IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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121話。
原作読み直して思ったんですが…もしかしなくても『くーちゃん』ってワールドパージの元凶の『クロエ・クロニクル』だったりします?

それと今話はガノタが色々と暴走してます。次回新たな設定書きますが、とりあえずぶっ飛んでいる所があるのでお気を付けください。


ワールドパージ編終了
事後処理


 

 

 

 

襲撃者達を撃退し日常へと帰る為の事後処理で慌ただしいIS学園。

新華は思い切り泣いた後に検査を受け、1050室へと戻っていた。傍には包帯やガーゼを貼った楯無の姿もある。サヤカは現在、空気を読んでハロと共に部屋の外で待機しつつソレスタルビーイングと連絡を取っていた。

 

 

 

 

 

「会長、怪我の方は大丈夫なんですか?」

「大丈夫大丈夫。この程度でへこたれてちゃ学園最強も更識当主も名乗ってないわよ。…貴方の方こそ大丈夫なの?」

「それこそ問題無いですよ、お陰様で。それどころか、すこぶる気分が良い。これも含めて、ね」ガシャン

 

 

 

 

 

新華は楯無の問いにP・V・F『ストーリーズ・イレギュラー』を展開する事で答える。

つい先程までその装甲の表面に多数の亀裂が入り、今にも壊れそうで尖った印象を持っていたそれは、今では

 

 

 

 

 

「ほら、もうこれだけ傷が治ってる」

「それだけじゃなくて、色が付いたわね。以前は色が全く付いていない状態だったのに、蒼が所々に入っているわ」

「さらに言えば、『safe』レバーも復活してます。もう全体的にオーバーホールしたって言っても差し支えありませんね」

 

 

 

 

 

亀裂はだんだんと完全修復に近付き、以前よりも丸くなった印象になった。ただ、変化はそれだけではなかった。

 

 

 

 

 

「しかも、これも」ガシャン、ガシャン

 

 

 

 

 

今度は『no name』だったもの(・・・・・)を展開し前に出す。以前は無骨なまでに塗装がされていないような灰色の装甲だったが、今では右肩から小さな翼のようなパーツが浮かび装甲は輝くような白を手にいれていた。

 

 

 

 

 

「綺麗になったわね…」

「『ライフ・ジャッジメント』…『命の審判者』。それがこいつの名前があった場所に刻まれていた新しい名前でした。どこの厨二ですかね」

「いいんじゃない? しかし見れば見る程、芸術品ってくらいに綺麗よね」

「ははは……照れますね。でも正直、こうなるなんて思いもしなかった…」

 

 

 

 

 

新華はP・V・Fを解除してベットに腰掛ける。そして楯無も、新華の横に腰掛ける。しばらくの沈黙の後、新華が言葉を紡ぐ。

 

 

 

 

 

「……今回は、ご迷惑をお掛けしました。ただ、どうかP・V・Fの事は心に留めておいてもらえると助かります」

「…それは勿論よ。でも新華君?」

「何ですか?」

「何か忘れてない?」

「……何の事ですか?」

「………」ジーッ

「………」ダラダラダラ…

 

 

 

 

 

至近距離で新華の顔を見つめる楯無と、必死に目を逸らす新華。新華は自分の察しの良さを呪った。

楯無の言っている『忘れていること』。それは深層心理世界でのキス。不幸(?)にも新華は記憶を失っていた時の事も全て含めて思い出していた。一夏達にもそれは連絡済みである。故に3人からの想いは自覚済みであり、更に新華にとって質の悪い事に新華自身も満更でもなくなってしまっていた。

今までは『自分の罪』を理由に拒絶する事も目を逸らす事も出来た。だがそれを受け入れたうえで自分の事を想ってくれる楯無、簪、シャルロットの事を、新華は拒絶出来なくなっていた。

 

 

 

 

 

「………こっち向きなさい」

「凄まじく嫌な予感がするんで拒否権を行使します。今そっちを向いたら本当にナニかが終わる気がするので」

「あの時は新華君も自覚するだけの余裕が無かったものね。でも大丈夫。心のファーストキスは終わったから、後は実際にスルだけよ♪」

「何か吹っ切れましたね会長!? 押しが強すぎませんか!?」

「ふふっ、新華君はちゃんと以前のノリに戻ったわね」

「……あっ」

 

 

 

 

 

新華が顔を戻して楯無の顔を見ると、楯無は安心したように微笑んでいた。不覚にも新華はその笑みに見とれるが、すぐに自分も笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

