IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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136話を投稿します。
今回は自己解釈ががっつり入りますのでご了承を。

最近戦場の絆にてようやくBD3を入手しました。スッゲー使えますねアレ。


事後報告

 

 

 

 

 

 

---土曜日早朝、ゲストルーム

新華は朝日が差し込む部屋のベットの上で目を覚ました。

そして自身の現状を確認し一言。

 

 

 

 

 

「……死にたい…」

 

 

 

 

 

新華は大の字になってベットに横たわっているが、その両腕を枕にして眠る金と青の頭。そして体に乗っかっているもう1つの青の頭。

……全裸で眠る更識姉妹とシャルロットである。

 

 

 

 

 

「ああ……もう……俺は………」

 

 

 

 

 

昨晩3人に捕まった新華は3人と関係を結んだ。初めは3人に襲われる形だったものの、最終的に理性を崩壊させた新華の前に3人は抵抗虚しく撃墜された。

新華もそのまま眠りにつき現在に至るが、新華の内にあるのは脱力感と倦怠感、そして自身の情けなさとこれからへの不安、そして戸惑いだった。

 

 

 

 

 

「これからどうしよう……」

「どうしようも何も、ご主人様がしたいようにすればいいじゃないですか」

「……サヤカか」

 

 

 

 

 

新華の呟きに自力でロックを外し人形態で部屋のカーテンと窓を開けたサヤカが答えた。

 

 

 

 

 

「……お前は、満足か? この状況になって」

「ええ、満足です!」

「ああ、そう…」

 

 

 

 

 

サヤカに文句の1つでも言ってやろうと思った新華だったが、満面の笑みを浮かべサムズアップするサヤカを見てその気持ちも引っ込んだ。自然と溜め息が出る。

 

 

 

 

 

「ご主人様、ご気分はいかがですか?」

「………正直戸惑ってる。体はスッキリしているのに疲れてるし、なのに気分はそれほど悪くない。にしては罪悪感で一杯だしこれからどうなるかっていう不安もある」

「そうですか。とりあえず水をお持ちしますね」

「ああ、それとタオルも頼んだ」

「はい。…皆さんは起こしますか?」

「………」

 

 

 

 

 

言われて新華は自分の体の上に乗って寝ている3人を見る。幸せそうな顔をして眠る3人を見て

 

 

 

 

 

「……いや、もう少しこのままでいい」

「了解です♪」

「………ふぅ」

 

 

 

 

 

サヤカが人数分の水を用意し、新華は改めて息を吐き

 

 

 

 

 

「さて、本当にどうするかなぁ…」

 

 

 

 

 

内心頭を抱える作業に入った。

 

 

 

 

 

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---お昼頃、青木家

ダイニングで男性陣は沈黙していた。

無論、一家の長男の女性関係についてである。

 

 

 

 

 

「………」

「………」ダラダラダラ

「………(兄貴ェ…)」

 

 

 

 

 

新華が汗を無駄に流し実が呆れた視線を投げる横で、女性陣は

 

 

 

 

 

「それで新華君ってば、もうダメって言っても激しくシてきて…」///

「あらら、相当溜まってたのねあの子。3人相手にして撃退しちゃうなんて思わなかったわ」

「ぁぅ、気を抜くと溢れちゃう」///

「凄かった…」///

「ご主人様も人間ですし好いてる人から求められれば、ああもなりましょう。文字通り溜まってらしたということもありますけど」

 

 

 

 

 

居間でトークに花を咲かせていた。青木母は困ったように聞いていたが、恥ずかしそうでいて嬉しそうに話す3人娘とサヤカに微笑ましい視線を送るのだった。

 

 

 

 

 

「で、新華」

「な、何?」

「どういう形で責任を取るつもりだ?」

「そ、それは……」

「……考えてないのか?」

「えっと、考える余地が与えてもらえなかったというか、正直俺の処理範囲を逸脱しているというか…」ボソボソ

「ハッキリ言いなさい」

「はい…」

「…兄貴ェ…」

 

 

 

 

 

そこに普段のカリスマを持った『蒼天使』は居らず、年相応に父親に叱られて小さくなる兄と、そんな兄の情けない姿を見る弟の姿があった。

 

 

 

 

 

