最近夢で新華+嫁3人と一夏+箒のW結婚式を見たガノタはもうダメだと思うの
『それではぁ! IS学園ハロウィンパーティー『仮装コンテスト』を開催しまーす! 準備はいいかしらー!?』
「「「「「「イエーイ!!」」」」」」
吹奏楽部とダンス部が撤収したステージの真ん中で刀奈がマイクを握って観客達と一体感を作り出す。アイドルのようにポーズを取る刀奈に来ていた野郎共は野太い歓声を上げる。
『司会は私IS学園生徒会長、更識 楯無と!』
『同じく生徒会の布仏 本音だよ~。よろしくね~』
刀奈の隣でダボダボのジャックランタンの衣装を着た本音が手を振る。野郎共のボルテージが上がる。
そのステージの後ろでは参加者達が集まり自分の出番を待っていた。
その集団を纏めるのは生徒会役員である虚、簪、一夏、そして新華。
「それでは皆さん、順番が来るまで待機です」
「予定では、1年生が最初で一番長いから、2、3年の人達は待っててください」
「生徒会長の合図で今並んでいる順番にステージに出てくれ。1年生はステージ上に張られた赤いシールの所に立てばいいから」
「照明はOK、ハロOとα間の量子通信での映像送信も問題無し、スクリーンも以上無し、マイク、各音響も大丈夫で外部のカメラ入りもしてるが予め指定しておいた席に陣取り。うむ、大丈夫だな」
専用機組を始めとした仮装した生徒達がそわそわする中、新華は機材の確認を行いソレスタルビーイングに異常が無いか確認していた。
「んであっちは…。よしよし、問題無く進行中か。まぁあの襲撃があったとはいえ完全に山中だったし町への被害ゼロだったからな。嫌な予感も無し、今回はようやく無事に終われそうだな」
「ご主人様、そろそろ始まります」
「おう。んじゃ、楽しみますか」
『それではお待ちかね、1年生の部から早速いってみましょう!』
『みんな~、出てきて~』
刀奈と本音の呼ぶ声が聞こえてきて、1年生達はステージの方へ視線を向ける。その顔に浮かぶは戦いに挑む戦士の顔。
「準備はいいみたいだな…。一夏! いつでもいいぞ!」
「わかった! じゃあ皆、えっと、頑張ってくれ」
「「「「「「おー!!!」」」」」」
「ライト調整……X-30、Y±0、と。光源絞って集中させて…刀奈と本音さんに当てていたのも動かして…」
「人数多いから大変ですね…」
照明など機材を手動で遠隔操作し演出を凝らす。音楽を流す演出はサヤカにやらせており
「へー、IS学園の機材も操作分かればウチの高校のと大して変わんないんだな」
「あまり複雑にしても分かりにくいからね。簡略化しないと、放送委員じゃない限り扱えないよ」
生徒会どころかIS学園の生徒ですらない弾と、このイベントに参加しなかったシャルロットがその作業光景を覗いていた。
勢いで流されてしまう一般人の性。デュノア社長と別れた時に一夏と共に移動していたせいで自然な流れのままここに来てしまっていた。無鈴参加者である生徒達は弾を怪訝な目で見ていたが
「弾ー、あの照明でいいと思うかー?」
「…いいんじゃね? でも下からの照明動いてないぞ。あれ眩しくないか?」
「おっふ確かに。えっとそしたらX±0、Y-20くらいで…」
「…ちょっと照明1つに本気出し過ぎじゃありませんかね新華さんや」
「弾さんや、映画やドラマ制作じゃ照明にも力入れるのは基本ですぜ?」
「いや知らねぇし。というか毎回思うんだがお前のその情報はどっから仕入れてくるんだよ」
「そらおめぇ……経験」
「経験!?」
以前から弾を知る専用機組が何も言わず、新華と気軽に漫才しているのを見て気にしないことにした。
そしてステージでは真ん中から退き端に移動した刀奈と本音が、ステージ上に出てきた女子達の紹介を行っていた。
『まずは1年1組の---』
