IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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141話になります。
つい最近、3でレイヴンになりました。アリーナでのフロートの強さが凄いですね。
あと初期ミサ+連動ミサが強すぎて楽しいですね。


変わっていく世界

 

 

 

 

 

---4組との合同授業中

ハロウィンに向けて各クラスが賑やかになり、新華の居る3組でも催し物の準備が行われていた。

催し物の内容は最初一夏有する1組に対抗するように新華を全面に出したものになりそうだったが、以前の学園祭のように生徒会の仕事もあるということで却下となっていた。代わりにハロαとFをマスコットとして貸し出す事になったが、Oが居れば大抵困らないので快諾していた。

さてそんな3組だが、量産型ISを使った実技授業においては4組と共に行う。1組2組とも組む事は殆ど無い。故に千冬や一夏とはほぼ接点が無く専用機持ちも簪のみという状況だったので1、2組と比べ授業内容の進行速度は遅れていた。

しかしここ最近、新華、シャルロットが3、4組に移籍となった事で効率が上がり、授業の進行速度も早くなった。しかし如何せん量産型ISの使用可能台数が少ない事から劇的には変わっていない。

故に現在新華の目の前に広がる光景はIS学園にとって有難いものであり、同時に非常に気まずい空気を作り出していた。

 

 

 

 

 

「ええと、そっちの3台が皆も以前目にしたEOS。で、こっちの3台がMS(モビルスーツ)という最新のパワードスーツ…らしいわ。名称は……『JMS-01』? コードネームはまだ付いていないみたいね」

「(日本は型式番号的に…Gガン系か。妥当…なのか? しかしこの短期間で開発するとは思わなんだ)」

「今日はこれらを使って授業をするから、説明するわね」

 

 

 

 

 

3台のEOSと3機のザク系統と思われる外見の、ソレスタルビーイングで開発したものではないMS。3組の女子達と混じり整列している新華はそれを、驚きと怪訝を持って見ていた。

 

 

 

 

 

「(しかし何で一々IS学園にデータ採りさせるんだか。自分たちで乗りゃいいのに。あと開発者がISに引っ張られてるのか売った3機種よりデカイし)」

 

 

 

 

 

MSは即座に全てを再現出来なかったのか、はたまたこれまでISばかり見てきていたせいか全身走行ではあれど一回り肥大化していた。プロトタイプなのか武装は装備されておらず、何も知らない生徒から見ればEOSの発展型に見えた。中身は完全に別物であるが。

3組と4組の担任教師がMSについての資料を片手に、ISスーツを来た女子達の中で唯一制服姿のMS開発第一人者を気にしていた。

当の新華はサヤカ経由で簪とシャルロットとプライベートチャンネルを開いていたが。

 

 

 

 

 

『あれってMSにしては大きくない?』

「多分3機種計9機を解析した後で自分たちがISで培った技術を注ぎ込もうとしたんだろう。でも技術を詰めれば詰める程サイズは大きくなる。特に販売したMSはEOSと同じでISのような収納機能なんざねぇからな」

『でも、完成するのが早い』

「1機種1機ずつ分解、実験、見本にして効率化を図ったんだろうな。それに今までISしか開発出来ずEOSの開発も進んでいなかったと考えると、これからどんどん小型化が進むだろうな。ま、ソレスタルビーイング(うち)も負ける気は無いけどな」

 

 

 

 

 

著作権を事前に取っていたので現在ソレスタルビーイングの収入は大きな黒字になっていた。一応バッテリーの内部はブラックボックスにして学習機能はオミットしてあるが、ISとは違い男性でも搭乗可能であり量産が効く兵器は軍上層部に大受けだった。これまでの男性の努力や苦労を無に帰し嘲笑う謎多きISに不快感を抱く者も少なく無い。特にアメリカはIS『アラクネ』や『海兵隊』を失っているので戦力を一刻も早く以前のように充実させたいのだろう、行っていないのにひっきりなしにMSの追加発注をしてきていた。

しかしあまり輸出をし過ぎても開発部の就労時間が伸びてしまううえ、あまりに急過ぎる変化は醜い世界の歪みにしかならないと、『白騎士・蒼天使事件』が原因で変わった今の世界を見て思い知っていたので制限をしていた。

