IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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123話。
日常回です。シャルロット回でもあります。

BF23話 → 言葉は要らない(´;ω;`)
ガンダム最新作のお知らせ → キタ━(゚∀゚)━! でもTVアニメがよかったなぁ
ヘヴィーオブジェクト最新刊 → き、気が付いたら会計に持って行ってた…。な、何が起こったか(ry
IS最新刊や宣伝 → カーッ(゚Д゚≡゚д゚)、ペッ


早朝

 

 

 

 

 

---早朝、剣道場

 

 

 

 

 

新華はいつもとは違い紺の剣道着を身につけていた。だが相変わらず防具は付けていない。両手で木刀を構え腰を落とし眼前の相手をしっかりと見据える。

相対するのはブリュンヒルデ、織斑 千冬。こちらも珍しく剣道着姿。お互いに相手を見つめ動かない。

 

 

 

 

 

「っ」

「!」

 

 

 

 

 

新華が突然消えたと思うと、気付いた時には新華と千冬が互いの木刀で鍔迫り合いをしていた。千冬は真剣な表情のまま一瞬眉を動かすが、直後新華が飛び退く。

その後ろに下がった新華に追撃するように千冬が飛び出し木刀を振り下ろす。それを新華は難なく受けるどころか受け流した。それにより千冬が体制を崩すかと思えばそんな訳はなかった。

新華の行動を読んでいた千冬は受け流されるであろう一太刀に掛ける力を極力減らし、新華が作る受け流しの流れを強引に断ち切った。そのまま今度は腕を引き新華の首元目掛け突きを放つ。

その突きを、首を横に傾けると同時に構えていた木刀で押し上げ回避する。そのまま千冬の懐に入り斬撃を繰り出そうとするが

 

 

 

 

 

「はっ!」

「っ!」

 

 

 

 

 

千冬が後ろに飛び新華の攻撃範囲から出る。しかし新華は斬撃を繰り出す直前の姿勢のまま、再び姿を消して---否、消えたと錯覚する程の加速をもって千冬に肉薄した。

とある作品で『神速』と呼ばれる技を惜しみなく使う新華。だが世界最強と言われた千冬も持ち前の反射と才能、そしてこの短時間で加速していく思考で相対していた。

斜め上段から新華の木刀が振るわれ千冬が体の軸をずらし避ける。そのまま新華は千冬の横を通り過ぎ背後を取るが、千冬は軸をずらした勢いで反転、新華に一太刀振るった。

 

 

 

 

 

「! ふっ」

「ぬっ!」

 

 

 

 

 

お互いに木刀をぶつけ合い視線を交差させる。そしてそのまま最初は両手で、そのうちお互いに片腕だけで獲物を振るいぶつけ合った。

そして自然と新華は無表情のまま瞳孔を小さくしていき、千冬はだんだんと笑みを浮かべ木刀を振るった。表情がお互いに深くなるのと同じく獲物を振るう腕も加速していった。

 

 

 

 

 

「ハアッ!」

「………」

 

 

 

 

 

千冬は嬉しそうな表情で木刀を振るい新華は鋭い目を更に険しくする。次々に繰り出される木刀と木刀の応酬は音を置き去りにして加速していく。

すると突然、2人が同時にその場から飛び退き木刀を持った腕を引き

 

 

 

 

 

「「………っ!」」

 

 

 

 

 

同時に飛び出し木刀の先端をぶつける。あまりの勢いに一瞬衝撃波が発生するが、新華と千冬は微動だにしない。

そして木刀の先端からヒビが入り、砕け散った。

 

 

 

 

 

「……また決着が着かないとはな。だが、あのままやっていれば負けていたのは私の方だったやもしれんな」

「…ご冗談を。俺の加速に付いてきただけでなくしっかり反撃してきたじゃないですか。それに俺だってギリギリの所はかなりありました」

「ふ、そういう事にしておこおうか。しかしお前の剣、随分と軽くなったのではないか?」

「…そうですか?」

「ああ。無駄な力が消えて、な。それに以前お前の太刀筋から感じていた押し殺された殺気もあまり感じなくなった。まさに憑き物が落ちたように」

「………」

「新華、この間の襲撃の時からお前は…」

 

 

 

 

 

千冬が言葉の続きを言おうとした時、剣道場に居た他の人間が再起動し騒ぎ出した。

 