「…はははっ」

「うふふ。本当に、良かったわ。最近の新華君は見ていられないくらいだったから」

「そうですね。自覚はあります。でも、それが正しいと思ってやってましたから。だた限界が近かったのは確かです」

「それが、あの時の新華君の姿に影響してたのね。でも、間に合ってよかったわ。凄く不安だったのよ? 新華君が居なくなりそうで。でも結果としては新華君の過去も見れて、ある意味では襲撃者さんに感謝するべきなのかしらね?」

「流石にそれはどうかと思いますよ…。本当だったらこのP・V・Fの原理も俺の記憶も墓まで持っていくつもりだったんですけどね」

「私にとっては今までの疑問の多くが解消されたわけだから、軽くなった気分よ」

 

 

 

 

 

そう言って楯無は新華の肩に頭を乗せ、自分の右手と新華の左手を絡めた。

 

 

 

 

 

「本当、新華君がここに居てくれて、よかったわ…」

「か、会長…」

「刀奈」

「え?」

「更識 刀奈(かたな)。それが、私の本当の名前。日本刀の『刀』に大と示すの方の『奈』で『刀奈』」

「『刀奈』…。また、すごいネーミングセンスしてますね、ご両親は」

「あ、そういう事言「でも、いい名前だと思いますよ」っ!」

「うん、いい、というか綺麗な響きですね。俺はそう思いますよ」

 

 

 

 

 

 

そうして新華は憑き物が落ちた自然な微笑みを楯無---刀奈に向ける。刀奈はその顔を直視して顔を赤らめ俯く。ちょっとあまりの嬉しさににやけ顔を止められないようである。

 

俺らも止められないけどね!(メメタァ あ、シン? どうした別作品に顔出して。え? ほっとけ? 出来るかそんなもん。ある意味これ書く為に執筆してきたんだぞ。メタイのはやめろ? 今更だろうが。お前とルナマリアの間に子供作らせるぞ。……満更そうに顔を赤らめんじゃねぇよ畜生! 何だ、非リア充である俺に対する当て付けか!? でもお前と新華、そして2次オリ主達なら許す! 一夏、てめーは駄目だ。死ね。今すぐでいいから原作で爆死してきてくれ。そうすりゃ各二次小説執筆している人達全員で爆笑してやるから。ザマァ! ってな!

あ、シン何いい笑顔して手を上にかざして…ってマークデスティニー来たぁ!? おい、何を…

 

>フットベエエエ!

>ギャアアアアアア!?

 

 

 

 

 

「…ん?」

「ど、どうかしたの?」

「いや、何か久しぶりに電波を受信したような…いや、何でもありません」

「……そう」

 

 

 

 

 

それ以上の言葉を2人は発しない。刀奈は新華の体温を感じながら手を握り、新華は今の状況を理解して顔を赤くするが、自分以外の人の温もりが心地よくて動かなかった。

しばらくして、刀奈が新華に話し掛ける。

 

 

 

 

 

「……ねぇ、新華君。こうして2人きりの時は、私の事を名前で呼んでくれないかしら?」

「え…でも、それは…」

「それと、会長って呼ぶのも禁止。外では『会長』なんて余所余所しくしないで『楯無』って呼んで。それと、そんな堅苦しい敬語も禁止」

「…どうして行き成り?」

「別に行き成りって訳じゃないわ。以前から考えてた事だからね。貴方に名前で呼ばれて、私も名前で呼んで…。貴方は1人じゃないって証拠になると思ったから」

「そうですか」

「でも、それだけじゃないわよ? 新華君、更識家の当主が自分の名前を他人に、それも異性に伝えるってどういう意味を持っているか知ってる?」

「……何となく聞いてはいけないような気が…」

「聞きなさい、真面目な話なんだから」

 

 

 

 

 

刀奈が再び顔を近付けて新華の目を見つめる。

 

 

 

 

 

「更識家の当主の名前の『楯無』。そこに隠した自分の名前を、異性に伝えるって事はね? その人を一生逃がさないって事を意味するの。それがどういう意味か、分かる?」

「ええっとですね、つまりは…えっとその」

「好きよ、新華君。ずっと前から、大好きっ」

「っ」

 

 

 

 

 

そう言うと刀奈は新華の首に手を回して体重を掛け、新華を押し倒し顔を更に近付ける。新華は何をしようとしているか察したが、刀奈のあまりの行動の速さに対応出来なかった。

目を閉じた刀奈の顔が迫り、唇が触れ合いそうになる時、部屋のドアが勢い良く開けられて刀奈の動きが止まる。

 

 

 

 

 