「はぁ……。昨日帰ってこないと思えば、まさか朝帰りするなんて…」

「兄貴、いつかやると思ってたけどさ。まさか自分で未成年に対する取り締まりをしているソレスタルビーイング(ここ)でやらかすとは思ってなかったよ」

「返す言葉もありません」

「…で、どうするつもりなんだ?」

「………どうすればいいと思う? 父さん」

「理想的なのはちゃんと付き合う事なんだが…どうにもなぁ」

 

 

 

 

 

青木父は腕を組み唸る。もしこれが3人娘の誰か1人であればここまで悩まなかったのだ。その1人と付き合えばいいのだから。

だが複数人となると話は別である。流石に複数人と同時に付き合うのは彼ら(・・)の常識からは無しだった。不純だからとか一夫一妻の日本だからとか色々理由はあれど、現状の解決案が思い浮かばないのは共通していた。

 

 

 

 

 

「…新華は、彼女達の事をどう思っているんだ?」

「そりゃ…好きだけど」

「…友人としてじゃなく?」

「一夏と同じにしないでよ。…ちゃんと男として、彼女達を好きだよ」

「3人共?」

「ああ。だからこうして頭抱えてるんだけどね…」

「……父親として、彼女達のご両親に挨拶に行かなきゃならないかなこれは…」

「「「はぁ…」」」

 

 

 

 

 

男3人が頭を抱える中、青木母がダイニングに現れた。そしてウンウン唸る家族を見て一言。

 

 

 

 

 

「いつまで悩んでるのよあなたたち」

「母さん…そりゃ悩むって…。だって…」

「だっても何も、新華はこの娘達の事好きなんでしょ?」

「そりゃそうだけどさ…」

「だったらしっかり責任取って一緒に居てあげなさいよこの幸せ者。この娘達は好きであんたと添い遂げたいって本気で思って行動したんだから、その想い無駄にするの?」

「いや、その…」

「はぁ…全く、肝座ってるんだかヘタレなんだか、うちの息子は」

「ちょ、ちょっと母さん? 何を勝手に話を…」

「あなたも、父親として悩むのは分かるけど悩むのは彼女達の話を聞いてからでも遅くないでしょ? ほらこっち来て」

 

 

 

 

 

そう言って男性陣3人を居間に引っ張り座らせる。最初は3人娘+サヤカに向かい合う形で並んで座ろうとしたのだが、3人娘と青木母が自然な流れで動き新華だけ3人娘の中に放り込んだ。

 

 

 

 

 

「新華はそっち」

「なんでさ」

「今回の原因はある意味新華でしょうが」

「ほら新華君、こっちこっち」

 

 

 

 

 

そんな感じで全員が座り青木母が話を促す。

 

 

 

 

 

「じゃあ、さっきの話をもう1度聞かせてちょうだい」

「はい、お義母様」

「あ、もう母さんと話は付いてるのね…」

 

 

 

 

 

新華にもう諦めた空気が流れるのを他所に、刀奈が青木一家にこれからどうするか考えを話し始める。

 

 

 

 

 

「まず私達と新華君の関係ですが、新華君」

「何?」

「自由国籍持ってたわよね?」

「ん、報道された時に取得したが」

「その自由国籍利用して、3人で新華君のお嫁さんになろうと思ってます♪」

「……ファッ!?」

「ええええええええええええ」

「なん……だと……」

 

 

 

 

 

新華含めた男性陣が一斉に吹き出し、それにお構いなしに刀奈は話を進めていく。

 

 

 

 

 

「自由国籍というのは各々知っていると思いますが、どの国にも所属出来る曖昧な制度です。私も取得しロシアの国家代表として活動出来るので、生まれも育ちも日本ですが便宜上ロシア人と言えるでしょう」

「いや、そうだが…」

「その点、新華君はどの国にも所属出来ますが逆に言えばどこの国にも所属していない事になります。勿論日本にも」

「……あ、俺どういう展開か分かった」

 

 

 

 

 

実が思わずといった感じで口に出したが、刀奈はそれに微笑んで肯定するるだけで話を続けた。

 

 

 

 

 

「その国に居る場合は大抵その国の法律に縛られますが、この自由国籍があれば犯罪行為以外の法律にはほぼ抵触しません。これは国連とIS委員会が認めた権利ですので、日本の一夫一妻も無視出来たりするのです」

