IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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137話目となります。ようやく原作追い越しじゃー!

※前回のあらすじ

青木父「理想的なのはちゃんと付き合う事なんだが…」
束「呼んだー?」
新華「誰が中の人ネタやれって言った。王国に帰れ、ぶち殺すぞ」
クロエ「ごめんなさいごめんなさい、ほんっとうにごめんなさい」

ガノタ「やっぱりガンプラは最高だぜ!」


再編成

 

 

 

 

 

---月曜日、IS学園ホール

全校生徒が集まる中で朝礼が行われ、とある発表が行われた。それは

 

 

 

 

 

「------というわけで、1年専用機持ちが偏っているので再度専用機持ちの娘たちのクラス分けを行います」

 

 

 

 

 

専用機持ち達の再編成である。もう3組が不憫なのと1組への戦力過多による一極化の結果、他のクラスの戦力ダウンを危惧した末の決定である。

 

 

 

 

 

「本人達は文句あるだろうけど、これ以上専用機持ちを1組に集中させたら他の娘達の為にならないわ。専用機を使った授業をそうでない授業では内容に差が出るからね。というわけで、クラス替えの内容を発表するわ」

 

 

 

 

 

刀奈がパチンと手に持った扇子を閉じ、それを合図として背後の空中ディスプレイに専用機持ち達の内訳が表示される。

 

1組には一夏、箒、セシリア。2組には鈴、ラウラ。3組には新華、4組に簪とシャルロット。

 

この分け方に最も反応したのは1組と3組の一般生徒達だった。それもそうだろう、1組は自分達の最高戦力と言える新華が最も目立っていなかった3組へと移るのだから。そして3組はようやく自分達のクラスに専用機持ちが来る事と、その専用機持ちが新華である事に驚いていた。

 

 

 

 

 

「念の為に伝えておくと、新華君が3組に行ったからといってクラス代表が変更になる事は無いわ。あくまでクラス変更なのであってクラス代表は覆らない。そして各専用機持ちの皆はこれまで通り、そのクラスで役立ってもらうわ。そして実際にクラスを変更すると言っても、1、2組は合同で演習する事が多いし会えなくなる訳でもないから大丈夫でしょ?」

 

 

 

 

 

そう前置きしざわめくホールを一瞥した後、刀奈は話を続ける。

 

 

 

 

 

「それ以外での変更は無し。そして予定ではこれ以降クラスの変更をするつもりも無いわ。1年生のみんなは2年生に上がる時のクラス替えまで頑張ってね?」

 

 

 

 

 

そうやって刀奈がスピーチしている舞台袖で件の男子2人が会話をしていた。生徒会役員なので居るのはおかしくないのだが、

 

 

 

 

 

「なぁ新華」

「なんだ?」

「クラス分けるのはいいんだけどさ、いやよくないけど」

「どっちなんだよ。というか、何が言いたいん?」

「…なんかさ、新華と生徒会長、それと更識さんにシャル。何か変わったよな」

 

 

 

 

 

そう言って一夏は新華を…というより、新華の反対側を見る。がっちりと恋人つなぎで手を握っている簪がそこに居た。

 

 

 

 

 

「…?」

「ああ、まぁ、そらな…」

「新華もなんだか前より妙に自身に溢れてるっていうか、胸張っているというか? いきなりどうしたんだ? ここ数日で何かあったのか?」

「…お前さ、その察しの良さをもっとさ…」

「?」

「まあ、いいや」

 

 

 

 

 

簪が新華にくっついたまま首を傾げ、新華が一夏の無駄な鋭さと恋愛の鈍感さに諦めを付ける。一夏は新華が言おうとした事を察せられる筈もなく、頭に?を浮かべるだけだった。

そして刀奈がスピーチを終えて戻ってくる。壇上を歩く姿も心なしか以前より堂々としており、もっと言うと自信に溢れる笑みは一夏ですら見惚れてしまう程の妖しさを持っていた。

 

 

 

 

 

「お疲れ様でした」

「ええ。これで後は放課後までのんびり授業を受けるとしましょうか。各自自分達のクラスに説明をお願いね? プリントも配ったし張り出すだけでいいんだけど」

「了解」

「分かった…」

「あ、はい。分かりました」

「りょうかいだよ~」

 

 

 

 

 

