IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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明けましておめでとう御座います! 96話を投稿致しますです!

最近バイトで『炒飯』を素で『ディアッカ』と読んでしまう…
そんなガノタとこの小説を、今年もよろしくお願いします!


一夏の誕生日

 

 

 

 

---一夏の誕生日、ソレスタルビーイング院長室。

夕方、新華は仕事に励んでいた。頭を抱えながら。

 

 

 

 

 

「あー…この案件は当主(会長)の所に持っていかないとなー…」

 

 

 

 

 

ペンを片手に書類の整理をしていく。キャノンボール・ファスト時にMSがISを撃退出来たという事で、政府からのMS提供要請やAGEシステムに使う資材の補充、ガードシェルの再生産、MSパイロット達への給料増加など大量に金を消費する事になってしまった。

 

 

 

 

 

「うぁー…金が飛んでいく…しかもこの桁…以前じゃあ考えられなかったな…。………今更だが、う詐欺はどうやってラボ維持してたんだ? 今は亡国機業に世話になってるだろうからいいけど、俺と一緒に行動してた時は…えっと、くーちゃんとの生活費にIS開発費、ラボの電源…は開発してたからいいと…しねぇよ。開発費に入るな。うーむ…」

 

 

 

 

 

そう言って首を傾げながらも手は止めない。前世とソレスタルビーイングを創設する以前までは手元にある金額など多くて10万くらいしかいかない。しかし組織や施設は大きくなれば大きくなる程、それだけ使う金も大きくなる。7、8桁があっさり動くのを見ても、慣れるしかなかった。

 

 

 

 

 

「どうするか…このままだと経費が回らなくなる。電力は核で賄えるから考えなくてもいいけど、食費や職員の人達の人件費が掛かる…。やっぱりMSの販売もそろそろ視野に入れるべきか…」

 

 

 

 

 

うんうん唸りながら書類との睨めっこ。今の新華は書類仕事で目が疲れてきた為に眼鏡をしていた。同時に机の隅には栄養ドリンクが置かれている。

 

 

 

 

 

「MS研究所の事もあるし、今夜も徹夜になりそうだな…。父さんや母さんも以前はこういう感じで仕事してたのかも。頭が上がらないなぁー…」

 

 

 

 

 

なんて現実逃避しながら手を止め椅子に寄り掛かる。時計を見ると17時頃を示していた。

 

 

 

 

 

「あー、実はちゃんと着いたかね? 一応一夏へのプレゼントは持たせたけど」

 

 

 

 

 

新華は一夏の誕生日プレゼントを実に持たせて送っていた。ソレスタルビーイングの仕事が忙しいのと新華が抱く一夏達への引け目故だった。

 

 

 

 

 

「…人殺しは幸せな奴らを横目に、表の皆さんの為に身を粉にして裏作業に励みますよっと。一夏ん家には専用機持ち達も揃ってるし、何かあっても問題無いだろ」

 

 

 

 

 

背伸びをして首を鳴らし机に視線を戻す。『一夏の幼馴染』から『院長』へと思考を戻す。

 

 

 

 

 

「さて、現実逃避もこれくらいにしておこうか。書類をさっさと終わらせて防衛機構の見直しをしよう。ハイペリオンのアルミューレ・リュミエールも問題無い事が分かったし、これでソレスタルビーイングのアルテミス化が可能になる。何としても早急に完成させなければ…」

 

 

 

 

 

今度は新しく空中にディスプレイを呼び出し操作する。

 

 

 

 

 

「後は販売用にジムかダガーを出すか。研究所上に回そう。レイスタとデスペラードも販売用でいいな。ザクとドムはまだ早い。…ドダイ開発しようかなー」

 

 

 

 

 

ペンを逆手に持ってディスプレイを操作していく間、ねんどろいど状態のサヤカが処理済み書類を片付けていく。ハロも器用に頭に物を載せて動き手伝っていくが、新華にはその姿がどうしても

 

 

 

 

 

「…スライムもりもりだよなぁ…。あんな動き、プログラムもインプットもした覚えねぇんだけど」

「「「ハロ?」」」

「…何でもない。…サヤカがやった訳じゃねぇよな?」

『------』

「だよなぁ…」

 

 

 

 

 

どうしても、とあるドラゴンなクエストのゲームでの主人公スライム的な動きにしか見えなかった。サヤカもその動きの理由は分からないと言った。

 

 

 

 

 

「まぁ、それは後回しにして…まだ書類こんだけあるのか。ダルイなー…」

 

 

 

 

 

そう言いながらも手を動かせて作業を再開する。

 

 

 

 

 

