IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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130話。
結局1話で収まりませんでした…。そして相変わらずの低クオリティ…。

これも全部12話しかないのに面白すぎる『モノノ怪』がいけないんだ!
それはともかく
最新ガンダムは富野だよ! TV放送だよ! サンライズよくやった!
ガンダアアアアアアアアム!

あ、今回オリキャラが出ます。


大運動会 前編

 

 

 

「それではこれより! 生徒会主導による『大運動会』を、開催しまァーす!」

 

 

 

 

 

---月曜日。

生徒会の予想であった準備期間の半分である1週間で開催されたこのイベントには、IS学園生徒の半数が参加していた。

尚、前も言った通り彼女らは『一夏派』であり、一夏が落とした女生徒達である。

 

……一体いつの間にこんなに落としたんだ(呆れ

ただ、IS学園外にも結構同じような人は居る模様(戦慄

 

 

 

 

 

「選手宣誓! 織斑 一夏!」

「俺ェ!?」

『トリィ? トリィ!』

「……なんでさ」

 

 

 

 

 

ブルマの女生徒達の中に体操服姿の一夏がおり声を上げる。思わず新華も呆れて呟く。新華の服装は生徒会の腕章を付けた通常の制服である。

 

 

 

 

 

「ほら、早く早く!」

「と、ととっ! …あー、えー…」

 

 

 

 

 

刀奈に引っ張られ壇上のマイクの前に立たされる一夏。壇上なので女子達の姿が一夏の視界に収まり目のやりどころに困る。

一夏が狼狽えて視線で箒達に助けを求めようとするが、何分突然連れてこられたので混乱している。

 

 

 

 

 

「…ごほん、『あー、聞こえるか一夏』」

 

 

 

 

 

ISのプライベートチャンネルを使って新華が助け船を出す。

 

 

 

 

 

「! 『聞こえるぞ!』」

「『補助、要るか?』」

「『た、頼む』」

「『あいよ。じゃ、俺の言葉をトレースしな。テンプレだがな』」

 

 

 

 

 

新華のセリフを聞いてそのままマイクに向かって声を出す一夏。

 

 

 

 

 

「選手宣誓! 自分達生徒一同、正々堂々力を尽くして競い合う事を、誓います!」

『トリィ!』

 

 

 

 

 

ちなみに新華、ここで一夏にキリッ顔させトリィの羽を広げさせております。故に会場に黄色い悲鳴が木霊(こだま)し『無属派』の人間から『一夏派』に転向する生徒が出た。

『新華派』は新華の挙動を見て関心していた。宣誓を終えた一夏が壇上から降りる。

一夏が壇上から降りると女子達の気合が入った掛け声や呟きが聞こえてくる。

 

ここで今回参加する女子達について大まかな説明をしておく。

まず今回は参加する人数が多く争奪する物が者なので『チーム戦』形式を採っている。更に1、2、3年が同時に介するので生徒会による人数分けが行われていた。

特徴としては

 

・参加する学年はチームそれぞれ均等であり、現状における学業成績が平均してチーム均等になるようになっている

・専用機持ちは各チームに分散されており戦力過多を避けている

・各チーム毎の人数も均一化され、メンバーに特色はあれど突出しているチームは無い

 

である。各チームの特徴として

・箒有する『赤』組

・セシリア有する『青』組

・鈴有する『茶』組

・ラウラ有する『黒』組

・強力な3年専用機持ち有する『緑』組

・2年専用機持ち有する『黄』組

となっている。人数が人数なだけにチーム数自体多いが、専用機持ちを分散し戦力を均一に近くするためにはどうしても必要な措置であった。

 

 

 

 

 

「サンキュ、新華」

「いいってことよ。さってっと、俺も所定の配置に着くかな。サヤカ、ハロ」

「はい」ポンッ

「「「ハロッ」」」

 

 

 

 

 

サヤカを出しハロ3機を召喚する。今回新華にこれといった仕事は無いが、不正が無いか、危険が無いかの監視員として待機する事になっていた。当然のように一夏と違い安定の制服のままである。腕には『生徒会役員』の腕章を付けて。

 

 

 

 

 

