IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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131話。今回はワラキアさんに仕事しまくってもらったのでいつもより短めです。

で、『PHYCHO-PASS』視聴完了しました。いやーえげつないけど面白かった!
で、作中に出てくる『シビュラシステム』と局長が『初代AC』の『レイヴンズネスト』と⑨に見えた自分はイレギュラーなのでしょうか…。

あと関係ない話ですけど、∀とゲッペラー様って似てますよね、収束するって意味で。∀はガンダムの歴史が、ゲッペラー様は龍馬とゲッターが収束しますけど。


大運動会 後編

 

 

 

 

---昼食タイム

第3種目の障害物競争と第4種目の『騎馬戦』が一夏を巻き込んだカオスになった後、午前の部が終了という事で昼休みになっていた。

新華はハロ達を回収後、簪、シャルロット、刀奈と合流して午後の部に向けての調整と準備をしていた。

 

 

 

 

 

「んー、っと。次の競技の準備終わりましたよー」

「ご苦労様。こっちも終わったし、昼食にしましょ」

「うん…」

「わかりました」

「うぃーっす。んじゃ食堂行こうか」

 

 

 

 

 

さっさと食堂に行こうとする新華。そんな小さなイベントすら無意識にスルーしようとする新華をヒロイン3人は引き止める。

 

 

 

 

 

「待って新華。昼食なら僕らが持ってきたから一緒に食べよ?」

「お? いいのか?」

「勿論だよ」

「でもお前らの食う分が少なくなるだろ」

「それは大丈夫…。私達の分もちゃんとあるから…」

「なら、ご相伴に預からせてもらうか」

「なら行きましょ。聞いたところだとリラクゼーション・エリアが少し空いているみたいだし、そこにしましょ」

「ういうい。じゃ行きますか」

 

 

 

 

 

ハロ3機を引き連れ4人で移動する。リラクゼーション・エリアに到着すると聴き慣れた奴の叫びが耳に入った。

 

 

 

 

 

『うっぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!』

「っ!? 一夏か? また何かやらかしたのか?」

「相変わらずねぇ」

「とにかく、行ってみますか」

 

 

 

 

 

一夏の叫び声がした方に行くと、一夏が口を押さえセシリアに心配されて悶えていた。

 

 

 

 

 

「…何してんだお前ら」

『トリィ! トリィ!』

「げほっ、ごほっ、()ひんはは(新華か)! ()ひず()…」

「い、一夏さん大丈夫ですの?」

「それが大丈夫に見えるのか?」

 

 

 

 

 

適当に水を渡して一夏の冥福を祈りつつ、残った時間をゆっくりしようと場所を探し、すぐにリラクゼーション・エリアの広場のど真ん中でシートに座っている箒、鈴、ラウラを発見した。

 

 

 

 

 

「お前ら何してんの? さっきセシリアとコントしている一夏見たけど、行かなくていいのか?」

「あ、新華達じゃない。こんな時間まで何してたのよ」

「まず質問に答えろや。まぁ午後の部に向けての準備と調整をな。で、お前らはこんなところで何をしているんだ」

「少し、な。まぁそんなところで突っ立っているのも何だ。座ったらどうだ?」

「そうさせてもらいましょうかね」

 

 

 

 

 

箒の促しで新華達はビニールシートの上に座り、ハロ達はそれぞれの膝上に、サヤカは丁度いい大きさになって胡座をかく新華の足の上に座った。

 

 

 

 

 

「んで? お前らはその手に持っている弁当を開けずに、一夏を放っておいて何をしているんだ?」

「まぁ、ローテーションという奴だ。考える事は皆同じなようでな」

「あー…大体分かった」

 

 

 

 

 

おおよそ4人で順番に一夏に弁当を食べてもらうのだろうと予想して頷き、サヤカの頭を撫でる新華。サヤカに対する扱いが完全に娘に対するそれである。

 

 

 

 

 

「しっかし、一夏に惚れると大変だねぇ。早く誰か仕留めてくれるなら俺も楽なのによ」

「出来るなら我々も苦労しない」

「デスヨネー。ま、フォローはしてやるから頑張れ超頑張れ」

 

 

 

 

 

それはそうと、時間も押しているのでさっさと昼食を頂こうと3人に弁当を広げてもらい観察する。

刀奈はオードソックスにお茶とおにぎり。簪はジャムと食パンを、シャルロットは紅茶とフルーツ類を出した。

 

 

 

 

 

「おお、こりゃ豪華だな。んじゃ箒、ラウラ、鈴。お先に」

「ああ」

「あ、あたしはもう先に食べたから」

「あいよ。では、いただきます」

 