生徒会メンバー全員で返事を返し刀奈が満足そうに頷くと、直後彼女は新華と一夏の間に割り込むようにして簪の反対側に回り新華の手を握った。

 

 

 

 

 

「じゃあ、行きましょうか♪」

「お、おう」

「…♪」

「………なんスかアレ?」

 

 

 

 

 

傍から見ても明らかにくっつき過ぎな3人の様子に、一夏は近くに居た布仏姉妹に聞いた。当の姉妹は、姉の方は苦笑し妹の方はにゃはーと笑っていた。

 

 

 

 

 

「まあつまりは、そういう事です。ですので、織斑君?」

「はい?」

「頑張ってくださいね?」

「え?」

「お嬢様もかんちゃんもすっごく幸せそうだね~。あ~あ、私もちょっと気にしてみようかな~?」

「だったらまず日常生活から見直しなさい。あなただって妹様の従者なんだから」

「は~い」

 

 

 

 

 

3人に続いて布仏姉妹までその場から去る。残された一夏は

 

 

 

 

 

「えっと……おめでとうって言うところなのか?」

 

 

 

 

 

混乱しまくっていた。

 

 

 

 

 

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---1年3組

ショートホームルームにて

 

 

 

 

 

「じゃあ残り半年近く、このクラスで世話になる。よろしく」

「よろしくお願いします」

「「「ヨロシクネ、ヨロシクネ」」」

 

 

 

 

 

新華はサヤカとハロ3機を出し教卓で挨拶をしていた。無論女子達のテンションは鰻登りである。今まで叶わなかった念願の男子参入なので致し方ないところだろう。

更にクラス代表にはならないという事なので2人の代表候補生の戦力アップにも繋がり、他の組(一夏)との繋がりも期待出来た。喜ばない方がおかしいというもの。

 

 

 

 

 

「じゃあ最初は早速4組との合同授業があるし、俺の自己紹介もここまでにして移動しよう」

「はい! その前に質問です!」

「時間押すから1つだけな」

「じゃあ、青木君は彼女もう居ますか!?」

 

 

 

 

 

早速コアな質問が来たが、予測出来た質問に新華は全く動揺しなかった。3組という全く目立たず男子2人と接点が無かった彼女達が舞い降りた新華(ネタ)に飛びつかない筈も無いと予測していたが故である。

そして考えていた答えを出す。

 

 

 

 

 

「ん、居るよ」

「…え」

「「「「「「ええええええええええええええええ!?」」」」」」

「さて、行こうか」

「はい」

「「「ユクゾッ!」」」

「そのネタ久しぶりに聞いた気がするよ、ハロ」

 

 

 

 

 

騒ぎ出す生徒達を3組担任に丸投げし、新華は颯爽と廊下に出る。丁度そのタイミングで4組からも騒ぐ音が聞こえ、簪とシャルロットが出てきた。

 

 

 

 

 

「あ、新華!」

「そっちもか」

「うん…! それより、早く行こう…?」

「おう」

 

 

 

 

 

2人が新華の腕を取り頭を新華の肩に寄せる。その顔は幸せそうな笑顔で、後ろから慌てて出てきた3、4組の生徒達が二の足を踏むくらいに固有結界が形成されていた。

ちなみにサヤカとハロ達は意図して3人の視界の外に待機し、邪魔が入らないようガードを固めていた。

 

 

 

 

 

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---昼休み、校舎屋上

一夏達専用機メンバーを含めた一同はいつも通り、いつも通りに昼食を摂る為屋上に集合していた。

一夏ヒロイン勢はクラス替えの事で刀奈達に問い詰めようとしたのだが

 

 

 

 

 

「はい新華君、あーん♪」

「やめてくださいしんでしまいます」

 

 

 

 

 

言葉を掛ける余地も無いくらいにデレデレしていたので戸惑っていた。それはもうデレッデレである。見ていられないくらいにデレデレしている。具体的に言うと

 

 

 

 

 

「もう、照れないの。あ、もしかして食べたいのはわ・た・し?」

「……夜は覚えてろよ。というかいい加減に降りてくれ」

「じゃあ次は簪ちゃんね♪」

「ん……その次は、シャルロットさん、ね…?」

「うん」

「もう好きにしてくれー…」

 

 

 

 

 

