IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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129話になりまさぁ。
今回もお待たせしましたが、次回はもっと時間が掛かりそうです。


一夏含めISの登場人物って総じて親に何かありますよね。でも1回使ったら後は跡形も出番が無い原作ェ……


真デート 番外編

 

 

 

 

日曜日、朝、快晴。

虚は茶色のセーターに黒のロングスカート、肩掛けバックを持ってそわそわしていた。場所は『レゾナンス』近くの公園。

時間は9:30。待ち合わせは10:00。思わず30分早く来てしまった虚は、自分の服装が変だと思われないか先程から確認を繰り返していた。

 

 

 

 

 

「(だ、大丈夫ですよね? 本音やお嬢様にお墨付き貰いましたし、変じゃ、ないですよね?)」

「あ、あれ? の、布仏さん!?」

「えっ、ご、五反田君!?」

 

 

 

 

 

30分早かった故に待つことになると思っていた虚は、同じく早く来てしまった弾を見て互いに驚いた。

弾の服装はいつものヘアバンドに黒の半袖、灰色の長ズボンに手ぶらといったラフスタイル。

 

 

 

 

 

「は、早いですね」

「の、布仏さんも。早いっすね。まだ待ち合わせまで30分もあるじゃないですか」

「五反田君こそ、こんな時間から」

「えっと、待たせないように早く行動しろって爺ちゃんに追い出されて…。で、来たら布仏さんの姿が見えたんで」

「そ、そうでしたか」

「は、はい」

「………」

「………」

 

 

 

 

 

2人してしどろもどろになりながら妙な硬直状態が続く。弾は今日のデートのことを家族に秘密にしていたのだが、弾の態度で何かがあるのがバレバレだったのと、新華が蘭に弾を通さず協力を取り付けておりそこからバレていた。

生徒会は言わずもがな。

 

 

 

 

 

「え、えっと…」

「う……」

 

 

 

 

 

会話が続かないどころか言葉が出ない。しかし弾の脳内には数日前に新華から送られてきたアドバイスがあった。

 

 

 

 

 

「え、えっと、布仏さん」

「は、はいっ」

「あ、あの、その私服、似合ってますよね。布仏さんに合ってるっていうか」

「そ、そうですか?」

 

 

 

 

 

Lesson1、女性の髪、私服、細かいアクセサリーは褒めるべし。ただしくどいセリフは逆効果なので簡潔に。

 

 

 

 

 

「で、でも地味じゃありませんか? 大してオシャレもしていませんし…」

「オシャレなんかしなくても大丈夫です! 俺なんて今日何を着るか迷って結局いつもの服で来ちゃいましたし」

 

 

 

 

 

Lesson2、何と言われようと相手を持ち上げるが、言葉に困ったら即座に自分と比較して相手のいい部分を攻めるべし。

 

 

 

 

 

「私もですよ。今まで男性の方と出かける事はありませんでしたし、こういうのは今日が初めてですから」

「お、俺もです! 俺は誰かと出かける時ってダチか妹に付き合う時くらいなんですよね。だから、こういうのは新鮮ですよ」

「なら、お互いに初めてですね。エスコートは期待しないでおきます」

「い、いや! ここは俺が! ここら辺の下調べはしてありますんで!」

 

 

 

 

 

Lesson3、素直に、正直にいこう。誠心誠意で接すれば尚良し。嘘が通じる相手じゃないぞ。

 

 

 

 

 

「…それも青木君の仕込みですか?」

「え!? えっと……はい」

「ふふっ、正直なのはいい事です。でも、青木君には少し自重してもらった方が良かったかもしれませんね…」

「…そうかもしれないですね。俺、新華に頼りすぎてる…?」

「余計なお世話、という訳ではないんですけどね。仲良くなった人には無償でお節介を焼いているというか…」

「確かに、どうも同い年に思えない振る舞いしてますよね、アイツ。それに……」

「それに?」

「い、いや、それでもアイツは俺達と同い年なんだって感じる事も結構あるんですよ。例えばほら、ハロみたいな機械とかの話をする時なんか…」

「ああ、確かにそうですね」

 

 

 

 

 

弾が言葉を濁したのには理由があった。少しゾッとしてしまう。

 

 

 

 

 

「(新華、アイツどこまで先読みが出来るんだ?)」

 

 

 

 

 

Lesson4、このアドバイスをダシにしても良し。新華()をダシにしても良し。何でもいいから共通の話題で会話をすること。緊張してても最低4回互いに口を開く事が出来れば緊張は解れる。

 

Lesson5、後は『しつこい』と思われないように世間話でも。がっつき過ぎないよう時々でいいから冷静に。会話が途切れても焦らない事。時には黙るのも正解。

 

