんだろ?」

「一応な。ただ自宅がソレスタに移動してるから、多分行事はあっちでやると思う」

「あ、そっか。じゃあ今年は俺と千冬姉に弾と蘭と厳さん蓮さんの新華達が居ないメンバーか」

「と、一夏。虚さんを忘れてるぞ」

「っごほっごほっ! な、何で私が!?」

 

 

 

 

 

新華が突然虚の名前を出したことで、虚が飲んでいたお茶を噴出してむせる。抗議する虚を新華は不思議そうな目で見返す。

 

 

 

 

 

「何でって、寧ろ行かずにどうするんだって話しですよ。折角のクリスマス&初詣というオイシイ行事ですよ?」

「そうだったそうだった。じゃあ新華達の代わりに布仏さんが来るってことで」

「ちょ、ちょっと待ってください! 私は行くなんて言ってませんよ!?」

「「「えっ、行かないの(んですか)?」」」

「お、お嬢様まで…」

 

 

 

 

 

新華、一夏、刀奈が同時に同じ事を言ったので虚が項垂(うなだ)れる。

 

 

 

 

 

「だって弾の家族に挨拶出来るまたとないチャンスですよ? 上手くいけば弾の手料理食べられますよ?」

「もう行きましたよ…」

「…えっ」

「え?」

「んっ?」

「………あ」

「ちょっと虚ちゃ~ん? 私聞いてないんだけど?」

「えっと、その…」

「……本音さーん。知ってた?」

 

 

 

 

 

虚が零した一言に3人共目敏く反応し刀奈は新華から離れ虚に絡みだす。そして新華は眠っている筈の本音に声を掛けた。

直後、本音がケモノ耳付きフード付きコートを被った状態から勢い良く顔を上げる。

 

 

 

 

 

「えっとね~、11月の最初の頃に物凄く緊張して出かけて、満足そうな顔で帰ってきたときがあったよ~」

「ハロッ!」

「ほ、本音っ!?」

「お、起きてたんだ。よく気付いたな新華…」

「何故かフードの耳がピコピコ動いているのが見えたんでな…。で、簪は…」

「じ~…」

「ハロ?」

 

 

 

 

 

本音とは対照的に簪は静かに、それでいて期待に満ちた眼差しを新華に注いでいた。簪の腕に収まるハロαは抱えられているせいか簪の感情が分からずに疑問の声を上げている。

新華は簪の意図を察して席を立ち簪の元へ。

 

 

 

 

 

「ほら」

「ん。あったかい…」

「人の温もりほど離れられないものも無いよなぁ」

「……言葉は不要か」

 

 

 

 

 

何も言わずに簪を後ろから抱き締めた新華に呆れ声の一夏。もう話が出来る状態じゃないと判断した一夏は、枝を形成しトリィを泊まらせつつハロOと同期して何かの画面を操作しているサヤカに視線を向けた。

 

 

 

 

 

「? サヤカちゃん、何をしてるんだ?」

「これですか? メールのやり取りですよ」

「へぇ、誰との?」

「………そうやって無神経に他人のメールを聞くのは無神経ですよ」

「へっ? あ、ああ、ごめん」

「…※だからなのでしょうね、そういうのも好意的に捉えてもらえるのは。……単に友人とのメールですよ」

「お、おう」

 

 

 

 

 

友人との楽しいメールを邪魔されたせいか少し不機嫌なサヤカの剣幕に押され黙ってしまう。本格的に一人時間を持て余す事態となった一夏は

 

 

 

 

 

「(あれ、なんで俺やる事も無いのに律儀にここに来たんだろ)」

 

 

 

 

 

生徒会室の中で一人だけ疎外感を感じる現状でそう思った。

 

 

 

 

 

「……よし、テスト期間だから出来なかった千冬姉の部屋に掃除しに行こう。そうと決まれば…トリィ!」

『トリィ?』

「一旦部屋に戻ってから千冬姉のところ行くぞー。戻ってこーい」

『トリィ!』

「いってらっしゃーい」

「ハロッ! マタネ、マタネ」

 

 

 

 

 

枝から飛び立ち一夏の肩に飛び移るトリィ。サヤカとハロはそれを見送り枝を戻す。

 

 

 

 

 

「お、一夏。もう行くのか」

「やる事無いし、千冬姉の所行ってくる」

「フムン、そうか。なら俺達も出るか」

「そうね。今日の必要書類も全部片付けてあって議題も無いし、戻って待ってるであろうシャルロットちゃんと合流しましょうか」

「私を弄るより合流するほうが先ではありませんかお嬢様…」

 

 

 

 

 

虚が精神的疲労を露にし刀奈が離れる。新華が脳量子波でハロαとFを呼び起こし簪と本音の腕から飛び立たせる。

 

 

 

 

 

「じゃ、行こうか」

「寒いから手を繋いでいこ…?」

「うん。楯無会長も」

「ええ」

「鍵は全部締まってるな」

「暖房は消しましたか?」

「消したよ~。他の機器の電源もちゃんと落ちてるよ~」

 

 

 

 

 

新華、刀奈、簪のラブっぷりにとうとう触れなくなった一夏達。戸締りを終えて生徒会室を出るとハロ3機が転がって足元に集まってきた。

 

 

 

 

 

「よし、帰ろうか。ハロ達は先に行ってシャルロットと合流しててくれ」

「「「ハロッ」」」

「トリィは飛んで千冬姉の場所を教えてくれ」

『トリィ!』

「はー、やはりハロもトリィも便利ですね」

「まーそーゆーふうに作りましたから。廉価版で販売するときは収納機能無くなりそうですが」

「そうなんですか?」

「銃器のような武器を持ち込まれて犯罪に使われでもしたら問題なんで。俺が連れているせいかほぼマスコットとして認識されてますし、CBのイメージを損なうようなことにはしたくありませんしねー」

 

 

 

 

 

トリィ、ハロ達が主人達から離れそれぞれ別行動を開始する。新華達もそれぞれ寮に向かい歩き出した。

 

 

 

 

 

「新華君はいつCBとMSを発表するつもりなの?」

「卒業してから、と以前は考えてたんだけどな。こうも内外で亡国の動きが活発だと来年には発表、という形になりそうだ。まーた忙しくなる」

「今年からは、私も出来る事があれば手伝うよ?」

「ありがとう。そうしてくれると助かる。ま、何にせよ今後の世界次第かなぁ」

 

 

 

 

 

新華がそう言って空に浮かぶ月を見た。寒い空は白い月をくっきりと映していた。

 

 

 

 

 




今更思った事を蛇足します。
シャルロット正体バレ時
シ「不幸だ…」

~一夏の場合~
一「俺も不幸だけどきっと何とかなる! 元気だせ!」

どこが? 希望的観測だけ? 霧が出てきたな…

~ここのオリ主の場合~
新「不幸なら幸せにしてしまえばいい」

提督達「禿同」

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