 

 

 

 

サヤカが新華の足の上から退いてハロ達を招集。気を使って箒達の方に行った。

 

 

 

 

 

「ん? サヤカ、どうした?」

「我々はあちらで織斑さんの事を聞いてきますので、4人でゆっくりしてください」

「…そうか。すまん」

「いえいえ。では」

 

 

 

 

 

娘扱いしているとはいえ自機に気を使われるのも変な感じだと思うが、折角なので好意に甘える事にした。

 

 

 

 

 

「それじゃあ改めて、いただきます」

 

 

 

 

 

(ヒロイン)3人の手作りに一喜一憂しリア充ライフにこの上ない幸福と感謝の念を思いながら、ローテーションを消費する一夏を弄りつつ一夏ハーレム相手にアドバイスして昼を過ごした。

 

 

 

 

 

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---第5種目、『コスプレ生着替え走』

流石にこれには一夏も新華も抗議した。

 

 

 

 

 

『いいんですか、論理的に!?』

『いいんじゃない?』

「んなわけあるか! 中止! 流石にこれは問題有りまくりだ!」

『そうですよ!』

『あららー? もしかして2人共、女の子の着替えで興奮しちゃうからイヤなのー?』

『うっ』

「当たり前だアホ! 思春期童貞の性欲舐めんな!」

 

 

 

 

 

一夏がキョどるが新華は堂々と言い放った。しつこいようだが、新華は溜まってる。暴発するくらいに。といってもこの競技を見たところで湧いてくるのは性欲ではなく申し訳なさというか罪悪感だが。

孤児院の新華はアグネスです。

 

 

 

 

 

『簪ちゃーん、デュノアちゃーん、サヤカちゃーん、確保』

「わかった…」

「新華ー。新華はこっちでお話だよー」

「後は任せてください」

「んなっ、お、おい! アレ止めろって! 流石に無いってこれは!」

『織斑君はむっつりスケベ、新華君はオープンスケベ。はっきりわかんのね』

『ちょっ、酷い言い草ですね!?』

「ホモネタも止めろっての!」

 

 

 

 

 

新華がどんなに抗議しても刀奈には暖簾に腕押し。それどころか刀奈は簪、シャルロット、サヤカに新華をどこか連れていくよう指示を出した。

 

 

 

 

 

「おかしいやろが! アグネス、アグネース!」

「大丈夫大丈夫。皆一夏に見てもらいたいんであって新華が見なければ問題無いから」

「それでいいのかIS学園!?」

「ほらほらご主人様。あまり血圧上げると血管切れますよ? 行きましょう。楯無さん、織斑さん、ここでしばらく失礼します」

『あ、ああ』

『サヤカちゃん、2人が抜け駆けしないように見張っててね?』

「なるべくご期待には答えようと思います」

「おい、おい。俺を無視して話を進めんな」

「新華君がここで色々言うと、競技が進まないから…。それに……」

「それに?」

 

 

 

 

 

簪に引っ張られシャルロットに押されサヤカに進路を空けられる形の状態の新華は、簪の言葉が詰まった事で彼女の顔を覗き込む。

簪は新華の腕を抱く力を強めて新華の顔を見上げる形で

 

 

 

 

 

「新華君が他の人の着替えを見るのは、ヤダから……」

「お、おう」

「そういうことだよ。まぁ新華ならその心配も無いんだろうけど」

「…まあ確かに? 今更着替えとか言われても、孤児院で子供の面倒見てたりう詐欺とくーちゃんの身の回りの世話したり千冬さんの荷物整理っ!?」

 

 

 

 

 

新華が殺気を感じて明後日の方向を見る。そちらには壁があったが、その壁を通して離れた向こう側、千冬が会話を聞いて殺気を飛ばして新華を黙らせた。

 

 

 

 

 

「新華?」

「あ、いやスマン」

「兎に角、私達は向こうで…」

「はいはい…」

 

 

 

 

 

そういったやりとりをして新華と簪、シャルロットはフェードアウト。前置きに時間が掛かったものの競技自体は進み、最後には一夏を巻き込んだ専用機持ち達の暴走が起きた。

しかしその時の新華は

 

 

 

 

 

「新華、どう?」

「 だ か ら 、これ以上は心臓に悪いからやめてくれ!」

「まあまあ、いいじゃないですか。……いずれもっと()を見れるようになるんですから」ボソッ

「…サヤカ?」

「し、新華君…! わ、わたしのは、ど、どう…っ?」

「もう勘弁してくれ…」

 

 

 

 

 