だが新華の予想ならば、そう遠くない未来にMSは全世界で正式量産体制に入る。特にアメリカや中国はその国土と人口に見合った生産速度と効率がある。そうなれば日本は再びISが出る以前のような他国の庇護を受ける国に戻るだろう。

 

 

 

 

 

「(ソレスタルビーイングやIS学園がある限り日本が遅れを取る事は無いだろうが、デカイ組織程銃刀法が機能していない今の日本に自重の二文字は無い。ISの装備や武装を平気で作っておきながらMSを否定するなら、ISそのものに対して大いにディスらせてもらおう。何、宇宙には現状のMSでも行ける(・・・・・・・・・・・・・・)しな)」

 

 

 

 

 

世界にはMSが『ISに対抗する為に開発された兵器』と思わせている。だが実際は『宇宙で効率良く働く為の作業機』という設定がベースと知った時、ISを信望している者達はどんな反応を起こすのか。

 

 

 

 

 

「(どうでもいいか。まぁ実際宇宙に行けるなら行ってみたいし、ヴェーダに直接足を運べるかもしれないな)」

 

 

 

 

 

そこまで考えて新華は苦笑した。

 

 

 

 

 

「(宇宙開発を謳いながら超高性能兵器として運用されているISよりも先に、ISの対抗手段として開発されたMSの方が宇宙で作業し出したとすれば、皮肉が効き過ぎてるかね? 実際にNASAの研究所が興味を示しているようだし、意外とその光景を見るのも早いかもしれないな)」

 

 

 

 

 

教師の説明そっちのけで考察する新華は、まだ見ぬ未来に思いを馳せた。

 

 

 

 

 

「(スウェンとか興味示しそうだし、一枚噛ませるか。夢が広がるなぁ)」

 

 

 

 

 

この後、この考察でテンションが上がったのか新華はJMS-01をEOSとの比較を含め一切容赦の無いレポートを提出し開発者達のSAN値を削った。

しかし評価出来る点と改善案もきちんと指摘した事で回復した開発者達は、更なる研究へと没頭していった。

結果、随分と早い段階でMS『ブッシ』、『ノブッシ』が原作より武装を増やした形で完成する事となるが、それはまだ先の話である。

 

 

 

 

 

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---放課後、キャノンボール・ファストで使用されたアリーナ

レースで使ったコースが未だに残るそこで1台の2輪車が高速で疾走していた。

蒼と白に塗装され武装を搭載したのバイクに跨るのは殆どの武装を外して軽くなったクアンタ。

 

 

 

 

 

「………慣らし運転はここまででいいか。簪、ドローンを」

『分かった』

 

 

 

 

 

障害物をレーサーのように軽やかに回避しながらエンジンとブースターを用いて加速していく。

ある程度進んだ所で新華は簪に通信を入れてターゲット用のドローンを出してもらう。

目の前に3機のドローンが出てくる。それを視認すると

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

持ち手に5つずつ設置されたスイッチを順に押し武装を選択、後輪装甲左右に設置された複合武装『マーキュリーレヴ』と『マーキュリーデュオ』が起動しグレネードの砲口が現れドローンに向けられる。

ドローンから行われる攻撃を左右に躱し、トリガーが引かれる。パシュッという発射音と共にグレネードが発射されドローン2機を落とし、最後の1機をクアンタに新規搭載された頭部バルカンを発射し空薬莢を出しながら破壊する。

 

 

 

 

 

「次」

 

 

 

 

 

すかさずドローンが追加され新華の前方に道を阻むようにして展開される。新華はスイッチを押して前輪基部に設置された3連ミサイルランチャーを起動、展開するドローン達の真ん中へと打ち放つ。

放たれたミサイルはドローン達の中心目掛け飛翔し、手前で爆発した。セットされていたミサイルはセンサー攪乱目的のGN粒子が入った煙幕であり、ドローン達は新華を見失う。

その隙に新華は握っていたレバーを手前に引き下げ両手を後ろに広げる。

 

 

 

 

 

『っ!!』

「……(そうなるよな)」

 

 

 

 

 

通信の向こう側で簪が息を呑む声が聞こえた。簡単に予想出来た反応にフェイスガードの下で苦笑する新華はバイクが変形していくのを、マーキュリーレヴ、デュオの近接ユニットを受け取りながら確認していた。

