IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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お久しぶりです! 124話、ここに投稿いたします!
GWは毎日バイトが入っているので投稿出来ないと思われますが、どうか気長にお待ちください。


平穏

 

 

 

 

 

「また部屋割りの話か…。モテる男は辛いな、一夏」

「他人事みたいに言うなよ! というか助けてくれ!」

「ムリぽ」

 

 

 

 

 

放課後の生徒会室、全員が揃っている中で一夏の叫びが。案の定、一夏の部屋割りの話である。

 

 

 

 

 

「まぁ一夏は2度女子と同室になっているから『次は私が!』って声が出てもおかしくないんだよな。特にこのIS学園になると」

「それでこういった意見が出る訳なんだけど、今回ばかりは新華君にとって他人事なのよねぇ」

「くそぅ、理由を理解した後だと巻き込もうにも巻き込めない…!」

「はっはっは! そういった対策出来てなけりゃソレスタルビーイングは無かったっての」

 

 

 

 

 

生徒会に寄せられた大量の生徒からの陳情。内容は大まかに分けると『現在1人で寝起きしている一夏との同室希望』、『刀奈と新華をいつまで同じ部屋にしているのか、一夏のように1人部屋にした方がいいのでは』といったものだった。

 

 

 

 

 

「俺と楯無会長の場合は言わなくても分かるよな、一夏?」

「監視と拘束、だろ? 分かってる。でもそれを知らない人だって居るだろうし、いつまでも新華と生徒会長を2人きりなのを問題視する人だって居るだろ?」

「そう、そこが問題なの。今更だけどIS学園は名前通り『学園』、つまり教育機関。年頃の男女を一屋根の下で暮らさせるのは問題が~って言う娘は多いでしょうね」

「でも、何で今なんですか? ほら、今月は行事とか特に何も無いじゃないですか。それに入学してからそれなりに時間も経ってるんで、おかしくないですか?」

 

 

 

 

 

刀奈の解説に一夏が疑問の声を上げるが、すぐその疑問に新華が答える。

 

 

 

 

 

「逆だ一夏。『何も無いから』が理由なんだよ」

「は? 『何も無い』が理由? えっと…」

「考えてもみな。このIS学園は本来何者にも干渉されず安全で最先端を行くのを謳い文句にして生徒を集めている。代表候補生を含めた殆どの人間が戦う覚悟なんて持ち合わせてないどころか流血沙汰になる事は無いと高をくくっている」

「織斑先生を含めた教師陣や私達生徒会はともかくね」

「その辺は『分かっている』部類だからこの際除外して、だ。そんな覚悟も無く軽い気持ちでIS学園に入って楽しもうとしていたのに今までの襲撃、箒の専用機での揉め事、俺が記憶喪失になるレベルの事態が起きた。それも半年も満たないこの短期間で」

「更に言えば、それらのゴタゴタは一般生徒が預かり知らぬ所で起きて情報規制が行われた。それも厳重な規制を。もっと言ってしまえば、自分たちの手の届かない実力を持つ『伝説』クラスの新華君が死に掛けた事で『IS学園の安全性』に疑問を持ち不安に駆られた…って所よ」

「は、はぁ、成程」

 

 

 

 

 

一夏は新華と刀奈の2人からの説明に頷きながら内容を咀嚼し理解していく。

 

 

 

 

 

「んで、ここで『何も無い』という理由が出てくる。今までなら目前に迫った行事やEOSのような新しい物、箒に対する話題に飛び付き一時的にでも気を紛らわせる事が出来た。でも今はそれが無いんだ。少し前の事件について聞きたくても規制がされていて踏み込めないし、箒は専用機に見合った実力を付けつつある。EOSは既に開発元に返還されてるし、俺に至っては何も言うつもりも無いし言える訳が無い」

「となると、他に何か別の話題かイベントを作る必要があった。それが織斑君と新華君の部屋割り。今更だけど今までの事件の中心人物であり専用機持ちの娘達が独占していたんだから自分達にも! って魂胆でしょうね」

「あー…成程。つまりまた俺達が何かする必要があると」

「そういうこった」

 

 

 

 

 

腕を組み微妙な顔で頷く一夏を一瞥して新華は書類を取る。それは『大運動会』と書かれた企画書だった。

 

 

 

 

 

