IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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テラリア始めました。次巻までの繋ぎです。25日に新刊出なかったら自力でオリジナル展開書きます。
今回はガノタがかなり暴走しています。ご注意ください


番外編4 暇を持て余した神々の(ry

 

 

 

 

 

どこまでも真っ白な世界にそれらは居た。黒と赤で彩られた服とマントを身に付けた男性を筆頭に、何十人もの真っ黒な喪服を来た成人の男女達が並ぶ。

そしてその向かい側に立つのは1つの影。そこはかとなく暗くジメジメした雰囲気を持った男。

 

---冥界の王にして最高神ゼウスの兄である『ハデス』である。

 

 

 

 

 

「全員揃ったな。あんな所に行くよりも死人の傷抉りたいんだが…他ならぬ最高神様(・・・・)からのお誘いだ。俺は顔を出したらすぐ帰るから好きにするがいい」

「「「「「「はっ!」」」」」」

「ハァ……億劫だ」

 

 

 

 

 

心底だるそうにハデスが腕を振るうと、真っ白だった世界がハデスを中心に姿を変えていく。彼らが立っていた白い地面は草を生やした緑溢れた大地に、何も存在していなかった空間は木々と鮮やかな青で広がる大空で描かれ、穏やかに雲が流れていた。

 

 

 

 

 

「さて、行くぞお前ら。こういった事は早く済ませるに限る」

「「「「「「「はっ!」」」」」」」

 

 

 

 

 

ハデスを先頭にその集団は迷いなく歩みを進めていく。少し歩くとすぐに多くの声が聞こえてきた。それらの声音は嬉や楽で染まっていたが、対照的にハデスの表情は苛立ちを顕にしていく。

そして視界が開ける場所に出ると、そこでは数多くの男女が宴を催していた。

 

 

 

 

 

---それは1年に1度開かれる神々の宴。

ケルト神話における神の一柱である『マナナン・マクリル』の創りし快楽の園。それを元にゼウスが神々の憩いの場として暇つぶしに創った宴会場である。

 

 

 

 

 

「それじゃ俺はゼウスの所に行くから、お前らは自由にしろ。帰る時は勝手に帰れ」

「「「「「「はっ!」」」」」」

「はぁ~……さっさと済ませるか」

 

 

 

 

 

そう言うとハデスはそのまま移動して宴の中心に居る最高神の元に行く。それを見届けた彼ら---閻魔と部下の死神達は思い思いに行動する。

ある者は興味無さげにその場を去り、ある者は肩を解して宴の中へと入っていき、ある者は所在無さげに宴の中を彷徨う。

そして閻魔は、その宴の中を何人かの死神を連れて歩きとある一団の居る所へと向かった。

 

 

 

 

 

「………」

「お? おーようやく来ましたね『ハデス組』。ちょっと待っててください。今アレス様呼ぶんで」

「ああ。……日本酒はあるか?」

「無論ですよ。はい」

 

 

 

 

 

部下とは別の死神から話しかけられ日本酒の入ったコップを受け取り一団の中へと入っていく閻魔。部下の死神達も思い思いのままに動いていった。

 

 

 

 

 

「……さて、今回は話があると聞いたから来たのだが…」

「ああ、それならアレス様が来た時にお願いしますよ。では、あたしも戻りますね」

「ああ」

 

 

 

 

 

閻魔に酒を渡した、鎌を持った女性の死神は一団の中に戻り他の死神達との談笑を再開した。

 

 

---この一団は魂を管理する者達とその部下達で構成されていた。つまるところ閻魔や死神達の集まりである。

閻魔と言っても新華を転生させた閻魔()だけではなく、多くの世界が存在する為に生まれた閻魔達も居りその姿は多種多様である。

今彼に酒を渡した女性の死神もとある世界において冥界へと魂を運ぶ船頭であり、その死神の上司である閻魔は元地蔵の外見は可愛らしい少女である。

 