「サヤカ…ってかクアンタの改良もしたいしなー。ほんと、早く終わらせないとガチで徹夜になっちまう。睡眠時間は確保したいのになー…。あ、そういえば俺、自分に労働基準法適応してなかった。…いいや、見直すのもメンドイしこのままで」

 

 

 

 

 

かなりマズイ事を言いながらペンと書類を動かし、時にはハンコも押していく。腕がそろそろ限界に近付いてきていた。

 

 

 

 

 

「…腕が限界に来ようとも、真達の為にも仕事を遅らせる訳にはいかないな。インパルスやハイペリオンの改修もそうだが、政府からのカナードさん達へのちょっかいも警戒しないと…。街の人達に協力を求めるか…。スーパーと比べて格段に人とのふれあいがあるから助かるよなぁ…。兎に角、自治体の人達と今度話をしないと…。ここのところ、スケジュールがキツキツだなぁ…」

 

 

 

 

 

新華の仕事量は、生徒会やハロを使ってIS学園で処理していても膨大だった。比例して腕の疲労も蓄積されていった。

と、そこで院長室のドアがノックされる。

 

 

 

 

 

「どうぞ」

「入るわね新華君」

「当主、いい所に。当主に渡す書類があるので今ハロFが運んでる書類と棚の書類、持っていってください」

 

 

 

 

 

入ってきたのは楯無だった。楯無は一夏の誕生日会に行かずソレスタルビーイングに押し掛け、新華との時間を少しでも作ろうとしていた。

 

 

 

 

 

「…新華君、少しは休んだら?」

「………そこの書類で多分全部です。用が終わったらさっさと帰る事をオススメします」

「…どうしてそこまで私を、ううん、私達を突き放そうとするの新華君? ついこの間までは一緒に笑ってた間じゃない」

「答える気はありません。…あ、そうだった…この案件も済まさないと…」

 

 

 

 

 

新華は楯無を全く見ずに書類に目を通しながら頭を掻く。

 

 

 

 

 

「…手伝いましょうか?」

「余計な事はしないでください」

「…つれないわね。もう少し愛想良くしたりはしないの?」

「…いい加減しつこいです。仕事の邪魔をしないでくれませんか? …よし、資材の確保は出来たな。後は…」

「………」

 

 

 

 

 

新華は楯無を拒絶する。とそこでまたドアがノックされた。

 

 

 

 

 

「どうぞ」

「新華、今大丈夫?」

「ん…」

 

 

 

 

 

ドアから顔を出すのは姉に付いてきた簪と楯無に便乗する形で乗り込んできたシャルロット。シャルロットは一夏の誕生日を他の専用機持ち達に任せ新華の傍に居たくて、簪は新華という人物を見極め自分の感情をハッキリさせる為に。

 

 

 

 

 

「…サンドイッチ、作ってみたから…。新華君のお母さんに聞いたら、小腹が空く時間だって聞いて…」

「集中力を持続させる為に甘い物を挟んでみたんだ。良かったら食べて。一緒にコーヒーも入れたよ」

「…………」

『------』

 

 

 

 

 

サヤカが机から飛び人形態になる。簪とシャルロットの所まで歩き、簪が持っているコーヒーとサンドイッチの載った御盆を受け取る。

 

 

 

 

 

「はい…」

『------』

「出来れば感想が欲しいなぁーなんて…」

「………」

『------』

「………」

 

 

 

 

 

新華は無言で作業を続けサンドイッチに手を伸ばさない。それを見たシャルロットと簪は楯無と顔を見合わせため息を付く。

 

 

 

 

 

「…新華君、あの日にサーシェスって人を殺してしまった事、まだ気にしてるの?」

「、……」

「…確かに耐性の無い簪ちゃんや織斑君には刺激が強すぎたけど、敵を倒した事に変わり無いわ。結果として私達を守る事になった」

「………」

「『誰もやらないのなら俺が殺る。どんな扱いを受けようとも』。以前そう言ったそうね? でもそれじゃあ新華君は…」

「それ以上喋るな」

「でも、そこの所をハッキリさせておかないと、新華君は皆と…」

「喋るなと言った。まだ喋るなら強制的に黙らせるぞ」

 

 

 

 

 

新華は手を止めて楯無を睨む。その目には有無を言わさぬ力が宿っていた。

 

 

 

 

 