「させませんよ、生徒会長!」

「お姉ちゃん…!」

「しゃ、シャルロットに簪さんか! た、助かtt「お姉ちゃんに独り占めさせない…!」……えっ」

「さ、更識さん!? そうじゃないでしょ!?」

「あっ、う、うん…。と、とにかくお姉ちゃんは新華君から離れて…!」

「あらあら…もう、あとちょっとだったのに」

「……どうしよう、ある意味危機が去った筈なのに安心出来ない。役得だけど凄く困った事になった…」

 

 

 

 

 

新華がベットに横になったまま天上を見上げ呟く。だけど新華に悲壮感は無かった。これから騒動の時のレポートを出す事になるだろうし後始末に駆り出される事、記憶喪失だった時に滞っていたソレスタルビーイングの仕事など、これからやる事は沢山思い浮かぶ。だけど今の新華は、もう1人じゃない。

流石にソレスタルビーイングでの仕事は1人でやらざるを得ないが、それでも自分のやってきた事が無駄じゃないって事を証明された事で気が軽くなっていた。そう思った所で新華は、以前3人に言ってなかった事を思い出した。

体を起こして3人に声を掛ける。

 

 

 

 

 

「…そういえばまだ、礼を言ってなかった…。会長、簪さん、シャルロット」

「…新華君、名前」

「……わかりましたよ、『楯無』会長。…これでいいですか?」

「敬語」

「…流石にそれは勘弁してください」

「名前呼び…!? いつの間に!」

「さっきよ」

「それはいいとして、以前ソレスタルビーイングで俺にサンドイッチ作ってくれただろ? あの時の礼を言ってなかったからな」

「あ…新華、覚えててくれたんだ」

「ああ。本当はその場で言えたら良かったんだけど、知っての通りあんな状態だったからな。遅くなったけど、ありがとうな、3人共」

 

 

 

 

 

そう言うと新華は3人に頭を下げた。その新華の行動に慌てた簪とシャルロットは新華に頭を上げるように言う。

 

 

 

 

 

「し、新華!? なにも頭を下げる程の事じゃないよ。頭を上げて!」

「顔を上げて…! 喜んでくれたなら、それでいいから…!」

「…あの時は素直に受け取れなかったけど、ちゃんと全部食べさせてもらったよ。美味しかった。今更だけど、ありがとう」

「喜んでくれたならまた作ってあげるから! だから頭を上げてってば!」

 

 

 

 

 

そうして寮の1室で4人が騒ぐ中、部屋のドア付近ではサヤカが微笑んでその光景を見ていた。

 

 

 

 

 

「ご主人様…幸せそうで何よりです」

 

 

 

 

 

その腕にハロを抱えてサヤカは本当に嬉しそうにしていた。サヤカにとって新華は仕える主人であり持ち主であると同時に父親的存在である。その新華の幸福はサヤカにとっての幸福と同等だった。

そんなサヤカにも今回の騒動を経て変化が生じていた。何も変わったのは新華だけではない。

 

 

 

 

 

------3次移行(サード・シフト)

 

 

 

 

 

2次移行(セカンド・シフト)ですら稀なのにも関わらず起きた進化。新華が受け入れられた事と、サヤカがオリジナルと言える宮田 彩香先生と会った事、創造主である閻魔との再会、これまでの戦闘経験が重なって起きた現象だった。

内容は、ガンダムOO世界で言う所の『ELS化』。サヤカが初めて生まれた時に一瞬だけ、一夏達が見た姿となっていた。この姿になった事で出来るようになった事は『完全自立化』。つまり『Evolveクアンタ』というISに操縦者が必要無くなったという事。サヤカがその気になれば新華を乗せないまま戦闘行為が可能となっていた。

だが、サヤカはそれを良しとせずに金属部を後退させて2次移行の状態へと偽装し、見た目(・・・)は元通りにしていた。

武装は変わらなかったものの全体的な性能が底上げされており、更にサヤカによるファングや胞子ビットといった覚醒兵器の制御補佐、αユニットとFユニットの並列起動といった鬼畜仕様に変貌し現存する全ISが同時に襲ってきたとしても問題無いくらいになっていた。

だがこれだけで終わらなかった。

 

 

 

 

 

------複数能力(マルチ・アビリティ):『自立化』『トランザム』『神化(しんか)』『MS化』

 

 

 

 

 

……最早ISとは呼べないナニカへと進化していた。だがサヤカはそれすらも偽装というか情報の改竄を行い以前の単一能力(ワンオフ・アビリティー)としている。

なぜここまでISで居ようとするのか。それはひとえに

 

 

 

 

 

「ご主人様……これからも私は、あなたと共に在り続けます。また共に、空を駆けましょう。これからも、ずっと」

 

 

 

 

 

新華への愛だった。病んでる気がしなくも無いが、新華が彼女を手放したりしない限り問題は無いだろう。

そうして彼と彼女達は日常へと戻っていく。かけがえのない絆と、無敵という言葉が生温い力を手に入れて…。

 

 

 

 

 

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ここで終わると思ったか? 残念! まだ続くぜ! シンにボコされたとしても新華の幸せを願って書き続ける! というか新華とヒロイン達のイチャコラが書きたいんじゃー!

