IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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鈴告白の時。そして中国に帰っちゃいます。


中学2年---告白、別れ

 

 

 

 

---中学校教室

 

新華はいつもの面子と過ごしていた。誘拐事件の後(りん)(だん)が心配してくれていたが、2人とも無事で安心していた。

それからモンド・グロッソの事で話題になった千冬は現在残り少しのドイツ軍IS教官を務めており、一夏を新華の家に泊めていた。

新華が『蒼天使』こと『Evolveクアンタ』の操縦者と言う事が裏世界に広がったが、新華がヴェーダを使って全世界を自重せずに脅した為家族に被害は心配無くなった。それでも両親や友人の誘拐を実行しようとした勢力は軒並み新華と、束のサポートによりえげつない位に殲滅された。

 

 

 

「おし、そろそろ帰るか」

「新華ー、今日遊び行ってもいいか? 今日暇でな」

「いいぞ。ってか暇なら『楽器を弾けるようになりたい同好会』行こうぜ。俺もそろそろ何か弾きたいし」

「…あー、忘れてた。久々に行くか。一夏と鈴はどうするんで?」

「俺も行く。新華の家に最近居るからか新華と予定ダブリ易いんだよな何故か。ま、俺がバイト行くときに新華はどっか行ってるか何か作っているかのどっちかだけどな。最近行方不明になる回数が減ったっておじさん達安心してたぞ?」

「アンタまだどっかフラフラしてんの? その放浪癖いい加減直しなさいよ」

「ま、まあごもっともで。それで鈴は行くのか? 最近浮かない顔しているみたいだが大丈夫か?」

「そうそう、最近の鈴表情が暗いぞ? なにかあるんなら俺たちに相談してくれよ。可愛い顔が台無しじゃないか」

「にゃっ!? か、可愛いって一夏…」

「………あー、また出ましたよ奥さん。この朴念神はどうしたらいいのでしょうかねぇ?」

「あらやだわ奥さん、この唐変木はどうしようもありませんわよ。今まで見てきて分かっているでしょう?」

「? どうしたんだ? 変な話し方して。あと朴念仁と唐変木って誰だ?」

「「お前だーーーーーーーー!!!」」

「い、一夏が可愛い、可愛いって…」

 

 

 

弾はこの中学で会話に出てきた同好会を作っており、吹奏楽部が活動していない日で、暇な日に音楽室を使わせてもらっている。会員は会長の弾、副会長の一夏、(ひら)の新華と鈴だけであるが。弾がベース担当、一夏がギター担当、鈴がボーカルとギター、新華は客観的な評価と指摘と時々ピアノを弾いている。

最近鈴の表情が暗くなっている事に気付いていた一夏と新華は、鈴を心配したが、一夏の余計な一言でいつものテンションになっていた。ちなみに新華が行方不明になる時間が減ったのは、あらかた非合法な研究所を破壊し終えたからで、束とちょくちょく連絡を取りつつ、平和な日常を心置きなく満喫することが出来ていた。

 

 

 

「コホン、で? 来るか? 2人の言うとおり俺たちなら相談にのれるし、たまには同好会行って暗いことなんか忘れようぜ!」

「弾の言うとおりだな。まぁ、無理だったらしょうがないが」

「…うん、有難う3人共。よし! じゃあ行くわよ!」

「ああ! 弾、鍵とってきてくれ、先いくぞ!」

「おう。さて、職員室行って来るか」

「俺も先行ってるな。邪魔はしないが」

「りょーかい。んじゃ、また後でな」

「おう」pi!

「ハロッ!」

 

 

 

一夏と鈴は先に音楽室へ、それに続いてハロを起動させて音楽室に歩いて向かう新華、職員室に鍵を取りに行く弾と別れた。

 

 

 

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---音楽室

 

 

 

同好会を終えた4人+1は、それぞれの楽器を片していた。

 

 

 

「ふー、久しぶりに練習したなー! 新華、また楽譜貰っていいのか?」

「おKおK。弾はドラムだから聴きながら練習すれば叩ける様になるからな。一夏と鈴は練習しにくいが、今日の感覚を覚えとけ」

「分かった。帰ってからハロ借りて聴いてていいか?」

「いいぞ。俺はまた作業場で制作してると思うけど、後はハロ使わないからな」

「………」

「? 鈴? どうしたんだよ?」

「あっ、な、にゃんでもないわよ!」

「そ、そうか?」

「鈴、なに顔赤くしてんだ? いくら一夏の顔が近いからって…」

「しかも噛んでるし…」

「弾! 新華! アンタらは黙ってなさい!」

「「おおぅ」」

 

