IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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今回で主役フルボッコが可能な機体になります。
形態移行させる為に主人公に無理させました。
しかし…また長くなってしまった…。投稿当初はあっさり終わらせて原作介入させようと思っていたのに…


モンド・グロッソ---誘拐、形態移行

 

 

 

---第2回モンド・グロッソ決勝会場

 

 

 

「さてと…会場はここか」

「やっぱ人多いな。それに広いから簡単に迷いそうだよな」

「というか決勝戦に千冬さん居るんだぞ? 見に来ないのは、何かしらの理由で来れない奴か、全く興味が無い奴、中継で見てる奴位だろ。TVで見る奴らが殆どだろうがな。オレらの様な子供2人だけの奴は居ねぇだろ」

「ハロッ!」

「やっぱそうだよなー、いくら千冬姉ぇの紹介があったからって言ってもせめて新華の両親位は居てくれればなぁ」

「しゃーねーだろ。千冬さんが用意出来たのがオレらだけの分だったんだし。まぁそれで千冬さんを責めるって事はねェがな」

 

 

 

『モンド・グロッソ』。21の国と地域が参加して行われるISによる世界大会。格闘部門など様々な競技に分かれて、各国で選抜された『国家代表者』が競う。それぞれの部門で優勝した人物には称号『ヴァルキリー』が送られ、総合優勝者には最強の証『ブリュンヒルデ』の名が与えられる。一夏の姉織斑 千冬は第1回めの大会で見事優勝しており、第2回のこの大会でももう優勝が目の前である。

一夏と新華はその千冬から招待状を貰いはるばる日本からやって来た。一夏は純粋に千冬の活躍が観たいようだが、新華は念のための一夏の護衛を千冬から頼まれていた。実際新華は現在含めて常に半端ない重りを身に付け生活しており、それらを全て外せば千冬に生身で勝てるレベルになっていた。しかも知っての通り新華は、常識知らずなIS『蒼天使』ことOOクアンタを常時所持しておりこの大会に出場している国家代表に余裕で勝てる程の性能と実力があるので、何かあっても安心だと言えた。更にはハロも持ってきて居るのでたった1人のかなりの戦力がある事になる。

 

 

 

「で、千冬姉ぇの試合が始まるのはいつだ? 千冬姉ぇに会いに行くなら早めにしたほうがいいだろ」

「まだ時間が有るからな、だけど早く行った方がよさそうだ」

「どうかしたのか? さっきからきょろきょろしているけど。トイレか?」

「シンカ、トイレカ?、シンカ、トイレカ?」

「ん? ああ、そんなところだな…………………さっさと行こう。時間が惜しい」

 

 

 

新華は、本人が未だに気付いていないNTの能力で何か不吉な予感を感じていた。決勝戦が行われると言う事で、会場の内も外も興奮や期待で熱くなっているが、子供2人に対する怪訝な視線の中に紛れて監視や獲物を狙う視線を幾つも感じており、更に現在歩いている通路にスタッフから観客に至る誰も居なかったのが嫌な予感を増幅させていた。

 

 

 

「そういや、この通路誰もいないな。案内役の人が居れば千冬姉ぇの控え室の場所聞けるのに」

「そうだな。更に言うとこの会場に居る観客の声やざわめきでここで何かあっても聞こえないだろうな」

「確かになー。賑わうのは良いんだけど迷子とか居たら見つけにくいしな」

「ニクイ、ニクイ」

 

 

一夏は特別意識していないが、剣道を幼い頃やっていた事もあってか周囲の様子に敏感である。それに加え人の感情に鋭く、先程新華が慎重に周囲を警戒していたのに気付くほどである。中学に上がってからは生活費を稼ぐ為にバイト三昧の日々を送り鈍ってきてはいるものの、人より敏感な方を維持している。この敏感さを何で恋愛に持っていけないのか…と弾と新華は嘆いているが。

 

 

 

「しかし弾と鈴が物凄く来たがっていたよな~。2人共千冬姉ぇが苦手っぽいハズなんだけどな?」

「そりゃこの年代で外国行ってみたいってのは誰にでもある願望だろ。それに普段TVで見ている有名な物を直で見れるんだったらそれに越したことはないしな」

「そうだな。でもそしたら弾と鈴に悪いことしたな、置いてきちゃって」

「千冬さんから名指しで来たらしょうがねぇだろ。帰ってから自慢出来れば(・・・・)自慢してやりな………」

「? 新華?」

 

 

 

2人しか居ない通路で新華が止まりそれを怪訝な顔で見る一夏。新華は今まで自分たちを見てきた視線が監視から狩者のそれになったのに気付いた。

すると目の前の曲がり角から2人ずつ、後ろの通路から更に3人、明らかに対人装備の武装を身に付けた男たちが現れた。目の前の真ん中の通路から1人スーツの女性があらわれた。