「これ完全に意見書じゃなくて企画書なんですけど。気合を入れる場所が違うんですけど」

「それだけ皆はっちゃけたいのよ。それに変な理由で意見出しても通らないって分かってる娘も居るみたいだし、最もらしい理由を立ててしっかりとした企画を作る為に色々と動いていたみたいね。とはいえ理由が今更で最もらしいとは言い難いんだけど」

「ですよねぇ…。こんな理由で一々騒ぐってのも、ねぇ」

 

 

 

 

 

企画書を置いて頬杖を付く。1つの大きな組織の長をやっている身としてはこんな馬鹿馬鹿しい(・・・・・・)理由で騒ぎを起こすのは言語道断だと思うが、思春期真っ只中の学生としては刀奈(思春期女子)のような悪く思っていない人物といつまでも同室なのは、色んな意味で危険故に騒ぎに乗っかって自分も一夏と同じように1人部屋になりたい所だった。

無理なのは分かっていても、そうしたい理由が今はあった。

 

 

 

 

 

「生徒会権限で実行してもいいんだけど、準備だけでもかなりの時間と費用が必要になるし、いくらなんでも職権乱用が過ぎるわよね。それに織斑君はともかく新華君の部屋割ばかりは政府からの指示で変更は不可能。結局また織斑君争奪戦になるわね。でもこんなに頻繁にイベント開催して織斑君贔屓しても問題だし。虚ちゃん」

「はい。その件に関しては政府から『織斑 一夏だけでなく青木 新華のデータも収集、提出せよ』とのお達しが来ています。今までIS学園で行われた行事の殆どに青木君は参加していませんから、あまり情報が集まらないのも無理ありませんよね。その事に焦ったのでしょうが…」

「まるで人を物みたいに…。でも各行事に新華君を出すとなると結果が確定しちゃって盛り上がらないのよね。ここはIS学園であって研究所じゃないのに。それを忘れたのかしら?」

「ただ単に俺が男で連中を手玉に取っているからでしょう。つまり『気に食わない男だから物扱い』といった所じゃないですか? 物扱いされているのは自分達だと気付かずに五月蝿く騒ぐしか脳の無い奴らでしょう、そう言っているのは。残りのマトモな連中なら俺を刺激しないようにもう少し言葉をえらんでますよ」

「し、新華も結構黒い事言うよな…。で、結局どうするんです? さっき聞いたガス抜きって理由ならやった方がいいんでしょうけど、やるにしても問題が出るなら…」

「そこなんだよなぁ、結局。どっかで適度に発散させないと暴発するだろうし、でもイベント開くにしてもIS学園が何かしらのイベントを開く度にIS学園(ここ)ソレスタルビーイング(うち)が襲撃されてるから…」

 

 

 

 

 

そんな新華の呟きに、IS学園からあまり外に出ない一夏が反応した。

 

 

 

 

 

「………え、襲撃? 新華、襲撃って…」

「きちんと撃退出来てたから安心しな。というか亡国から2機のISだけ(・・)ソレスタルビーイング(うち)を落とせると本気で思っていたのかねぇ? こちとら女尊男卑の被害者集めた事で結束力があるしMSという明確な力もあるし、何より今軍に居る女共よりしっかり訓練した元軍人も数揃えているんだから実力面でも連携面でも上なのに。まぁ分かってたら女尊男卑にならないか…」

「…後で聞かせてもらうわよ? そういえば新華君はそのへんどうやっているの? ソレスタルビーイングだって基本IS学園(ここ)と同じで閉鎖空間でしょう?」

「ん、それ、私も聞いておきたい…。それと、この部分は議題と関係無いから本音も書かなくていいと思う…」

「わかったぁ~。あー! 何にも言わないでおとなしくしてるっていうのも退屈だよね~かんちゃん~。肩凝っちゃうよ~」

「本音、あなたはもう少しこの空気に慣れなさい。私とお嬢様が卒業した後も続く筈の空気なんだから」

「ナレル、ナレル!」

『トリィ!』

 

 

 

 

 

書記としての仕事を真面目にしていた簪と本音が体を伸ばしハロとトリィ達が主人の元へと戻る。足元に転がってきたハロO(オリジン)F(フォビドゥン)の内、O(オリジン)の方を膝の上に乗せて刀奈の疑問に答える。

 

 

 

 

 