 

 

黙っていた鈴の顔を覗く一夏だったが、鈴が気付いて顔を真っ赤にする。それを指摘して鈴に黙らせられる2人。楽器を片付け終えこれから帰ろうとしていた時

 

 

 

「…よしっ決めた! 弾、新華! ちょっと手伝いなさい!」

「ハロッ?」

「なんでそこでハロが返事すんだよ。一夏、ちょっと持ってて」ヒョイッ

「おおっ…と。なんで2人だけ?」

「さぁな? で? 鈴、何を手伝えって? 手伝えればの話になるが」

「一夏は待ってて! ちょっとこっち来て…!」

 

 

 

そう言うと物陰で鈴はヒソヒソ声で一夏に聞こえない様に2人に話始める。

 

 

 

「アタシ…一夏に告白しようと思うの」

 

 

 

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---翌日、夕方教室周辺

 

 

 

「さて、弾。この階に誰も来ないな?」

「ああ、大丈夫だ。来たとしても女子以外なら止められる自身がある」

「そんときは俺が行く」

「分かった。そろそろ時間だ。教室に仕掛けた盗聴器で聞かせてもらおうか」

「ようやく鈴の決心がついたんだから、俺としてはこれで決まって欲しいが…」

「まあ、無いな」

「お手並み拝見といたしましょうか」

 

 

 

鈴がようやく一夏に告白するという事で、最早俺たちにとって友人と確実に呼べる様になった人物の、今まで見守ってきた恋が実るのを願うが…あの一夏のことだからまたスルーするんだろうけど、それを知っている鈴はどう告白するのか2人して気になっていた。ちなみにこうして盗聴している事は鈴は知らなかったりする。

 

 

 

『んー、鈴のやつ、話ってなんだろう』

「あ、ごめん。このセリフにデジャブ」

「奇遇だな、俺もだ…」

『……一夏』

『お? 鈴。どうしたんだよ? 話ってなんだ?』

「来たか…」

「…嫌な予感がする。なんとなく一応記録とっておくか」

 

 

 

鈴が教室の一夏のもとに来たが、新華は嫌な予感を感じてハロに記録する事にした。

 

 

 

『そういえば新華と弾はどうしたんだ? 見当たらないけど』

『あの2人は先に帰って貰ったわ。…今日はね、一夏。アンタに言いたい事があったの』

「さぁてどう出るかな?」

「おい、まさか行き成りか? まあそれでストレートなら通じるかもしれんが」

『そ、その…』

『?』

『も、もし一夏が良ければその…、アタシの酢豚が上手くなったとき毎日作ってあげる!』

「………」

「………」

『お? 本当か? じゃあ、そんときは食べさせて貰おうかな』

『! ホント!?』

『ああ、ってそんなに嬉しいのか?』

『あったりまえじゃない! やったー!』

「…なぁ弾…」

「…だろうな、あいつ恐らく…」

「「勘違いしてやがる」」

『でも急にどうしたんだ? いきなりそんな事言い出して、何かあったのか?』

『………』

『? おい鈴…?』

「…? どうしたんだ、様子がおかしい」

「鈴のテンションが一気に下がったぞ? ただ怒ってはいないな」

 

 

 

新華と弾の期待とは裏腹に鈴は遠まわしな告白をしてしまい、一夏はそれを恐らく勘違いして受け入れてしまった。その後一夏の一言で鈴は黙ってしまう。それを怪訝に思う男3人。鈴はゆっくりと言葉を紡ぐ。

 

 

 

『それが…アタシ中国に帰る事になっちゃったの』

「「『…は?』」」

 

 

 

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---羽田空港

 

 

 

中国に帰ってしまう鈴の見送りに一夏、新華、弾、弾の妹で恋のライバル五反田 (らん)の4人が来ていた。

 

 

 

「本当に帰っちゃうんだな…」

「そうだな…中国かぁ、近いようで遠いな…」

「おい、お前ら。これが一生の別れって訳じゃねぇだろ。死なない限り会う事は出来るんだ。それまでの辛抱だろうに」

「アンタは本当に強いわよね…アタシもう泣きそうなのに」

「……」

「五反田妹はもう泣いてるけどな。…しょうがねぇか、ライバル兼姉妹だったようなもんだったからな」

「! ………!」フルフル

 

 

 