※補足:心配はしてないが、あくまでアドバイスだから頼りきらないように。余計なお世話かもしれんが、参考程度にオススメのスポットを記載しておく。所持金はあるだけ持っていけ。

 

……これらの記載がアドバイスの中にあったからだ。本当に緊張がいい感じに解れ冷静になれてるから役立っているものの、末恐ろしかった。

だが、これはまるで

 

 

 

 

 

「(オカンかアイツは。いや参考になってるけどさ)」

「じゃあ、ちょっと早いですけど歩きながら話しましょうか」

「そうですね。あ、エスコートは任せてください! 今日は気合入れて色々と調べてきたんで!」

「ふふ、よろしくお願いしますね」

 

 

 

 

 

2人は30分早めにデート開始。2人で並び他愛ない話をして『レゾナンス』に向かった。

そしてそんな2人を後ろから尾行する集団が1つ。

 

 

 

 

 

「虚ちゃん…頑張りなさい。応援してるわ」

「虚さん、頑張って…!」

「お姉ちゃん頑張れ~」

「あの、私ここに居ていいんでしょうか? いや、新華さんの頼みですから居るべきなんでしょうけど…」

『トリィ?』

 

 

 

 

 

刀奈、簪、本音、蘭、トリィの生徒会構成員。蘭はIS学園の所属ではないが中学で生徒会長を務めているし、トリィに至っては一夏の代わりに『目』として同行している。

 

 

 

 

 

「大丈夫よ。あなたがここに居るのは『必要だから』。私達と違って新華君に頼られてるのよ?」

「きょ、恐縮です」

『トリィ!』

「ほら、トリィを通して織斑君達も見ている筈だし頑張りましょ? トリィは上からの観測、よろしくね」

『トリィ!』

 

 

 

 

 

蘭の肩に留っていたトリィは機械の羽を動かし飛び去った。それを確認して刀奈達も弾達の死角に入り続け観察を開始するのだった。

 

 

 

 

 

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---side 一夏達

 

 

 

 

 

IS学園、1025室。

一夏を含めた1年専用機持ちが勢揃いしていた。しかしその視線は全て白式と繋がった部屋のテレビに注がれていた。

画面にはトリィから送られてくる景色と音声が流れている。

 

 

 

 

 

「弾、頑張れよ!」

「ようやく弾も好きな人が出来たのね…。蘭はどんな心境なのかしら」

「あの、一夏さんに鈴さん? その前に言う事があるのではありませんの?」

「この技術があればプライベートなどあったものではないな…。いや、偵察用ドローンとしても使えるか」

「もしかすると新華は、ラウラの言うドローンとして開発したのやもしれんな。だからと言ってこの状況がどうにかなる訳ではないが」

「あはは…。結構解像度も高いし集音声もあるから気付かれないでこうした行動が出来るんだよね。もしかしたらどこかの国が作ってるかもしれないけどね」

 

 

 

 

 

一夏と鈴は友人の恋の行方が気になってしょうがないが、他のメンツはあまり弾と親しい訳ではないのでトリィの性能に気が行っていた。

では、何故ここに居るのか。他人の恋愛ほど興味をそそられるものは無いだろう?

 

 

 

 

 

「新華の作る物に一々ツッコミ入れるのはやめてるからな。それに弾と虚さんの方が正直気になるし」

「それに蘭の役割も気になるしね。新華の事だから何か企んでいるんでしょうけど…」

「肝心の新華はソレスタルビーイングに帰ってて何も聞けないしな。そういえばシャル、新華に付いていかなくて良かったのか?」

「そうしたいんだけど、その新華に止められてね。1度1人になりたいって」

「…そうなのか? 最近の新華はなんだかんだ言いつつ楽しそうだったから、てっきりまた一緒にいるのかと思ったが…」

「新華だって1人で居たい時くらいあるんじゃないか? 何か言ってなかったのか?」

「……そういえば開発スタッフの人とOHANASHIするって言ってたね。もしかしたら、それかも」

 

 

 

 

 

~~その頃の新華~~

 

 

 

 

 

『イヤッフゥゥゥ! 最っ高だぜ、コイツはァ!』

「おいあそこだけACやってるんですけど。ガチタンにブースターとかおかしいでしょうが! 『雷電』作る気じゃないだろうな!? どうせ作るなら白栗作れよ! アサルト・アーマー作ってるんだろ!? 『デスペラード』用『ボルディングドライバー』とか設計してたじゃんか!」

『負け…るかぁ!』

「いやぁ真もスウェンも腕をメキメキ上げてるからデータが沢山採れて嬉しい……が、こうして楽しむのも一種の気の紛らわしにしかならないんだよなぁ。シャルロットに来られてたら集中出来なかった。というか、押し倒しそうで怖い」

