IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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135話。
前半はタイトル通り。後半アレですが後悔はしていない。


取引

 

 

 

 

---土曜日、ソレスタルビーイング、院長室。

刀奈に襲われて逃げてから3日後。新華はある人物と会談していた。

 

 

 

 

 

「お久しぶりです、ガラハウさん」

「ああ、久しぶりだねぇ坊主」

 

 

 

 

 

---『運び屋』シーマ艦隊総司令、『シーマ・ガラハウ』元中佐。

元アメリカ軍人の女尊男卑を否定する女傑である。

そしてその後ろに控えるのは旗艦『リリーマルレーン』副艦長『デトローフ・コッセル』元少佐である。

彼はその屈強な図体でアタッシュケースを1つ抱えていた。

 

 

 

 

 

「3日も待たせてしまって申し訳ありませんでした」

「いやいや、丁度皆に休暇を出せたもんだし平気さね。坊主には結構世話になったし、現状も知っているからね」

「そう言っていただけるとありがたいです」

 

 

 

 

 

いつも座っている院長席ではなく対面型のソファでシーマと対面する新華。

シーマの眼前にサヤカがお茶を出す。

 

 

 

 

 

「粗茶ですが、どうぞ」

「ほぅ、ありがたいねぇ。で、見ない顔だね。アンタが噂の?」

「はい。サヤカと申します。以後お見知りおきを」

「ははっ、ISの方がこの世界(じょそんだんひ)の馬鹿よりも礼儀がなってるじゃないか」

「ありがとうございます」

「いいねぇ、気に入ったよ。…さて、じゃあ早速商談といこうかね。デトローフ」

「へい」

 

 

 

 

 

出されたお茶に手を付けずシーマが手に持った扇子を鳴らす。刀奈よりも年季が入り様になっている動作を合図にしてデトローフがアタッシュケースを机の上に置く。

 

 

 

 

 

「これが」

「ああ、あの『篠ノ之 束』の後ろにいつも引っ込んでいた『クロエ』ってガキからさ。なんでも『篠ノ之 束』には内緒だったらしく、えらく慎重に接触してきたうえで頭を下げてきてたよ」

「そうですか。くーちゃんが…ありがとうございます」

「アタシらはただ金を受け取って依頼をこなしただけさ」

 

 

 

 

 

『クロエ・クロニクル』。新華と束から『くーちゃん』と呼ばれ束の娘同然として扱われている少女である。

そんな少女の事を思い出し、次いで束の事も思い出した新華は、内心で複雑な感情を抱く。そしてそれを表に出さないままサヤカにアタッシュケースを仕舞わせた。

 

 

 

 

 

「受け取り、確認しました」

「これでアタシらの仕事は終わりさね。で? 坊主の方からも話があるんだろう?」

「はい。これは『運び屋』としてはあまり関係ありませんが、元『海兵隊』であるあなた方へ依頼したい」

「ほう……要件を聞こうか」

 

 

 

 

 

新華の言葉にシーマが目を細め扇子を弄ぶ。

 

 

 

 

 

「ここで作っているMS、そのモニターとなっていただきたい」

「ふむ、MSというと『男性でも扱える強力なパワードスーツ』って謳い文句で噂になっているアレだね。案の定ここで作っていたか…。それで?」

「ここCBは見てご覧の通り山中にある海から離れた場所にあります。ですから、陸戦仕様、空戦仕様までは完成しテストも一通り終了しているのですが、いかんせん『水陸両用型MS』の開発に全く着手出来ていない状況なのです」

「おや? この近くには湖が5つ程あるじゃないか。そこでテストは出来ないのかい?」

「『富士五湖』は観光名所なので目立ちますし、MSをハッキリと表に出すにはまだ時期が早い。加えて他のMSと違い水陸タイプは勝手が違う。それに堂々と兵器開発しているという事が表に出ると、少々厄介なのでね」

IS(おんな)は良くてMS(おとこ)は駄目ってかい?」

「そういう事ですよ。今は、まだね」

「はっ、『今は』かい」

 