 

 

 

「織斑 一夏君と青木 新華君で合ってるわよね?」

「?!? え、ええ。そうですけど………」

「………………………」

 

 

 

一夏は突然現れた謎の集団に驚いているが、隣の新華は既にこの状況を脱する方法を考えていた。

 

 

 

(前に5人、後ろに3人。女以外は対人装備であの女は恐らくISを持ってる。P・V・Fとハロを使うか…)「あんたら何が狙いだ?」

「あら、そっちの新華君は状況が分かっているみたいね。なに私達と一緒に来て欲しいだけよ」

「え、ええと? あなたたちは一体誰なんですか? 俺たちに来て欲しいって?」

「一夏、聞くだけ無駄だ(一夏、俺が合図したらハロを持って後ろの2人を突破しろ。前の5人は俺が引き受ける)」

「(!? な、何言って………)」

「何かしようとしているみたいだけど、こっちも仕事なのよ。だから」

 

 

 

一夏と新華が小声で何か話しているのを、何かしようとしていると察したスーツの女は部下に2人をさっさと捕まえるよう命令を出す。

 

 

 

「大人しくしやがれクソガキ」

「走れ一夏!」

「! うおおおおおお!」

「ハロ~」

 

 

 

計7人の男たちが動き出す。女の声と同時に新華が叫び、場の空気を察した一夏は、新華に言われた通りハロを抱えて後ろに走った。

 

 

 

「はっ、捕まりに行ったか」

「おらぁ!」ドゴォ

「!?! な、何!?」

 

 

 

新華は自らが手首足首に付けていた重りを外して前の5人に投げつけた。重りは2つ床に有り得ない音を立てて落ち、残る2つは女と側にいた1人に直撃。男は防弾チョッキを身に付けていたがその上から凄まじい衝撃を受け崩れ落ちる。女はISを部分展開させ重りを叩き落としたが腕に痺れが残った。

 

 

 

「何なんだコイツ………だがもう1人を捕まえちまえば」

「------ッシッ」ダダダダダダン!

「「「「「「「「「なっ!!!」」」」」」」」」

 

 

 

新華は軽くなった体で跳躍、イドアームズ『no name』を展開し一夏が向かった先に居た3人の腕と足を打ち抜いた。一夏は目の前で男3人がいきなり倒れたのに驚き、武装集団は新華の見せた身体能力と3人を打ち抜いた技量、P・V・Fに驚きを隠せない。

 

 

 

「一夏! ハロを前に投げて全力で走れ!」

「! おりゃぁ、うおおおお!」

「ハロ~」

「! ちっ、逃がすか!」

 

 

 

新華の指示通りハロを誰もいない前方の廊下に思い切り投げる一夏。ハロはそのまま通路を転がって行き一夏は全力で走る。新華の能力のせいで呆然としていた女だったが、すぐさま部分展開だったISを完全に展開し新華と一夏に向かう。

女のISは黄と黒でカラーリングされ背中から8つの独立した装甲脚を持った蜘蛛の様な異様な容姿だった。

 

 

 

「!? 『アラクネ』!? まだアメリカで実験段階のはず………! まさか『亡国機業(ファントムタスク)』か!?』」

「てめぇ、なんで知ってやがる!? ちっ、逃がさねぇ…!」

 

 

 

新華がISを見てその機体名を言い当て所属を看破する。束と行動を共にし、ヴェーダで情報を確認出来る新華は『アラクネ』の情報までは知っていたが強奪された事までは知らなかった。

しかし実際には亡国機業構成員が代表候補生に紛れているので強奪はまだ行われていない。

 

 

 

「時間はかけらんねぇ、ハッ」

「!! 一夏! ぐっ」

「うわっ、新華!?」

 

 

 

アラクネが瞬間加速(イグニッションブースト)で体当たりを仕掛ける。新華は進路上にいた一夏を突き飛ばしno nameで障壁を張って防ぐが、空中で受けてしまい壁に叩きつけられた。

 

 

 

「カハッ、ぐっ」

「大人しく寝てやがれ!」

「新華! うわっ、離せ!」

「ガァ、い、一夏…」

「何なんだコイツ、オラァ!」

「アガッ」

「新華! ぐっ…」

 

 

 

新華は首を締められ殴られ気絶した。一夏も遅れて追いついた男たちに抑えられ眠らされた。

 

 

 

「ちっ、時間を掛け過ぎた。さっさと移動するぞ」

 

 

 

意識を失った2人を会場の外に運び出す男たち。誰にも気付かれないように移動を開始する。

 

 