とまぁそんな話はさておき、酒を受け取った彼は他の閻魔や死神達のように集まりへと入る事無く近くにあった木に寄りかかってちびちびと酒を堪能し始めた。

彼は魂の管理という仕事に自分を捧げ娯楽や快楽に興味を示さない仕事人間(?)である。アレスが度々彼の元を訪れるものの自ら他の者達と触れ合う事はあまり無く感情の起伏も乏しい。

そんな静かにしている彼の元に、同じく物静かな少女の姿をした死神が来る。

 

 

 

 

 

「こんにちは…」

「ああ、こんにちは。久しいな閻魔 あい(地獄少女)

 

 

 

 

 

とある世界にて、地獄へ死者を流すたった1人の死神である少女、閻魔 あい。どうやら彼女も静かに1人で居たようなのだが彼が来た事で挨拶に来たらしい。

 

 

 

 

 

「お互いにすべき事がありますからね。私もここに来るのは稀ですから」

「だろうな」

「はい」

「……」

「……」

「「…………」」

 

 

 

 

 

2人の間に沈黙が降りるが、2人にとっては全く無問題だった。特に喋る事が無ければ話そうとする事が無い2人である。いつものあいなら彼女に付き添う3体の妖怪+αが、彼には時々訪ねてくるアレスと話している。しかし地獄少女の付き添いとはいえ彼らは妖怪であり天界に来る事はありえない。アレスは今どこかをふらついているのかまだ来ない。

と、そんな2人の所に1人の死神が酔った状態で絡んでくる。

 

 

 

 

 

「おいおい2人で何黙ってんだよ。ヒック。もっと明るくいこうぜぇ~! ヒック」

「…また酔ってるのか、フェアローレン」

「フラウでいいっつってんだろ? それにここは宴の場だぜ? 飲むに決まってんだろうが! なぁあいちゃん」

「……」

「…つれねぇなぁ。ほれ、スマイルスマイル! ヒック」

 

 

 

 

 

あいとは違う世界にて魂の管理者をやっている『フェアローレン』こと『フラウ』。彼は元々『ゼヘル』という、愛故に暴走した先代フェアローレンの一部から作られた死神だったのだが、彼の住む世界にて紆余曲折を経て先代を撃破し彼の使っていた鎌と同化した事でフェアローレンの役目を引き継いだのである。

……最もその先代も今は魂の状態でこの天界にて隠居しているのだが。加えてよく見るとその先代は魂の状態でありながら生前の姿で酒を楽しんでいるのを確認出来る。

ともあれ酒を片手にあいと彼に絡むフラウ。普段なら彼にも付き添いといえる『使い魔(コール)』が居て仕事の催促をしているのだが、その使い魔も今日ばかりは見逃すのだろう、空をフワフワと自由に飛び回っていた。

 

 

 

 

 

「…酒臭いぞフェアローレン。離れろ」

「おうおう、そういや聞いたぜ? アンタ、ガキ1人転生させたんだって?」

「……そうなのですか?」

「…ああ。部下の1人が勝手に魂を弄んだせいでな」

「んでそれの尻拭いと。その馬鹿は一体何やらかしたんだ?」

「…とりあえず離れろ。酒臭い」

「はっはー! 酒飲んでんだからそんなもん当たり前じゃねぇか。いいからほら、言ってみろよ」

 

 

 

 

 

 

フラウが彼の肩に手を置いて話を催促する。が、そこに待ったの声が掛けられる。

 

 

 

 

 

「おっとそこまでだ。今日の話題のメインディッシュをフライングすんなフラウ」

「んあ? なんだアレスか」

「おい待て。俺これでも神だぞ? お前らより偉いんだぞ? なのになんで俺だけ『なんだ』が付いて呼び捨てなんだ。他の神にはお前敬語だろ」

「呼び捨てでいいって言ったのそっちだろうが。それに、他の神よりアレスはかr……親しみ易いんだからよ。その親しみ易さは得だぜ?」

「おい『親しみ易い』の前に何て言おうとした」

「一々気にしてんじゃねぇよ! いいじゃねえか。あそこでシラフで飲んでるあのヤローより仲のいい奴が多いんだからよ」

 

 

 

 

 

フラウが宴の中で全く表情を変えずに酒を飲んでいる先代フェアローレン『アヤナミ』を指差しアレスと比較するが

 