「…えっと、つまり?」

「私達3人が新華君のお嫁さんになっても何も問題が無いという事です♪ さらに私達3人の所属国家が違う事も後押しになります」

「しょ、所属国家?」

 

 

 

 

 

青木父の脳内はスケールの大きい話になるにつれどんどん処理落ちを始める。規格外新華の父とはいえただの人間、それどころか大いに『一般』を豪語出来る能力『しか』持ち合わせていないので仕方ないと言えば終わりである。

ソレスタルビーイングの時は時間を掛けたうえで新華から説明を受け納得した。実の時は新華のせいで元々大きかった器を更に大きくさせられていたので何も問題無しと受け入れていた。

 

 

 

 

 

「はい。私はロシア、簪ちゃんは日本、デュノアちゃんはフランスとそれぞれ違います。これは私達のISの所属とも言えますが、国家からの視点だと新華君と繋がりを持てることに他なりません。新華君の価値は国から見ればIS男性操縦者という事を抜いても大いにあります」

「まぁ、新華はそれだけ色々とやっているからね」

「織斑君よりも価値があり力も持っている新華君と繋がりを持てるというのは国際的に大きなアドバンテージになります。勿論、私達が関係を持ったと知ればそれを確固なものにしようと画策するでしょう」

「確固なものにするというと…」

「どうにかして自国の所属にするか、私達を利用して縛り付けるとかですね。まぁこれはソレスタルビーイングという前提条件を崩す要素があるので出来ませんが、婚約させるくらいの要求はしてくるでしょう」

 

 

 

 

 

『婚約』という単語に反応したのか青木父は眉を顰める。結局の所国家など関係無く人として新華が彼女達を傷物にした責任を取る選択肢の1つと考えていた。だがそれは『日本』で3人に対する責任問題を解決出来るかどうかと言えば、不可能だった。

だがここに刀奈の言った『自由国籍』という忘れていた要素を加えると、解決出来る事が青木父にも理解出来た。

理解出来たところで納得出来るかどうかはまた別である。

 

 

 

 

 

「むぅ、確かに婚約という手を使えば責任を取ったと言えなくないけど、でもなぁ…」

「? 何をそんなにお悩みなのでしょうか、お義父様」

「……お義父様、かぁ。うん、君達は、その、それでいいのか?」

「「「?」」」

 

 

 

 

 

青木父の言葉に刀奈、簪、シャルロットは首を傾げる。両腕抱かれて動けない新華は当事者の筈なのに、自分そっちのけで進む会話に諦めていた。

 

 

 

 

 

「普通女性って独占欲が強いだろう? 母さんだってそうだったし」

「………あなた」

「なんだい?」

「忘れたの? 女っていうのは恋において常に用意周到だって事を」

「…ああ、そうだったね。でも俺達の時はお互いしか見えてなかったじゃないか。でも新華はそうじゃないだろう? だから本人達はどうなのかと思ってね。で、どうなんだい?」

 

 

 

 

 

青木両親の懸念なんだか惚気なんだか分からない会話を聞いて刀奈から順に答える。

 

 

 

 

 

「私としてはこの状況を作り出した本人ですし何も。寧ろ誰か1人と新華君が結ばれたとして、新華君の事だからウジウジ悩んじゃうと思いますし、関係もギクシャクしそうですから。ならいっそ3人で新華君を独占したらいいじゃないと」

「私は…お姉ちゃんもいいって言うし、いいかなって…。皆で仲良く出来ればそれが一番ですし、お姉ちゃんが言ったみたいに新華君の事もありますし…。だから、一緒に居て愛してくれたらいいなって…」

「僕も特に問題は無いです。これから大変かもしれないけど頑張れるって思いますし、何より繋がれた事が凄く嬉しいんです。僕のお母さんも応援してくれていましたし、家の事は心配ありません」

「……愛されてるなぁ、俺達の息子は」

 

 

 

 

 

3人からの惚気を真正面から受け止めた青木父は、妻と共に息子を見る。世間では天使だの死神だの言われている彼らの息子は

 

 

 

 

 

「もう許して…勘弁して…」

 

 

 

 

 

真正面からの好意に顔を赤くしぐったりしていた。そしてその弟は

 

 

 

 

 

「すいません砂糖吐いてきていいですか? 結果は後で聞くんで」

 