 

 

 

 

シーマは一瞬面白くなさそうな目付きになるが、新華はそれを否定しない。

 

 

 

 

 

「それで、こちらから数人の整備士と『水陸両用型』機体を派遣させていただき、使用した際の不具合点や感想を指摘していただきたいのです。無論、こちらから報酬も弾ませていただきます」

「つまりは、現在アタシらがやっている運送業に加えてそのMSとやらを好きなだけ使い回せって話かい?」

「そういうことになりますね」

「お断りだね」

 

 

 

 

 

シーマの即答に「でしょうね」と返す新華。シーマは新華の依頼を断る理由をつらつらと並べていく。

 

 

 

 

 

「第1にそんな物積んで置ける余裕が無い。技術士だって面倒見るっつってもその寝床はどこにする? アタシらの船の中だろう? 既に一杯一杯で余裕無いさ」

「まぁ、当時の海兵隊全員ですもんね」

「第2に、そのMSとやらのパイロットはどこから出すっていうんだい? まさかアタシらの中から引っ張り出せって? 冗談じゃない。坊主は知らないのかもしれないけどねぇ、潜水艦っていうのはデリケートなんだよ。アンタの事だろうから酷い奴は薦めないだろうが、これはそういう問題じゃないのさ」

「ふむ」

「第3に、そのMSに対する信用と実績が足りない。いくら今は違うとはいえ、アタシらは軍人さね。信用出来る兵器(・・)でないと持ち運ぶ事もしたくない。…まぁ、それを言ったらISはどうなるんだって事だが」

「デッスヨネー」

「そして第4に、『必要無い』。運送業やってて分かるんだが、パワードスーツを必要とする状況なんざそうそう起きない。特に海を根城にしているアタシらには拳銃かサブマシンガン1つで十分なんだよ」

「まぁ、水中行動出来るISって今のところどこも作ってませんしね」

「そういうことさね。現段階じゃアタシらが抜けたことでアメリカの海軍はガタガタのまんまだし、依頼の達成率も全体的に高水準で纏まっていて信頼もされてるから追っ手を出す奴は大抵逆恨みの奴だけ。加えて軍の奴ら見た所アタシらに興味すら出してない。既に部外者であるアタシらが不安になるくらいにね」

「うわぁ」

 

 

 

 

 

シーマにすら筒抜けのアメリカの現状にドン引きの新華。尚ガタガタなのは初めから知っていた模様。

 

 

 

 

 

「で、それを知ったうえで依頼してきたんじゃないのかい?」

「まぁ、そうなんですけどね。では早速こちらから提供出来るメリットを開示しましょう」

 

 

 

 

 

新華は手持ちのハロOをPCモードにしディスプレイを操作、空中投影しシーマ達に見せるようにした。

 

 

 

 

 

「まず第1のそちらの懸念ですが、これに関しては他の潜水服と一緒に管理してもらう方向で、もしくは武器庫に置いておくくらいで対処していただきたい」

「ふむ、隅に置いておく分なら多少は目を瞑れるが…邪魔だねぇ」

「そこは本来の兵器としては致し方ないかと。で、第2の懸念ですが、最近そちらで新人さんが入ったそうじゃないですか」

「…よく知ってるね。確かに甘ちゃんを1人拾ったが……そいつを操縦者に?」

「パワードスーツですから銃弾くらいは簡単に弾けます。機動力もそれなりにあると自負しますし、何より『水陸両用型』ですから陸に上がっても使用可能です。いざこざになった時のいい訓練になるかと」

「出来ればCB(ここ)で面倒見てもらいたいんだがねぇ」

「それは保険という事で。第3に実績ですが、こちらをご覧ください」

 

 

 

 

 

そう言って操作しとある映像を映す。そこにはIS2機と戦闘を行っているW0とハイペリオンが。

 

 

 

 

 

「……コイツは?」

「以前『亡国企業』と呼ばれる組織が所有する強奪ISが襲撃してきた時の映像です。相手はイギリス代表候補生セシリア・オルコットの乗機『ブルー・ティアーズ』の2号機『サイレント・ゼルフィス』。この機体はつい先日見たでしょう?」