 

 

 

 

「あいつと比べるんじゃねぇよ! というかあいつ何!? 何でか女の死神が寄ってってるじゃん! でも一定の距離保たれてるけど!」

「……前にな、あいつの元部下から話聞けた事あったんだよ。そしたらアイツが人間として生きてた時にさ。アイツの周囲だけ温度下がってたんだってさ」

「なにそれ!? え、何もしてないよねアレ!?」

「生きてた時も何もしてなかったらしいぞ。まぁアレだろ。魂がフェアローレンのオリジナルだったからとかじゃん?」

「じゃあこいつの周りも温度下がっていいよな? 閻魔だし。ってかあいちゃんはそこんとこどうなんだ?」

 

 

 

 

 

などどうでもいい話で勝手に盛り上がる。そんな死神と神に溜息を付き彼は声を掛ける。

 

 

 

 

 

「…はぁ。おいアレス、用が無いなら帰るぞ」

「まぁ待て。今俺はこいつ(フラウ)にあいちゃんの魅力をだな…」

「……閻魔 あいなら既に居ないぞ」

「「何!?」」

「お前達が話している間に別の死神に誘われてあの宴の中に戻っていった。まぁ当然だろうな。お前達は無駄に騒がしい」

 

 

 

 

 

そう言ってコッブの中の酒を飲み一息付く。その顔に僅かな呆れの色を浮かべ彼はアレスに言葉を投げる。

 

 

 

 

 

「で、もう帰っていいか?」

「あ、いや。今日はお前が転生させたあのガキについて詳しい話を聞こうと思ってな。ほら機体もお前が手がけていたし」

「ああ、それで俺にフライングすんなって言ったのか。でもアレスならいつでも聞きに…もとい、見に行けるだろ?」

「あのな、俺だって神だぞ? しかも『ハジマリ』の世界の。神だってそうホイホイ暇が作れる訳じゃねぇって」

「……お前の父親である主がいつも遊んでいる件」

「言うな」

「…いつまでその茶番を続ける気だ」

「おうスマンスマン。まぁ仕事しかしないお前が初めて転生させたんだ。気にならない方がおかしい」

「そうだそうだ。俺にもそのガキの話を聞かせろー!」

「……子供かキサマら」

 

 

 

 

 

嘆息してアレスとフラウに引き摺られ宴の中に連れ込まれる。そこで彼は、今度は話を催促される側となった。

 

 

 

 

 

「確か『ハジマリ』出身のガキだったな。んで今は『IS』世界だっけ?」

「ああ。とはいえその間に1つ世界を渡っているが」

「それが元部下が勝手に創った世界だったな。その世界はどういう世界だ?」

「…『疾走する思春期のパラべラム』という作品の世界だ。あまり知られていないだろうが…」

「………知らねぇ世界だな。どんな世界で、どんな改変されたんだ?」

「異能バトル物だが多大に鬱要素が入っていたな。詳しく知りたければ自分で調べろ。それと大きな改変は無い。概ね原作通りだ」

「でも変わった事はあったんじゃねぇのか? ほら誰もが通る特典とかさ」

「特典は付けられていなかった。それに気付いた時には既に転生されていた。故に下手に弄る事も出来ず、また私に断り無しで転生させたばかりに魂にその世界の能力が焼きついてしまった」

「うへぇ、マズいパターンじゃねぇか。その元部下の奴も馬鹿だな。無理な転生は歪みの元になるっての知らなかったのか?」

「知らん。今はあいつの要望でその世界にある決戦兵器に組み込まれている。その兵器…『サード・プロメテウス・ファイア』が破壊されない限り永遠に時が止まったままの地獄を見続けるだろう」

「おい、ちょっと待て。プロメテウス? ファイア? おいおいおい…あのオッサンの『ハジマリの火』かよ!? しかも3nd!?」

「詳しく知りたければ自分で調べろ」

 

 

 

 

 

そうやって次々と彼に質問が殺到して今の新華へと話題は戻る。新華を転生させた後に少し世界に介入して専用ISを渡した事に始まり、今の落ち着いた状態までを話させられた彼。