「今日は祭りだが俺達は作業側だ。配置に着いて先生達が間に合わない穴を埋めるぞ」

「了解です」

「「「ハロッ!」」」

「一夏は今日は特殊な立場になってるから指示を待て。それまでは箒達と一緒に体操とか混ざってきな。今日お前は女子達にとってメインディッシュだ。楯無会長にさっき以上の無茶ぶりも要求されるだろうししっかりな」

「お、おう」

『トリィ?』

「何、フォローはこっちできっちりやっから安心しろ。ほら、皆待ってるぞ。行って組んず解れつしてこいや」

「出来るか!」

『トリィ!』

 

 

 

 

 

トリィを肩に乗せた一夏が女子達の群れに突っ込んで行くのを見送った新華は、支給されたいつぞやのインカムを装備し電源を入れる。

 

 

 

 

 

「さて、『楯無会長、こちら新華、これより配置に着きます』」

『了解。基本は見ているだけでしょうし、今日は無礼講だと思って楽しんでね』

「『あいあいさー。今日は特に嫌な予感もしませんし、ゆっくりしまさぁ。あ、サヤカとハロ達は既に配置着いてます。トリィはこっちで邪魔にならんよう確保してあるんで』」

『OKよ。じゃ、Let's Partyといきましょうか!』

 

 

 

 

 

こうして1週間で準備した『大運動会』が幕を開けた。

 

 

 

 

 

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---第1種目、『50m走』

始まる前から鈴を始めとした女子達の戦争が起きかけ新華が有線サイコハリセンを炸裂させて回るなどあったが、些細な事である。

 

 

 

 

 

『さあ、まず第一種目である50m走です! まずは1年から!』

 

 

 

 

 

薫子の実況で競技は進行していく。この『大運動会』は1~3年が参加するという事で学年ごとに別れた競技の進行、つまり一般の学校で言う『運動会』と大して変わらない。

違う部分は参加者が女子のみなのとIS学園故の内容、具体的な景品が『一夏』なくらいであろう。

1年の走者が位置に着く。

 

 

 

 

 

「位置に着いて、よーい!」パァン!

 

 

 

 

 

教師のエアピストルが撃たれ一斉に走る女子達。この場で語るとすれば、第一走者の中に鈴が居て1位を取りポイントを獲得、一夏が無自覚にデレた発言をして後の走者達が気合を入れたり、それを新華組は微笑ましく見ていたり、負けじと2、3年の部が盛り上がった事だろう。

2、3年が接戦を行った事でポイント差は殆ど無く、次の競技までキンクリされ現在のトップは鈴有する『茶組』という結果が残る。

 

---第2種目、『玉撃ち落とし』

 

 

 

 

 

『続いての第2種目! IS学園特別競技の『玉撃ち落とし』だァ!』

『玉……打ち落とし? 玉入れじゃなくて?』

『トリィ?』

『そりゃただの玉入れじゃあ特別性も無いし盛り上がりに欠けるでしょう? IS学園なんだからもっと特別な事をしなきゃね!』

『は、はぁ』

『そういうことで、『玉撃ち落とし』の説明をしましょう! ルールは簡単! 上から落ちてくるぷよp……ん"ん"っ、玉をISで撃ち落としていくだけです! 玉には大きさによって点数が決められていて、小さい方が高得点になってます!』

「なるほどなー。つまり3次元シューティングをISでやり、得点方式でチームに加算していく感じか」

 

 

 

 

 

一夏と薫子のアナウンスを聞いて新華は腕を組み会場を確認する。会場には1年代表候補生達が準備していた。現在新華が居るのはアリーナの第2ピットである。

 

 

 

 

 

『さあ各選手は準備をしてください! 尚、今大会ではISスーツの着用は認められておりません! ブルマのままいってみましょう!』

『ISスーツ禁止って意味あるんですか?』

『ブルマ女子達がその四肢を惜しげもなく晒し汗を流しながら1人の男のために機械と共に戦場へと赴く。………織斑君、そそられませんか?』

『発言に困ります』

「……何やってんだあの2人は。変に発言して飛び火しても面倒そうだから放置っと、参加者の準備が出来たみたいさね」

 

 

 

 

 