「…おし、これでいいな。最終調整も済んだことだし、一夏ー。着替えに行こうぜー」
「もうか?」
「早めに準備しておくに越したことねぇだろ。なぁ『ミイラ男』」
「確かに早くこの格好何とかしたいけどな!」
…今まで全く触れてなかったが一夏の衣装は新華の言う通り『ミイラ男』であり全身に包帯が巻かれた状態だった。ただミイラと言ってもそれほど本格的なものではなく一夏の動き易いように緩めに巻いてあった。そのせいか一夏本人にとって視線が集まり若干恥ずかしく、女性からすれば厨2チックに着流しているように見えるので注目が(ry
至極どうでもいい
「まー人数的に時間掛かるし? 基本進行は楯無会長と本音さんが全部出来るし皆暇じゃん? 出番まだの人の暇つぶしも兼ねて先に着替えといた方がいいだろうし」
「でも箒達の見ていなくていいのか? また何か言われそうなんだけど…」
「後でいくらでも見れるというか見せてもらえるやろ? いざとなれば俺のせいにしてくれて構わんし、そもそも俺この行事に興味ナッシング」
「…以前にも増してフリーダムになってないか?」
「元々こういうイベントに興味無いのは知ってるだろ。他の女に目をくれるほど情は浅くないし、寧ろ重い?」
「いや俺に聞くなよ」
徐に弾に視線を投げるが手を横に振られる。それに小さく笑って体を伸ばし、ハロFから重刎首鎌『ニーズヘグ』を取り出す。
「サヤカ、刃引きするぞ」
「はい。……『---どうぞ』」
「おし」
サヤカが腰に戻るのを確認して『ニーズヘグ』の刃に指を添える。そのままスウッと刀身をなぞると、刃が潰れ切れ味が無くなり切断武器としての機能を無くした。そこ、卍○っぽいとか言わない。
流体金属であるサヤカは同化した物の形状を自由に変更出来る。ただし同化した物の原型がある程度影響するので基本形状は変わらない。だがこういった細部なら変化を加えることが出来た。
「ん、これでよし」
「鎌か。使うのか? ソレ」
「俺が使う衣装に必要なんよ。なんでもこの後女子達とは別に番外扱いで俺ら出すんだと」
「へー」
「もちろん一夏もそうだが、俺の衣装は『死神』らしくてな。実際に使う得物は違うがイメージ優先ってこったろ」
「……2013年9月26日は?」
「『最期』を告げる評決の日。ってそっちの死神じゃねぇよ」
「お前で28人目」
「恐れるな、死ぬ時間が来ただけだ。ってだからフロムじゃねぇっての。イメージが違うだろイメージが」
弾、一夏が合いの手を入れ新華が模範解答を入れる。男3人がいつものノリでケラケラ笑うが、聞いていた女子達は何のネタか分からずに頭に?を浮かべた。
「新華って、本当に泥臭い感じ好きだよね」
「そっちの方がリアリティあって感情移入し易いしな。洋画アクション物はどんなにぶっ飛んでいても基本泥臭いものだし」
「そうだね」
「そういやシャルはこのコンテストに参加しないんだな。更識さんはともかく皆参加するしシャルも出るのかと思ったけど」
ネタを理解し会話に入ってきたシャルロットに一夏が問う。更識姉妹は生徒会なので参加しないが、シャルロットは生徒会ではないので参加出来た。だが彼女は
「僕は景品が欲しいわけじゃないし、参加する意味も無いからね。欲しいものはもう貰えているから」
「そう言ってもらえると嬉しいが、もっと我侭言ってくれていいんだぞ? 参加したら応援したし」
「あはは、それはそれで嬉しいだろうけどさ。他の人より新華に見ていて欲しいから」
「ん、そうか」
「うん」
「………くそっ、殴れる壁が無ぇっ…!」
「五反田君、あれはまだ軽い方ですよ? お嬢様が居らずお互いに触れてないだけまだ…」
「マジですか…」
新華とシャルロットが互いに見つめ合っていると弾が空気に耐えられず床を殴っていた。虚が疲れた目で諭し、弾は驚愕と戦慄をもって虚を見た。現状を憂う表情にドキッとなるが、簪が新華に突撃したのを見て同じような目になる。