 

 

 

 

 

「ふーん。概ね原作通りでヒロインが更識姉妹にシャルロット・デュノアか…。そしてガンダム組が居る、と。他の転生パターンと似たり寄ったりって感じだな」

「原作知識が無く、個人で会社…と言うには規模が大きいがヴェーダがあるから問題無いだろうしこれもあまり珍しくない。戦闘面でのチートも他の転生世界を見れば上の下と言ったところか。人間であろうとしているし」

「寧ろここで注目するのは機体の方じゃねぇか? 3次移行したり自我が発生するのはよく聞くけどよ、操縦者無しでも動けるようになるのは珍しいぜ? 居ない訳じゃねぇけど」

「加えて神に成れる素質を備えているというのは…いつものパターンなら転生者の方が神になるのに」

「ああ、確かにそれもそうだな」

 

 

 

 

 

そしていつの間にか彼を差し置いて勝手に話が盛り上がっていた。基本神とは人間より人間らしく自分に正直である。何か面白い事があればそちらに注目するし、勝手に話を進めていく事もある。

いい加減話し終えたと思った彼はその場から離れ再び木陰に移動する。

 

 

 

 

 

「…はぁ」

 

 

 

 

 

一息付いた彼は空になったコップを片手に疲れたように溜息を吐く。四方八方からの質問攻めだったので落ち着く暇も無かったのだ。正に四面楚歌。

空になったコップを手から消し、その場を後にしようとする。だがそれをアレスが引き止めた。

 

 

 

 

 

「おーい、どこ行くんだよ」

「帰る」

「いやまだ聞きたい事とかあるんだが…」

「もう聞くだけ聞いただろう」

「いや、まだあるぞ。そもそも何でIS世界だったんだ? あの能力なら『なのは』世界やら『ハイスクールD×D』世界の方が能力を見せても不自然じゃねぇだろ。『なのは』世界ならレアスキルとして扱われるだろうし『D×D』世界なら神滅器やら神器やらで扱われると思うし。ああ、『緋弾のアリア』世界なら超偵扱いになるかもな」

「……以前に言ったと思うが? 弄る事が出来る世界がその時『IS』世界だけだったという話だ」

「えー? 親父は他にもさっき言った世界含めて割と持ってた気がしたけど」

「…何?」

「確かに転生者達をぶち込んだ世界も結構持ってたけど、まだ弄ってない世界も持ってた筈だぞ? それもいくらでも転生者作れるように」

「………まさか」

「親父、絶対楽しみ目的でそいつ『IS』世界に転生させるよう嘘付いたな。実際親父はお前の所に行ったんじゃねぇか?」

「………」

「当たりだな」

 

 

 

 

 

彼が顔を僅かに顰めアレスが呆れ顔になる。その会話を聞いていた者達も苦笑している。

 

 

 

 

 

「大方、お前に全部任せると新しい楽しみが生まれないとかそんな考えだったんじゃねぇか? 親父はそういう所抜け目無いからなぁ」

「…だが、何故『IS』世界を? お前がさっき言った作品の世界でもいいだろうに」

「多分展開が読めるからじゃね? さっきも言ったが能力は既に分類される土台がある世界だから騒ぎが起きないし、能力の類が整っていない『IS』世界に転生させる事でどう能力を活かすか見たかったとかそんなんだろう」

「………あのお方は…」

「ま、親父の事だから諦めなって。それともう1つ聞きたい事があったんだ」

「まだ何かあるのか」

「おう。これが最後なんだが……初めて転生をさせた事の感想はどうだ?」

 

 

 

 

 

アレスのの質問に一同が彼に視線を向ける。その視線に動じず彼は質問の答えを言う。

 

 

 

 

 

「……前にも言ったが、魂の管理数が増えて厄介だ。転生させる魂だけなら楽だが、世界を新たに創造するに等しい転生システムは我々魂の管理者にとって負担にしかならん」

「ああ…まぁ、そうだな…」

「だが…」

「お?」

「たまになら悪くはないと思ったよ。神の多くが転生者を生み出したがる気持ちが分かった気がする」

 