会場に紅椿in箒、甲龍in鈴、ブルーティアーズinセシリア、レーゲンinラウラ、カスタムラファールin1年オーストラリア代表候補生、カスタム打鉄in1年ブラジル代表候補生が姿を現す。

 

 

 

 

 

「おっ、出番が全く無かった1年3組の代表候補生じゃないか。……おうおう、箒が専用機持っている事に未だ納得出来ないのが1人と、妬み通り越して諦めの境地に入っているのが参加か。後者はともかく前者は危ういな。気持ちは分からんでもないが」

『それじゃあフィールド中央に全自動標的投擲機、設置!』

「さぁーて、お仕事お仕事」

 

 

 

 

 

箱形の機械が構築されていくのを確認して新華はピットから飛び降り機械に近付いていく。それと同時に解説側にも動きがあった。薫子と刀奈がアナウンスを交代し、薫子がカメラを構えて参加者を映し始めた。

 

 

 

 

 

『さあ準備はOK? ここからは生徒会長、更識 楯無の実況でお送りするわ! では早速、参加者達の意気込みを聞いてみましょう! 薫子ちゃん、よろしくぅ!』

『了解でっす! ではではまず『赤組』の篠ノ之 箒さんから、どうぞ!』

『はい。…一意専心、慢心無く堅実にチームに貢献したいと思っております』

『おお、真面目に織斑君を獲りに行くって事ね。続いて『青組』のイギリス代表候補生セシリア・オルコットさん!』

 

 

 

 

 

各人の挨拶をやっている間に新華は装置へとたどり着く。観客席から訝しげな視線を送られているが無視してサヤカを呼び出すことにする。

 

 

 

 

 

「---サヤカ」

「---ここに」

 

 

 

 

 

以前習得した遠距離からの呼び出しを行いサヤカを隣に控えさせる。ハロ達は簪、シャルロット、そして刀奈の傍に控えさせていた。

 

 

 

 

 

『---では続いて、『緑組』のオーストラリア代表候補生ジュディ・マッケンジーさん!』

『…私とて代表候補生の端くれ、専用機持ちに負けないよう努力してきたつもりです。負けません』

『凄みが効いた意気込み、期待が高まります! さあ続いて『黄組』のブラジル代表候補生ルーシー・ビアンノさん!』

『あー、チームの足を引っ張らないよう出来るだけ頑張ります』

『……頑張って! では全員の意気込みを聴き終えた所でシレっと装置の防衛に入った青木君に一言頂きましょう!』

「しれっとってなんだしれっとって。これでも仕事でやってるんだが」

「誰もやろうと思い付いていない仕事を発掘して立候補してたのに何を言っているのですか」

「そらそうだがな」

 

 

 

 

 

カメラとマイクが回ってきたので注意事項を言っておく。

 

 

 

 

 

「あー、一応この機械の防衛をする青木です。全方位からの攻撃だろうと一点集中火力をぶつけられても守りきるんで、後に控える2、3年の方々は安心して見て大丈夫です。何が言いたいのかというと、俺に構わず好きなだけ暴れてくれ。以上」

『超ド級の安心感をありがとう新華君! さあそれでは早速玉撃ち落としを開始したいと思います! 選手は上空のポイントへ!』

 

 

 

 

 

観客も盛り上がりを見せ箒達が飛翔し薫子が退避する。新華はその場にて見送り装置に体重を預け観戦モードになる。

箒達がスタート地点である装置を中心とした円状に並び、装置から標的が打ち出され緊張が走る。

 

 

 

 

 

『それでは! ISによる玉撃ち落とし、スタート!』

 

 

 

 

 

刀奈の掛け声を同時に全員が動き出す。それぞれが自分の近くにある標的を次々と落としていくのを新華は確認し、刀奈と一夏からの通信を受ける。

 

 

 

 

 

『新華、大丈夫だとは思うけど何でそんな所でじっとしていられるんだ? 真上で攻撃飛び交ってるだろ』

「俺自身が狙われてる訳でもなし、頼れる相棒(サヤカ)も隣に居るしで何を心配する要素がある? それにこの程度の弾幕なら例え全弾集中して来られたとしても全部捌ける自信がある」