胡座をかく新華の膝に座っているくらいに。そしてその位置を妹に譲った後は背中に張り付くくらいに。

 

 

 

 

 

「どういうことなの…?」

「ええと、新華さん?」

「何…?」

「一体その、ええと、何と言いましょうか」

「ちょ、ちょっと、いくら何でも近過ぎでしょ!? アンタら何してんのよ!?」

「破廉恥だぞ!」

「わ、我々でもそこまでしないぞ!?」

 

 

 

 

 

セシリア、鈴、箒、ラウラが講義するが、刀奈達3人娘はどこ吹く風である。

 

 

 

 

 

「あはは…皆はまだ(・・)そうだよね。でもさ、凄く幸せだよ?」

「シャルロット、アンタまで…!? 新華、アンタ何したのよ!?」

「シたんじゃなくてサれてヤり返したんだよ……。これ以上触れないでくれ…」

「「「「「は?」」」」」

 

 

 

 

 

一同は新華の言葉に呆然とするが、その反応を見た刀奈が面白い事を思いついたように悪い笑みを浮かべて簪に耳打ちした。

 

 

 

 

 

「簪ちゃん、ゴニョゴニョ……」

「…! う、うん…!」

「おい何を吹き込んだ。簪さん? どうして顔を近付けているので?」

「分かってるでしょ?」

「んっ」

「「「「「「」」」」」」

 

 

 

 

 

一夏達の目の前で簪が下から新華にキスをかます。一同絶句だが簪は視線を無視するかのように唇を合わせ続け、終いには貪ろうとした。

 

 

 

 

 

「「「「「「な、何やってるんだ(ですの)ーーーーー!?」」」」」」

「んっ、チュッ…」

「うわ大胆…」

「み、見てないで止めろォ!」

「れろ、んっ……はあっ、ごちそうさま」//////

「…いきなり人前でやるのはやめよ、な?」

「ん、人前じゃなければ、いい…?」

「もう散々してるだろうに…今更だろう?」

「……♪」

「「「「「「(なんだこれ、なんだこれ)」」」」」」

 

 

 

 

 

簪が新華の胸に顔を埋め密着しているのを見た一夏達の内心は一致していた。以前からイチャイチャする事は多かったものの、自分達の前でこうもあからさまにレベルの上がったものを見せ付けられるとは思ってもみなかった。

 

 

 

 

 

「な、なぁ新華。本当に、どうしたんだ? 何があったんだ?」

「それには私が答えましょう」

「あ、サヤカ」

「ご主人様は私に任せて乳繰り合っててください」

「おい何をするだー!?」

「えへへー、新華ー♪ 次は僕の番だよ?」

 

 

 

 

 

後ろで控えていたサヤカが前に出て入れ替わりにシャルロットが未だに簪を乗せ背中に刀奈が張り付いている新華に突撃した。揉みくちゃになっているのを隠すようにサヤカは一夏達の前に立った。

 

 

 

 

 

「アレは放っておいていいのか?」

「何も問題ありません。問題のある事になれば物陰に行かれるでしょうし」

「それは良くないだろう!?」

「何も問題無し。いいですね?」

「アッハイ」

 

 

 

 

 

有無を言わさずにサヤカは新華達がどういう関係になったのか話した。ただし痴情のところはボカして、である。

 

 

 

 

 

「えっ、ってことは、あの4人…」

「はい、将来の夫婦になります。しかも国の繋がりを考慮すると確定事項ですね」

「うっそぉ…」

「ありえませんわ…」

「事実ですし現実です。あ、ちなみに織斑さんはご主人様と同じ事は出来ませんよ?」

「え、そうなんだ。する気も無いけど」

 

 

 

 

 

そう言いつつ一夏が新華達の方に視線を向けると、満足そうに顔を赤らめて笑みを浮かべている簪とシャルロットと

 

 

 

 

 

「新華君、私にもちゅーしれ」

「一夏達の前で、や、やめ---」

「んー♪」

「んむむー!(またかー!)」

 

 

 

 

 

押し倒す刀奈と押し倒される新華だった。ヒロイン勢は皆顔を真っ赤にしてその光景を見てしまう。一夏も同様に口をパクパクさせていた。

 

 

 

 

 

「(弾が見てたらぶっ殺す! とか言うレベルだよな)」

「い、いい加減にしないか貴様らー!」

 