 

 

 

 

「え、ええええええええ!? し、新華に千冬姉!? 今のは、えっと!?」

「落ち着け一夏」

「落ち着けるかよ! というか2人共、頬切ってる!」

「ん? …ああ、確かにな」

「そら木刀の破片が飛んでたし切るだろ。刺さらなかっただけマシか」

 

 

 

 

 

一夏が慌てて2人に詰め寄り指摘するが、2人は大して驚かずに手で拭った。

 

 

 

 

 

「新華! そんなずさんに怪我を拭わなくても…! ほら、これで拭けって!」

「あ、ああ。ありがとさん」

「千冬姉も! ほら、俺のタオル使ってくれ」

「ああ、すまない」

 

 

 

 

 

一夏が新華と千冬にタオルを渡して血を拭く。すぐにサヤカが救急箱をハロOから取り出して近づいた。

 

 

 

 

 

「やはり木刀が限界でしたか。しかしこうしてはっきりとした自我を得てからお2人の死合を見るのは初めてでしたから、中々に楽しめました。はい、ご主人様。傷薬です」

「ああ、ありがと。しかし見事に木っ端微塵に砕けたなぁ…。これ、掃除が大変そうだ」

「そうですね。ですが重り無しの死合(・・・・・・・)は初めてじゃないですか?」

「まぁ、そうだな。しかも相手が千冬さんだし手加減出来ないし。木刀も勿体無かったかな。というか俺ら木刀がバラバラになるくらいの力で打ち込んでいたのか…」

「途中から音速越えてましたよ? それに織斑さんも楽しそうでしたし」

「だな。しかしこうして打ってて分かる事だけど……銀さんの洞爺湖、どんだけ硬いんさ。俺ら速さを重視してあんまり力入れてなかったけど銀さん達は本気だったろうし…」

 

 

 

 

 

一夏が千冬の怪我を甲斐甲斐しく診ているのを見る新華。何故このような状況になっているのか、それは日が出る少し前に遡る。

体内時計を修正する為に以前通り日の出前から起きた新華はジャージに着替え柔軟をした後に軽くランニングをしていた。日が昇りランニングを終えると、そこに一夏が現れた。

一夏は自分を鍛える為に、新華がソレスタルビーイングに帰ってから密かに自己鍛錬を行っていた。だが新華は射撃訓練やCQCをやるので自然と一夏より早く起きる必要がある故、一夏が来た時にはランニングを終えているのだった。

一夏と入れ替わりになるようにランニングを終えた新華は、訓練場に入り射撃訓練を終える。次にCQCをやろうとした所で千冬が訓練場に来たので千冬とCQCをやって訓練場を出た。そこでランニングを終えた一夏が来て何故かやる気を出した千冬と試合をするという流れになり今に至る。

新華はサヤカから重りを受け取って手首足首に戻してから肩を鳴らす。

 

 

 

 

 

「さて、この惨状をどうにかしないと…とりあえずモップと塵取り持ってきますか」

「いえ、それには及びませんよ」

「あ、轡木さん…」

 

 

 

 

 

新華が片付けをしようと動く前に剣道場の入口に用務員の轡木 十蔵が居た。

 

 

 

 

 

「……あの、いつから」

「あなた方が試合を始める直前からでしょうか。いやはや、いいものを見させてもらいました」

「…そうっすか(全く気配を感じなかった…)」

 

 

 

 

 

新華が戦慄していると応急処置を終えた千冬と一夏がやって来る。

 

 

 

 

 

「あ、轡木さん。おはようございます」

「おはよう、織斑君。千冬君もおはようございます」

「おはようございます。朝からご苦労様です」

「いえいえ、これが仕事ですから。それに今から寮に戻るのではないのですか? 汗を流して登校するだけの時間が少ないと思いますが…」

「あ、本当だ」

 

 

 

 

 

一夏が剣道場の時計を見て声を上げる。そんな一夏を見て轡木は笑みを深める。

 

 

 

 

 