『流石ね。で、そんな新華君から見てこの競技では誰が最もポイントを稼げると思う?』

「個人的にはセシリアか鈴だな。セシリアの場合偏光射撃を持ってるから一射での連キルが期待出来る。あとBTを使えば効率良くポイント稼げるだろうな。ホレ、現に今4キルした」

『まだまだですわ!』

 

 

 

 

 

見上げると新華が言った通りセシリアがBTと偏光射撃を上手く使い標的を次々と落としていた。

 

 

 

 

 

『最高得点の黄金玉、頂きですわ! …ってあっ!』

『へへん! 狙ってたのよこれ!』

「鈴の場合はああやって近接にも(比較的)秀でてるうえ射撃武装に拡散タイプのものもある。纏めて標的を落とすならこちらも負けてない。ただまぁ今回は」

 

 

 

 

 

セシリアが狙っていた最高得点の標的を鈴が切り裂く。すぐに視点を切り替えて次の目標を探し、下方に向け衝撃砲を収束状態で打ち放つ。しかしその砲弾はターゲットの当たらず霧散する。

 

 

 

 

 

『へへーんだ、一網打じ…ん!? これは、ラウラね!』

『ふっ、もらった!』

「これは複数人によるデスマッチに近い。だから一概に誰が得かなど決め付ける事は出来ない。それは」

『私とて代表候補生なのよ!』

「専用機を持たずとも努力を続けていたであろう彼女達にも言える事だ」

 

 

 

 

 

専用機組みが目立ってポイントを稼いでいるのを尻目に、カスタムラファールやカスタム打鉄を駆る2人の女子は地道にポイントを稼いでいた。他の4人程派手さは無いものの、流石代表候補生というべきスコアを叩き出していた。

 

 

 

 

 

「ほれ一夏、俺に構ってないでラウラを褒めるとかしてやれば? こうしている間も箒がかなり稼いでいたりするぞ?」

『あ、ああ。……おお、スゲェ。ラウラも箒もすごいじゃないか!』

『むっ!? う、うむ! わ、私にかかればこの程度のことは…ふふ』///

『ああ、ありがとう一夏。この紅椿と共に、お前の横に立てるという証明を見せるっ! ハアアッ!』

「あら、箒にはアクセル掛かったか…。だがラウラの動きは止まったし、頑張りなさいな、マッケンジーさんにビアンノさん」ボソッ

 

 

 

 

 

ちゃんと非専用機持ちの2人に有利な状況を間接的に拵えつつ、戦況を見極めていた。

ある程度落としていくと専用機持ち達は獲物(ターゲット)の奪い合いを始め、その余波がマッケンジー、ビアンノ両名に及び出した。

 

 

 

 

 

『頂きましたわ!』ドウッ

『ちょっと、危ないじゃない!』ブンッ

『なっ、まずいっ』ガッ

『ぬっ!? な、なんだ!?』ズガンッ

『『ブチッ』』

「あっ」(察し

「これは…」

 

 

 

 

 

4人の流れ弾が2人の目の前にあった標的を薙ぎ払い、その両名から何かが切れる音が聞こえ、新華とサヤカは色々と察した。

 

 

 

 

 

『いい加減に…しろぉ!』

『あはは……さすがの私でも限界だわ』

『『『『えっ』』』』

「……ビアンノさんも、容量の限界だったか。だが、爆発するタイミングとしては問題無いかな」

「後処理が楽になりますねー」

 

 

 

 

 

新華とサヤカが他人事の如く呟き、マッケンジーのラファールに搭載された火器が専用機持ち達に向けて放たれ、ビアンノの打鉄がナイフを両手に持ち瞬間加速で射線を避けて専用機持ち達に襲いかかった。

 

 

 

 

 

『おおーっと、ここで乱闘だァー! 2人のストレスが今、爆発する』

『って言ってる場合ですか!? これ競技が進みませんよ!?』

「と言いつつ2人は何気に標的落としながらやってるんだなこれが。ありゃアドレナリンドバドバ出てんぞ」

「あの2機のカスタマイズも機動性と武装の精密性を重視してチューンナップされているようですし、中々相性は良さそうで。もし専用機があれば派手な活躍が期待出来たやも」

「加えて一夏とコミュれたかもな。ま、全部if(もしも)の話だけど」

 