「ああ」

「そしてもう1機はアメリカから強奪されたIS『アラクネ』です。対する2機はこちらの戦闘用MS、『ウィングゼロカスタム』と『ハイペリオン』です」

「ほう、これは…」

 

 

 

 

 

シーマは映像の内容を見て感嘆のため息を漏らす。MS2機は上手く分担し1対1に持ち込んだ上で機体特性を活かし相手をそれぞれ押していく。

 

 

 

 

 

「そしてMSとISの決定的違いは『搭乗者を選ばない兵器』。そして後は高性能であれば…」

「……なる程ね」

 

 

 

 

 

最後に遠距離からの砲撃が追加されトドメにW0のツインバスターライフルで姿を消した2機。それを見たシーマはその顔に笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「IS並の性能を持ち、それでいて操縦者の性別を問わない兵器か…。だが、解せないねぇ。だったらどうして軍じゃなくアタシらの所に依頼するんだい? 軍部の男性陣なら簡単に飛び付く内容じゃないかい?」

「そこでそちらの第4の懸念、需要です。現在少数ですが既に各国にMSを販売しており利益も催促も来ております。ですが水陸型を提案したところで反応は目に見えています。何せ敵対視すべきISはその全てが空戦仕様と言えるもの。海中からではリスクが大き過ぎる」

「その通りさね。海中から攻撃でもして反撃を受けちゃ水没しちまう」

「しかもISは絶対防御で守られている。でも、その前提が崩れれば…?」

「…何?」

 

 

 

 

 

新華はディスプレイを更に操作して文字の羅列を出す。そしてシーマはそれを読むと腰を浮かせた。

 

 

 

 

 

「『アンチディフェンスキャンセラー』、通称『A・D・C』。『絶対防御無効化システム』だって!?」

「ええ。これから開発されるMSにはこれが標準装備(・・・・)される予定です」

「まさか、その水中用MSとやらにも…」

「はい。私もこれに痛い目に遭わされました」

「待ちな。これを今販売しているMSには…」

「まだ試作段階なので搭載しておりません。ですが、これを実際に開発したのはあの『篠ノ之 束』ですよ」

「なんてこったい…」

 

 

 

 

 

シーマは浮かした腰を下ろし額を抑える。もしこれが軍で正式採用された日には、ISに明日は無い。それこそ完全な『スポーツ』として扱われるか、それすらもMSに取って代わるかもしれない。

だが、それを開発したのがIS開発者の『篠ノ之 束』だという事が理解出来なかった。どうして自分の発明品を陥れるような物を開発したのか。

だが、この場では最早どうでもいい事だった。

 

 

 

 

 

「実際にあなた方も見た筈ですよ。その搭載ISを」

「そうかい…」

「しかもその機体、無人機です」

「……無人!? どういうことだい!?」

 

 

 

 

 

新華はディスプレイを操作しながらシーマに話した。IS学園や治安の悪い国で無人機の襲撃が確認されている事。先日の戦闘でその無人機が実際に戦闘を行っていた事。そしてその無人機がIS学園に襲撃してきて、新華自身が危うく命を落とす所だったと。

 

 

 

 

 

「まさか情報規制が厳しいIS学園の内部でそんな事が起きていたとはねぇ……。驚き過ぎて疲れちまったよ」

「で、ここからが本番なのですが……その先日の無人機、どこから姿を現していましたか?」

「海中だね。…そういうことかい。無人機で水中に対応した機体が出てきる可能性があると、そう言いたいのかい?」

「そのとおりです。加えてその機体のデータさえあれば有人機への応用も簡単に出来るでしょうし、無人機だって水中戦闘装備を開発し換装してしまえば…。ですからその前に」

「水中でも陸地でも対応出来る機体の開発を行いたいって事かい。なる程ね…」

 

 

 

 

 

そして新華は最後の切り札を使う。

 

 

 

 

 