「ここの清掃は私に任せて寮にお戻りなさいな。何、授業が始まる頃には使えるようにしておきますから」

「いいんですか? 俺と千冬さんがやった事ですし、俺達が片付けるべきですが…」

「青木君も千冬君もここ最近でお疲れでしょう? それに私は用務員ですから、仕事を奪わないでもらえると有難いのですよ。タダ飯食らいなどと呼ばれたくありませんし」

「タダ飯食らいなんてそんな…。轡木さんがタダ飯食らいなら、生徒を危険な目に遭わせてしまった私はなんなのですか…」

「千冬姉…」

「………」

 

 

 

 

 

轡木の言葉に千冬が申し訳なさそうな顔をする。千冬は教師としての自分の腑甲斐無さを気にしていた。これに一夏は心配そうな顔しか出来ず、新華は何も言わなかった。

 

 

 

 

 

「……千冬君、そこまで自分を責めるものではありませんよ。確かに生徒を危険な目に晒し青木君が犠牲になりかけた事を鑑みれば、失礼ですが教師失格と言わなければなりません。ですが教師とはいえ人間である事に変わりない。千冬君が出来る事を全力でやったのなら、言い方は悪いですが仕方の無い事です」

「……」

「あまり自分を責めすぎて大事なものを見失わないように。次へと活かす事が出来ればいいのです。人間は完全じゃありません。失敗するのが当たり前。教育者だって間違える事は沢山ある。ならば次に最善と思える行動が出来るよう努力するだけでしょう? ただひたすらに」

「……はい」

「ふふ、肩の力を入れすぎても視野を狭めてしまうだけですよ? そうですね……。私くらいならいつでも相談に乗ってあげますよ? こんな老いぼれでも何か役に立つこともあるでしょうし」

「ありがとうございます」

「それと、青木君や織斑君も何か相談があれば用務員室まで来るといいですよ。出来る限り話を聞きますので」

「ありがとうございます」

「あ、ありがとうございます」

「ふふ。では、掃除を始めますね。早く戻った方がいいですよ? 時間は大丈夫ですか?」

「あ、確かにそうですね。すみません、後はよろしくお願いします」

「ええ」

 

 

 

 

 

新華、千冬、一夏、サヤカが轡木の横を通り寮へと戻ろうと歩く。だが直ぐに呼び止められた。

 

 

 

 

 

「あ、そうそう。最後に1つ、よろしいですか?」

「え? あ、はい」

 

 

 

 

 

一夏が気の抜けた返事を返すが新華と千冬は思わず身構える。そんな2人の緊張を知ってか知らずか轡木は言葉を投げる。

 

 

 

 

 

「私はここの1人の用務員ですが、同時に最高年齢の男であり学園長の夫でもあります。故にこの学園への愛は今勤務しているどの教師よりも強いと自負しています。ですので『守り』にて私に出来る事は何でも言ってください。協力を惜しむ事はしません」

「は、はぁ…」

「……分かりました。お気遣い、ありがとうございます」

「………それは、場合によっては『ソレスタルビーイング』の介入も辞さないという意味ですか?」

「さて、最終的な決定を下すのは私ではありませんので。ですが『その時』がもし来るのであれば分かる事でしょう。そうならない事を願いますが」

「「「………」」」

「さて、引き止めてしまい申し訳ありませんね。後はこちらに任せてリフレッシュして授業に励んでください。学生の本分は勉学ですから」

 

 

 

 

 

そう言って轡木は剣道場の中に入り清掃を始めた。それを見た新華と千冬は轡木の言葉と目に本気の意思と言い知れぬ圧力を感じて同じ事を考えた。

 

 

 

 

 

「「(勝てる気がしない…)」」

 

 

 

 

 

歴戦と言える新華と千冬に気付かれないレベルの気配遮断スキル、雑務をそつなくこなす事務能力、用務員という職に意図的に隠した実力と新華と千冬を受け入れる懐の広さに2人以上の『IS学園』への愛。どれもこれも2人は圧倒されているように感じた。

戸惑う一夏を他所に2人はサヤカを連れて寮へと戻っていった。新華も一夏と別れてシャワーを浴びる為に1050室へと戻る。

しかし1050室を目前にして新華は足を止める事を強いられた。何故なら

 

 

 

 

 

「おはようさん、シャルロット」

「あ、おはよう新華。こんな朝早くからどこに行っていたの?」

「早朝訓練だ。それよりも、前開けてくれないか? 汗流しておきたい」

「あ、うん」

 

 

 

 

 