 

 

 

 

完全に乱戦状態となった上空を見上げながら冷静に2人の代表候補生の評価を行っていく新華とサヤカ。6人が作る弾幕の真下に居ても新華に緊張感は無かった。というか楽しんでいた。

 

 

 

 

 

「おーおー派手にやっちゃって。でも性能がダンチな専用機相手にゃそれしかないか。ただそうしている間、離れた所で狙われもしない標的は浮遊したまま、と」

「……おや、篠ノ之さんが気付いたようですね。纏めて薙ぎ払うおつもりで」

「ふむ……サヤカ、スタンバイ」

「了解しました」

 

 

 

 

 

サヤカの言う通り箒の紅椿が乱戦状態から抜け出し地面に着地、大出力エネルギーカノン『穿千』である肩ユニットを展開、エネルギーチャージを開始、同時に新華はサヤカを待機形態に戻した。

 

 

 

 

 

『この位置……もらった!』

『させっかああああ!』

『!?』

『ブチ抜けェ、ラファール!』

 

 

 

 

 

マッケンジーがまるでマルチロックしているように両手、カスタムした時に追加したのであろう腰のサブアームに装備したアサルトライフル計4丁を同時に乱射する。左側2丁は箒を狙って放たれていたが、右側2丁は標的と他の専用機持ち達を相手にしているビアンノを援護するように撃たれていた。

 

 

 

 

 

「ほう(俺と同じ(・・・・)自身の感覚のみの発砲でああも当てるか)」

『なっ、し、しまった!』

『あっ』

「問題無い。ファング」

 

 

 

 

 

チャージ中で動けない箒が直撃を受け射線が新華の居る装置に向けられ発射される。マッケンジーも思わず声を上げるが新華は背中にGNドライブシールドを部分展開、冷静にファングを射出しGNフィールドを展開、装置を守った。

 

 

 

 

 

「発射見てからのファング余裕でした(0.7秒)。ほら、惚けてないで続けろや。もう標的も残り少な…」

『ラスト、頂いたわ!』

「い……あー、終わったか」

 

 

 

 

 

ビアンノがナイフで最後に残っていた標的を切り裂き1年の『玉撃ち落とし』は終わりを迎えた。最後に冷や汗を掻いた箒とマッケンジーだったが、新華のお陰で胸を撫で下ろす事になった。次の刀奈の一言でまた冷や汗を流す事になったが。

 

 

 

 

 

『篠ノ之ちゃんにマッケンジーちゃん、命拾いしたわねー。その装置、結構高いから壊したら200点程減点してあげようかと思ってたのだけれど』

『『っ!?』』

『新華君に感謝なさいな~』

「防衛だから壊した場合の責任は寧ろ俺に有るんだが…。あ、一夏、2人へのフォロー頼んだ」

『わ、わかった』

「にしても、最後のラッシュが効いたのか点数の差が思ったより開いてないな」

「ですね。なかなかどうして、やるようですね」

「俺からしてみれば好ましい結果だな。努力って言葉に説得力が出るからな。それにこの後の2、3年のカバーも効くし、なんとも楽しみな結果に落ち着いてくれたもんだ」

 

 

 

 

 

箒とマッケンジーの事を一夏に丸投げし、新華は降りてくる参加者達と戦績を確認していた。新華の予想通りこの競技での最高得点獲得者の座はセシリアが手に入れており、帰り際に一夏から褒められトリップしていたのはお約束である。

 

そのまま流れるように2、3年の部を終え、防衛ミッションも終えてさあ戻ろうという時に刀奈がアナウンスを使って無茶ぶりを敢行した。

 

 

 

 

 

『さあて撃ち落としが終了した所で1つ提案があるのだけれど……。皆、新華君と織斑君の『玉撃ち落とし』、見てみたくない!?』

『は?』

「あ?」

『『『『『『『見たい!』』』』』』』

「『お、おう』」

 

 

 

 

 

この刀奈の要らん一言で新華と一夏も『玉撃ち落とし』をやる事になってしまい、半ば、いやかなり強引にエクストラとして装置の前に立つ事になってしまった。

 

 

 

 

 

