IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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125話。最新話を久しぶりに投稿します。

最近『一騎を引き合いに出しながらラクスを論破して黙らせ、ストフリと隠者を横目にエターナル真っ二つにする飛鳥先輩』の夢を見た。
物凄くスカっとした。


まぁそれは置いておいて、肝心なのはガンプラ王に出す予定だった写真データの入ったカードがイカれた事だよ! 締切昨日までで間に合わなかったよ! 
もうこのサイトで投稿してやる!(いつになるか不明


思春期

 

 

 

 

週末日曜日。

さっさと仕事を終えMSの整備も一通り終わらせた新華は、珍しい事に自宅の自室で何もせずベッドの上で横になっていた。だからといって眠っている訳ではなく、寧ろがっつり目を開いていた。

 

 

 

 

 

「デート……かぁ。………デート、ねぇ…」

「ご主人様、さっきからずっとその調子ですね」

「デート、デート」

「だって、なぁ…………はぁ」

 

 

 

 

 

天井を見ながら溜息を付く。ハロ達が転がりサヤカがベッドの縁に腰掛けていたが、新華の頭の中は先日にヒロイン'sに誘われたデートの件で一杯だった。

 

 

 

 

 

「デートくらいご主人様は何度も経験しているのではありませんか? 今更葛藤しても…」

「あのな、今までの俺がデートをマトモに受けていたと思うのか? 誘われても断るかこの間みたく買い物に付き合うとかくらいしかしなかったし、そもそもデートなんて考えた事すら無かったからよ」

「なら良い機会じゃないですか。ご主人様自身、あのお三方の事が好きなんでしょう? ハッキリと気持ちを伝えてみてはいかがですか?」

「………」

 

 

 

 

 

サヤカの言葉で新華は顔を(しか)める。どうしようもないくらいに考えが纏まらない。終いには頭を抱えて唸り出す。

 

 

 

 

 

「………う”ー…」

「……流石にすぐには無理ですか。ですがこれだけは覚えておいてください。どの選択をしても、誰もご主人様を恨んだりする事は無いでしょう。以前も言いましたように、ご主人様のお心のままに」

「あ”ー……うがー」

「……まぁ、今すぐに結論を出さなくてもいいんですけどね。それにどんな結論を出されても私がご主人様と共に居るのは変わりませんし、というかご主人様、聞いてますか?」

「あうあうあうあうあー」

「…聞いてませんね。まぁいいでしょう。思えばご主人様がこうして悩む事も今まで無かったようですし、やはりいい機会ですね。そもそもこうして悩まれてる姿が年相応の姿なのですし、ご家族やソレスタルビーイングの方々に協力を申し出てみるのもいいかもしれませんね」

 

 

 

 

 

サヤカは新華といつも行動を共にし、かつ新華の手帳替わりにもなっているハロと接続する事も出来るうえヴェーダに接続出来るので秘書のような立ち位置を確立している。だからか、新華の事を考えつつも現在の葛藤を放っておく事にした。

 

 

 

 

 

「あがー」

「まずはご家族から話をしましょうか…。明日から『大運動会』の準備も始まるようですし、また忙しくなりそうですね…」

 

 

 

 

 

頭を抱えながらベッドの上でのたうち回る新華を見ながら、サヤカは自分のするべき事を考える。理性的なサヤカとは対象に主人である新華は思春期男子の思考のループに陥っていた。

 

 

 

 

 

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翌日、一夏達と早朝訓練を終わらせ午前の授業を終わらせた新華は刀奈と本音を含めたいつものメンバーと校舎の屋上に来ていた。

今日は珍しく食堂の定食ではなく女子が作った弁当で昼食と相成っていた。

 

 

 

 

 

「ほら新華君、あーん」

「おいやめろ。一夏達がガン見してるから今すぐやめろ。簪とシャルロットもスタンバイするな。今すぐそのおかずを自分の腹に入れろ」

「イチャイチャ、イチャイチャ」

「タベチャエ、タベチャエ」

「モウゴールシチャエYO」

「おうハロ黙れや」

 

 

 

 

 

新華にデレデレする刀奈とそれを見て続こうとする簪、シャルロット。デレデレの刀奈と新華達を見てる一夏達。もう新華のLIFEは0よ。

 

 

 

 

 