 

 

 

 

惚気に耐えられず立ち上がり返事を聞かずに逃げ出した。しゃーない。目の前で3人の女性に同時に好かれて拗れず惚気られるのを黙って聞いていられる程強くない。誰だってそうする読者もそうする。

 

 

 

 

 

「あらあら実ってば」

「あ、ついでに俺も…」

「新華はここに居て。まだ話は終わってないよ」ギュッ

「oh…」

 

 

 

 

 

弟に続いてこの状況から逃げ出そうとした新華は腕を抱いたシャルロットと簪が力を込めた事で逃げられなかった。

 

 

 

 

 

「……君たちの覚悟は分かった。それで、新華はどうだ?」

「ウェッ」

「ウェじゃないだろ。ここまで覚悟決めて後の事まで考えてくれてるんだ。お前はどうしたい」

「いや…その…」

「………はぁ」

 

 

 

 

 

未だにしどろもどろになる息子の姿に、本日何度目になるか分からない溜め息を吐いて青木父は声を上げた。

 

 

 

 

 

「新華!」

「は、はいっ」

「悩むな! 思った事を言いなさい! 彼女達と結婚したいのかそうでないのか!」

「え、えっと!」

 

 

 

 

 

父親に叱咤されしどろもどろになりながら、新華は父の言葉通りに思ったまま結論を出した。

 

 

 

 

 

「え、ええっと、俺、これからも多分皆に迷惑掛けたり大変な思いさせると思うけど」

「「「「「………」」」」」

「こんな俺でよければ、こ、これからもよろしくお願いします!」

「うん、末永くよろしくお願いします」

「よ、よろしく、お願いします…!」

「あはは、これからもよろしくね」

「やれやれ…」

 

 

 

 

 

青木母が肩を竦め苦笑していた。青木父は未来の娘が出来て嬉しいんだか息子がヘタレなのが情けないんだか分からない複雑な表情をしていた。

その後、3人娘がデレデレになり新華へと突撃してもみくちゃになったり、両親が新華の助けを求める悲鳴を無視してその場を後にしたり、実がやってらんねーと言わんばかりに真とスウェンと模擬戦に励んだりと平和な時間が過ぎた。

そして新華は、ある物を3人に作ろうと思考するのだった。

 

 

 

 

 

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---夜、新華の自室。

 

がっつり絞られゲッソリした新華は自宅の自室でシーマから受け取ったクロエのアタッシュケース、その中に入っていたメモリーを取り出しハロ3機が繋がれたデスクトップPCに接続していた。

 

 

 

 

 

「………」

『---恩知らずだと、恥知らずだと承知しています。勝手に新華様の過去を覗いてしまった事の罰も受けましょう』

「…あんの、馬鹿野郎が」

 

 

 

 

 

メモリーの中に入っていたデータは音声データととある兵器のデータであり、余程焦っていたのかウイルスやセキュリティが全く施されていなかった。

映像データを再生して映っていたのは、クロエから新華への謝罪と懇願だった。新華の過去が専用機メンバーに暴露されたあの電脳ダイブ。あれは新華が束と袂を分かった後にクロエが手に入れたISの能力であると明言されていた。そしてクロエの懇願は

 

 

 

 

 

『どうか、束様をお救いください。都合のいい話だと一蹴されるでしょう。ですが、私にとって束様は恩人であり家族なんです。もう、束様が泣く姿を見たくないんです』

「自分の尻も拭えないのか、あのう詐欺は。って、人の事言う資格は無いか…」

「…ご主人様、どうするんですか?」

「くーちゃんがあの電脳ダイブに関わっていたのは、まぁいい。俺を曝け出せたし、彼女も出来たし」

「彼女というかお嫁さんというか…」

「言うな。今でも恥ずかしいんだから。で、だ。くーちゃんの申し出だが」

 

 

 

 

 

新華は腕を組み画面のクロエを見る。

 

 

 

 

 

「くーちゃんには悪いがう詐欺とくーちゃんがどれだけ頑張ろうと、もうう詐欺に残された道の中に奴が望んだ『日常』は無い」

「当然ですね。好き勝手行動し続けて今更戻ろうなど虫が良すぎます」

「くーちゃんもそこんとこ分かって言ってるんだろうが、俺からすればもう殺した方がう詐欺の為になると思うんだよなぁ」

 