「また無茶ぶりを…。この後昼前に1つ競技が入ってるから時間押してるってのに」

「まあまあ。俺達の見せ場があるって考えればいいだろ?」

「見せ場など要らん。平穏を寄越せ」

『はいはーい、苦情は後で受け付けるからスタンバイして。あ、一応公式扱いだから新華君はハンデ設定を忘れずにね』

「あー、そういやそんな設定あったな。了解了解。あ、楯無会長」

『何かしら?』

「今回競技であって試合じゃないんで武装選択ってフリーになります? それと競技内容的に考えてハンデ有りだと一夏に引っ付かないといけないという腐りそうな構図になるんですが」

『んーそうねぇ。今回は競うのであって戦う訳じゃないしその辺りは考慮するけど、武装がフリーになる事だけは無いわ。やっぱり近接武装オンリーで』

「JudJud. そうなると武装が決まってくるが、まぁ何にせよ後はやるだけか」

「お手柔らかに頼むぜ、新華」

「あいよ」

 

 

 

 

 

先程まで防衛していた機械を挟んだ向かい側に一夏が立ち、お互い機体を展開して飛ぶ。

一夏はいつもの白式だが、新華はセシリア戦以来2度目のハンデ設定。IS学園に来て既に何ヶ月も経つのに多くの騒動があったせいで使う機会が全く無かった設定に、新華は慣れていなかった。

 

 

 

 

 

『準備はいい? 2人共』

「俺はいつでもOKです」

「……………」

『新華君もいいみたいね。それでは、『玉撃ち落とし』EXステージ、開始!』

 

 

 

 

 

宙に標的が打ち出され刀奈の掛け声で競技を始める新華と一夏。

一夏は開始早々に荷電粒子砲をチャージし標的を纏めて薙ぎ払う。荷電粒子が通った時に出来た標的群の穴に自ら飛び込んで撃ち漏らしを次々と切り裂いていく姿は騎士の名に相応しいもので、1つ標的を切り裂く度に見ている一夏派や無属派から歓声が上がる。

 

 

 

 

 

「ハアァッ!」

 

 

 

 

 

対する新華はフルセイバー・カタールモードを2振り両手に装備した状態で、舞を舞うように標的を破壊していた。拳付近のアタッチメントにビームピストルを装備しているので、少し離れた標的も破壊しながら移動している。一夏とは違い体を回転させながら標的を破壊しているので攻撃時に動作を停止させる必要が無く、流れるように穏やかで、それでいて鋭く攻撃を標的に突き刺していた。

例えるなら、一夏は激流に逆らう龍になる前の鯉であり、新華は穏やかな流れを持つ川そのものである。一夏は向かってきたもの斬り伏せ走り続けるが、新華は受け流し自然な流れで切り裂き歩く速度を変えないのである。

 

 

 

 

 

「………(次)」

『---20、24、28…流石です』

「…………『---一夏と違って制限あるとはいえ、カタール持ってクルクル回りながら打ち抜く簡単な競技だからな。それにビームピストルだけならGNドライブの粒子生成量を上回る火力は出せないし』」

『---ピストル全部載せでビームバズーカ乱射されると粒子切れになりますけど、ガン=カタくらいなら問題ありませんよ』

「……………『---やってみてもいいけど、この流れは途切れさせたら戻るのに時間掛かるし効率も悪くなるからこのままで』」

『---わかりました』

 

 

 

 

 

無言のまま1つ標的を裂くごとに1つ撃ち抜いて止まる気配の無い新華の動きは、ある種の美しさがあり観客達を魅了する。一夏のような派手さは無いものの確実にスコアを稼ぎ、尚且つ得点の高い標的を多く破壊しているお陰か開幕ぶっぱした一夏の得点に既に追いついていた。

 

 

 

 

 

「…流石だな新華! 俺も負けてられねぇ!」

「………いい気迫だ。だが、まだまだだ」ビスッ

「あっ!? その黄金玉俺が狙ってたのに! というかよくその銃であの玉狙撃出来たな!?」

「………ラウラも以前言っていたが、流れを覚えれば出来る。…それよか、いいのか? 手が止まっているぞ」

「うえっ!? あっ、点数がいつの間にか逆転されてる!? 負けるもんか! 白式!」

 

 

 

 