『元戦車教導隊舐めんじゃねぇ! 喰らいなァ!』カァオ、カァオ

「……おいいいいいいい!? 『KARASAWA』かよおおおおおおお!? エネルギーどっから持ってきてるの!?」

『あ、やべっ、エネルギー切れ…』

『そこだぁ!』

『うおっ!?』

「…ああ、うん。エネルギー管理は大事さね。OBは使える場所無いから救いだけど、それに代わるのを上で作ってそうで怖いわぁ。止める気は無いけどね! バンシィとフェネクス作ってサイコフレームを月からどうやって持って来るか考えなくては…。あ”ー、メテオホッパーってのも作ってみたいのに時間がぁー!」

「………兄貴、楽しそうだなー。朝に1人でパンツ洗ってたとは思えないなー」

「ごめん実、それは言わないで。言葉が刺さる」

「……新華さんェ…」

「スウェンそんな目で見んな心抉りにくんな」

 

 

 

 

 

~~~~

 

 

 

 

 

「……なんだろう、予想以上に新華がはっちゃけてるような気がするな」

「それと、僕が行っても良かった気がする。というか行ってた方がよかった気がする」

「そして私はそれを全力で止めるべきだと思ったよ。婦女子としての嗜みはどこへ行ったんだデュノア」

「全部新華が悪い。それよりも弾のデートを観察するわよ。そして、後で弄り倒すわよ」

「おう」

 

 

 

 

 

一夏と鈴が友人()()遊ぶ事が確定しているのか画面に視線を戻す。ここばかりは箒よりも鈴の方が一夏に近かった。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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いい感じの空気で弾と虚は『レゾナンス』に入りウィンドショッピングをしていく。その光景は甘酸っぱく、見ている方がムズムズしてきていた。

 

 

 

 

 

「それで------」

「まぁ、ふふっ。じゃあ------」

「…………普通ね」

「うん……普通」

「お姉ちゃんらしいと思うけど~?」

「いや、初めてなんですから普通なのは当たり前じゃないですか? というかお兄にそんな期待しない方が…」

 

 

 

 

 

微笑ましく、楽しそうに談笑しながら普通にデートしている2人をこの姉妹はつまらないといった表情で見ていた。この姉妹ホント仲いいな!

 

 

 

 

 

「いいえ、ここはもっと攻めるべきよ! 虚ちゃんが!」

「お、お兄に、じゃない、だと…!?」

「虚さんも嫌じゃなさそう……なら、手を繋ぐとか、もっと近くに寄ったりとか…」

「それこそお姉ちゃんには酷だよ~。昨日の夜から楽しみにしてたけど初めてなんだから~。お互いに慎重になっちゃうだろうしぃ~」

「あの、私が言うのもなんですけど、皆さん身内に容赦なくないですか!? もっと暖かく見守りましょうよ!」

「ふっ、甘いわね。本当に好きならどんどんアピールしないと競争には勝てないのよ。さてここで唐突に問題です」

「本当に唐突ですね!?」

 

 

 

 

 

刀奈は口元で『問題』と書かれた扇子を開き蘭を大いに動揺させる。

 

 

 

 

 

「五反田君と虚ちゃんがくっつく事による利点とは何でしょう。制限時間は30秒」

「30!? え、えっと、お兄と布仏さんに春が来る」

「それはもう来てるでしょう。正解は『五反田君にとっても、私達にとっても懸念材料が減る』事よ」

 

 

 

 

 

扇子を閉じ蘭をビシッと指す。

 

 

 

 

 

「五反田君、つまりあなたのお兄さんは見た目の素材は問題無いと判断出来るわ。でも新華君の話しから今まで全くモテなかった。ここまではいい?」

「あ、はい」

「でも彼には本当なら社会的に結構危ない位置に居るのよ。彼というか、あなた達五反田家は」

「え、えぇっ!?」

「考えてみてもみなさい。あなた達家族は『ブリュンヒルデ』たる織斑 千冬の弟の織斑 一夏と『蒼天使』であり『ソレスタルビーイング院長』である青木 新華と親しいのよ? 『天災』篠ノ之 束の妹である篠ノ之 箒に次ぐけれど重要性は高いわ。しかも機密性が高い『ソレスタルビーイング』に入るどころか招待された希少な人物だしね」

「い、言われてみれば、確かに」

「でもその篠ノ之ちゃんは専用機を手に入れて織斑君、新華君に並ぶ重要性を持ってしまった。その代わり(IS)を手に入れた事で自衛出来るけど、そうなれば次に狙われるのは?」