それぞれが鈴と共に過ごした日々を思を馳せる。一夏は未だに鈴が中国に受け入れられず、弾は中国という近いようで遠い距離に顔を歪め、新華はそんな2人に言葉を投げかけ、鈴はそんな新華の強さと自分の弱さを自覚し、蘭はライバルでもあり歳の近い姉の様な鈴と別れる悲しさをこらえていた。

 

 

 

「そういえば一夏、鈴に渡す物あんだろ? 今のうちに渡とけ」

「あ、そうだった。鈴、はいこれ」

「ん? 一夏何渡すんだ?」

「あ、ありがと…………リボン?」

「ああ、鈴いつも髪2つに纏めてるだろ? それでさ、中国に行ってもそれ見て思い出してくれればなって」

「わぁ、いいなー鈴さん」

「一夏こういう事は抜かり無いんだよな。さっすが」

「一夏…ありがと!」

 

 

 

鈴は普段から髪をツインテールにしている為、一夏が思い浮かんだプレゼントがその髪を纏めるリボンだった。泣きそうだった鈴の顔が綻ぶ。

 

 

 

「よかったな鈴。一夏だけじゃなく俺たちも思い出してくれよ? 俺たちもお前の事忘れないし、さっきも言った通りまた会えるんだからな」

「そうそう、それにあれだけ一緒にいたんだ。少なくともおれは忘れないね」

「新華、弾…」

「鈴さん」

「…蘭」

 

 

 

新華と弾の言葉に続いて蘭が一歩前に出る。

 

 

 

「鈴さん、余りに長く会わないんだったら一夏さんは貰っちゃいますよ? だから、ちゃんと会いに来てくださいね」

「! うん、そうね。そうならない様に、また会いに来るわ。そんなに頻繁は無理だけど、私の身軽さでまた来るわ」

「いいねぇ~、女の友情って奴だな。いやホントいいもの見せてもらいました」

「幼馴染と親友の妹に迫られる…エエイモゲロコンチクショウ」

「迫られてるって、俺は何も悪いことしてないぞ? 約束破った訳じゃないし」

「「ええぃこの野郎、まだ言うか」」

「あんたら最後までぶれないわね…でも、ありがと」

「お兄ぃ、新華さん…」

 

 

 

最後にいつもの調子の戻っての会話。新華と弾の気遣いとコンビネーションが成せる技。一夏の無自覚を理解しているからこそ出来る技。

 

 

 

「…もうそろそろ時間だな。鈴、そろそろゲートに行かないと」

「…そうね、名残惜しいけど、もう行かなくっちゃね」

「鈴…」

「鈴さん…」

「鈴…」

「大丈夫。最後にこうしてあんた達とまた喋れたし、一夏からプレゼントも貰ってるからね。向こうに行ってもまた思い出すわよ」

「ああ、鈴なら大丈夫だ。努力家で皆の輪に入って行く事が出来るんだ。向こうでも問題無くやっていけるさ」

「そうそう、いつもの元気な鈴だったら問題ねぇな」

「鈴さんだったら大丈夫です!」

「ありがとう、皆…」

 

 

 

アナウンスが流れ、鈴が乗る予定の飛行機の乗り降りが開始されたことを告げた。

 

 

 

「そら、会おうと思えばまた会えるんだから、最後は笑顔で送るぞ」

「ああ、そうだな。鈴、またな」

「鈴、また会おうぜ」

「鈴さんまた会いましょう」

「今までの様に元気でいろよ」

「…うんっ、またね皆!」

 

 

 

そしてゲートをくぐり飛行機に乗り込むまで見送る4人。鈴も最後まで手を降り続け、帰っていった。飛行機が見えなくなるまで見送った4人は名残惜しさを感じていた。

 

 

 

「…本当に帰っちゃったな」

「そうだな…でも新華が言っていた様に、会おうと思えば会えるんだ。それまで俺たちも元気でいないとな」

「…鈴さん」

「離れても俺たちが過ごした時間が消える訳じゃないだろ? 次に鈴に会うとき、胸を張れる様にしような」

「そうだな」

 

 

 

そして空港を後にする4人。また会える事を願って。

 

 

 

 




新華は2回も転生しているので万能です。楽器は(何故か)ピアノだけですが出来ます。
ハロ出すタイミングがキツイ…。ハロも万能。
蘭がおかしい気がする…がこのままいく。
ちなみに原作始まったら、フルボッコ以外は原作通りで行くつもりです。
しかし小説無いから妄想の暴走っぷりが…

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