 

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「うっ(俺としたことが…一夏は…無事か。俺は縄じゃなく鎖か)」

「起きたみたいだなクソガキ」

「………どうせここが何処か聞いても無駄だろうな」

「はっ、わかってんじゃねぇか」

 

 

 

薄暗く何もない部屋だった。そこに一夏と新華は椅子に縛り付けられていた。一夏は縄で、新華は鎖で雁字搦めに。

 

 

 

「…目的はなんだ? もし俺らの誘拐だったらこんなところじゃなく何かしらの施設で別々に隔離ハズだが?」

「このガキ何もんだ? テメェに聞かせる意味はねぇよ」

「………成程、シスコンを利用した千冬さんの大会連覇の妨害か。亡国機業も依頼とはいえこんな事するなんてな。世知辛い世の中だ」

「!?!? なんなんだテメェはさっきからゴチャゴ…チャ………」

「どうしたクソビッチ、その汚ねぇ息を止める気になったか?」

「…おい、てめぇ、その目は何だ? 『ヴォーダン・オージェ』じゃねぇ…」

「当たり前だ。あんな人工の劣化物(デットコピー)と比べんな」

 

 

 

ヴェーダから情報を引き出し現状を確認した新華はイノベイターとしての目を女に見られる。女は見たこともない虹色に光る目に動揺していた。

 

 

 

「どうやらお前らの目論見は成功したみたいだぞ、千冬さんがこちらに向かったらしい」

「!? なんでここの場所が分かった!? それ以前に何でてめぇがそんな事」

「教えるとでも思ってんのか?」

「っちぃっ! テメェは生かしちゃおけねぇ…!」

 

 

 

女は『アラクネ』を展開、新華に銃口を向ける。しかし新華もただで殺されるよりも千冬が来て誰かを抑えるまでの時間稼ぎをする為に、今までの経験で培った殺気をモロにぶつけて女を硬直させた。因みに一夏はまだ眠っている。

 

 

 

「………………」

「………………」

 

 

 

新華の殺気でビリビリなってる部屋で動かない、動けない2人。しばらく睨み合いが続き、女が銃を下ろす。

 

 

 

「ちっ、なんて殺気だよテメェ」

「負け惜しみか? 糞ビッチ」

「うぅん…」

「…あぁ、コイツがいたか。こいつは気に食わねぇしテメェより弱えぇもんなぁ。もしかしてコイツに手を出させない為にしゃべってたのかお前?」

「………………」

「はっ、ダンマリってこたァ図星かァ? 大した『友情』…いや『忠誠』か? これは」

 

 

 

一夏が新華の殺気に当てられたのだろう、顔を歪ませてうめいた。それに気付いた女は下ろした銃を一夏に向けた。新華は女の言葉に耳を傾けていなかった。それに黙っているのはこの状況をどう脱するか考えているためだった。女の言うとおり新華は一夏に意識を向かせない為に女を挑発していた。しかしそれも意味が無くなり、更に耐性も着いてしまったのか、新華の殺気を受けても女は動けるだった。

OOクアンタは装甲が体に服の様に展開するので鎖で全身を拘束されているこの状況では起動出来ない。P・V・Fも同じで展開出来ない。

起動時に展開する場合はいつも腕の装甲を収納してからP・V・Fを展開している。

 

 

 

「さて、コイツを殺したらあの女やテメェはどんな顔をすんのかねぇ? アッハハハハハ!」

「コイツ…!」(このままだと一夏が…千冬さんはギリギリ間に合わない!)

「ん、うう…」

『………ちかー! 一夏ー!』

「丁度良いタイミングだで来やがったなぁ!」

ズバッ!「一夏! …! 新華!?」

「クソッ!」(間に合ったけど最悪だ! コイツ本気で撃つ気だ!)

「作戦は成功だな! じゃあ、土産だ!」

「! 一夏ぁ!」

「くっ、一夏…!」

 

 

 

千冬は大会から専用機『暮桜(くれざくら)』の単一仕様能力(ワンオフアビリティー)『零落白夜』で部屋の扉を切り裂き入ってきた。一夏だけでなく新華も捕まっているのを確認して驚くが、アラクネを纏った女が一夏を殺そうとしているのを見て拭き取んだ。

女が引き金を引く時

 

 

 

(また、また目の前で人が、今度は罪もなんにもない身近な人が殺される)

(また見殺しにするのか? 一兎の時の様に)

(力があっても、力を制御出来ても、守りたいものを守れなくては意味が無ぇ)

(俺の力は最初は壊す為のものだった)

(だけど今は何かを守る為の力だ)

(力は使う人によって変わる。OOクアンタはP・V・Fのカモフラージュだった)

(でも何かを守れる力でもある)

(だったら………!)