「おいサヤカ、止めろや」

「拒否しまーす。ハロ達、少し離れてましょうか」

「リョウカイ、リョウカイ」

「ハナレル、ハナレル」

「ユックリ、ユックリ」

「助けろっての…!」

「あら、サヤカちゃんに気を使わせちゃったわね。今のうちに、ほら新華君、あーん」

「わ、私も…!」

「ぼ、僕のも、ほら!」

「だ、誰か止めろぉー!」

 

 

 

 

 

サヤカがハロ達を連れて一夏達の方へ離れてしまい新華が3人からの集中砲火を受ける。そんな4人組を一夏は2828と、専用機組みは羨ましそうに見ていた。

 

 

 

 

 

「新華、自分で止めないってことは嫌がってないんだよな。素直になればいいのに」2828

『トリィ!』

「(私も、あれくらい出来れば…)」

「(うわ、大胆…。あたしもあれだけやれば一夏は…)」

「(わ、わたくしもきちんと料理の勉強をしてきましたし…ですが、あれだけ大胆には…)」

「(よ、(一夏)もああしてもらいたいのか? だが、私に出来るのか…? いや、ここはクラリッサの言っていた日本の諺、『押してダメならもっと押せ』の通りに…)」

 

 

 

 

 

誰も新華を助けようとせず、サヤカ達機械組は一夏達の輪の外から主人を見る。

 

 

 

 

 

「素直になったらなったでご主人様の歯止めが効かなくなるんでしょう。今までのご主人様がデレる機会なんて1度もありませんでしたし」

「なら尚更デレさせた方がいいんじゃないのか? もう一押しな感じがするんだけど」

「あのですね、ご主人様は今色々と溜め込んでいらっしゃいます。ええ、イロイロと。その一押しで全部吐き出すなら行く所までイキますよ?」

「……サヤカちゃんの言葉に裏を感じる」

「それより、ご主人様の心配をする前にご自分の状況を何とかした方がよろしいのでは?」

「へ?」

『トリィ?』

 

 

 

 

 

一夏が自身の周りを見ると、箒達が揃って一夏に熱い視線を向けていた。そしてその手には各々が作ってきた弁当のおかずが。

 

 

 

 

 

「「「「い、一夏…」」」」

「お、おう」

「「「「あ、あーん」」」」

「…お、おう……」

「(あら?)」

 

 

 

 

 

一夏も専用機組からの集中砲火を受け顔を赤くする。それを見たサヤカはちょっとした違和感を感じ新華(主人)と見比べる。

 

 

 

 

 

「……あふぉへおほえへろほ(後で覚えてろよ)」顔真っ赤

「あら、手を出してくれるのかしら♪」

「んぐんぐ…馬鹿言うな。せめて落ち着いて食べさせてくれ。食べるなら味わいたい。感想も、欲しいだろ?」

「う、うん…!」

「ほ、本当にちゃんと食べてくれる?」

「何度も言わせるな恥ずかしい」顔真っ赤

 

 

「お、これ美味いな。さすが箒、分かってるな」

「そ、そうか!」ニコッ

「お、おう」少し赤め

「じゃあ今度は、あ、あたしの食べなさいよ!」

「ああ」少し赤め

 

 

「あらあら…」

「ドウシタ? ドウシタ?」

「いえ、どうやら織斑さんも異性からの好意を感じられるようになったようで…。鈍感が抜け出してきているようですね。いい傾向です」

「モモイロフエル? モモイロフエル?」

「ビンカン? ビンカン?」

「そう簡単に治るとは思えませんが、大きな前進でしょう。時間を掛ければご主人様と同じ状態になるか、あるいは…」

 

 

 

 

 

そう言って2つのグループを見ていると、邪魔になると判断したのかトリィが一夏の肩から離れサヤカ達の方に来た。サヤカは体を構築する流体金属を変化させ肩に止まり木を生やす。そこにトリィが止まり機械組全機で主人達(新華達)を眺める。

 

 

 

 

 

「……青春してますね」

『トリィ!』

「セイシュン、セイシュン」

「シシュンキ、シシュンキ」

「レンアイ、レンアイ」

 

 

 

 

 

わいわいと騒ぐ新華達。そんな一同を見てほっこりするサヤカ。新華が顔を赤くしてどこか必死に、引っ付いてくる刀奈を引き剥がしていた。

 

 

 

 

 