 

 

 

 

少し悲しそうな顔をするが、一瞬だった。

 

 

 

 

 

「今更戻ってきたと仮定して、だ。まずソレスタルビーイングに置けない。もうここはISを必要としていないし、ISを憎んでいる奴が多い。以前の襲撃の後にMS搭乗希望者が孤児達の中から大量に出てきたのがその証だ」

「ISのせいで人生を狂わされてきて、目の前にそのISを打倒出来る力があれば誰でも求めるでしょう」

「そして、そいつらがISの生みの親を許せるかどうかだ。まず許さないだろうな。絶対にどうにかして殺すなりなんなり凶行に走る。特に真やトラッシュ辺りがな」

「はい」

「じゃあソレスタルビーイング以外はどうなんだと言えば、一番良くてIS学園に監禁だな。逆に最も愚かな選択肢でもあるが」

「何度も襲撃を受けたうえでクラッキングまで受けていますし、彼女なら簡単に外に出てしまえるでしょう」

「問題なのは、その選択肢を今の政府なら取りかねないという事だな。頭回らない奴らだし」

 

 

 

 

 

溜め息を吐いて画面を少々操作する。

 

 

 

 

 

「他に思いつく選択肢といえば、政府や更識の監視有りで子飼いにするとかな。なんだかんだ言っても第4世代ISを作った本人だし、ISコアを複製出来るならさせたいだろうさ。どっかの研究所に入れるなりして開発だけやらせるとか」

「ですが織斑 千冬さんが黙っていないと思います」

「だからどうしたってなるだろうよ。千冬さんは今IS学園の所属って言ったって実質公務員なんだ。公務員が国の政策に文句言って受け入れられるか? 下手すればボッシュートだ」

「…最近IS学園の地下でIS『暮桜』の再起動が確認されましたが」

「それを使ってどうにかしようとするなら、俺は千冬さんを止めるか見捨てることにするよ。流石にそこまで面倒見切れない。そんな事しないって願いたいけど」

「しないと、いいですね」

 

 

 

 

 

自信なさげにサヤカが希望的観測を述べると新華に不安が走り、一瞬浮かんだビジョンに頭を痛めた。

 

 

 

 

 

「……一瞬『暮桜』で突撃かます千冬さんと、その後に続く一夏に箒、そして一夏に釣られた専用機持ち(バカども)が一斉にやらかすのが見えた」

「その対処にご主人様と更識家の皆さんが後処理と追撃に駆り出されると」

「頭痛ぇ。そうならない事を祈るしかないな」

「で、結局どうしますか? 受けるんですか?」

「……保留だ。今の俺には判断し切れん」

 

 

 

 

 

個人的にはもう真面目に考える前に殺した方が世の為だと思っているのだが、クロエからの情報提供と懇願を受けて少しだけ思い止まる事にした。

画面にはクロエの顔とは別に、外見が銃人の『ファミリア』と呼ばれる無人機のデータと製作者の名が写されていた。製作者は以前潰した研究所諸共新華が消した筈の人物名だったが、おおよそスコールと同じ非人なのだろうと予想を付けた。

 

 

 

 

 

「いっそ千冬さんに丸投げでもいっか。その方が楽だし」

「それだと結局IS学園に監禁という事になりますか。篠ノ之 束にとってベストではありませんが、限りなく良い結果でしょう」

「あん? ベストじゃない? 一夏と千冬さん居るのにか?」

「彼女はご主人様を恋歩しているようなので」

「ハァ? ははっ、冗談。アレは俺が好きなんじゃなくて『未知のISを使う謎の少年』というモルモットを愛でているだけだ」

「それが変わっているとは思わないのですか?」

「今となっちゃどうでもいいさ。こうやって考えてるのもくーちゃんの顔を立ててだし。そうでなきゃう詐欺の事考えねぇっての」

「そうですか」

 

 

 

 

 

サヤカも新華も淡白に束の話題を終わらせて眼前の画面を一度閉じる。新華の中では既に束とは『終わった』存在であり友人の姉でなければ気に留める事もない存在に格下げされていた。

だからこそ第3者視点に立って冷静に考え良い結果に持っていくのだから、少なくとも純粋に束の身を案じるクロエにとっては多少良かったと言えるだろう。

 