 

 

 

 

 

IS学園への襲撃から2週間。新華はソレスタルビーイング院長室で死んだように眠っていた。

新華が復活して数日後にソレスタルビーイングにある自宅に帰宅した時、まず弟の実がソファで死んだように眠っているのを発見した。聞くと新華不在の為に仕事に実が巻き込まれていたのだという。

それを聞いて新華はすぐさま管理棟の院長室に向かった。そこで死に掛けのメリオルに捕まり、そのまま1週間貫徹と相成った。

その結果がこれである。だが唯一の救いは

 

 

 

 

 

「ご主人様、起きてください。更識家当主様と簪さん、デュノアさんが来てくれましたよ」

「がー………」ZZZ…

「……起きない…」

「まぁ、しょうがないよね。これだけの書類を片付けたんだもの」

「私達が出した差し入れが効いたみたいだけど、流石に限界よねぇ。サヤカちゃんが手伝った事で何とかなったみたいだけど、本当に優秀よね」

 

 

 

 

 

刀奈、簪、シャルロットの差し入れによる気力と根気の持続と、進化したサヤカとヴェーダの演算による手伝いによる効率の数倍化の恩恵だった。結果として新華が死に体になったが、それでも1週間で終わらせた事は奇跡と言えた。

 

 

 

 

 

「まぁ、ゆっくり休ませてあげましょう。私達はこの書類の山をどうにかしないとね」

「整理はこちらで指示します。まずは更識家に送る書類から始めましょう」

「そうね。どれくらいになりそう?」

「以前送った時の2倍は覚悟してください。それ以外の殆どはMSに関する事だったりするので処分が多いですけどね」

「分かったわ。…前回の2倍って、ちょっと憂鬱ね」

「お姉ちゃん…私も手伝うから、頑張ろう…?」

「ああ、ありがとう簪ちゃん…」

「僕はここで新華のフォローに回りますね」

「…抜けがけは無しよ?」

「生徒会長が言いますかそれを。でも新華にそんな余裕は無さそうなので多分出来ないでしょうし、僕もデュノア社に一旦帰らなきゃいけないので」

「そうね。じゃ、始めましょうか」

 

 

 

 

 

そう言って4人は書類を整理していく。とは言っても新華の几帳面な正確上整理されているのでそこまで時間は掛からなかった。

『更識家行き』『確定』『保留』『破棄処分』に分けて1段落。しかし新華は起きない。

 

 

 

 

 

「ふうっ、これで全部かしら」

「はい。これで終わりですね。これでご主人様の仕事は保留分の整理と各施設の見回り、職員の人達の休暇ローテーションの見直しに政府方面の方々との面談くらいでしょうか」

「…まだ新華に暇は訪れそうにないね」

「こればかりは、仕方ありません。ハロの修理や実さんを始めとした専用機持ちの方々のMS整備は私が何とかするとして、ご主人様には少し眠っていてもらいましょう」

「でも新華の性格上、起きた後もまた無茶しそうだなぁ」

「適度な休息を取ってもらうので、そこは問題無いです。ご主人様の人生はまだまだこれからですし」

「そう、ね。今度は私達が新華君を支えて幸せにしてあげないと」

「うん…」

「はい」

 

 

 

 

 

4人で意思を固め、未だに死んだように眠る新華を見た。その顔には深い隈が出来ていたが、どことなく穏やかに眠っているように見えた。

その後新華が起きたのは2日後で、IS学園に戻るまで更に3日の時間を必要とした。

 

 

 

 

 




タイトル詐欺だったような気がしなくもない…。

最近、新華 in 『なのは』とか考えてます。『なのは』世界なら新華のP・V・Fもレアスキルで片付けられますし、テンプレですがフラグも建築できます、新華なら鈍感のままで。更に言えばすずかorアリサルートで平和掴めますし、フラグ立てなくても問題無いと思います。
ただ高確率で人修羅と先代巫女が出ます。ええ、知る人は知るあのMUGENストーリーに影響されてます。

多分書きません。

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