「ええぃくっつくな! 離れろ顔が近い!」

「いいじゃないいいじゃない♪ なんならこのまま私の口を塞ぐ? 新華君の口で」

「お姉ちゃん…!」

「生徒会長ぉ…!」

「じょ、冗談、冗談よ。だからそんなに引っ張らないで2人共! 伸びちゃう、制服伸びちゃう!」

「…楽しそうですね」

「ベツニ行ッテモイイノヨ?」

「マザッテクレバ?」

「Youモウ行ッチャイナYO」

『トリィ!』

「…本当にハロはいつそういった芸を覚えてくるんですか? まぁいいでしょう。では心拍数が上がったまま顔を赤くして見た目相応な男子の反応をしているご主人様の所に戻りましょうか」

 

 

 

 

 

今度は簪とシャルロットに迫られてる新華(主人)の所へ戻り、トリィも箒達を妙に意識して顔を赤くしている一夏の所へ飛んで戻っていった。

 

 

 

 

 

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放課後、生徒会も無く一夏が部活巡りを終える頃に新華は整備課に資材を持ち込みある物を開発していた。

 

 

 

 

 

「よ、し。出来た」

「お疲れ様です」

「お疲れさま…。今日は何を作ったの…?」

「コイツ」

「えっと、ローラーシューズ?」

「の電動版。分かりやすく言うと『コードギアス』の『ナイトメア』、あれの足に標準装備されているローラーを人間サイズにスケールダウンして操作方法を体重移動による足裏パネルの操作にした。ただし履いてる靴をそのまま嵌め込む形で使うよう設計してあるから誰でも基本使える。サイズ調整はネジで出来るようにしてあるからな。動力はバッテリーで左右それぞれ外側くるぶしの位置にコンパネと一緒に搭載、(かかと)に装備されている追加ギアは加速、ブレーキ両方の機能が付いているものの実際は安全確保の為のリミッター扱いにしている。速度出しすぎて事故とか洒落にならんし」

「へ、へぇ…」

「し、新華、なんか生き生きしてるね」

「機械を弄ったり作ったり乗り込んだりするのは大半の男子の憧れです。それに前に言ったけど俺は元々工学部だし、戦闘経験はあれど本来なら裏方でチマチマやってる方が落ち着くんだよな。戦闘するようになったのはパラべラムになってからだし」

「……そっか」

「ああ」

「………」

「………」

 

 

 

 

 

この場に刀奈は居ない。『大運動会』に向けて虚と共に行動しており、同時に一夏は部活動巡り。専用機持ち達は一夏に付いていっていた。

新華の言葉で簪とシャルロットは黙ってしまう。以前見た新華の記憶を思い出したのだろう、何とも言えない空気になる。だが新華はそんな空気を由としない。

 

 

 

 

 

「おいおい、黙ってくれるなよ。俺はこうして『出来なかった事』を出来る今に生きている事を楽しんでいるんだから」

「…うん」

「…そうだね」

「さて、また作った後で思い出したんだが……著作権もそうだけどこれって『エア・ギア』みたく規制されねぇよな…」

「「………」」

「何とも締まりませんね。ご主人様の狙い通りに」

「このくらいでいいのさ。このくらいで」

 

 

 

 

 

何とも言えない顔になった簪とシャルロットを横目にカラカラと笑ってみせる。そして道具を片付け『外付けローラーシューズ』をハロOに仕舞う。

 

 

 

 

 

「さて、これは後でソレスタルビーイングでデータ取るとしてだ。今日は帰ろっか。仕事も無いし、ゆっくりすっか」

「そうですね。現在至急の用もありませんし、(Evolveクアンタ)の追加装備も調整(同化)が完了しています。これ以上する事もありませんから、明日のデートの準備でも」

「お、おう。そうだな」

「明日は僕で、明後日は更識さんだよね? もう今から楽しみでさ。更識さんもそうでしょ?」

「うん…。前はお姉ちゃんと一緒だったから、今度は新華君と2人きりで過ごしたい…」

「そ、そうか」//

 

 

 

 

 

真っ直ぐな2人の好意に顔を赤らめる新華。男のデレとか誰得だが今までの反動だと思って許してやってほしい。まあヒロインが得をするのでイイヨネ?