「うちの場合は閉鎖空間と言ってもなんだかんだでIS学園(ここ)…よりは狭いですけど広いし、別に教育機関って訳でもありませんしね。地元の街に協力してもらって面倒見てもらってますし門限さえ守れば基本自由ですよ? 送迎バスも出してますし地元の人達に説明もしてあります。加えて町興しにも参加しているのでそこら辺は心配要らないですね」

「でも人が集まるんだから不評や不満は溜まる物でしょう? 特に最近はゴタゴタしていたんだし」

「まぁある程度は。でも意見書とか受け付けていますし批判は受け止め改善するよう努力はしているつもりです。あとは時々不定期に休日を作ったりしてますね、適度なレベルで。子供達の方なら夏休みを利用して企画出せば希望者募って旅行に行かせたり、月一で小遣い支給して町に行かせたりと自由にやらせてます」

 

 

 

 

 

※ソレスタルビーイングの皆さんは他に行き場も無く新華に恩を感じているので文句など出ようもありません。仕事も最終的に新華の所へ負担が集中するうえ量も一般企業の平均的なそれより少ないし給料も出ますので、文句など。

 

 

 

 

 

「…参考になるけどIS学園(ここ)だと無理な話ね。まぁ皆騒ぎたいという考えもあるだろうし、織斑君には悪いけど代案が無い場合はこの企画を採用するわ。丁度いい案も浮かんだしね」

「了解です」

「分かりました」

「それじゃあ、もう案件も無いし今日の生徒会はこれでおしまい。虚ちゃん、予定の調整をお願い」

「はい。では、私はスケジュール管理と先生方との連絡を。青木君と織斑君はスケジュールが決まるまでゆっくりしてください。妹様と本音はいつもどおりでお願いします」

「分かりました…」

「りょ~か~い」

 

 

 

 

 

本音の返事の後に全員が席を立つ。新華はハロOを床に下ろし一夏はトリィを肩に乗せる。

そのまま全員で生徒会室から出ると、ドアのすぐ傍でハロα(アルファ)を抱えたシャルロットが新華に声を掛けてきた。

 

 

 

 

 

「あ、新華、終わったの?」

「オツカレ、オツカレ」

「ああ、今日の生徒会は終わったよ。さて、寮に帰るとするか。そういえばシャルロット、部活は?」

「今日はお休みだよ」

 

 

 

 

 

そう言ってすかさず新華の左に寄り腕を抱こうとしてくる。だが新華は半歩横にズレて腕を躱した。

 

 

 

 

 

「あう…。…なんか新華、最近また僕たちを避けてるよね?」

「ソンナコトナイデスヨ? ほら、こうして会話しているわけだし、ハロだって預かっててもらってたし」

「でも、デュノアさんが言うように私達が近付くと少し距離を取るよね…?」

「そうよねぇ。せっかく新華君に想いを伝えたのにそんな態度取られるとね。それに私達は告白したのに答えをもらってないし」

「いや、それは…」

 

 

 

 

 

右から、後ろから簪と刀奈が新華に迫り、新華自身は嫌な汗を掻きながらジリジリを後ずさる。

 

 

 

 

 

「カクゴキメロ、カクゴキメロ」

「シュラバ、シュラバ」

「ミトメタクナイ! ミトメタクナーイ!」

「ハロ、黙ってろ」

「まぁご主人様が色々と我慢して逃げているだけですけどね。もう少し余裕があれば違ったのでしょうが…」

「仕方無いだろうが…! というか余裕が無い原因の1人だぞサヤカは…!」

 

 

 

 

 

今更だが新華は童貞である。前世もその前も女性関係は少ないうえ、前世においては教師の真似事をしていた分常識や人間関係、衛生管理には五月蝿く性関係にも自他共に厳しい。

特に性に関する意識はこの世界に生まれ女尊男卑が蔓延ってからは更に厳しくなった。特にソレスタルビーイングに居る子供達に対する教育では『不純異性交遊ダメ絶対』をモットーにしている。必ず同性複数人で住まわせているのも誰かが異性を連れ込む事を防止する役目を担っているし、所帯持ちのメンツは子供達の住む部屋とは離して住んでもらっている。

ただあまり厳しすぎると暴発(意味深)する故、聖典(エロ本)は許している。

 

さて、ここで今の新華の状況を考えてみよう。

現在新華の周りには多くの女性が居る。IS学園の特性故に致し方ない事ではあるが、鋼の精神と今までの行いの責任感と引け目からあまり意識しないようにしていた。更識姉妹の事もあくまで『特に仲のいい部類の友達』として接し続ける…つもりだった。