「……あれが日常ですか」
「ええ、あそこに今司会をしておられるお嬢様も加わります」
「想像していた以上に、これは…」
「…青木君って、変わりましたよね」
「ええ、変わりましたね。いいことなんですけど…」
「ちょっと、ほんのちょっとでいいので自重していただきたいです」
「そうですよねー…」
そう言ってハートマーク飛び交う新華達3人から目を逸らし一夏を見る。一夏は2人の疲れた目で見られうろたえた。
「な、なんだ?」
「…いや、なんでも」
「こちらもこちらで、問題ではあるのですけどね…」
「健全にラブコメってるなら、いいんじゃないっすか? 今の一夏は以前とは違ってフラグブレイクしない甘酸っぱさでアマガミちっくな感じでKENZENでしょうし」
「アマガミ…? まぁ、私も健全で風紀が乱れなければいいのですよ、ええ。生徒会長が積極的に乱していますけどね!」
「俺でいいのなら話聞くので、落ち着いてください布仏さん。ステージ側に聞こえますって」
などと舞台裏で騒いでいると、表が賑やかに煩くなり歓声が上がった。
「お、1年の部は結果が出たか。おし一夏、出迎えてから行くぞー」
「お、おう。…更識さんを下ろさなくていいのか?」
「何か問題でも?」
「大有りだろ…」
だらしなくニヤけ顔をして猫のように喉をコロコロ慣らした簪を背負った新華が脇にシャルロットを侍らせた状態になっていた。この男、以前のシリアスな面影はどこへやらである。
そんな状態で1年組を出迎えたものだから大騒ぎになった。新華派の者はその光景に崩れ落ちたり、一夏派の者が一夏にアクションを掛け逃げられるという動きが生まれた。
そしてそれを笑いながら見送る新華達と、放置し2年生の誘導を行う虚とそれを手伝う弾。一夏達は舞台裏から飛び出しての大逃走劇になるが
『おおっと! 織斑 一夏選手逃走したぁ! っとここで緊急クエストを生徒会から発行します!』
『ん~? かいちょ~何を思いついたの~?』
『ふふふ、2、3年生の部を始める前に逃走した織斑君を捕縛した人には! 彼に何でも1つだけ言う事を聞かせられる権利を生徒会会長である私が与えます!』
『わーお、かいちょー大きく出たね~! おりむー頑張ってねー!』
そんな無責任なことを刀奈と本音が言うと、聞いていた数多くの女子と一部の男性が立ち上がり一夏達を追いかけ始めた。一夏の悲惨な叫びが聞こえ逃げ場を確保していた箒が通信を入れ匿い、それに気付いた専用機持ち達との身内戦となるなど終始賑やかになった。
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---同時刻、アメリカ某所。
暗闇の中、とある施設の一室で1人の男性が大きめのPC画面と向き合っていた。画面に映るのは世界で有数の資産家である老人達。
『…全員揃ったようだな。では定例会議を行う』
人数分だけ分割された画面の真ん中に移る老人が宣言する。
---ここに居る全ての人間が第2次世界大戦に生まれ今日まで活動してきた『亡国機業』出資者であり重鎮達であった。
『亡国機業』の創設者達は既に他界していたが、その意思は彼らが引き継いでいた。
『まず最初の議題は、先日天使に喧嘩を仕掛けた挙句返り討ちに遭った秋蜘蛛の事だ』
『実行部隊の穀潰しか。勝手に余計な事をしてくれたものだ』
『現在ISの元々の所属の関係でアメリカの収容所に隔離されている。…極刑は免れんだろうな』
『そのところ、どうなのだね?』
「ええ、概ねおっしゃっている通りかと」
彼は笑みを絶やさず老人の問いに答える。彼は比較的に新参者であり他の老人達と比べると発言力は低い。故にこうして問われたときに返事をするくらいしかしない。