 

 

 

 

 

「明日どんなの着て行こうかなー。ね、新華。どんなのがいいと思う?」

「……シャルロットの自由でいいと思うぞ? どんなのと言われても俺に聞かれても答えようがないし、一夏みたいに口説けるような口もねぇしな」

「「…えっ」」

「え?」

「「……そ、そうだね」」(震え声)

「シャルロット…簪…屋上に行こうぜ……キレちまったよ……久々によ……!」(完全にノリ)

 

 

 

 

 

3人でふざけていると、3人の後ろで待機しているサヤカ+ハロ達の後方から刀奈が足音を消して駆け寄って来た。そしてそのまま新華の背中に向けて

 

 

 

 

 

「やめて! 屋上で乱暴すr「気付いているし前にもそのネタやったし言わせません」ちぇー」

「せ、生徒会長。いつの間に…」

「お、お姉ちゃん…」

「だって3人共楽しそうなんですもの♪ ね、ね、何の話をしていたのかしら?」

「明日の事ですよ」

「ああ、デュノアちゃんと新華君のデートね。明後日は簪ちゃんとのデートだし、その後に私。女の子3人も侍らせるなんて、大したプレイボーイっぷりね」

「死語ですよそれ。というか言葉に出さないでくれませんか? 聞いてて自己嫌悪に陥るんで……」

 

 

 

 

 

顔を顰めて明後日の方に視線を投げる。だがその遠い目をした背中をこの刀奈(愉悦部)が何もせず放置するわけが無い。すかさず新華の両脇に居る簪とシャルロットを差し置いて背中に飛び掛る。

 

 

 

 

 

「そーれっ♪」

「「「!?」」」

「あらあら…」

「うふふ、新華君の背中、広くてあったかいわ」

「な、何してる、離れろ!」

「嫌よ♪ いいじゃない減るものじゃないし。あ、ひょっとして別のモノ(理性)が減ってるのかしら?」

「うっさいわ! 分かってるなら離れろや!」

「「………」」

 

 

 

 

 

新華と刀奈がイチャイチャしているのを見た簪とシャルロットは、無表情で2人を引き剥がしに掛かる。

 

 

 

 

 

「あ、あら? 簪ちゃん?」

「お姉ちゃん……少し、頭冷やそうか?」

「そうですよ生徒会長。あんまり新華にひっつき過ぎるなんてうらや……め、迷惑になっちゃうでしょう!」

「そこの所をご主人様本人はどう思っているのですか?」

「サヤカ……やけに静かだと思えばいきなり…」

 

 

 

 

 

後ろで黙って控えてたサヤカが新華に問を投げる。刀奈が離れた事に安堵しながら、サヤカが成長している事を喜ぶべきか妙に恋愛関係に突っ込んでくる事を嘆くべきか悩む。

 

 

 

 

 

「で、どうなのですか?」

「……そりゃ俺だって男だし好かれるのは嬉しいんだが…。楯無会長はもう少し、その、控えめになってもらえると助かる。いきなり後ろから抱きつかれるのは心臓に悪い」

「あ、あら、そう」

「あ、いや、別に迷惑って訳じゃ」

「なら正々堂々正面から抱きつくのは…」

「お姉ちゃん!」

「生徒会長!」

「じょ、冗談よ。冗談」

「…はぁ」

 

 

 

 

 

簪とシャルロットに捕まりながらもめげない刀奈を見て新華は苦笑いを浮かべる。それをサヤカはしっかりと見ていた。

 

 

 

 

 

「うふふ、ご主人様」

「…何だ?」

「幸せですか?」

「………今更聞くなよ」

「そうですね。すみません」

「いいさ。この問答が出来るのも、幸せな事だからな」

「はい」

 

 

 

 

 

その問答だけでひどく穏やかな気持ちになった新華は、ごく自然な流れでサヤカの頭に手を置き撫でる。サヤカも嬉しそうに撫でられるがままになるが、それをガン見する3対の目が。

 

 

 

 

 

「「「………」」」<●><●>

「……何だ?」

「「「………」」」ツカツカツカ…

 

 

 

 

 

3人が無言で新華の両サイド、背後に回る。簪は右腕を、シャルロットは左腕を抱き込み、刀奈は腰に腕を回した。

 

 

 

 

 

「お、おい?」

「サヤカや生徒会長ばっかりズルいな。僕も見てよ」

「お、おう」

「私の事も見てほしい…。ずっとじゃなくていいから、私も見て…」

「あ、ああ」

「確かにサヤカちゃんは新華君にとって必要だし娘みたいな存在だけれど、それはそれで妬いちゃうわね。私()も構ってくれないとダメよ?」

「え、ええ」

 

 

 

 

 

3人が新華に引っ付いたのを確認してサヤカは再び一歩離れた所に戻りハロ達と共に静かになった。しかし新華の理性はどんどん削られる事になる。

男である新華にとって3人が引っ付いてくるというのは、その体が密着する事に他ならない。さらに男子には無い『いい香り』を意識してしまうこの状況は、最近溜まっている新華にとって危ないものだった。