「あっ…わ、私達が狙われる、って事ですか…?」

「そういうこと」

 

 

 

 

 

扇子とパタンと閉じ、もう一度開くとそこには『ご名答』と書かれていた。

 

 

 

 

 

「とはいえ早々事を起こすような馬鹿は居ないけどね。それよりも人間関係を狙って搦手を使われる事の方が厄介なのよ」

「搦手、ですか」

「そう。分かりやすく言えばハニートラップかしらね。伝説クラスと特に仲の良い人物に取り入る事で"内側"に潜り込み利用出来るだけの立場を得る、とかね」

「……今までの何も知らない私だったら『お兄にハニートラップなんてありえない』と言っていたんでしょうけど、そうも言ってられないんですね」

「そうよ。それに家族であるあなたなら分かると思うけど、さっきも言った通り五反田君って素材はいいのよ。織斑君と比べずみるとルックスもそこそこ良いし、見ている感じ性格も悪くない」

「いや、でもお兄って馬鹿ですよ? それにスケベですし」

「その位は許容範囲よ。少なくとも虚ちゃんの御眼鏡に適った訳だしね」

 

 

 

 

 

そう言って4人共弾と虚に視線を戻す。2人とも楽しそうで幸せそうだった。特に弾。

 

 

 

 

 

「個人的な趣味嗜好は2人が時間を掛けて確認していけばそれでいいのよ。それに男の子は多少はスケベでいてくれた方がいいのよ」

「そ、そういうものですかね?」

「あなたにもそういう経験は……もしかして、無い? 織斑君って重度の鈍感だし枯れたところあるし」

「いや、えっとその……そ、それを言ったら新華さんだってそうじゃありませんか!?」

「新華君って、結構エッチよ? 前なんか偽装に偽装を重ねていたけど私と相部屋なのにも関わらずエッチな本を持ち込んでいたし」

「う、嘘っ!? あの新華さんが!?」

「お姉ちゃん、それは聞いてない…」

「あら、気になるなら後で勉強会を開きましょう♪ 新華君の嗜好が丸分かりよ♪」

「………うん」

「うわぁ…」

 

 

 

 

 

刀奈と簪の会話に軽く引き新華の冥福を祈るが、弾と虚が店に入ったのを見てその考えもどこか彼方に捨て去った。

 

 

 

 

 

「みんな~。お姉ちゃん達がお店に入ったよ~」

「ん、分かったわ。私達が入ったら確実にバレるでしょうし外で待機してましょ。トリィも呼び戻さないと」

 

 

 

 

 

一夏から預かったトリィの充電器を使い呼び戻す。それからは先程の話を再開させて時間を潰す。

 

 

 

 

 

「で、さっきの話に戻るけど、もし五反田君が虚ちゃんと付き合うのなら私達でハニトラはガード出来るの。織斑君は織斑先生が、新華君は自力でガードしている訳だけどね」

「は、はぁ」

「私達の『家』から見ても彼は優良物件だし、虚ちゃんの家族は寧ろ歓迎しているくらいだしね」

「そうなんですか!? お兄が!?」

「そうなのよ。ね、本音ちゃん」

「ん~? そうだね~。お姉ちゃんが良いなら私もいいかな~。お姉ちゃん、幸せそうだしぃ~」

「それにさっき言った五反田君の評価に加えて、虚ちゃんが今まで恋愛に興味を示してくれなかったもの。更に今まで共学に通っていたのに男気の1つも無し。そこに女の園のIS学園に入学よ? 心配するでしょう」

「まぁ、確かに…」

「私達としても長い付き合いの虚ちゃんにお相手が出来るというのは嬉しい事なのよ? だからこそこうして邪魔せず応援しているわけだしね」

 

 

 

 

 

自身の兄と義姉になるかもしれない女性に対する評価を聞くのは変な気分だったが、結局蘭は最後まで刀奈達と話をし続けてしまうのだった。

さて、そんな外野などつゆ知らずにデートの真っ最中である弾と虚は青春真っ只中だった。

 

 

 

 

 

「んー…やっぱりこういった派手なものは苦手ですね」

「布仏さんは落ち着いた感じの色が似合うと思うんで、ここのよりあっちの棚にある奴の方がいいと思うっスよ」

「じゃあ、見に行きましょうか」

 

 

 

 

 

服を手に取って感想を求めたり、素直に感想言ったり見とれたりともう一夏や新華以上に健全で真っ当な青春をしている2人。もうこの2人だけでタイトル1つ飾れるんじゃないかな?

 

 

 

 

 

「この色なんてどうっスか?」

「あら、いいですね。………どうですか?」

「おお……! 似合いますよ! でも高いっすね…」