既に制服姿のシャルロットが居た。迎えに来たのだろうか、少しそわそわしていたが時間的にはまだまだ余裕があった。

ドアを開け早速服を脱いでサヤカに渡す。それを見たシャルロットは顔を赤くしてそっぽを向いた。

 

 

 

 

 

「新華、いきなり着替え出さないでよ」

「ん? ああ、すまんすまん。登校時間までまだ余裕があるだろ? 上がるまで寛いでいてくれ。サヤカ、着替え頼んだ」

「分かりました。デュノアさん、こちらへ」

「あ、うん」

 

 

 

 

 

サヤカに任せてシャワールームに入ると、早速35℃のお湯で汗を軽く流していく。お湯を頭から被り血行が良くなるのを感じながら目を瞑りじっとする。しばらくそのままの状態でいた新華はきっちり1分でシャワーを止め体が冷めない内にバスタオルで水滴を拭きボクサータイプの下着を履いてシャワールームを出る。

しかし当然、部屋の中にはサヤカの他にシャルロットが居るのでちょっとしたハプニングとなる。

 

 

 

 

 

「し、新華!? なんて格好なのさ!?」

「ん? ああ、そういやシャルロットが居たな。いやいつもだったら楯無会長も生徒会に行ってて誰も居ないからさ。サヤカ、制服をこっちに」

「どうぞ」

「サンキュ」

 

 

 

 

 

顔を赤くしながらも新華の体を見るシャルロットをよそに制服へと着替える。着替え終わった所でシャルロットを見ると、顔を見て何やら焦り出した。

 

 

 

 

 

「? どうした」

「いや、新華、その顔の傷は…」

「ああ、これか。いや、ちょっとな。朝千冬さんと木刀での試合をしてたら木刀が逝っちまって…」

「え? 木刀って、篠ノ之さんが以前持ってたアレ?」

「そうそう。それが最後に砕けて、その破片でな。まぁ今は血も止まってるししばらくしたら治るだろ」

「え、ええー…。ちゃんと消毒したの?」

「したよ。いつもだったらしないけど、やらないとサヤカがうるさいからな」

「……新華、ちゃんと自分を大事にしないとだめだよ。新華に何かあったらみんな悲しむんだから」

「でも怪我で一々騒いでたら戦闘に支障が出るから気にしてもいられんし、今更気にするってのも習慣的な意味でアレだし」

「それでも、僕はなるべく新華にこれ以上傷ついてほしくないんだ。それは僕や一夏を含めたみんなだって思ってる事だよ?」

「…でも、な。もう何年も続けていると慣れてくるんだよな、痛みに。今更気を付けろと言われても」

 

 

 

 

 

新華は頭を掻きながら困った顔になる。前世ではパラべラムになるまで虐待を受けて自殺まで考えていたし、パラべラムで戦闘時に痛み程度で止まっていては格好の的になる恐れがあった。今世ではIS()があったとはいえ生身で行動する事も多く、未だに残る傷跡のように負傷する事も多かった。同じように痛みで止まっていれば死に直結するので例え血を流していても動きを止める訳にはいかなかった。

……今思えばその時流した血からDNAを検出され(おとうと)が作られた気がしないでも無いが、今まで兄弟に恵まれなかった新華としては結果オーライとか考えていた。

 

 

 

 

 

「そりゃ新華にとっては今更かもしれないけどさ、僕らとしては気が気じゃないんだよ。新華は体の痛みに慣れてるかもしれないけど、僕は新華が傷つくのに慣れてないし慣れたくない。新華は自分で思っている以上に想われてるんだからさ」

「そう言われてもな……」

「じゃあ聞くけど、もし僕らがこの間の襲撃の時みたいな怪我を負ったとしたら、新華はどう思う?」

「まず相手を滅殺しに行くね。組織立って動いてやられたなら皆殺しとかな」

「…やりすぎだけど、その行動を支えている新華の気持ちはどうなの?」

「どうって……苦しい、かな。自分の力無さと相手に対する憎悪で」

「そう、それだよ! 新華が傷ついた時に僕らが持った気持ちは。新華から見たら僕らは力が無いに等しいかもしれないけどさ、それで新華が死に掛ける事は無いんだよ。そうやって新華が傷付いていくのを見るのは、苦しいんだよ」