しかし『ワールドパージ』にて記憶と心が暴かれた挙句に受け入れられ、救われた上で告白されキスされた。しかも相手はそれなりに親しく美少女と言える容姿。

嬉しくない訳が無い(断言 

気にならない筈が無い(一夏は除く

 

しかしここで1つ問題が発生する。新華は生きた年代を合わせると50歳を超える。しかしこれはあくまで合計(・・)であり、実際には20歳以上になった事は無いのだ。なんだかんだで大人と同系列に扱われる事が多くとも、その心は未だにチェリーボーイ。童貞であると同時にソッチ方面ではヘタレもいいところである。

そんな新華に今まで訪れなかったモテ期。更にISの自我であるサヤカ()の登場。特にこのサヤカ、最初の頃に新華が娘として扱っていたが故か新華(主人)にべったりであり傍を離れる事はほぼ無い。具体的にはトイレのドアの前で待ってたり、風呂に一緒に入ろうとしてきたり。更に脳量子波を使えてしまうので新華の感情の昂ぶりなど筒抜けである。新華はサヤカを娘同然に見ているせいか『情操教育に悪い』と言ってずっと我慢しているのだ。ナニを。

つまり溜まっているのだ。

男ならしゃあない(確信 

辛くない訳が無い(一夏を除く

 

 

 

 

「なんでこんな事にっ…!」

「……別に私は気にしませんのに…。何でそんなに我慢するんですか?」

「サヤカ、そうやって生き始めてまだ半年も経ってないだろうが。そんな娘の教育に悪い事など俺には出来ない…!」

「…私の発言は『そういうこと』に理解があると、ご主人様なら気付いている筈ですけど」

「認めない! 認めませんよ俺は!? そんなサヤカがいつの間にか精神的成長を遂げていたり『そういうこと』を理解しているなんて!?」

「し、新華?」

「知識を得る事自体はいつでも可能でしたし、ご主人様の記憶も覗かせてもらいましたから。実際に色んな物を見たいというのは変わりませんけど知識なら十分あると自負しています」

「だからと言ってこんな環境で口に出せねぇし出来るわきゃねェだろおおおおお!!」

 

 

 

 

 

新華の魂の叫び。実際問題、部屋は刀奈と同室であり地味に広い為そんなこと出来ない。家だとサヤカが(以下略

 

 

 

 

 

「新華君新華君、口に出してるわよ」

「はっ! す、すんません。どうもあの日から調子が空回ってるんですよね…。ソレスタルビーイングの方も最近は職員の方々が俺の仕事を分散してやってくれますし」

「そりゃ、あれだけ新華に負担が集まってるんだもん。新華が行けない時もあったし、非常時に一々新華の指示を受けるのを待っていたら何にも出来ないまま終わっちゃうでしょ?」

「まぁ、そうなんだけどな。でも最近MSに関して色々とやる事が増えたし、忙しいのは変わらないかな」

 

 

 

 

 

そう言って全員で廊下を移動する。ぞろぞろと移動する訳だがいつも通り一般生徒による襲撃は行われた。

まぁ結果はいつも通り、あっさりと迎撃して終わった。

 

 

 

 

 

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時間は進み学生寮1050室の自分のベッドで胡座をかいてハロ3機をPCモードにしていた。

だがその瞳は閉じられ、意識はサヤカと共にヴェーダの中である。

 

 

 

 

 

「んー…。これで完成、かな」

「ですね。真さんとスウェンさんが過剰に取っていたストライクのデータがここで役立ちましたね」

「ああ。それにストライクをベースに改造する事で資源も節約出来る。まぁ流石にストライカーは新規で製造しなくちゃならんが」

 

 

 

 

 

2人で並び画面を幾つも並べ重ねる。巨大な演算処理システムは新華の組み上げたプログラムと設計データを正確に実行し1つの形を産み出す。

 

 

 

 

 

「『ビルドストライクガンダム』…。あの事件(ワールドパージ)の後にアップデートされたヴェーダにインストールされていた機体。俺の知らないガンダム…」

「…ご主人様が居た最初の世界で新たに生まれた作品、でしょうか?」

「かもしれないな。閻魔様の粋な計らいと言えば有難いが…、何とも複雑だな」

 