 

 

 

 

一夏が新華を、箒達が刀奈を引き剥がし座らせる。刀奈はブーブー文句を言うが新華は寧ろ助かったといった具合に感謝していた。

 

 

 

 

 

「助かった。正直部屋に戻るまで我慢出来るが、あれ以上はヤバかった」

「ヤバかったって、新華、お前…」

(タガ)とっくに外れてんだよこいつらのお陰でな!」

「いやあそれほどでも」

「褒めてねぇよ! ああもう、ほんと部屋戻ったら覚えてろよ!?」

 

 

 

 

 

溜め息を付きながらどっかり座り込む。

 

 

 

 

 

「それで? 何の話だっけか」

「ご主人様と御3方の関係についてと、織斑さんは同じ事が出来ないというところまで話しました」

「殆ど終わってるじゃん。じゃあ後は雑談?」

「いえ、まだ後者の理由を説明してません」

「そうかい」

「なんでアタシらがここまで疲れなきゃなんないのよ…」

「全くですわ…」

 

 

 

 

 

大いに疲れた一夏ハーレムメンバーを差し置いて新華の説明が開始される。

 

 

 

 

 

「俺は身元バレた直後に自由国籍取ったしソレスタルビーイング創った事で第3勢力として扱われているから、アイツらと付き合えるのであって一夏はまだ日本国籍だろ」

「あれ、そうだっけ?」

「……お前な、自分の事ぐらいしっかり理解しとけ。ここは千冬さんに感謝しろよ? あの人のお陰でお前、日本国籍のままで嫁とか妾とか押し込まれてないんだから」

「「「「「「え?」」」」」」

「やっぱ誰も気づいてなかったか…」

 

 

 

 

 

ハァと再び溜め息を吐いて額を抑える。

 

 

 

 

 

「いいか、一夏は俺より先にISが動かせると報道されて全世界に名前と顔が広がってるんだ。当の本人は鈍感だが元スポーツマンで家事が出来、人に好かれやすく交友関係に乱れも無い。『世界最強(ブリュンヒルデ)』こと千冬さんや『天災(クソう詐欺)』篠ノ之 束、そしてその妹の箒とも個人的な交流を持つ。……各国家から見れば眉唾物以外の何者でもないだろ」

「前にもそんな話を聞いたな」

「そそ。アレとはまたベクトルの違った話だが………そんな人材を各国が放っておくものかよ。何かしらの繋がりを持ちたいと思う訳さ。もしくはシャルロットの時みたいな利用を考えたりな」

「ああ……一気に現実的でムカつく話になったな」

「だからこそ、千冬さんに感謝するんだぞ? 千冬さんがゴリ押ししたからお前は自由国籍取らず未だに青春出来てるんだからな。でなきゃ---」

 

 

 

 

 

そう言って新華は一夏ハーレムを見渡して爆弾を投下する。

 

 

 

 

 

「すぐにでもお前ら俺と同じ状況、つまり未来の嫁か妾にされまくってただろうよ」

「「「「「「ブフーっ!?」」」」」」

「不思議なことじゃねぇだろうさ」

 

 

 

 

 

吹き出す一夏達をよそ目にサヤカから麦茶(簪作)を受け取り1杯飲み干す。喉を潤してから話を続ける新華。

 

 

 

 

 

「俺はアレだぞ? 裏に関わってたとはいえほぼ楯無のような『家』の所属になっていたし、下手に触ると火傷どころじゃ済まないから。情報とかもそうだけど手を出した国が他の国にフルボッコされるし」

「お、おう」

「だけど一夏。お前にはそういったデメリットが一切無い(・・・・)んだ。千冬さんの逆鱗に触れる? 世界最強程度(・・)全部(・・)何とか成る程優しくないんだよねぇ世界って。抗議したところで千冬さん、日本所属だし、抗議したところで、ねぇ。残酷だけど守るってのにも限界があるんよ」

「………それは」

「でも出来ることもある。だから千冬さんは出来る事を出来るだけやってる。でもな、そっちの方面に関して言えば千冬さん、素人なんだよ…。嫁とか妾とかお前がもし取得済なら遅かったけどさ。というかシャルロットがお前に助けられた時点で終了していた可能性が微レ存?」