脚部を守るように展開していたプロペラントブースターから羽が展開し、後輪のマーキュリーレヴの上部にあったスラスターユニット付きの翼が同時に広げられスラスターを吹かす。射撃ユニットのみになったマーキュリーレヴは回転し武装をグレネードから回転式ガトリングユニットへと変更する。

そして、タイヤが地面から離れ急速に空中へと舞い上がり煙幕の中へと突撃した。

 

 

 

 

 

「(同時攻撃っ!)」

 

 

 

 

 

左手の近接ユニットからナイフを展開しドローン1機を斬り、右手の近接ユニットに取り付けられたショットランサーからビームマシンガンを放ちつつ1機のドローンを抉った。

煙幕から出るとマーキュリーレヴ、デュオを再び回転させ後方に置き去りにしたドローン達にガトリングを打ち込む。

その弾幕を縫って上方からドローンが接近してくると、体を傾け機体を横に傾ける。ドローンからの攻撃を回避し傾きを止めず回転して手に持った近接武装で切り裂く。

 

 

 

 

 

「おっと」

 

 

 

 

 

一瞬機体バランスが崩れるがクアンタの推力で無理矢理制御し元に戻る。そして降下すると近接ユニットを戻し手前に引いていたレバーを戻し、翼を全部たたみ乱暴に地面へとタイヤを付けた。

 

 

 

 

 

「うし、次」

 

 

 

 

 

新たに出てくるドローンの攻撃を左右にヒラリヒラリと避けながら再び加速していく。

ドローン達もそれに追いすがり道を塞ぎ攻撃や妨害していき、次々と落とされていった。

 

 

 

 

 

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ドローンを落とし終え制服姿でアリーナのピットであるスタート地点に戻った新華は、早速簪に捕まった。

 

 

 

 

 

「新華君、アレ…!」

「おっと。やっぱ気になるよな? 見る?」

「うん!」

 

 

 

 

 

キラキラした瞳で抱きついてきた簪を抱き止め、傍に来た刀奈とシャルロットに声を掛ける。

 

 

 

 

 

「刀奈とシャルロットも見るか?」

「勿論」

「うん」

「おKおK。サヤカ、カバーと端子開けて」

「はい」

 

 

 

 

 

ハロ3機を出しコードを伸ばして端子に差込みデータを吸い取る。その間にバイク『アサルトホッパー』の至る所からカバーが開き内部の機械を露出させる。

 

 

 

 

 

「吸い取りはすぐ終わるだろ。まずは調整かな」

「新華君、このバイク途中で飛んでたよね? 推力もどうだけど動力はどうなってるの…?」

「推力はMSにも使われているスラスター、動力は電気だ。MSに使っているものを使っている」

「電動バイクなんだ。でも相変わらず新華の作る物は武装が多いね」

「その武装のテストも兼ねてる試作機だしな。搭載武装は3連ミサイルランチャーに射撃武装、近接武装の塊であるマーキュリーレヴとマーキュリーデュオだ。後者2つは分離して手持ちとしても装備出来る優れものだ」

「面白い武装ね。見ていたけど武装選択に優れているようだし、威力も申し分無さそうね」

 

 

 

 

 

前輪と後輪を繋ぐエンジン部に異常が無いか確認してカバーを閉じる。その間簪はずっと興味深そうに新華の作業を見ていた。

ヒーロー物において乗り物とは不可欠な要素であり、特にバイクはヒーロー物の代名詞たる『仮面ライダー』シリーズにて確実に出る乗り物である。しかし簪は年齢、家、立場の問題でバイクを弄った事は全く無い。故に彼女にとってのヒーローたる新華が、ガッチガチに武装しているとはいえ飛べる新たなバイクを開発したのだ。彼女の嗜好にドストライクである。

更に言えばバイクに武装が搭載されているという事はそれらを制御しているプログラムが存在するという事であり、打鉄弐式の各種プログラムを組んだ簪の興味を大いに引いていた。

 

 

 

 

 

「ハロは、と。データ吸い出し終えてるな。サヤカ、充電と補充を」

「わかりました」

「こっちはデータ解析とプログラム修正しておく。ああ、あとそうだな、サヤカ」

「なんでしょう」

「頭部バルカンはどうだ? 異常は出ていないか?」

「問題ありません。ご主人様が設計された通りに正常に動作しています」

「よしよし。何か異常があれば直ぐに知らせろよ?」

 