一夏と違ってシャルロットと簪の着替え合戦を見届ける事になり、精神をすり減らす事になった。

もしここで新華が踏ん張っていなければエロ同人みたいにっ! 的な事になっていた。もう環境も整っていた上に止める物も居なかった。サヤカは止める気なんてサラサラ無かったと言えよう。確信犯である。

更に言えば、サヤカは万が一の刀奈へのフォローも考えていたので、最も多岐な意味で厄介だと言えよう。

……新華、マジで頑張った。

 

あ、競技の方は1年は勝者無しの痛み分けで終わり、2、3年でついに黄組が1位に躍り出た結果となりました。

しかしそこまで点差を開ける事は出来ず、未だ勝負はこれからといった盛り上がりだった。

 

 

 

 

 

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---第6種目にして最終競技、『バルーンファイト』

 

理性と本能の戦争を乗り越えた新華(童貞)は、虚ろな目で空中に浮かばされている戦友を眺めていた。

 

 

 

 

 

「………」

『えーと』

『織斑君、地上50mの見晴らしはどう?』

『この状況と死んだ目をした新華の説明をお願いします』

「頑張ったんや。ヘタレとか言われようが、俺ァ頑張ったんや…」

『『あっ』』(察し

「確かに好かれるのは嬉しいわけですよ。だけどね? うん、まだそういうのは早いと思うんだ、うん。いくらそういった事に興味のある年頃だとはいえさ、最低ラインってのはちゃんと尊守しよう。な? というかここの生徒は男子が俺らしか居ないからって警戒心薄過ぎんだよ。俺か一夏のどっちかが畜生だったら、それはもう酷い事になってたんだぞ。倫理観しっかりしてくれ。一夏はともかく俺ぁそっちに関しては普通なんだよ。困るんだよ色々と。終いにゃ襲うぞコノヤロー。一夏じゃねぇんだぞ俺ぁ。童貞の我慢にも限界があるんだぞコラァ」

『えっと…』

『…サヤカちゃん?』

「ご主人様と四六時中引っ付いているのと比べればこの位抜け駆けには入らないでしょう。寧ろイーブンだと思いますが? 普段同じような事をしているでしょうに」

『……』

 

 

 

 

 

沈黙し妹とシャルロットを始めとした新華派から冷たい視線を送られ冷や汗をかく刀奈、虚ろなまま乾いた笑いをする新華、空中で放置される一夏とカオスな様相になっていた。

あまりにあまりな状況なので、今まで気付かれず後ろで控えていた虚が刀奈を正気に戻した。

 

 

 

 

 

『…お嬢様、お気を確かに』

『あっ。…ありがとう虚ちゃん。その話は後にして、改めて最終種目『バルーンファイト』を開始するわよ!』

『今度は俺の質問に答えてないです!』

『最後に景品がターゲットって事よ。ああ、それとこの競技は最終種目に相応しいよう、代表候補生全員による学年関係無しバトルロワイヤル形式です!』

 

 

 

 

 

その刀奈の声に応えるように、競技に参加していた2、3年の生徒達が雄叫びを上げ一夏を怯えさせた。その女子達の目の殆どが獲物を狙う猟師のそれだったから。一夏(景品)との接触が少ない彼女達は、滅多にないこのチャンスを逃すと終わりだと何となく感じていた。得に3年は卒業が目の前にあるので焦りは加速してしまう。しかもその焦りは各組の非代表候補生にも言える事であり、その背に掛かる重圧も彼女達を動かす原動力となる。

逆に1年の生徒達はその光景に引いていた。他人が暴走すると逆に冷静になるというアレである。そもそも彼女達は比較的一夏や新華と接触する事も多く、専用機持ち達が以前の騒動以来一夏とより親しくなっている為新華派に転向しようと考えている者まで居た。

 

 

 

 

 

「 う わ あ 。これは酷い」

『な、何が…!? とにかく、こ、殺される訳にはいかない! 白式!』

 

 

 

 

 

訳の分からないなりに一夏は危機を感じ白式を展開しようとする、が展開されない。そのことに戸惑う一夏に刀奈がとんでもない事実を話す。

 

 

 

 

 

『ちなみに今白式は半強制スリープモードに設定してあるわ。でも絶対防御は発動するから安心して』

『安心出来る要素が何一つ無い…! 悪魔や、生徒会長、あんた悪魔や!』

「……サヤカ、ちょっと戻れ」

「はい」

「午前の電撃といい今回の風船といい……ちょっとやり過ぎだ。一夏の奴がPTSDになって女性恐怖症にでもなったらどう責任取るつもりだ…。流石にこの光景は酷すぎる」

 