 

 

 

 

『ワールドパージ』を乗り越え、仕事を終えた新華はヴェーダを覗いて新しい情報を見渡していた。その時に発見したのが『ビルドファイターズシリーズ』と名付けられたデータフォルダに、『EXVS』、『Gのレコンキスタ』、『マーキュリーレヴ』と書かれたデータフォルダだった。

しかしその内容は何とも奇妙なものだった。通常ならば機体の設計図や内部構造が書かれたデータが入っているのだが、このフォルダに入っていたデータは『ビギニングシリーズ』と同様、プラモデルの設計図しか載っていなかったのだ。

故に新華は事実上プラモデルのデータしか無い状態で設計し、完成させた。

 

 

 

 

 

「俺がこうしてこの世界で生きている10数年。その間に誤差はあれど一兎達の世界の時間も進んでいた。だから一兎達の世界か、俺が最初に生きた世界で新しいガンダムが創られててもおかしくはない。残念なのは、アニメや書籍をこの目で見て楽しむ事が出来ない事だろうか…」

「…そちらの方のデータは一切入ってきていない所を見ると、どうやらそういった娯楽の情報はインストールされなかったようですね」

「そらそうだろう。この世界に『イデオン』や『ダンバイン』といった『富野作品』はあれど『ガンダム』は無いんだから。それに俺が開発してMSとして世界に影響を与えてる今、アニメの情報があっても困る。もし世界に出回りでもしたら余計に世間を混乱させるだけだろうからな」

「実際に登場人物も実在する世界ですからね。このくらいでも有難い方でしょう」

「ああ。ただ、アレ(・・)はやり過ぎだと思うけどな…」

 

 

 

 

 

そう言って新華は視線を『ビルドストライク』から真下に移す。そこには

 

 

 

 

 

「どう見ても黒歴史ver.(ターンエー)です本当にありがとうございました」

「そしてあちらには…」

 

 

 

 

 

今度は真上を見上げる。

 

 

 

 

 

「やっぱ ヴェーダ=EXA-DB って事だよなコレ…」

「ですね…」

 

 

 

 

 

真下に跪く形で祭壇の中央に鎮座する本来の大きさ(・・・・・・)の『∀』、真上に休止する形で漂う『シド』。明らかに過剰戦力である。

 

 

 

 

 

「なぁサヤカ。さっき確認したらさ、おかしな事にシドがいつでも起動出来るうえ、『ゼーガペイン』スタイルで∀に乗れる事が判明したんだけど」

「更に言えば∀の下に2つの機体反応…………これは『インペラトール』と『トライア』ですね。ついでに更にその下層に『ハルファスガンダム』と『バルバトス』系列の機体も発見しました。こちらも搭乗可能ですね」

「……なぁサヤカ。これ、気のせいじゃなければさぁ。『ヴェーダ』じゃなくて『ジェネレーションシステム』じゃね?」

「いや、それは…。ほら、『レギナ』とか『ガーター』とかありませんし…」(震え声

「というかこれさ、あの事件以降にこうやって追加されたけどさ、これ追加されたんじゃなくて『開放された』んじゃね? ほら、ヴェーダの防衛機構とか俺達が知らないだけだった可能性も…」

「で、ですがそれだったら違和感に気付きません? こう、不自然な部分とか」

「でもさ、これ、俺が望んで手に入れた訳じゃないんだぜ? いつの間にかここにあったんだぜ? 閻魔様が細工していても不思議じゃねぇべ」

 

 

 

 

 

※閻魔ではなくアレスがノリノリのハデスと共にこっそり仕込んでいました。家族愛って素晴らしいよね(白目

 

 

 

 

 

「ついでにさぁ…。『デビルガンダム細胞』と『アルティメット細胞』のデータまで出てきたってどういうことなの…? 俺に何をさせたい訳…?」

「……さぁ…?」

 

 

 

 

 

盛大に戸惑う新華とサヤカは、お互いに顔を見合わせてため息を付く。

 

 

 

 

 

「……とりあえず自重して目の前の『ビルドストライクガンダム』を完成させて、『大運動会』とやらを楽しみに待つとしよっか?」

「そうですね…」

 

 

 

 

 