「そしてこれだけの理由と案を政府や軍に出したとして、MSを大量に生産したところで使える人材が居なければ始まらない。IS操縦者を使えばいい? 冗談じゃない。血を流す事に疑問を抱かなくなった女や人を殺す覚悟も無いガキどもに兵器を任せておけますか」

「……読めた。つまりアンタはアタシらに『モニターになると同時に将来MSの教官役をやれ』って言ってるんだね?」

「いえいえ、流石にそこまでトントン拍子にいくとは思っておりません。ただ、元々自分達の軍人だった者達が優秀になって戻ってくれるなら、かの国も動くでしょうという話です」

「………」

「いかがですか?」

 

 

 

 

 

沈黙したシーマに新華が再び依頼を受けるかどうかを問う。シーマは顎に手をやり考えていた。そして口を開く。

 

 

 

 

 

「……さっきの映像、アレに出ていたMSのパイロットと話しをさせておくれ。それと、現段階で出せるMSのデータとその無人機とやらのデータ。これも頂きたいねぇ」

「お安い御用です。では、依頼を?」

「いや、もう少し見極めてからにさせてもらうよ。まだ扱うには情報が足りないうえに家族の安全に役立ってもらうものだからねぇ。十分に信頼出来るかどうか確認してからにさせてもらう」

「分かりました。…こうして元軍人の方に色々と指摘していただけると自分の思考が正常である事を確認できてありがたいですね」

「ハッ、思考が正常な奴だったらISなんていうこの世界の覇者に真正面から喧嘩売るような兵器を作ったり、ましてや元とはいえ軍人と対等な取引を行うような事はしないよ」

「ごもっとも」

 

 

 

 

 

軽い冗談を言い合いながらこの話は終わりと言わんばかりにシーマは話題を変え新華はハロOを戻す。

 

 

 

 

 

「そういや坊主。アンタ最近何かいいことでもあったのかい?」

「なんですかいきなり」

「以前見た坊主と今の坊主からじゃ漂ってくる危険さが全然違うんだよ。前はナイフみたいだったが、今じゃスナイパーライフルみたいに落ち着いているじゃないかい」

「………そのセリフにはどう反応すればよろしいのでしょうか」

「喜んでおきな。ナイフってのは『目に見えて危険』なんだ。使い方を誤れば使い手すら傷つける。だがスナイパーライフルは『知らない間に危険に晒されている』ものさ。ナイフは万人に分かるが、ライフルは気付かない限り危険だと知られない」

「そうですね」

「以前の坊主は一目見てどこか危うい雰囲気があったさ。だが今じゃどうだい。一見穏やかに見えてその芯はどこか狂ったまま」

「…それって喜んでいいんですかねぇ」

「さぁね。ま、アタシらからすればお互いこの女尊男卑(せかい)を良く思っていない者同士として、いい契約相手として上手くやるだけさ。で、何かあったのかい?」

「それは……」

 

 

 

 

 

その後は、大人の貫禄というべきかシーマとデトローフに刀奈と簪、シャルロットの関係について微笑ましい視線を送られたり、サヤカが余計な事を言って笑われたり、『そこまでいったらヤッちまえばいいだろう?』と言われむせたりと、近所のオバちゃんと話す感じで時間を過ごした。

そしてその頃、他の海兵隊隊員達は休暇を利用し日本のサブカルチャーにドップリ浸かっていたらしい。具体的には聖地(アキバ)巡りだとか。

無駄に努力の方向を間違えたまま走り去り、宗教に公式で喧嘩を売り、マトモな人間に道を外させ、例え外国人であろうと自重せず、いついかなる時、どんな世界であろうと変わらない狂ったクオリティを維持どころか発展させる。それが日本です。

 

 

 

 

 

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---その日の夜。

新華はいつもの如くゲストルームに泊まっている刀奈に呼び出された。何でも話があるとか言うので自宅から向かっているのだが、どうにも嫌な予感というか悪寒が止まらない。

まるで先日刀奈の理性が半ば崩壊していた時のように。

 