「まぁ服は基本お金が掛かるものですからね。それにこういうファッション系のお店のメインですし。あと値段が高いとかなるべく言わない方がいいですよ?」

「す、すみません…。気を付けます」

 

 

 

 

 

既に幾つかの店を回り、なんやかんやで12:00を回る。丁度いいので昼食にしようかと2人が思ったところで新華が仕込んだ作戦が発動する。

 

 

 

 

 

「じゃ、じゃあ、行ってきます」

「頑張りなさい。何か起きた時はフォローしてあげるから」

「簡単な事に思えるけど、頑張るしかない…頑張って」

「頑張ってぇ~」

「(楯無さんはともかく、本音さんは本当に私より年上なのだろうか)」

 

 

 

 

 

本音のあどけなさに大いに疑問を持った蘭だったが、その疑問を飲み込み作戦を開始する。その作戦とは

 

 

 

 

 

「あっ、お、お兄…」

「えっ、ら、蘭!? おまっ何でここに!?」

「(新華さんに言いなさいよ!)いや、普通に買い物に来ただけなんだけど、お兄は……えっと、布仏さんでしたよね」

「はい。お久しぶりですね」

 

 

 

 

 

………なんだこのヘアバンド率(;゚Д゚)

 

 

 

 

 

「えっ、お兄もしかして……あっ」

「あー……その、えっとだな」

「えっと、布仏さん。お昼ってもう取りました?」

「え? いえ、まだこれからですけど」

「なら家に来ませんか? 少し離れてますけど、ウチ食堂やってるんで安くしますよ?」

 

 

 

 

 

作戦とは………五反田食堂に虚を招く事。新華が蘭に頼んだ事は単純。タイミング良く昼食時に2人を誘うだけ。しかしこの作戦は蘭が弾に気取られず行動できるかに掛かっていた。

本来ここまでする必要は無いのだが、その方が面白……もとい、虚に五反田家を直接知ってもらう手っ取り早い機会を設ける為であった。

 

 

 

 

 

「いいのですか? お誘いは有難いのですけど、迷惑ではありませんか?」

「いえいえ全然! お兄がその分働くんで」

「おいぃ!?」

「何よ、そのくらいやろうって思わないの?」

「あ、あのな……」

「あの、五反田君が嫌なら無理しなくてもいいんですよ? 『レゾナンス』の中で適当にお食事出来ればそれでいいですし」

 

 

 

 

 

虚がそう言って弾を気遣うが、内心で蘭は慌てた。

 

 

 

 

 

「(しまった、いつもの癖でお兄に無茶ぶりしてた! こ、このままだと…)」

「……いや、大丈夫っスよ布仏さん。是非寄って行ってください」

「え? でも、いいんですか?」

「いいんスよ。働くくらいいつもやってる事ですし、せいぜい小遣いが減るくらいで済む話しだろうし。だろ? 蘭」

「え? あ、うん(あれ、お兄?)」

「なんで、問題無いです。それにウチの爺ちゃんの飯はそこらの店よりも美味いんで、1度でいいんで食べてみてください」

「…分かりました。なら、お言葉に甘えさせていただきます」

「(ホッ…)」

 

 

 

 

 

虚が五反田食堂に来る決定を下し内心安堵する蘭。物陰では生徒会3人組がサムズアップしていた。

上からトリィを通して専用機持ち達も見ており、新華の大胆な企みに驚愕していた。

昼食ということで刀奈、簪、本音の3人組も移動するが、流石にここは空気を読んで近くのマックで駄弁りながら済ませる事にした。

 

 

 

 

 

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---五反田食堂

 

弾と虚と蘭の3人は『レゾナンス』から移動しバスに乗って、時間を掛けて到着した。一夏が休日、気軽に帰宅出来る距離に自宅がある事から分かるが五反田食堂は意外とIS学園に近い。

暖簾をくぐり店内に入る。日曜日の昼時故にお客さんがそれなりに入っていたが、それでも3人が座れるだけの座席は空いていた。

 

 

 

 

 

「いらっしゃ……あら、おかえりなさい。あら? そちらの方は?」

「初めまして。布仏 虚と申します」

「あらあらご丁寧に。弾の母の五反田 蓮です」

 

 

 

 

 

虚と蘭が自己紹介して互いにお辞儀をする。2人の気性は似ているのか妙に仲良くなれそうな雰囲気になっていた。

………やっぱりなんだよこのヘアバンド率((;゚Д゚))

 

 

 

 

 

「母さん、あたし一旦部屋に戻るね」