そう言って『ビルドストライクガンダム』のデータを纏め保存し、瞬きを1度。

目を開いた時には、新華の意識は肉体に戻り1050室の光景が飛び込んできた。そのままハロOに待機状態で刺していたサヤカを引き抜き放り投げる。放り投げられたサヤカは、空中で体を呼び出し華麗に着地。そのまま新華の隣に座り込んだ。

 

 

 

 

 

「お帰りなさい。なんだかお疲れのようね」

「……はい…。そりゃあ、もう。あ、水頂けます?」

「ここにあるよ。はい、どうそ」

「ん、ありがとさんシャルロット」

「このくらいいいよ。それにしても、時々そうやってじっとしてるけど何しているの? 瞑想?」

「いや、ちょっと電脳世界に潜っててね。色々と頭悩ませてた所」

「え…?」

「本当に頭痛いです…。明日は土曜日ですので、講義が終了し次第ソレスタルビーイングに帰りましょう。ええ、それであの2機の事はしばらく忘れましょう、ええ」

「それが一番いいな…。はぁ、どうしてあんな厄介な物が…」

 

 

 

 

 

新華の発言に簪は素朴な疑問を零す。

 

 

 

 

 

「え、で、電脳世界…? という事は、電脳ダイブ…?」

「あれ、言ってなかったっけ? 安心と信頼の脳量子波です。便利だよね!」

「せ、専用の設備も無いのに?」

「ハロがあるじゃない。サヤカが居るじゃない」

「いや、でも、えぇー…」

「まぁハロが居て集中出来なきゃ無理なんだけどね。それに行ってる間は無防備になるから安全な時にやらんと…。今はサヤカ居るから大丈夫だろうけど」

 

 

 

 

 

水を飲んでPCモードのハロ達から手を離し体を伸ばす。

 

 

 

 

 

「んー……っ。さて、寝るまでの時間はどうするか…」

「あら、暇なの?」

「ええ、まぁ。今までならここでも出来るソレスタルビーイングの仕事をやったり最新機の設計してましたね。でも今はどちらも終わってるんですよね…」

「ふぅん。ちなみに今電脳世界とやらで何をしていたのかしら?」

「ストライクの改良と再設計、新型バックパックの設計と新システムの制作ですね。いつもならこの後にテキトーにネットを彷徨うんですけど、特に見たいサイトとか無いですし。ソレスタルビーイングの仕事はさっきも言ったように以前より少なくなりましたからやる必要がある物も無いんですよねぇ」

「……やっぱりワーカホリックなんじゃないの? ちなみに今まで休日は普段何していたのかしら?」

「ソレスタルビーイングで書類整理とMS開発に防衛機構の見直しと新規開発と戦闘訓練、資金のやりくりに孤児院の子供達の面倒見たりですね。後は意見書とか見たり世界情勢を覗いたり、時々ですけど家で家事手伝ったり実とゲームしてますかね。時々ですけど。自室に戻ったら戻ったでハロ達の整備しますし、あと経済の流れも読まないといけませんからPCモード必須ですね。後は時間が余れば参考書開いて初心に帰り教科書読んでたり、部屋にある精神学や神話の専門書読んだりets…」

「「「(あかん)」」」

 

 

 

 

 

予想以上に新華のプライベートがソレスタルビーイング一色だった事に危機感を覚えたヒロイン's。しかし理系の新華にとっては機械の設計開発は十分趣味に入るので苦とは感じていない。寧ろ機械が『ガンダム』系である事、扱う人の殆どがガンダムキャラである事から物凄く楽しんでいる。ガノタにとっては天国である。

だが転生者でもなければ『ガンダム』というブランドが無いこの世界の住人であるヒロイン'sはそう思わない。2度も死んでいたとはいえ、こんな歳でワーカホリックに足どころか全身突っ込んでいる新華を何とかしなければ…という考えが彼女達に行動を起こさせる。

 

 

 

 

 

「「「し、新華(君)…!」」」

「ん?」

「「「デートに行こう(行きましょう)!」」」

「What's?」

「ふふ…」

 

 

 

 

 

 




最新刊読んでの感想なんですが…。やっぱり専用機組贔屓が酷い。というか一般生徒もそれでいいのか。肉食(笑)。あと会長は職権乱用ですよね?
それと最後の戦闘に関して…。いやぁ新華の負ける姿が全く思い浮かびませんわ。さて、実とマドカのフラグを…。

ああ、時間が無いからガンプラ王用の写真が撮れない…。

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