 

 

 

新華の腰にある待機状態のOOクアンタが光り出す。同時に鎖が悲鳴を上げる。

 

 

 

(守って見せろぉ! 青木 新華ぁ!)

「! な、なんだ!?」

「!? 新華!」

「う、眩しい」

 

 

 

まばゆい光りが部屋を照らし衝撃と共に鎖が砕ける。新華はその光を纏いアラクネを突き飛ばす。

 

 

 

「………」

「グッ、なにが起きやがった!?」

 

 

 

光りが収まってそこに居たのは、OOクアンタをベースとしたIS。右肩にあった大剣は腰に、左肩のシールドは3つになり背中と右肩に増加、膝から下は青い滑らかな曲線のある大きなものに。そして頭を含めた全身装甲に特徴的なツインアイ。そして右腕に身長程もあろうかという大きさの銃器。

 

 

 

「まさか『蒼天使』…!? このガキがか!?」

「………」

「新華、まさか…」

「ん? ち、千冬姉ぇ!? それに、まさか『蒼天使』!?」

 

 

 

アラクネの女は新華が『蒼天使』ということが信じられないようで叫ぶ。千冬は目の前の現象に心当たりがあって新華に声をかけるが新華は何も言わずにアラクネを見据えており、目を覚ました一夏は千冬と蒼天使が目の前に居る状況に驚いていた。

千冬の暮桜にプライベートチャンネルが繋がる。

 

 

 

『…千冬さん、一夏を開放してやって下さい、俺がこれに乗っている事は内密に』

「新華…!? その機体は」

「くそっ、舐めるなぁー!」

『………』

 

 

 

新華のISに向かいISのナイフを構え瞬間加速で仕掛ける。しかし新華はナイフを持った手首を掴み握り潰した。アラクネの手首は嫌な音を立てて落ち女は慌てて後退するが

 

 

 

「はああぁ!」ズバッ!

「ぐああっ! て、てめっ!」

『………』ダンッドガッ

「ぐ、ぐううぅじょ、冗談じゃねぇ!」

 

 

 

後ろに居た千冬が零落白夜で切りつけそこに新華が蹴りをかまして部屋の外に出し、追撃するため部屋の外に出る。千冬も追いかけようとしたが、後は新華に任せ一夏を開放することにした。

 

 

 

「一夏!」

「千冬姉ぇ! 試合は!?」

「そんなことより一夏は大丈夫か!? どこか違和感は無いか?」

「あ、ああ。大丈夫…あれ、新華は? あいつISに押さえつけられていたけど…!」

「………大丈夫だ、今は別の場所で安静にさせている」

「よ、よかったー。ってそれとさっきここに居たISって『蒼天使』なのか、千冬姉ぇ! 形が違ったみたいだけど…」

「ああ、恐らく第2形態移行(セカンドシフト)だろう。私が来たとき、まだ前の姿だったからな。とにかく、お前は戻って精密検査を

受けろ。それと安静にするんだ」

「ああ、分かったよ千冬姉ぇ」

 

 

 

千冬はそのまま一夏を連れ会場に戻った。新華はアラクネの女を追いつめるが詰めが甘く、コアを抜き取って自爆され逃げられた。その後千冬と共に一夏や関係者をごまかし帰国した。

この事件により第2回モンド・グロッソ決勝戦は優勝候補の織斑 千冬が不戦敗と言う結果になり関係者を騒がせた。千冬は、一夏の誘拐場所の情報を独自の情報網で見つけ伝えたドイツに、見返りとしてISの教官として1年間出向くこととなった。

更に新華のIS『蒼天使』ことOOクアンタの目撃情報もあったため更に関係者は騒いでいた。しかもOOクアンタは第2形態移行して更に強化され名称を『Evolve(進化する)クアンタ(粒子)』と変更、ステルス性と戦闘能力、反応速度が大幅に上がり各国のどのISよりも圧倒的に強力な無所属ISが完成した。

 

 

 

 




新華は完全にチートです。重りは服の下にNARUTOのリーが付けている物の重量UPの色違いです。
OOクアンタは一夏や弾など、千冬と束以外の人物の目の前で展開はなるべくしたくないと思っているから、新華は展開しませんでした。P・V・Fにいたっては、『蒼天使』を模して作ったのをハロに入れていたとごまかしてます。
ISの女性は「オータム」です。原作で『アラクネ』の強奪経緯が不明だということなので、自己解釈で、オータムが『アラクネ』のテストパイロットを務めていて、完成次第亡国機業に持っていくというふうに考えました。
アラクネと聞いて『ぶるらじ』の綺麗なアラクネが出てきた自分は悪く無いと思う。

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