「あら、ならその後お店を手伝ってちょうだい。布仏さんも空いてる席でゆっくりしてくださいね」

「はい、ありがとうございます」

「あ、あの、お袋? 俺は?」

「(じゃあ母さん、後はよろしく)」

「(ええ、任されて。弾のお嫁さん候補、ここで逃す道理は無いわ。お父さんにも教えてあげなきゃね)」

 

 

 

 

 

この会話から分かるように弾と虚の外堀は殆ど埋まっていた。というか埋め立ての促進をしていたのは新華と刀奈である。

新華とヒロイン組の堀? 新華本人の内堀も埋まって秒読みですが何か?

 

 

 

 

 

「(とは言っても、やりすぎないよう気をつけるわ。『親が原因で離婚した夫婦』の例ってあるものね)」

「(流石にお爺ちゃんもそこまでしないでしょ。じゃ、また後で)」

 

 

 

 

 

そう言って蘭は店の奥の扉から家に入り自室へと戻った。

弾と虚は立ったままで居る訳にもいかないので空いてる席に座った。

 

 

 

 

 

「繁盛しているんですね」

「俺が言うのもなんですけど、お客さんが入る時は入りますし従業員も俺ら家族で回してますから。地元の人達も来てくれますし、爺ちゃんの飯も美味いっスから」

「みたいですね。お客様の表情を見ていれば分かります。オススメ商品はありますか?」

「ああ、えっとですね、日替わり定食やってるんですよ。今日は---」

 

 

 

 

 

注文を頼み蓮が注文を受け厳が調理する。蘭が部屋から戻ってきて店のエプロンに腕を通して蓮を手伝ったり、厳が虚と一緒に飯食ってるだけの弾にお玉直撃させたり、それを見た虚が弾を心配したりと五反田家で賑やかなお昼を過ごした。

 

 

 

 

 

「ふう、ご馳走でした。期待していた以上に美味しかったです」

「はっは! そう言ってもらえると料理人として嬉しい限りだな! 弾よぉ、この嬢ちゃんとどこで会ったんだ? オメェがどっかで引っ掛けたって訳じゃあるめぇ」

「引っかっ!? 爺ちゃん、変な事言うんじゃねぇよ! ほら、前に俺と蘭が新華の所行っただろ! あの時に会ったんだよ」

「ああ、あん時か。んじゃIS学園の生徒ってか? 織斑のガキの取り巻きじゃねぇだろうな…」

「あのな爺ちゃん。一夏が好きな女子ならIS学園で一夏と乳繰りあってるんじゃね? それと新華の方も同じだろうし」

「……ま、確かにそうだろうな。んじゃあれか? そこの嬢ちゃんは織斑のガキにも青木のガキにも靡かなかったってのか?」

 

 

 

 

 

厳は厨房から顔を出してお玉片手に会話に入っていた。蓮が食器を片付け蘭が密かにトリィを屋内に入れ会話を聞いていた。

 

 

 

 

 

「私のまわりは概ねその通りなのですが、あのお2方とはどうもそういった感情にならなくて…。織斑君はあの調子ですし、青木君とは長い付き合いになりますけど友人以上の感情には…」

「…あれ? 新華と長い付き合いって…」

「ただ単に仕事をする事があった、というくらいですね。それにお嬢様…私の幼馴染と言える方とその妹様が夢中ですし、そもそも男女として意識するにはお互い仕事に真面目でしたからね」

「仕事って、いつからなんですか? 新華が、その、虚さん達と知り合ったのは」

「そうですね……。数年前、まだ青木君が中学生の時からでしょうか。個人的に会う事は全くありませんでしたけど」

「そ、そんな前からなんですか!?」

「ええ。最もお嬢様と妹様、そして私の妹の本音とはよく一緒にいたようですけどね。妹様のIS開発に協力していたようですし」

「そ、そうなんですか」

「はー、青木のガキはそんな前から俺らの知らない世界にいたのか。そら、俺の前で演説出来る訳だ」

 

 

 

 

 

お客さんも捌けて厳も暇になりだす時間。これでも弾にとってリラックス出来る環境であり、家の素の空気を虚は感じる事が出来た。

そして、その空気を感じさせ家族に認知させる事が新華の狙いだった。

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

「計画通り」ニヤッ

「兄貴、キモイ笑いしてねぇで真とスウェンの機体完成させてやれよ。あと俺のゼロのアップデートも」

「はいはい。あ、ソンネンさーん」

「あ?」

「KARASAWAは封印の方向で確定ですけど、ヒルドルブって量産したらどれくらいの戦車乗りを再雇用出来ますかね? 軍は。MSで十分かもしれませんけど」

 

 

 

 

 