 

 

 

 

その彼の感想に、彼の部下と彼を知る者は驚いた。あの仕事一筋でそれ以外に興味を示さない彼がそんな事を言うとは思っていなかったのだから。だが彼に積極的に接触していたアレスはその感想を好ましく思った。いつだって無愛想な彼が、その答えを言う時は良い顔になっているよう思えたから。

 

 

 

 

 

「(やっぱりコイツも笑う事が出来るじゃねぇか。と言っても分かりにくいけどな。時間がある時はなるべく顔を見せに行った俺だから分かるんだよな、うんうん)」

「……どうしたアレス。気味悪い顔をして」

「ひ、ヒデェな!? 気味悪いとはなんだ! ほら、この逞しい肉体を持つこの俺が気味悪い訳が無いだろう!」

「……すまない、訂正しよう。気味が悪いのは顔だけではなかったな」

「そこまで言うか!?」

 

 

 

 

 

2人の漫才にその場は笑いで包まれ、アレス自身も冗談を言っていたのかガハハと笑い酒を勢い良くあおった。

 

 

 

 

 

「っぷはぁー! ほら、帰るにしてももう少し飲んでいけよダチ公!」

「いや、遠慮しておこう。これ以上長居したところで私はお前達の空気について行けん。それにあまり魂の管理を怠る訳にもいかん。増えた分だけ魂の循環システムを監視する部下達の担当も決めねばならんしやることは溜まる一方だ」

「だけどよぅ、たまにはそういった刺激(・・)もいいだろぅー? 毎日毎日代わり映えしない安定した仕事も楽でいいけどよ、少しは何かしらの変化が欲しくね?」

「たまには、な。頻繁にあんな事態引き起こされても迷惑なだけだ。少なくともハデス様が押し付けてこない限りはやらん。それにここに来るのも億劫なのは私も同じ静かな方が(しょう)に合う」

「…そうかい。ま、今日は来てくれただけ良かった方か。話し聞かせてくれてありがとよ! また行く事あるだろうからそん時はよろしくな!」

「ああ。ではな」

 

 

 

 

 

彼はそのまま宴を続ける一団に背を向け離れていった。

ある程度木々の間を歩くと突然止まり、何も無い所で手の平を前に出してジッと動かなくなる。途端彼の居た緑に溢れた世界は彼の手の平を中心に真っ白に掻き消え、瞬く間に元のどこまでも真っ白で何も無い世界へと戻っていた。

 

 

 

 

 

「……さて」

 

 

 

 

 

彼はそのまま移動しいつも自分が居る場所に戻る。何も無くても神々や神界に住む者は何となくで大体分かるという能力のようなものがデフォで付いていたりする。

彼はその場で目の前に1つの画面を出す。そこには彼が転生させた新華が一夏達と共に笑って生きている場面が映っていた。

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

その画を一瞥し彼は画面を消す。どこからか紙を出して文字を打ち込んでいく。…手を動かさずに。

次々と文字が打ち込まれどんどん紙が積まれていく。ある程度積み上がった所で手を振り紙を消した。たったこれだけで先程アレス達に言っていた部下達の担当の決定と、その部下達への通達作業が終わった。

通常の仕事に戻る前に、もう1度画面を出してみる。画面の中の新華はサヤカを連れどこか必死に更識姉妹とシャルロットから逃げている場面が流れていた。

 

 

 

 

 

「………フッ」

 

 

 

 

 

それを見た彼の顔に笑みが浮かんだ。ここ数百年どころか彼が生まれてこの方、浮かべた事が無いであろう表情だったが、生憎誰もその変化に気付ける者は居なかった。

彼はすぐに無表情に戻り画面を消す。既に先に冥界に戻ったハデスから魂が幾つか送られてきており、早速自分の仕事を再開するのだった。

 

 

 

 

 




閻魔様視点でした。ちなみに 神>閻魔≧死神 となってます。
そういえばハーレム物って結構ありますけど、結局最後はメインヒロインを決めて終わるやつが多いですよね。

ん? To Loveる?
いつもお世話になっております

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