 

 

 

 

サヤカたるクアンタに新規増設された頭部バルカンは正常に作動していた。しかし増設した事により頭部の形状は変わっていた。

4つの角が伸びていたVアンテナはセンサー付きのカバーが付いた物になり、頭頂部に射出機構と弾薬を入れておく為のカバーが伸びていた。

 

 

 

 

 

「装備、また増やしたんだね」

「そらな。迎撃用の手数を増やすためにな。今持っている武装でも出来るがミサイル迎撃や牽制には向かない武装で固まってたし、丁度いいだろ?」

「全身装甲だから出来る事ね。通常のISだと切り落とせるから誰も考えないけど」

「俺が作っているのはISの装備でありMSだからさ。この『アサルトホッパー』だってMS輸送用だし」

「そうなの…?」

「そうそう」

 

 

 

 

 

ハロを操作して調整用の映像画面やプログラム画面を出しつつ、4人に見えるよう空間ディスプレイを出す。

 

 

 

 

 

「こんな感じで前に1機、後ろに1機乗れるような感じ。MSは動力がバッテリーだからエネルギーを消費するとそれだけ稼働時間が短くなり使える武装も少なくなる。移動する時の消費だって馬鹿にならないんだし」

「そうだね。ISだって移動する時にエネルギーを消費しないわけじゃないし、特に瞬間加速は沢山消費するものね」

「そうそう。それを解決する為のコイツさ。別口で移動手段を用いればエネルギー消費を抑え稼働時間を増やせるし、帰還する時の手段としても使えるし。それに滞空出来ない機体が空中戦闘出来るようにする為に航空能力も付いてる。そっちはプログラムを修正しないとまだ使えないけどな」

「新華君新華君。試作型という事はもっと作るの…?」

「おう。最終目標まで何台か制作する予定だ。コイツはコスパ無視のワンオフだし、ここからデータ採ってコストダウンして整備しやすいように簡略化。武装の変更も考慮して自由度を高めて安全性も確保してと、必要な事は沢山あるし。データ反映させた試作機は何機か必要だし」

「そうなんだ……」

 

 

 

 

 

ノリノリで話をする簪だったが、視線はチラチラとアサルトホッパーに向いていた。相当気になるようで、新華は刀奈とシャルロットと苦笑し合う。

 

 

 

 

 

「そんなに気になるなら、乗って運転してみる?」

「!? い、いいの!?」

「データはいくらあってもいいし、ISにも使えるようにすれば面白いからな。MSと一緒に販売すれば各国で研究が進むかもしれないし。あ、でも調整に時間掛かるからそれまで待っててもらうけど」

「大丈夫。待ってる」

「あいよ。楯無とシャルロットもどうだ?」

「あら、いいのかしら?」

「大丈夫大丈夫」

「じゃあ、お願いしようかな」

「あいよ。んじゃ調整するから待ってて」

「「「はーい」」」

 

 

 

 

 

新華が調整しているのを見た後、操縦方法を教えてもらいISを展開した状態で簪から乗り込む。

そして簪はワクワクしながら足を掛けハンドルを握り、どう操作すればいいのか分からず戸惑っていた。

 

 

 

 

 

「えっと……」

「……なぁ、この中で原付でもいいからバイク運転のやり方知ってる人ー」

「「「………」」」

「だよなぁ。スマン、それ走る時に原付かMT2輪か操縦法選べるんよ。今ATに設定して操縦方法教えるから」

「わ、わかった…」

「それと、危ないから慣れるまで速度出さないように。転んだ時絶対防御があっても打ちどころ悪かったら鞭打ちになるから」

「う、うん」

「じゃあ操作教えるぞ。まずは…」

 

 

 

 

 

文字通り手とり足とり教えながら3人に走らせ、その都度新華はクアンタで並走し感想を聞いて修正点と評価を纏めていった。

興味津々な簪に調整を手伝ってもらい、最後に新華の運転するアサルトホッパーの後部に1人ずつ乗ってイチャついてこの日は終えた。

 

 

 

 

 




次回、襲来です。
原作で宇宙に実際行っているISがあるとか友人に聞いたのですが、ここではスパロボOGのアイビスみたいな感じで考えてます。真面目に研究していてもIS自体が少ないうえ軍に持ってかれ、中々進まないという。

スターゲイザー待った無し

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