 

 

 

 

サヤカを待機状態のウォークマンに戻し、ため息を付いてからプライベートチャンネルを開いて1年専用機持ちの4人に連絡を入れる。

 

 

 

 

 

「あーテステス、聞こえるか?」

『む、新華か』

『あら、どうされたのですか?』

「いや、あまりに一夏がな…。一夏を確保した時は、なるべく争わずに保護してやってくれ。でないとPTSDになるぞアレ」

『ちょ、そこまでの事なの!?』

「襲う側は知らんだろうが男から見た恋愛の拗れってのはおっそろしいもんでな。ぶっちゃけると俺も一夏が幼馴染の鈍感でなければ投げてた」

『そこまで言うか!?』

「本人が知らないところで起きる争いが見るに堪えないんだよ…。ともかく、お前達が(・・・・)一夏を守ってやれ(・・・・・)

『『『『!!』』』』

「じゃあな」

 

 

 

 

 

プライベートチャンネルを切りその場から離れ移動する。サヤカを待機形態にしたままで移動し実況席に向かう新華は、一抹の不安を覚えた。

 

 

 

 

 

「……一応釘は刺したが、余計な事言ったのかもしれんな…。一夏に幸あれ」

 

 

 

 

 

あの場に居る誰もが一夏の傍に居たいと想っている者達だ。あの言葉でそうそう暴走するとは思わない、が、人は目の前に転がっている誘惑を断ち切れる程強い訳ではない。

だからといってあの状況で落ちていく一夏を彼女らが無事に確保出来るとは思えないのもまた事実だった。

刀奈の声が聞こえた後、アリーナで競技という名の理不尽が開始されたのか廊下に銃撃や破裂音が響く。その音をバックにつかつかと早足で移動し、実況席に着いた時に見た一夏のバルーンが最初の1/5しか無かった。落下する一夏を受け止めては投げのキャッチボールが行われており、新華のため息は深くなるばかりだった。

 

 

 

 

 

「あら、青木君。どうされたので?」

「どうされたも何も無いでしょうに。なんで止めないんですか」

「万が一が起きてもこちらで対処可能だと、お嬢様が押し切りまして…」

「……はあぁー…」

「…すみません、止められなくて」

「いえ。でも、お灸を据えるくらいはいいでしょう?」

「はい。もうやっちゃってください」

 

 

 

 

 

自身の従者にすら呆れられている刀奈は、後ろに居る新華に気付かず観戦して愉悦していた。

新華がため息を吐いた直後、一夏が最後に受け止めていたセシリアの腕から脱出、近くにあった木に飛び移ろうとしたらしいが軽く10mは離れており、一夏の落下が確実なものとなってしまった。

 

 

 

 

 

『残酷過ぎるううううううう!』

「なっ! あれはマズっ」

「サヤカっ!」

 

 

 

 

 

解説席から腰を上げた刀奈より早く新華が踏み出し、大型ハンドユニットを両手で突き出すように射出。足場と支えになるよう手の平の向きを変更して飛ばし一夏を窮地から文字通り掬い上げた。

 

 

 

 

 

「えっ、新華君!? どうしてここに…」

「一夏、大丈夫か?」

『あ、ああ! あ、危なかった…』

「ったく…」

 

 

 

 

 

滑るようにハンドユニットを遠隔操作して一夏を下ろし回収する。回収してから刀奈に歩み寄る。肝心の刀奈といえば気まずそうに新華から顔を逸らしていた。

 

 

 

 

 

「………楯無会長、何か弁解は?」

「えっと、ごめんなさい」

「…………あのさぁ…」

 

 

 

 

 

またため息を吐いて刀奈に近付き、逸らしている顔を両手で無理矢理自分の方に向けた。その時にお互いの顔が近かった為に刀奈は顔を赤く染め、新華を強く意識し目を逸らした。

 

 

 

 

 

「ちょ、ちょっと待って新華君。心の準備が…」////

「この…バ刀奈!」ゴチンッ

「いだっ!」

 

 

 

 

 

思考ピンクだった刀奈の額に頭突きをかまし手を離す。刀奈はその場でぶつけられた部分を押さえ抗議する視線を新華に向けるが、その新華の顔は子供に説教する時の保護者のそれだった。

 

 

 

 

 

「あと1歩で一夏が重症を負っていたんだぞ? ちったぁ考えろよ。盛り上がればいいってもんじゃないだろうが」

「いたた……でも」

「でもも何もない。いくら一夏が特殊だからとはいえIS無ければただの人間だろうが。絶対防御が仕事したところで根本的な人間の脆弱性が変わっていないんじゃ結果は変わらん」