「…マジ?」

「マジマジ、大マジ。どこぞの同人誌やエロゲー環境の出来上がりさ。お前は各国の美少女落として落として落としまくって、んで世界に認められたハーレムの完成。その後は傀儡よ。嫁さん楯にされて世界中を行ったり来たりの便利屋兼モルモット。家に帰れば子供作れと心休まる日も無し。『大奥』の現代版と同時に次世代のモルモット生産施設の完成さね」

「うっわ、そこまでなるものか?」

「なる。絶対になって『た』。デメリットが無いんだし確実に行動に移される。最初に1人行けば後は滝みたく次から次へと、だ。全く、なんで技術屋志望戦闘特化型の人間が政治に首突っ込んでこんな事考えにゃならんのや」

 

 

 

 

 

自分で湧き出てきた『有り得た未来』に嫌悪感を抱き頭を痛める。そして同時に自分でない男(一夏)のモノになったシャルロットを想像してむしゃくしゃしてくる自分の器の小ささに吐き気を覚えた。

 

 

 

 

 

「まあそういうIFの話は置いといて、結論お前は俺達のようにはなれんよ。なりたきゃ自由国籍取って覚悟する必要があるが、そもそもお前家族愛以外で愛向けてる奴1人に絞ってるだろうが」

「ゑ?」

「「「「「は?」」」」」

「…やっぱ気付いてないか。や、俺も童貞捨てれたからようやく気付いたんだけどな」

 

 

 

 

 

一夏達が呆然とする。新華の言う事が本当なら既に一夏には好きな人が居て、それに気付いていない事になる。それはつまり、既に恋愛戦争が終わっている事を示す。

一夏は新華の言っている事が理解出来ないといった具合だが、箒達にとっては死活問題だった。故に焦りを感じて新華に詰め寄る。

 

 

 

 

 

「ど、どういう事なのだ新華!? い、一夏に、好きな人が!?」

「まさか千冬さんとかいうオチじゃないでしょうね!?」

「安心しろ。------アレは一夏にとって家族愛に分類される」

「本当ですわね!? で、では、一夏さんは誰を!?」

「私の嫁なのだから私だろう!?」

「本人が気付いてねぇのに教えるかバーカ。一夏自信で気付かなアカンよ。ちなみに俺の前にこの事実に真っ先にたどり着いたのはシャルロットだ」

「「「「「「!?」」」」」」

「まー、僕も新華と結ばれたから気付けたんだけどね。当事者だったら絶対分からないよこれは」

「そうよねー。新華君でも気付かなかったし、結構難題よね」

「新華君より、難敵…」

 

 

 

 

 

総員からのフルボッコされている一夏だったが、その脳内では割と焦って思考を巡らせていた。

 

 

 

 

 

「(俺が、愛を向けている奴…? 一体誰なんだ? 新華が言うくらいだからそうなんだろうけど…)」

「(悩め悩め。俺も通った道だ。悩んで悩んで、自分の気持ちに気付いてもっと悩め。皆通る道だ。何、あと2年と半年程時間はあるんだ。それまでゆっくり悩めや)」

 

 

 

 

 

詰め寄られている最中、暖かい視線を一夏に向ける新華は一兎と志甫の事、睦美と那須 一子の事を思い出す。沢山悩んで泣いていた皆とはもう会えないが、彼らは自分の答えを出していた。一夏以上に恵まれず一夏達以上に残酷な環境で。

だから、新華には一夏が悩んでいる姿が微笑ましく思えた。自分の場合は……

 

 

 

 

 

「(アレだったしなぁ…)」遠い目

「…? 何かしら?」

「何でもねぇよっと」

「あっ」

 

 

 

 

 

刀奈を抱き寄せて膝の上に座らせ、後ろから抱く形になる。またしても箒達が叫び簪とシャルロットがズルいと言葉をこぼすが当の本人達は

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと新華君?」

「簪とシャルロットにはもうやったからな。一夏が気持ち自覚出来るように俺らで煽ってやらんと」

「だ、だからっていきなり…」

「うんアンタが言っていいセリフじゃねぇな全面的に。というかそう言いつつ退く気配が無いじゃん。密かに体重預けてきてるじゃん」

「……………………ダメ?」

「いいけど。もっと寄せてもええんやで?」

「じゃあ遠慮なく♪」

 

 

 

 

 