「新華君…」

「俺は俺のしたい事をしただけだ。殺したいから殺した。それだけの事」

「でも、そんな事を言っていると誤解が広がって…」

「黙れと言っている。誤解も何も、俺が人を殺して嗤ったのは事実だ。何を誤解すると言うんだ」

「でも…」

「もういい加減にしろ。当主だからと言って何でも出来ると思うな。今から追い出してもいいんだぞ」

「…」

「し、新華、何もそんな風に言わなくても…」

「そっちも喋るな。用が無いならさっさと出て行け。仕事の邪魔だ」

「なっ!?」

「新華君…!? そんな言い方…!」

「聞こえなかったのか? 出て行け。そして俺に付き纏うな。いい加減に俺とお前らとの埋めてはいけない差を自覚しろ」

「埋めてはいけない、差って…」

「………チッ」

 

 

 

 

 

新華は舌打ちをし視線を書類に戻す。その横で人形態のサヤカが謝罪する様に頭を下げていた。

 

 

 

 

 

「………」

「…簪ちゃん、デュノアちゃん、行きましょう」

「え、でも…」

「今新華君に何を言っても無駄みたいよ。それに、これ以上ここに居ると本当に追い出されちゃうわ。引き際も大事よ」

「……わかりました。…新華、サンドイッチちゃんと食べてね」

「…また、明日」

「…新華君、私は新華君の味方だからね?」

 

 

 

 

 

3人が退室し部屋にはハロ達の駆動音と新華が作業をしている音だけになった。サヤカは悲しそうに新華を見つめるが、しばらくすると簪とシャルロットが作ったというサンドイッチを新華に勧めた。

 

 

 

 

 

『------』

「トウブンセッシュ、トウブンセッシュ」

「シュウチュウリョクコウジョウ、シュウチュウリョクコウジョウ」

「テヅクリ、テヅクリ」

「………五月蝿い。静かにしろ。集中が途切れるだろうが」

『------』

「…黙ってろ。俺は食べるなんて一言も言っていない」

「モウウケトッタ、モウウケトッタ」

「タベルベキ、タベルベキ」

「モッタイナイ、モッタイナイ」

「…いらん。後で仕事してる人に配ればいいだろ。仕舞っておけ」

『------』

 

 

 

 

 

その時、サヤカが初めて新華の意思に逆らった。サヤカがサンドイッチを持って新華の口に強引に持っていく。

 

 

 

 

 

「………やめろサヤカ。手が邪魔だ。仕舞えと言った筈だぞ」

『------』

「おい、こらやめろ! 何をっ、ごっ!?」

「ハロッ! イイカゲンニタベロ! イイカゲンニタベロ!」

「モッタイナイ! モッタイナイ!」

「ゴウジョウヨクナイ! ゴウジョウヨクナイ!」

「お前ら…! むぐっ!?」

『------』

 

 

 

 

 

ハロOが飛び跳ねて新華の額に直撃、続いてハロαとハロFも新華に何度も飛びかかる。それを排除しようとした新華だったが、隙を突かれて口にサンドイッチをねじ込まれてしまう。

 

 

 

 

 

「もごっ! がふっ、むぐむぐ…」

『------』

「………ああ、分かってるよクソッタレ! 甘いよ! りんごジャム入りだよ!」

「オチツケ、オチツケ」

「オチケツ、オチケツ」

「オイシイ? オイシイ?」

「…甘いんだよ…。こっちのは…あむ、チョコだな…ん、バナナ入ってる…クレープかよ…」

『------』

「…………」

 

 

 

 

 

新華は次々とサンドイッチを手に取り、途中で止まって頭を掻き毟る。

 

 

 

 

 

「………くそっ! 甘いな、このサンドイッチも、俺も…。結局食べちまってるじゃんかよ…。あの3人を俺から離さないといけないのに…」

『------』

「3ニン、ヤサシイ、3ニン、ヤサシイ」

「ハナレテナイ、ハナレテナイ」

「メゲナイ、メゲナイ」

「…あそこまで拒絶して、何で離れてくれないんだよ…。あの惨殺現場を見て恐怖を覚えた筈なのに、もう俺は昔のように皆の中には帰れないのに」

 

 

 

 

 

コーヒーを啜り、ため息を1つ。

 

 

 

 

 

「…俺なんかじゃなく、一夏の方に行けよガキども…。いい加減、俺を苦しめるな。俺は、誰かから好かれる資格は無いんだ…」

『------』

「…だから、突き放す。俺が全てを一夏や実達に、俺に本気で怒ってくれる父さんや母さんに、安心して任せられるように。何時死んでもいいように。俺の罪に巻き込ませない為に」

『------』

「……下らないお喋りは終わりだ。仕事に戻るぞ。ハロO、食器を片付けておけ。ハロαとFは待機。サヤカは書類の整理をしておいてくれ」

「「「リョウカイ、リョウカイ」」」

『------』

「…礼は言わない。それで、少しでもあの3人が俺を嫌いになって離れてくれれば僥倖だ。それよりも今消費した時間が惜しい。早く終わらせねば…」

 