~~~

 

 

 

 

 

厳に根掘り葉掘り出会いやらお付き合いやら聞かれ精神が疲弊した弾と虚は、五反田食堂を出て近くの公園に入りベンチに腰掛けた。

刀奈達は蘭、トリィと合流し公園の外、ベンチの裏で聞き耳を立てていた。トリィだけは弾と虚の後ろの木の枝に止まり2人を見ていた。

 

 

 

 

 

「す、すいません布仏さん。爺ちゃんがベラベラと…」

「い、いえ、大丈夫です。しかし、お爺さんはお元気でしたね」

「あの店の店主で料理人ですからね。それに家のヒラエルキートップですし、昔から腕っ節も強いっスし」

「気迫がありましたね。立派な大黒柱だと分かります」

「家は爺ちゃんに頼りきりですんで、いっつも頭が上がらないんですよ。蘭には甘いんですけどね」

 

 

 

 

 

2人で苦笑し合う。ベンチで座る間隔はまだ半人分空いていた。後ろで見ている面子はじれったく感じている。

 

 

 

 

 

「…ああ、飯食ってからもう2時間も経ってたんスね。IS学園の門限とかって大丈夫ですか?」

「…あ、本当ですね。ええ、まだ大丈夫です。五反田君はこの後予定はあるんですか?」

「今日の為に予定は何も入れてませんよ。……あった方が良かったっスか?」

「い、いえいえ! そんな事はありませんよ! す、すみません…」

 

 

 

 

 

ちょっと微妙な空気になる。もう本当にもどかしい。

 

 

 

 

 

「え、えっと……そういや最近一夏と新華を全く見ないんですけど、IS学園じゃどんな感じですか? 前見た時はかなりヤバめでしたけど」

「織斑君なら専用機持ちの皆さんとトレーニングに励んでますね。青木君は……ある事件を切っ掛けに吹っ切れた感じになりましたね」

「吹っ切れた? 一夏はともかく、事件ってなにかあったんですか?」

「ええ、まあ。あ、禁則事項なので詳細を話す事は出来ません。ですがお嬢様と妹様、デュノアさんと距離が一気に近くなりましたね。もうこの3人の誰に転んでもおかしくない状態です」

「………なーんか、俺の知らない所でダチが自分の問題にケリつけて肩透かし食らった気分ですね。あのヤロー少しでも相談とかあってもいいだろうに…」

「そうですね。でも、お嬢様達も居ますし、いつか青木君自身の事を話してくれますよ」

「ダチとしては、話してもらった方が楽なんですけどね。知らなきゃ何も出来ませんし」

 

 

 

 

 

かなり精神が成長している弾。考え無しで『IS学園って女の花園に行ける2人が羨ましい』と言っていた頃とは違い、自分は何を知り何が出来るのかを考えるようになっていた。

 

 

 

 

 

「あまりに酷いなら1発殴ってやろうとも思ってたんですけど…」

「ふふっ、男の子ならそういうのもアリかもしれませんね。青木君はいいお友達を持ったようで」

「い、いや、俺はただダチだし男同士なんだからもっと本音ぶちまけてもいいじゃんかと…」

「そう言える人はそうそう居ませんよ。本当に青木君は、いい人に恵まれたみたいですね」

 

 

 

 

 

なんとなくいい空気が流れ、2人は互いの目を見てから同時に立ち上がる。

 

 

 

 

 

「では、行きましょうか」

「ええ。IS学園の方に戻ります? それともこの街案内しましょうか? 地元ですし俺個人がオススメ出来るお店とかありますし」

「お願いします」

 

 

 

 

 

公園から出て再び歩き出した2人。もう夫婦でいいんじゃないかな?

弾と虚は時間一杯までデートを楽しみ、刀奈と簪の姉妹は押せ押せコールをしまくり、本音は姉の幸せそうな顔を見てほっこりしながら応援し、蘭は兄の初デートにハラハラし、一夏達は楽しんで見ていた。

 

 

 

 

 

~~~その頃の新華~~~

 

 

 

 

 

「……ゼロのアップデートは完了した。…いいのか、実」

「ああ。頼む、兄貴。ゼロの性能を発揮出来ずに後悔したくない」

「……わかった。こちらでシステムの強制停止を操作するから、お前は乗りこなす事だけを考えてろ」

「分かった。…ありがとう、兄貴」

「………、……ゼロシステム、新陳代謝から戦闘にモード変更。……起動しろ」

 

 

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「っ、うおおおおおお!」

「……来い、実。システムを乗りこなしてみせろ」

『ご主人様、来ます!』

「ああああああああああああ!」

 

 

 

 

 

~~~~~~

 

 

 

 

 