 

一夏が自身の相棒の名を叫び気合を入れて標的を次々に落としていく。なかなか良い勢いで荷電粒子砲も最大限利用するが1回転する度に最低3つ、最大8つ標的を落とす新華についぞ追いつく事は出来なかった。

一夏がまだまだ未熟という事もあるが、元々白式は武装が増えたとはいえ対単体用であり今回のような競技や戦闘には向いていない。逆にEvolveクアンタ(サヤカ)は対圧倒的多数用であり、新華もその機能を生かす戦い方に慣れていた。いくらハンデがありそれに慣れていなかったとしても根本的な能力まで制限出来る筈も無く、更に経験と先読み能力によりハンデを覆せるだけの戦果を出す事が出来た。

最後に残った標的を一夏が切り裂くと、刀奈のアナウンスが終わりを告げる。

 

 

 

 

 

『そこまでー! いやーいいものを見せてもらったわ! さあ結果発表といきましょうか!』

「…お疲れさん」

「これ、ずっと集計していたし結果分かってるんだけど」

「観客は知らん。そういうことだろ」

『結果は……新華君が大きく点数を離して勝利! わかってたけどね』

「ですよねー。なんかもう俺が1つ標的落とす度新華は4つ以上落としてたからな」

 

 

 

 

 

新華と一夏が地面に足を付けISを待機形態に戻すと、空中ディスプレイが表示されそこに今までの競技の結果と新華と一夏のスコアが表示される。新華の得点は一夏のそれの2倍近い量だった。

 

 

 

 

 

『この結果を流石と取るか大人げないと取るかは自由です! でも本当にすごいわね新華君…。最後まで動きが止まらなかったし』

「ホントホント。やっぱあれか、ハイパーセンサーのお陰なのか。俺もちゃんと意識して使えるようにならないと…」

「ハイパーセンサー? ………ああ、あの産廃。悪いが、俺は使ってないぞ」

『「え?」』

「あんなの余計な情報が入ってきて邪魔なだけだろうが。んなもん切り捨てて装備収容容量に使ってるわ」

『……ちょっとまってあたまいたい』

「ご主人様は初めてISを起動して24時間でハイパーセンサーを切ってましたよ」

「そもそもハイセン使ってても相手を見失う事あるんだから意味無いだろうよ。索敵には丁度いいかもしれんが遠距離での砲撃戦になったとしても結局のところ自分の力が必要になってくるし、そんな状況でハイセンから余計な情報が入るとなると戦闘に支障出るからな」

「は、ははは…。まさか、ハイパーセンサー切ってアレだったなんて…」

「ってお前らハイセン切ってなかったのか。逆によくそれでああも戦えてたな」

 

 

 

 

 

まさかの発言にIS学園一同驚きを隠せない。ISの売りの1つであり誰もが当たり前のように使っている、というか使わない選択肢が無い機能を削るという事が想像出来ないだけに。

 

 

 

 

 

『ちょっと待って。新華君、ハイパーセンサー切って収容容量に割いてるって言った?』

「? そうだが、別に不思議じゃねぇだろうよ。ISだって機械だぜ? いくつか機能を省けばその分容量に空きが出来て別の事に使えんだろ」

『………その容量を増やそうと、世界中の技術者がどれだけ躍起になってるか知ってる?』

「そもそもISコア解析出来てない時点でお察しだろうに。ま、そこは考えの違いさね。ささ、時間も押してるし俺の事は後でいいだろ。次の競技を始めようぜ」

 

 

 

 

 

サヤカを連れてさっさとピットに歩いていってしまった新華。その後に戸惑う一夏が続き微妙な空気のまま競技は第3種目に移行する。

 

 

 

 

 

---第3種目、『軍事障害物走』

新華の衝撃発言の動揺もそこそこにアリーナ内部の仕様が変えられ、あっという間に自衛隊の訓練でよく見かけるような設備の数々が置かれた。

 

 

 

 

 

「(あれ、先週俺達が重い思いしながら運んだ意味って……ああ、セットする場所と物の登録だったか)」

『さ、さあーて、新華君の驚愕なカミングアウトはともかく!』

『……そういや新華、ハイパーセンサーで忘れてたけど以前は絶対防御も切ってたんだっけ』

『と・も・か・く! 話を蒸し返さない!』

『す、すいませんっ!』

「何してんだか…」

「…新華」

「ん、シャルロットか」

 