 

 

 

 

新華は作業を再開する。甘い物を摂取した事で作業効率が上がったが、新華は嫌われる為に礼を簪とシャルロットに言う気は無かった。言える筈が無かった。

サンドイッチを食べていた時からP・V・Fに痛みが走っていた事から、本当は礼を言って皆と居たい衝動から目を逸らし押し殺す。夜はこれからである。

 

 

 

 

 

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---side 更識姉妹&シャルロット

 

 

 

 

 

院長室から追い出されてから、3人は以前も泊まったゲストルームの1室に集まっていた。

 

 

 

 

 

「…はぁ、追い出されちゃったわね」

「うん…。ちゃんと食べてくれるといいな…」

「サヤカも居るから、きっと食べてくれるよ。ただ感想は聞けそうにないけどね…」

「そうね。今の新華君は私達と一緒に居たくなさそうだったし」

「うん…」

 

 

 

 

 

3人は新華に拒絶されたのがかなりショックだった。楯無は新華が頑なに自分達を離そうとしていることに気付いて困り果て、簪は新華の拒絶の態度に傷つき、シャルロットは新華が自分達を本当に拒絶しているとは思えなくて戸惑っていた。

 

 

 

 

 

「…生徒会長の言葉で新華は怒り出した気がするんですけど…」

「う、や、やっぱり?」

「うん…。お姉ちゃん、何を言おうとしたの…? 誤解って、何…?」

「それは…」

 

 

 

 

 

楯無は以前新華が一夏と弾に言っていた事を2人に話すかどうか迷う。楯無は部下からの又聞きで、直接新華から話された訳ではない。故に勝手に話してもいいか迷う。

と、そこでシャルロットの携帯に連絡が入る。

 

 

 

 

 

「あ、ごめんなさい」

「…いえ、大丈夫よ。それより、早く出なさいな」

「はい。…あ、新華のお母さんからだ」

「あ…そういえば、サンドイッチの中身で相談したんだった…」

「多分、その事じゃないかな。ちょっと失礼します」

 

 

 

 

 

そう断ってシャルロットは電話に出る。少し話した後に通話を切り姉妹に向き直る。

 

 

 

 

 

「えっと、話が聞きたいから3人で新華の家に来て欲しいって」

「そうなの…?」

「うん。サンドイッチの事で相談した僕らはともかく、生徒会長も行きますか?」

「ええ、勿論。じゃあ、行くなら早めに行きましょう。お母様を待たせる訳にはいかないし」

 

 

 

 

 

そう言うと楯無はさっきの話を誤魔化すように準備をして部屋を出る。簪とシャルロットはお互いに顔を見合わせ楯無を追った。

 

 

 

 

 

---side out

 

 

 

 

 

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---side 織斑宅

 

 

 

 

 

一夏の家には新華とシャルロット、更識姉妹を除く箒、鈴、セシリア、ラウラ、布仏姉妹に、五反田兄妹、黛 薫子に御手洗(みたらい) 数馬(かずま)の大人数が集まっていた。

 

 

 

 

 

「せーの」

「「「「「一夏、お誕生日おめでとう!」」」」」パパパァン!

「お、おう。サンキュ」

 

 

 

 

 

鈴の掛け声で全員がクラッカーを鳴らす。一夏はリビングに居る人数の多さに驚きながらも、メンバーの中に新華と、新華の所に行っているであろう更識姉妹、シャルロットが居ない事を寂しく思った。

 

 

 

 

 

「やっぱ新華は来ないか…」

「一緒に生徒会長と更識さん、それにシャルロットも来てないわね。多分ソレスタルなんちゃらに行ってるんでしょ」

「『ソレスタルビーイング』だ、凰。キャノンボール・ファストの時に何かあったようだったから、その後始末か何かだろう。それが終わったとしても、来るかどうかは別だがな」

「そう、だよな。…そういえば、数馬は新華とあんまり会った事、無いよな」

「ん? ああ。青木はいつもお前らと居ても妙なタイミングの悪さで会わないし、そもそも学校自体にあまり来なかったからな。あまり青木の事知らないんだ」

 

 

 

 

 

数馬と新華は知り合いだが友人という程ではない。今言った通り一夏と弾が居て新華が居ない時や、そもそも新華が学校に登校していない事が多かったからだ。新華の思考に数馬が全く出てこないのもこのためである。

 

 

 

 

 