IS学園お膝元に戻ってきた弾と虚。もう寮の門限が近付いており、虚が帰るためにデートはお開きとなる。弾はここまで来る必要は無かったのだが、見栄を張って虚を送る事にしていた。

 

 

 

 

 

「今日はありがとうございました。楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね…」

「ホントっすね。俺も名残惜しいです」

 

 

 

 

 

モノレールの駅に向かい並んで歩きながら会話をする2人。終始楽しそうである。

 

 

 

 

 

「しかし、今日はお金を使わせてしまいましたね。なにかお返しがしたいのですけど…」

「いっ!? いやいやいや、お返しも何もありませんって! 寧ろ今日俺に付き合ってくれた事の方が有難いんですから!」

「そ、そうですか? ならいいのですけど…」

 

 

 

 

 

駅に着いて今度は向かい合う。

 

 

 

 

 

「ここまでで大丈夫です。ありがとうございました」

「いえいえ、ほんの見送りのつもりだったのに、なんだかんだここまで付いて来ちゃった俺も俺ですし…」

「ふふ、じゃあ、お互い様という事で」

「はは、わかりました」

 

 

 

 

 

笑い合い、またしても微妙な雰囲気になる。本当にお互い別れが惜しくモジモジしていた。ほんと結婚すればいいと思うよお前ら。

 

 

 

 

 

「えっと、もう門限も近いですし今日はこの辺で」

「は、はい。じゃあ、さようなら」

「ええ、さようなら」

 

 

 

 

 

……なんというか、意外とあっさり別れ弾はバスに、虚はモノレールに乗る。その帰りのモノレールの中で虚は

 

 

 

 

 

「……最後、あっさりしてましたね…。いえ、それは私も同じでしたが」

 

 

 

 

 

意外と気にしていた。まぁ初デートという感慨深いものの終わりがああもあっさりしていては、肩透かしであろう。加え女子というのは異性との間に夢を見るもの。もう少しロマンチック、とは言わずとも何か特別な事があってもいいのでは…と考えていた。

不意に自身の頭に付けたヘアバンドに触れる。デート開始時はいつも付けている白色のものだったが、今付けているのは灰色のものだった。

弾の案内で街を巡っていた時に弾からプレゼントされたものである。

 

 

 

 

 

「(楽しかったですね…。本当に、ここまで充実した時間を感じたのはいつ以来でしょうか)」

 

 

 

 

 

思い出して笑みを浮かべる。現在虚が乗っている車両には誰も乗り合わせておらず、見られる事は無かった。

 

 

 

 

 

「(名残惜しいと感じたのも、懐かしいかもしれませんね)」

 

 

 

 

 

虚は刀奈の従者となる事を幼少の頃から決められており、虚自身、家柄故に特に不満を持たずに勉学や仕事に従じてきた。本音と簪が生まれた後もそれは変わらず、身内以外の人間関係は仕事上の付き合いを除いてあまり無かった。

だが弾だけは違う。これまで虚が接してきたどの男性よりも能力は低い筈だったが、それでもどこか惹かれるものを感じていた。だからか、このヘアバンドをプレゼントされた時は幸せな気持ちになった。

 

 

 

 

 

「(…五反田君はどう感じていたのでしょうね……あら?)」

 

 

 

 

 

内心で思考を巡らせていると、携帯が振動しメールを受信した。メールは件の弾から。すぐに開くと、内容はこう書かれていた。

 

 

 

 

 

『今日は本当に楽しかったです! また、時間があればどこかに行きませんか?』

「……ふふ」

 

 

 

 

 

すぐに虚は返信をする。その内容は

 

 

 

 

 

『ええ。喜んで』

 

 

 

 

 

その後、刀奈、簪、本音、話を聞いた薫子から弄られ珍しく取り乱す虚の姿があったとか。

ついでにトリィで監視していた事がバレ、一夏達が2時間に渡る説教を受けた。そして虚からの抗議により新華がトリィの改修をする事になるのは余談。

 

 

 

 

 




イチャラブを書こうとしていたらシリアスをぶち込んでいた…。何を言ってるのか(ry

原作の刀奈は一夏と結ばれた場合、家をめちゃめちゃにされると気付かないんでしょうか。暗部だから汚れ仕事も当然あるでしょうし、それを一夏が黙って見ているとは思えません。無駄に口出しして最悪にしてしまうのが目に浮かびます。
新華なら問題無いですけど? 弾は理解を示してくれるでしょうし。原作とは違ってここに一夏もある程度は現実見てくれますけど、原作一夏は…。

前書きから暴走しててすいませんでした。でも言わなきゃならないと思って…

次回はようやく『大運動会』になります。1話で片付くといいなぁ

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