猫なで声で新華にべったりな刀奈と、それを見て負けじとばかりに群がる簪とシャルロット。そしてそれを見て顔を赤くさせてギャーギャー騒ぐ箒達とそれを他所に悩む一夏。

昼休みは終始こんな感じで終わった。弁当は新華と一夏の勿体無いお化けにより全部消費されていたが些細な事でしかなかった。

 

 

 

 

 

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---1050室。

時間も過ぎ夜となった学生寮。生徒会の仕事も終えて新華と刀奈の両名は部屋に戻ってきていた。

 

 

 

 

 

「今日の仕事は終了っと。はー終わった終わった」

「随分と今日は長引いたわね」

「俺らの関係説明求める女子の襲撃があったんだししゃーない。全部捌いたけど」

「お疲れ様でした」

「オツカレ、オツカレ」

 

 

 

 

 

ポンポン跳ね回り新華(しゅじん)より先にベットの上を占領する。サヤカもそれと一緒にベットに腰掛ける。

 

 

 

 

 

「んで、今日は大変だったがこれからも大変になると思うぞ? 俺ら付き合ってるって情報が拡散したし」

「あら、後悔してる?」

「まさか。もう覚悟決めたからな。っつーか決めざるを得なかったってーか、決めても殺されるってーか…」

「殺される? 誰に」

「前当主夫妻とデュノア社一家に」

「あら、それならうちは既に話付けてあるから大丈夫。挨拶しに来てくれればいつでも祝言挙げられるわよ」

「…マジで?」

「ええ。(結構荒れたけどね)」

 

 

 

 

 

新華と交わった後、帰宅した刀奈と簪は事後報告という名の惚気をぶちかました。結果、更識父は修羅となった。

だが刀奈が理論整然と結果とこれからの考え、家への影響などの『利』を並べ、更に更識母による援護射撃により人修羅は沈黙した。その際屋敷の一角が吹き飛んだのは小さな事である。

 

 

 

 

 

「マジかー……そうかー…」

「そうよ」

「なら、本当に我慢する必要無いよな?」

「えっ? きゃっ」

 

 

 

 

 

新華が刀奈を抱き締める。体は既に熱かった。

 

 

 

 

 

「んっ」

「んん、んー♪」

 

 

 

 

 

新華から濃密なキスをし、刀奈は少し驚くものの直ぐに受け入れ体を摺り寄せた。

 

 

 

 

 

「我慢、出来ないの?」

「言ったろうが、夜は覚えてろって。お前らが昼に押してくるせいでこちとら授業中他の事考えながら気を紛らわすしかなかったんだぞ?」

「む、他の娘でエチィ事考えてなかったでしょうね?」

「お前ら極上の女を自分の好きに出来るのにそんな事するかよ」

「ご、極上……もう♪」

 

 

 

 

 

そんなイチャイチャを見たサヤカは溜め息を吐いてハロ達を収納しカーテンを閉める。新華と刀奈を横目に部屋のドアまで歩き

 

 

 

 

 

「簪さんとシャルロットさんを呼んできましょうか?」

「ん、あー…そうだな…」

「……新華君」

「何?」

「今夜は、私だけ見て欲しいな……」

「……そうか。分かった」

 

 

「では私は邪魔しないよう簪さんとシャルロットさんのところに行ってます。どうぞごゆっくり」

 

 

 

 

 

そう言ってサヤカが部屋を出て行くと、新華と刀奈は再びキスを再開して濃密な夜を過ごした。

そしてその日から刀奈、簪、シャルロットの間でローテーションが組まれる事を新華は知らない。原作主人公を差し置いてどこぞの同人誌の如くR-18の世界に突入する事になるのを彼は知らない。

だからと言って彼の何かが劇的に変わる訳ではない。精々、将来守る者が沢山増えるだけである。

 

…ともあれ、新華が幸せである事に間違いは無い。それだけで十分である。

 

 

 

 




うーんこの、頭悪そうな内容。いや、終始貫徹でエロってどういう事よ。いやほんと。

というわけで……現行原作(9巻)追い抜きましたー! 次回主人公への各キャラからの評価を入れた後オリジン入りまーす。いやー長かった。というか本当にここまで来れるとは思ってもみなかった。じゃあまだ残ってる9巻売り払ってきますねー。

いつも通り、次回はいつになるかわかりません!

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