 

 

 

 

「さて、一旦う詐欺の事は忘れて俺らのやる事をやろう。まずはロウさんから届いているアウトフレーム専用ストライカーパックの設計図を精査して今日は寝よう」

「他にもやる事は残っていると思うのですが」

「今日は色々と疲れたよ…。それに明日はIS学園に戻らにゃならん。もう刀奈達は帰ったけど、俺はここから直接寮に寄らんといかん。体力を回復しとかないとね」

 

 

 

 

 

はーっと溜め息を吐いて憂う新華。その顔には先程まで考えていた束の事など露もなかった。

 

 

 

 

 

「あーあ…明日からまた大変になりそうだ」

「その割には全く悲観的ではありませんね」

「そらな。大変になると同時に楽しみでもあるし、不安でもある。後はそうだな……。今世は『大人』になれるように生き足掻くくらいだな」

「ふふ、大丈夫ですよ。ご主人様はこれからちゃんと人生全うするんですから。寧ろ天寿全うして幸せになっていただかないと、私が許しません」

「はは、そりゃ大変だ。なら、頑張って生きぬくとするか」

「私も出来る事なら何でもお手伝いしますね」

「頼むぞ。そうだ、お前にも言っておくべきかな?」

「? なんでしょう」

 

 

 

 

 

新華が画面から離れサヤカと向き合い手を出す。

 

 

 

 

 

「これからもよろしくな」

「! はい、よろしくお願いします!」

 

 

 

 

 

サヤカも新華の手を握り笑顔になる。3人娘とはまた違った絆で結ばれている2人にとって確認でしかないが、それでも心が温まる事に変わりなかった。

 

 

 

 

 

「さて、早速なんだが『アレ』を実行しようと思ってるんだが」

「『アレ』と言いますと、メテオですか?」

「そうそう。名前負けしてるあの計画。もう実行出来るんだろ?」

「はい。ですがどこに落とすか、ですが」

「太平洋側で日本に近い沖でいいだろ。あー、ガラハウさんに仕事頼まないとな」

「ですが、何でいきなり? 今アレを実行する理由が分かりませんが」

 

 

 

 

 

新華とサヤカは自分たちにしか分からない会話をしながら投影ディスプレイを出す。

 

 

 

 

 

「ちょっと作りたい物があってな。とりあえず1回だけな」

「はぁ、分かりました。それで、何を『持ち出させ』ます?」

「サイコフレームをRX-0シリーズ4機分と少し余るくらい。それだけでいい」

「……ユニコーンシリーズを完成させるのですか?」

「ん、そのつもり。後はちょっと開発する機体に埋めたり、個人的に使ったりとかな」

「個人的に、ですか」

「うん。…これ、どう思う?」

 

 

 

 

 

そう言って脳量子波を飛ばして自身のアイデアをサヤカに伝える。受け取ったサヤカは唸り思案する。

 

 

 

 

 

「んー、どうでしょう」

「あ、やっぱマズイかな?」

「いえ、私には判断しかねます。ご家族に相談すべきでは」

「かなぁ。まぁ、とりあえずメテオよろしく」

「了解しました」

「じゃ、やる事とっとと終わらせて寝るとしいますか」

 

 

 

 

 

---この日の深夜、太平洋に1つの隕石が落ちた。割と大きめの隕石だったが落ちたのが太平洋沖だという事で誰も気に止めなかった。故にとある潜水艦がそれを回収しソレスタルビーイングに運んだ事に誰も気が付かなかった。あの『亡国企業』ですら、篠ノ之 束ですらただの隕石でしかないと思っていた。

 

 

 

 

 




途中の文で 理想的『なのはちゃん』と付き合う と読んだ人挙手。……ガノタだけでしょうね。

BF2期の情報を電撃HOBBYにて確認、そしたらなんとRe-GZの改造ガンプラが出るじゃないですか!
というわけでガノタもRe-GZの改造に着手。HG∀と一緒にノコギリ買って改造。
結果、MA時の外見はほぼ変わらない双方向変形が可能な機体が出来上がりました。ただしRe-GZ本体は 全 く 弄 っ て お り ま せ ん 。
これどちらかというとスーパーディアスじゃね? と思ったのは秘密。ちなみにBWSはちゃんと着脱可能という。

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