「いや新華君なら」

「アホ」ビシッ

「あうっ」

 

 

 

 

 

新華自身を引き合いに出そうとした刀奈に今度はデコピンをお見舞いする。先程頭突きした場所にピンポイントで打ち込んだ。

 

 

 

 

 

「俺と比べんじゃねぇよ。確かに俺だったら上手く無傷で着地出来るよ? あの高さなら。でも一夏はそうじゃねぇだろうに。しかも白式が半強制スリープモードにさせられてたときた。本当に、何考えてんだよ」

「いざとなれば私が体を張ればいいかなーと」

「あ”?」

「ごめんなさい」

「俺じゃなくて一夏に言えこのバ刀奈。ったく…」

 

 

 

 

 

実況席で新華の説教が行われたが、その説教が他の生徒から見ればイチャついているようにしか見えなかった。しかも新華に至っては刀奈を自然と名前呼びしていた。

説教が終わった頃合を見て虚が2人に声を掛ける。

 

 

 

 

 

「青木君、お嬢様。皆様お待ちですので競技の結果発表を」

「ああ、すいません。俺は下がります」

「うう…新華君に傷つけられちゃった…」

「そぉい」ビスッ

「あだっ、新華君何度も叩き過ぎよ!」

「下らん事言ってないではよ結果発表をしろ」

「うう…新華君が冷たい…」

 

 

 

 

 

脳天にチョップかました新華に抗議するもあっさり切り払われ、渋々と実況席に戻りマイクを取る。

 

 

 

 

 

「えー、それでは結果ですが……。最終的に織斑君を地面に下ろしたのは新華君という事で勝者無し。つまり無効試合として引き分け、無得点です!」

『『『『『『『ええ~』』』』』』』

「…ですが! それだと面白くないので『誰が最もバルーンを破壊したか』で勝者を決める事としましょう。順位順に点数を割り振り最終得点を計算、その後で改めて結果を発表したいと思います!」

 

 

 

 

 

刀奈の即興のアドリブで会場はざわつく。しかし生徒会側の行動は早い。即座に観戦していたであろうシャルロットを加えた生徒会メンバーを招集して各視点からの意見と画像を確認、10分で集計を終わらせて結果を纏めた。

 

 

 

 

 

「それではお待たせしました! 結果発表です! 勝利に輝いた組は…」

 

 

 

 

 

各々の息を呑む音が聞こえアリーナに緊張が走る。だが生徒会のメンバーは全員が全員、微妙な顔になっていた。

 

 

 

 

 

「勝利に輝いた組は………無し! お疲れ様でしたー!」

『『『『『『『『『『………………』』』』』』』』』』

『『『『『『『『『『ハア!?』』』』』』』』』』

「やー、その反応もご最もだと思うわ。私達も集計結果が出た時には何かの間違いかと思ったもの」

 

 

 

 

 

最終的な結果は、奇跡的に『同点』。全組が、である。無論新華とサヤカだっておかしいと思った。しかし計算し直しても集計し直しても結果は変わらず。だから微妙な顔になっていたのだった。

 

 

 

 

 

「これでも5回集計し直してるのよ? それでもこの結果に収まるものだから最早運命とか言った方がいいんじゃないかしら」

「そう言えるレベルの結果だよなコレ。今でもおかしいと思うし」

「だよね~。でもでも~みんなで計算したんだしぃ、しょうがないんじゃないかな~?」

「それで片付けられるのなら、いいのだけど…」

「疑問を持つ娘達も居るでしょうし、各競技の各組の得点と合計点を表示するわ。自分たちで計算してみて」

 

 

 

 

 

空中ディスプレイにこれまでの得点が表示されざわめきが大きくなる。不満は上がるが結果が変わる事は無いし、結果として一夏の境遇に変更は無いので大人しくなった。

 

 

 

 

 

「この結果から織斑君は現状維持ということで。では全競技の終了と同時に『大運動会』の終了を宣言します!」

 

 

 

 

 

この刀奈の宣言により『大運動会』は終了を迎え、競技に参加した生徒達には休息を、競技を観戦した生徒達は後片付けを、新華達生徒会メンバーはそれらの指揮と実行を行う事になった。

 

 

 

 

 




さーて次回はようやく刀奈とのデートに参ります。今回のクオリティの酷さ? ………触れないでやってください。
『バルーンファイト』で『どうぶつの森』が出てきた人は握手しましょう。ガノタはWiiで止まりましたけど。

さてと、シーマ様達海兵隊を出そうか…。

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