「近いうちにひっそりと処分される予定ですね。蜘蛛の方は名称を変え新たな姿で代表候補生の手に渡るでしょう」
『だろうな。で、オータムと言ったか。アレが処分されるということだが再利用はしないのか? 被検体にするには都合が良いだろう』
『今回は大統領が出しゃばってきおってな。アレを下手に生かして自国の名声を落とすよりさっさと消して無かった事にしてしまいたいようだ』
『そも、被検体にするとしても現在残っている研究施設で使うには、あまりにリスクが高い。我々の手元にあった施設の殆どがかの天使によって消されたものだからな』
『全く、そのせいで投資した資金がパァだ。天使だろうが何だか知らんが、人のビジネスの邪魔をしてもらいたくないものだ』
『同感だな。損害を補填するのにどれだけの時間が掛かるやら…』
『所詮『蒼天使』などと持て囃されていても中身は子供、正義感が強い子供でしかないということか』
老人達が好き勝手言うのを彼はにこやかな笑み1つで聞き流していた。中心の老人が咳払いをし場を纏める。
『かの天使の話は後に回そう。今の議題は秋蜘蛛だ。現状我々の手から離れた実行部隊。アレが我々をアメリカに売ろうとしたことは耳に入っているだろう』
『うむ』
『亡国機業』実行部隊は現在老人の言った通り、彼らの指示を受け付けずスコールを筆頭にして離反していた。新華と刀奈が潜入し沈んだあの空母は、スコールがアメリカに老人達を売ることで自分達が新たな『亡国機業』に成り代わる為の交渉場だった。だがそれを新華と刀奈がぶち壊しにし、スコール達は決定的かつ明確に老人達と敵対することになった。
『我々というバックを失い戦力の補充が難しくなった彼女らにとって秋蜘蛛は貴重な戦力だっただろう。故に彼女らの常套手段であるISによる強奪が懸念されるが…』
『秋蜘蛛には天使製の首輪が付いていると聞いた。放って置いても構わんだろう』
『最も、アメリカは『銀の福音』を再稼動させたと聞く。IS学園のブリュンヒルデ、その弟と第4世代型を圧倒した性能に加え国家代表が居れば問題は無かろう』
『被検体として実験施設に送れないのが残念ではあるが、やむをえんか』
誰かが放った最後の一言は確かにアメリカの内情を知る者の耳に届いていた。
「(彼女は既に被検体として利用出来る体じゃないんですよねぇ。肉体的に破壊されている部分が致命的、という理由もありますが…)」
『(精神が壊れた今となっては『再利用』することも出来ん。日本ではこのことを確か…)』
『(『残当』、と言ったか。全く、あの国は何でも短くすればいいとでも思っているのだろうか)』
オータムは四肢が動かせないのをいいことに、一部の兵士から性的暴行を受け続けていた。オータムの容姿は『美』が付くものであり、戸籍上では『存在していない者』として扱われていた。
存在しない者に人権は発生しない。ましてや今の世界で
そしてそれは、新華が恐れる末路の1つである。だが新華が恐れるのは自身への断罪ではなく、愛する者達へと手が伸ばされることだった。
『では、秋蜘蛛はアメリカに処分を任せ残る元実行部隊も排除でよろしいか?』
『異議無し』
『異議無し』
『異議無し』
『ならば次の議題に移るとしよう』
だがもし彼らが今オータムの現状を知ったとことで意味は無いのだろう。彼らは自身の邪魔者を排除し蹴り落としてここに居るのだから。必要であれば同じことをするように指示出来る、否、指示してきた者達なのだから。
故に『スコール・ミューゼル』という『人形』を『産み出し』、『IS』という『商売道具』を持たせ、『オータム』という『玩具』を与え、『ラクス』『
『次は無人機をも撃墜可能なMSという兵器についてだ』
『ああ、アレはいいものだ。ISなどという不完全な兵器よりも扱い易い』