 

 

 

 

「あーもー折角新型支援ユニット(GNホッパー)設計していたのにさー。なんで今日も来てるんだよ」

「またまた、好きな人が毎週距離が離れているのにも関わらず来てくれるという事実が嬉しいくせに」

「否定はしないが身の危険を感じるんだよ。性的に。……ハロ、いざという時には頼んだ」

「マカセロ、マカセロ」

「…私には頼まないんですか?」

「お前は最近の行動を振り返ってみろ。男女関係においてお前は助けるどころか助長しているだろうが」

「ぐっ」

「だからお前、ちょっと待機していろ」

「え、そ、そんな!」

「いいから、『戻れ』」

 

 

 

 

 

サヤカを強制的に待機形態にさせて操縦者権限でロックして出てこれないようにする。これで安心という具合に頷いてからハロ3機に護衛を任せ魔境(ゲストルーム)に着いた。

扉の前で深呼吸し、何が起きても対処出来るようにする。

 

 

 

 

 

「………よし、行くぞ」

「「「ハロッ」」」

 

 

 

 

 

扉をノックし、「どうぞ」という刀奈の返事を聞いてドアを開け部屋に入る。

 

 

 

 

 

「こんな時間に呼び出して何の用だ?」

「ちょっと『運び屋』について話を聞こうと思ってね」

「あ? そのくらいなら更識(そっち)でもある程度は情報掴めるだろう?」

「でも軍を脱走してから運び屋になるまでの白紙の期間が存在している事が分かってね。新華君ならその期間の事何か知っているんじゃないかって」

「成る程」

「それと、先日の潜入ミッションの時に敵対した2人について、そっちも話しをしたいと思ったのよ」

「…ああ、確かに必要だなそれは」

「加えて、専用機持ち達のクラス替えについても検討しているんだけど、その話もね」

「あいよ」

 

 

 

 

 

第6感が静かに警報を鳴らす中、新華は妙に大人しい私服姿の刀奈とシーマ艦隊や今後の亡国企業への対応について話し合った。割と真面目な内容だった為に部屋のど真ん中にまで足を踏み入れハロ達を自分の回りに待機させていた。

 

---後に新華は「あの時1機だけでもハロを扉で待機させていれば……」と語り、「時間の問題だった」と3人から言われる事になる。

 

話も終わり第6感の警報が強くなるのと同時にその場から離れ部屋を出て帰ろうとする。

 

 

 

 

 

「じゃあ話も終わったし、帰るわ。おやすみ」

「待って。まだ新華君には用があるわ」

「だったらその目をどうにかしてくれませんかねぇ」

「目?」

「獣の眼光してんじゃねぇ!」

 

 

 

 

 

そう言って新華は一気に部屋の出口にダッシュ。ハロFを刀奈へと突撃させ出鼻を挫きドアノブに手を掛ける。

そして直後、新華の意思とは関係無く扉が開かれ、その瞬間脳裏に直感が走り体を一歩分後退させる。

そこに勢い良く突っ込んできた簪。新華は自分目掛けて突っ込んできた簪の頭を押さえ、勢いそのままにハロFを振り切って追いかけてきた刀奈にぶつける。

 

 

 

 

 

「きゃっ」

「あうっ」

「(何でIS学園に居る筈の簪が?)」

 

 

 

 

 

この日、簪はIS学園で1人『打鉄弐式』のシールドパッケージ『不動岩山(ふどうがんざん)』調整をしている筈だった。

そして簪を回避し部屋の外に出た新華は

 

 

 

 

 

「つっかまえたー!」

「何っ!? ぐおっ!」

 

 

 

 

 

これまた居る筈の無いシャルロットにタックルされ抱きつかれた。

 

 

 

 

 

「いつつ……シャルロットまで、何で居るんだ…」

「んー♪ 新華ぁー…♪」

 

 

 

 

 