 

 

 

 

 

「えっと3人共。出来れば離してほしいなー…なんて」

「ダメよ」

「ダメだよ」

「ダメ…」

「いや、あの…」

「丁度いいわ。このまま寮まで行きましょう。私は新華君と同じ部屋だし、簪ちゃんもデュノアちゃんも同じ屋根の下で寝泊りしているわけだからね」

「いや簪とシャルロットはともかく楯無会長は離れろよ! 流石にこのまま外を歩ける程羞恥心捨ててねぇ!」

「ちぇー」

「あと簪とシャルロットも少し離してくれ。歩きにくい」

「むー…。じゃあ、手を繋ぐのは?」

「ま、まぁそれくらいなら…」

「決まり! 更識さんも、引っ付きすぎないようにね」

「うん…」

 

 

 

 

 

あっさりと刀奈は腰から離れ先頭である新華の正面に立ち、簪とシャルロットは新華と手を繋ぎながら体を寄せる。その軽い流れに新華は疑問を持った。

 

 

 

 

 

「………あれ、もしかしてこの距離って計画通り?」

「「「うん」」」

「………………ちくせう」

 

 

 

 

 

なんだか納得行かないが、結局3人に体を寄せられながら寮へと戻る事となり、新華はその間顔を赤くして理性を総動員し続けた。

道中でなんとか意識を逸らそうと、新華は自ら話題を3人に振った。

 

 

 

 

 

「そ、そういえば今度の『大運動会』ですけど、結局の所俺達は何をすればいいんですか? 追って連絡するって聞きましたけど」

「ああ、それなら明日の放課後から準備が始まるから、その時招集して話すわ。だから簪ちゃんとデュノアちゃんは明日と明後日にデート出来るけど、私は全部終わってからじゃないと時間が取れないのよねぇ。責任者って大変ね」

「ですね。結局の所何かあれば責任者であるトップが出ないといけませんし、それだけでなく今回の場合は0からの企画ですからマニュアルが無いから細かい指示が必要。もうそれだけで時間取られますからね」

「分かる? 企画書があるとはいえ実際に実行するとなると、これまたやる事が多くてね。とはいえ企画書を出した側には、きっちり働いてもらうけどね。あ、簪ちゃんとデュノアちゃんは気にしなくてもいいわよ?」

「は、はぁ」

「そ、そうなの…?」

 

 

 

 

 

新華は経営者として動いているため分かるが、今までそういった『上の責任』を知らない簪とシャルロットは2人の会話に一定の理解を示しつつ、自分がする事が無いのか疑問を持つ。

 

 

 

 

 

「ええ。人員は確保してあるから人手の心配はしなくていいのよ。先生方にも協力を要請してあるしね。だから明日と明後日のデートは、心置きなく楽しんでらっしゃい」

「うん…」

「わかりました。ありがとうございます」

「いいのよ。その分部屋で新華君をゆっくり堪能させてもらうから♪」

「そこが生徒会長の有利な所なんですよね…。すこし、いやかなりズルい」

「篠ノ之ちゃんや以前のデュノアちゃんが織斑君と同じ部屋だった時と同じくらいに中毒性があるわよ? 好きな人と相部屋って。なんせプライベートを共有するわけだから距離が近くなるのが分かるもの」

「…いいなー」

「……あのさ、3人共。その会話俺の前でやる事じゃないよね? 別に俺が居ない時でもいいよね?」

「そうだけど、逆に居る時にしてもいいと思う…。お姉ちゃんばっかり新華君と一緒に居てズルいし…」

「仕方無いでしょ。政府から監視しろって言われたんだから。最もその監視を誰かさんは無視してフランスまで行った事があったけど」

「あ、あの時はシャルロットが危険だったし…」

 

 

 

 

 

しどろもどろになる新華を至近距離から口撃していく3人。そのじゃれ合いはどう見てもイチャイチャしているものだったが、幸いと言うべきか一般生徒の視線は無く、寮に着くまでの間、4人は騒がしくも新しい日常をじっくり堪能していた。

 

 

 

 

 




セシリアにローゼスビット使わせたら面白そう。
それはともかく、次回はシャルロットとのデート予定。もしかしたら簪の分も同時に出すかもしれません。原作で全く描写が無い期間だから自由にキャラを動かしてもいいですよね?
さて、ここの一夏も鈍感が抜け出してるからどう書こうか…。

次回もいつになるか未定です。更新速度が遅いとか言わないでください。今までがおかしかったんです(震え声

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