『だが肝心の動力であるバッテリーの中にまでブラックボックスが存在しているという報告も上がっている。それが無ければ只の強化外骨格というのが気に食わんが…』
『加え開発したのがあの子供なのだろう? あの篠ノ之博士といい、最近の子供はどうしてこうも自らの立場を弁えないのか』
『子供だからであろう? 最も、子供だからとはいえ容赦などせん。これ以上我々の邪魔するのであれば思い知らせるだけよ』
『左様。あまり出しゃばるならそれ相応の対処を取らせてもらうまで。何、実行部隊が無くとも出来る事はいくらでもある』
老人達が好き勝手に言っているのを、彼は笑みを張り付かせて眺めていた。その目には明らかな侮蔑の感情が篭っていた。
そしてしばらくして、全ての議題を終え解散する流れとなる。
『うむ、ではこれで全ての議題を終了し解散とする。また次もこの場に集える事を願おう。次まで『亡き国』のように世界を『織りながら』』
老人の最後の一言で全員がうむと頷き分割された画面が同時に消える。そして彼の目の前の画面には、先程まで中央に居た老人がアップで映る。
「…やれやれ、毎回毎回あの老人共は。自分達だけでは何も出来ない癖に口と金だけは達者なんですから」
『それを貴様が言うのか?』
「私は必要とあらばこの目で確認するくらいはしますよ? それに私はあの中で新参者ですから、ご老人達の憩いを奪わないよう口を挟みませんし」
『よく言う。ただ奴らを観察し見下していただけだろう?』
「貴方程ではありませんよ。それより、そろそろその顔で喋るのをやめてもらえます? 気味が悪いので」
『む、まだ変えてなかったか』
彼の指摘に老人が画面を操作する。一瞬画面が真っ暗になると、直後そこには仮面を付けた胡散臭い人物が映っていた。
『これでいいだろう』
「そうそう、その姿の方が僕的には好ましいですよ。胡散臭さがにじみ出ていて」
『褒め言葉として受け取っておこうか』
声も若い者のそれに変わり、気を張っていたのかため息を吐く。
「おや、お疲れのようですね。ちゃんと寝ているのですか?」
『この体でそうそう無理はせんよ。全く、奴らが実行部隊をちゃんと制御出来ていればこんな苦労しなくて済んだものを…』
「その点については全面的に同意しますよ。まったく誰ですか? あの『人形』に好き勝手やらせた馬鹿は。お陰で『
『アレも奴らの楽観視による損害だ。これ以上あの老害共を見逃していれば、いずれ我々にツケが回ってくる』
「勘弁して欲しいですねぇ…」
仮面の男の言葉に彼が頭を抱えるように唸る。ISが出る以前からこの会合に参加している彼だったが、ISが出現して以降あの老人達の適応力の無さにほとほと呆れ返っていた。
確かに『亡国機業』の老人達は裏世界において優秀であり資金力も十分にあった。ISが出現し世界が変わるまでは。
ISが出現するまで彼らは経済を支配し裏世界において暗躍出来ていた。実行部隊も少数精鋭は相変わらずであったもののスコール達より柔軟性を持ち『亡国機業』という組織に対する忠誠もしっかりと存在していた。だがISによる急激な変化は老人達の重い腰が上がる前に状況を一変させた。
『ISはISでしか対抗出来ない』。『白騎士・蒼天使事件』より今も信じられているこの言葉によって、これまで彼らが保有していた実行部隊の高性能な装備の数々は無用の長物と化し『少数精鋭』という言葉は努力せず道具に依存する女達の物になった。
これに対し老人達が取った行動は、これまでの実行部隊を再編成しISを戦力に加えるという『挿げ替え』だった。結果実行部隊の戦力はスコールらIS乗りのみとなってしまい、現状のような醜態を晒していた。
「思えば、あの人形を作る事を止めきれなかった事と実行部隊の精鋭の契機を早めて通常営業に還元してしまった時点で、こうなることは確定していたのかもしれませんねぇ…」