 

 

 

 

司会席に一夏が戻り刀奈とコントをやっている時、ピットで待機していた新華の元にシャルロットが来た。

 

 

 

 

 

「新華、こんな公共の場であんなこと言っていいの?」

「………………」

「新華?」

「大丈夫だ、問題無い」

「…もしかして勢いで言ってた?」

「やー、その場のテンションって怖いねー。……うん、ミスった」

「………ぷふっ」

「笑うなや。俺だってそういうことはある。あんま使ってなかった制限(ハンデ)有りでああまで立ち回れちまったんだから調子乗っちまったんだよ。あー、俺もまだまだだな」

「なんか、可愛いなぁ」

「………、…ファッ!?」

「あはは!」

「しゃ、シャルロットさん…?」

『むっ、新華君が私を差し置いて誰かとイチャついてる気がする』

『いいから競技始めましょうよ…。もう皆準備終わってますよ』

「あ、始まるみたいだよ新華」

「いや、あの………ああもう、1本取られたってか」

 

 

 

 

 

妙に元気な刀奈と一夏の疲れた声が聞こえ新華とシャルロットはアリーナ内部に視線を移す。

アリーナのコースには既に生徒達が揃っており、その顔には戸惑いの表情ではなくどこか諦めた感情があった。

 

 

 

 

 

「……あり? なんだあの微妙な雰囲気」

「え? 新華、分からない?」

「えっ、何が?」

「……多分、皆考えてることは同じだと思うよ」

「は?」

 

 

 

 

 

シャルロットの言葉に新華は耳を凝らして聞こえてくる言葉を聞く。

 

 

 

 

 

『新華だし、今更驚かん』

『まぁ新華だしねぇ』

『新華さんならそれくらいするでしょうね』

『寧ろそのくらい今までやってないと言われる方が不自然な気がしてきたぞ』

『『『『『『『確かに』』』』』』』

「……そういやそうだった。自覚出来るレベルで技術力があったんだった。最近忘れてたわ」

「切っ掛けはハロだけどね」

「…あれ、それだとソレスタルビーイングの情報が流出した場合ほぼ確実に認知されね? 俺のホラ吹きだと思われて信じられないって持論は?」

「とっくの昔に崩壊しているんじゃない? 具体的にはハロを連れ歩いている時点で」

「oh…」orz

 

 

 

 

 

割と深刻な問題に気付いた新華が滅入っているが、それとは関係なしで競技は進んでいく。

 

 

 

 

 

『気を取り直して! 第3種目『軍事障害物競争』を始めます!』

『今更ついでに聞きますけど、『軍事』ってどういう事ですか?』

「ほら、一夏と生徒会長も解説再開したから新華も一緒に観戦しよ?」

「ああ、もうどうにでもなれー」

 

 

 

 

 

色々と諦め吹っ切って、刀奈と一夏のアナウンスをBGMにアリーナ内の競技を見やる。疲れた顔なのは最早ご愛嬌である。

 

 

 

 

 




 ___
/×( ゚Д゚)
|×( ´∀` )=○
|××××| .||| ノ       あ、本音さんが『一夏派』じゃないので
|××⊃ヽニニフ          この競技飛ばして次回昼休みかららしいです。
| ××× ノ   / ̄ ̄ ̄ ̄/l     
と__)_)   || ̄ ̄ ̄ ̄| |










~まだ一兎が来る前の、在りし日の映画部~

勇樹「そういえば青木君。君はどんな映画を見るの? 参考に聞かせてくれない?」
新華「映画っスか? んーそうっスね、洋画なら『インデペンデンス・デイ』。これです」
睦美「ほう、あれを選ぶか」
新華「んで、日本映画なら『鉄道員(ぽっぽや)』でしょう」
尾褄「それはまた、マニアックなものを選ぶな」
新華「それでアニメ映画なら『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』っすね」
志甫「ガンダムー! ニューガンダムは伊達じゃない! って新華ってもしかしてガノタ?」
新華「ぶっちゃけるとそうだね」

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