女子とは思えない腕力で新華の体を抱きしめ頭を擦り付けてくるシャルロットに、新華は「…マーキング?」とか思いながら引き剥がそうとした。

だが案の定新華の腕力をもってしても剥がす事ができず、更に言えばハロ3機もいつの間にか刀奈と簪によってテープでぐるぐる巻きにされて押さえられていた。

 

 

 

 

 

「逃げちゃダメよ、新華君」

「…おい、一応聞いておくが、これはなんだ」

「何って、ナニでしょう?」

「だろうと思ったよクソッタレ! ってかこれ簪とシャルロットもおかしいと思ったらお前が手を引いてやがったのか…!?」

「勿論♪ じゃないと新華君ったらいつまで経っても今の関係を続けるじゃない?」

「答え出すっつっただろうが…!」

「やーねー、そんなの待てないって言ったじゃない♪」

「 ふ ざ け ん な ! 」

 

 

 

 

 

シャルロットの下でジタバタするが拘束からは抜け出せず、更に悪い事に刀奈が簪に何か吹き込んだ後瓶を渡した。

そして簪は渡された瓶を自分の口に含み、そのまま新華に口付けして流し込んだ。

 

 

 

 

 

「んぐっ!」

「んっ…」

 

 

 

 

 

逃れようとしたが頭を両手で抑えられ、またしても舌を入れられその液体を飲まされる。そして簪が口を離すと、体の奥から熱が吹き出したような感覚が新華を襲った。

 

 

 

 

 

「が、ぁっ…! い、一体、何、を…!?」

「お姉ちゃんが持ってきた、媚薬…。効いた…?」

「び、媚薬!? おっま、なんて、こと、を…!?」

「ふふ、効いてきたみたいね。ちなみに簪ちゃんとデュノアちゃんももう飲んでるから♪」

「は、はあっ!?」

 

 

 

 

 

新華が言われて見ると、簪もシャルロットも顔を赤くし妖艶な雰囲気を出しながら潤んだ瞳だった。息も荒く、妙に新華の体に触れてくる。

 

 

 

 

 

「新華君…」

「新華ぁ…」

「お、まえ、ら…」

「ふふ、さあ2人共。部屋に入りましょう…?」

「うん…」

「はい…」

「(洗脳じゃねえかコレー!?)」

 

 

 

 

 

よく見ると刀奈も息を荒くしており、既に準備万端なのが見てとれた。

 

 

 

 

 

「う、ぐっ、ま、待て! 話せば分かる! こ、交渉を…!」

「ええ、だから、性交渉といきましょう…?」

「(あ、アカン)」

 

 

 

 

 

3人に引っ張られる形でゲストルームに引き込まれる新華。体の、主に下半身から来る熱のせいか、はたまた彼女達の吹っ切れた決意のせいか、ずるずると部屋の中に連れて行かれる。

 

 

 

 

 

「うっ、お、お前ら、いい加減に…! だ、誰か…!」

 

 

 

 

 

そう言って何故かあれだけ騒いで誰も来ない廊下に手を伸ばし閉まっていく扉に手を伸ばす。そしてそこで何故か

 

 

 

 

 

『大丈夫だ、なるようになる。自分を信じろ!』

『お前なら出来る。ちゃんと彼女達を満足させた上で優位に立てばいいだけだ』

「(アドバイスじゃなくて助けてもらえませんかねぇ先輩方!?)」

 

 

 

 

 

睦美と尾褄のサムズアップした姿とアドバイスを聞いた気がした。そして無情にも閉まる扉。

 

 

 

 

 

そしてこの日、新華は50年越しにようやく童貞を捨て大人の階段を登り、刀奈、簪、シャルロットの3人は少女から女となった。

 

 

 

 

 




シーマ様が拾った人物は原作でザクにてガンダムを撃破した人です。

ようやっと新華を[R-18]に出来た。最初はもう少し早くする予定だったんですけどねー…。夏の暑さって怖いですねー…。

さて、次回で原作を追い抜く予定です。あくまで予定なのでまた伸びるかもしれませんが、出来るだけ予告通りにいきたいと思います。

…やっぱシールドピアーズって某ステークだよね!?

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