『奴らの思考は『亡国機業』の思想に都合が良かった。それだけを見て女だからだと、自分達より下に居るからと高を括った老害達の罪だ。到底許される失敗ではない』
「そろそろ彼らには身を弁えて退場願いたいものですね。…準備はどれだけ出来てます?」
『後は彼と交渉し協力を仰ぐだけだ。何、もうすぐだよ』
「……本当に彼は我々との交渉に応じるのでしょうか?」
彼らは以前スコールがしたように、新華に対し老人達を売ろうとしていた。組織的な亡命行為であるが、彼らにはそれを行うだけの理由が存在していた。
『応じるさ。なにせ、私の行動の理由は彼の『甘さ』に恭順する形なのだからな』
「大変ですね、貴方達
『ふっ、私1人と老害共の首を差し出してあの子を助けられるなら安いものだ』
仮面の人物は綺麗な笑みをこぼした。
---彼は『亡国機業』創設者の1人のクローンであった。旧ドイツ軍の手によって生み出された彼はクローン技術のプロトタイプと呼べる存在であり、特殊な薬を服用しなければ生きられない体であった。しかしそれを対価にクローン元の人間の『性能』を再現する
…彼で培われた技術は実のようなクローンを製造する以前に、ラウラのようなデザインベビーにも使用されていた。つまるところ彼は、現在している人造人間達の兄とも言えた。
「ということは、弟君も助け出せたのですね。いいんですか? ここで私と話していても」
『医療に携わる信頼の置ける友人夫婦のところに預けてある。心配は無いさ』
「……ラウラ・ボーデヴィッヒの『ヴォーダン・オージェ』の話、本当に信じるのですか?」
『信じるさ。もし事実でなかったとしても『青木 実』という前例があの場所で生きているのだから、どうにでもなる』
「ま、私としてはあの天使に渡りをつけられる好期ですから別にいいのですけどね。デュノア社を立て直させたあの手腕は魅力的ですから」
仮面の人物はラウラの『ヴォーダン・オージェ』が正常化した事から希望を見出し、青年はデュノア社の現状からソレスタルビーイングと新華の経済的価値を見出した。老人達とは比べるまでもない価値を。
そして何より、今の『亡国機業』が失った理念に触れていながら正反対の道を歩もうとする『ソレスタルビーイング』を支持する為に。
「心情的にも、あちらの方が胃に優しいですしね」
『あちらからすれば我々など胃に優しくない存在だろうがな』
クックックと2人で悪い顔をして笑い合い通話を終了する。明かりが消えた画面の前に居る彼は体を大きく伸ばし清清しい笑みを浮かべた。そして真っ暗な窓の外を眺める。
「今頃、日本はハロウィンでお祭り騒ぎなのでしょうね」
あくびをしてポクポクと首を鳴らす。腕時計を見ると真夜中の3時になるところだった。
「もうこんな時間ですか、やれやれ。昔はこの地位に憧れていたんですけどねぇ…。いざなってみると、なるほどどうして、『あの頃に戻りたい』と思うものですね。こう思ってしまう私も『おじさん』なのでしょうね…」
自分の発言に苦笑しつつ、PCと部屋の明かりを消し部屋を出る。
その青いコートに金髪の人物(30)の背中には哀愁が漂っていた。
はい近いうちに『亡国機業』壊滅します。最後の2人はどちらもSEED悪役ですが……なんでこんなに浄化されてるんだコイツら?w
仮装パーティーの詳細? 一夏追いかけっこに参加しなかった大人し目の2年のモブが優勝して新華に告って轟沈したんじゃナイカナー。いつか生徒会室に行くときに竹刀で襲い掛かってきたあの女子生徒。
あ、ちなみに詳細はセシリア:C.C.、ラウラ:チン○姉を筆頭にした中の人ネタだと思います。それ以外は各々の脳内で補完願います。
次回は新華の誕生日イベの入りカナー?