「………」

「だから、ね? 今だから言えるけど、新華が傷ついてまで必死になるのは分かる。でも、新華が傷付く分僕らも傷付くって事を分かって?」

「……そうだな。でも、いざという時には怪我とかガン無視して勝ちに、いや、お前らを守りにいくからな」

「う、うーん。守ってくれるのは嬉しいんだけど、素直に喜べないなぁ」

「ま、日常での負傷にはなるべく気を付けるようにはするさ。俺だって自分を好いてくれる娘に辛い想いをさせたくないしな」

「……うん」

 

 

 

 

 

2人で穏やかな笑みを見せて微笑む新華とシャルロット。それをサヤカは嬉しそうにニコニコと眺めていた。

 

 

 

 

 

「さて、そろそろ行こうか。一夏達も居るだろうし待たせる訳にもいかん」

「あはは、そうだね」

 

 

 

 

 

そう言って2人で部屋を出ようとした所にドアがノックされる。サヤカが素早く動き開けると簪が居た。

 

 

 

 

 

「簪さん。おはよう」

「おはようございます、簪さん」

「ん、おはよう新華君、サヤカちゃん…。…? デュノアさん…?」

「あ、おはよう。先に来ちゃった」

「む…」

「ほらほら、簪さん睨まない。一夏達ももう集まってるだろ? 俺達も行こう」

「わかった」

「うん…」

 

 

 

 

 

今度こそ部屋の外に出ると、簪が新華の顔を見て怪我の事を聞いてきた。

 

 

 

 

 

「新華君、その怪我…」

「ああ、さっきシャルロットにも言ったけど朝の訓練の時に千冬さんと遭遇してね。木刀による死合の結果、木刀がお亡くなりになって破片でこうなったという始末でござい」

「えっ、だ、大丈夫なの…!?」

「大丈夫大丈夫。まぁシャルロットに釘さされたし、今後は気を付けるから。簪さんもあんまり心配しないでいいからな?」

「ううん。だって、新華君は気付いた時にはいつも怪我ばっかりしているから…」

「…俺、そんなに負傷してる?」

「「してる」」

「ご主人様、思い出してみてください。まず最初に負傷していたのはいつでしょうか」

「えっと…」

 

 

 

 

 

考える。最初にラウラ戦。新華がブチギレラウラをフルボッコにした直後に苦し紛れのかすり傷。次に学園祭の時に打撲。続いてタッグマッチでの負傷に今日のかすり傷。

 

 

 

 

 

「あー…大小の違いはあれど確かに多いな。入学してそんなに時間経ってない筈なんだが、なんとまぁ」

「その度に僕らがどれだけヒヤヒヤしたか。新華、さっき言ったけど本当に自分を大事にしてね」

「うんうん…。新華君が居ないと、私……」

「ああ、分かったからそんな不安そうな顔をするなって」

「だって、いつの間にか新華君がどこかに行っちゃいそうで…」

「……大丈夫、大丈夫だ。なるべく気を付けるから、な? 俺だってお前らの悲しむ顔は見たくないし、まだ生きていたいしな」

 

 

 

 

 

簪の頭をポンポンと叩き廊下を歩いていく新華。シャルロットと簪が横に並びサヤカが後ろでにこやかについて行く。

ホールに行くと一夏、箒、鈴、セシリア、ラウラが既に集まっていた。

 

 

 

 

 

「おはようさん。さて、新しい日常を謳歌するとしましょうか。改めて、これからよろしくな、皆」

「ああ。よろしく新華!」

「よろしくな、新華」

「改めてって言うのもなんだけどさ、よろしくね、新華」

「よろしくお願いしますわ、新華さん」

「これからも、嫁共々よろしく頼む」

「うん、よろしくね、新華!」

「よろしく、新華君…」

「ご主人様、これからも、よろしくお願いしますね?」

 

 

 

 

 

皆の返事を受けて胸を張り、外へ足を踏み出す新華。その足取りは翼が生えたように軽かった。

 

 

 

 

 




この小説で出番の少ない千冬さんと轡木さんを出してみました。轡木さんはガノタの中で最も格好良い人物として書いています。
木刀シーンは銀魂をイメージしました。戦闘シーンの銀さんのカッコ良さは異常。
次回も日常?になりそうです。いつになるかは分かりませんけど最新刊出たら早く投稿出来ると思われます。

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