「友人の友人って事で仲良くしようとは思うんだけど、中々会わないんだよなこれが。ソレスタルビーイングって言っていたけど、何?」

「ああ、新華がやってる施設の事なんだ」

「…青木『が』、『やってる』? どういう意味だ?」

「そのままの意味よ。新華本人が、直接、経営してるの。しかもISと相討ちに出来る兵器を開発しながらね」

「………昔から思ってたけど、もうぶっ飛んでるよな、青木って。訳分かんなくなってきた」

「考えない方がいいぞ? 俺らは慣れたからアレだけど、一々考えてたら頭が持たない」

「…そうするよ」

 

 

 

 

 

数馬が諦め、女子達が場の空気を変える為に一夏にアピールを開始する。まずは蘭のケーキに始まり、鈴のラーメン、セシリアからティーセットのプレゼント。庭でラウラから軍用ナイフをプレゼントされ、箒から着物をプレゼントされていた。

ちなみにその間ずっと弾と虚は仲良さげにイチャイチャしやがっており、本音や蘭、数馬に弄られていた。リアジュウメコノヤロウイチャコラシヤガッテ・・・スエナガクバクハツシロ

箒から着物を受け取り部屋に戻った時、家のインターホンが鳴った。

 

 

 

 

 

「ん? こんな時間に誰だ?」

「ちょっと出るな。皆はそのまま楽しんでてくれ」

 

 

 

 

 

そういって一夏はボードゲームを出してる鈴達を尻目に玄関に向かう。外に居たのは新華の弟の実だった。

 

 

 

 

 

「こ、こんばんはー…」

「あれ、実君…だったっけ」

「あ、はい、織斑さん。兄貴からプレゼント受け取ってるので、上がってもいいですか?」

「新華から…? あ、ああ。いいぞ」

「すいません。失礼します」

 

 

 

 

 

一夏の後ろに続いて織斑宅に入る実。リビングに入ると驚きの声が上がった。

 

 

 

 

 

「え、青木か!? 来れたなら一夏か弾に連絡すればいいのに」

「あ、初対面の方ですね。俺は兄貴の、青木 新華の弟の実って言います。はじめまして」

「お、弟? そんな話は聞いた事無いけど」

「そこの所は気にしないでください。それより、兄貴から織斑さんへの誕生日プレゼントを受け取ってます。それの受け渡しに」

「え、新華からのプレゼント!? そういえばそんな事IS学園で言っていたわね…」

「作ったって言っていたからねぇ~。一体どんなのだろ~? もしかしてハロとかかなぁ~?」

「まぁ、俺も知らないんで開けてからのおたのしみです。はい、織斑さん。お誕生日おめでとうございます」

「あ、ああ。ありがとうな」

 

 

 

 

 

実が抱えていたプレゼントの箱を受け取る一夏。早速開けそこに入っていたのは…

 

 

 

 

 

「…白い、鳥?」

「何これ? 丁寧にパッケージされてるけど…」

「かわいいね~」

 

 

 

 

 

真っ白の小さな鳥のロボットだった。一夏が箱の中身を取り出すと鳥以外にもコードや台座、取り扱い説明書が入っていた。

 

 

 

 

 

「えっと、ペットロボの『トリィ』だってさ。この台座が充電器で、コンセント差して乗っければいいんだって」

「ペットロボ? ってことはハロみたいに何か物を入れられるの?」

「えっと…それは出来ないらしい。でもパソコンと繋げて行動プログラムを組めるらしい。…ほら、ここにUSBの差し込み口が」

「ほんとだ~」

 

 

 

 

 

一夏の周りに全員が群がる。人数が人数なだけに集まると密着する事になる。一夏は女子達が至近距離に居る事でトギマギし、弾と虚は顔が近くなりお互いに顔を赤くサセヤガッテコノヤロウ…、数馬はそれらを見てパルパル…ワカルゾソノキモチ。

一夏は新華の作った説明書を見てトリィの電源を入れる。

 

 

 

 

 

「えっと、ここにあるスイッチを入れて…と」

『トリィ!』カチャ

「「「「「「おおー!」」」」」」

 

 

 

 

 

白く小さなトリィは己の翼を広げ、実際の鳥のように足を動かして足場を確認する。それを見た一同は感動で声を漏らす。

 

 

 

 

 

「ちょ、これってもしかすると飛べるんじゃない!? 新華の事だから無駄にそういう事出来そうだし」

「あー…確かに兄貴ならやりそうですね」

「…どうだ?」

『トリィ!』

 

 

 

 

 

一夏の言葉に答えるようにトリィは己の翼を広げ羽ばたく。一同は歓声を上げるが1部は

 

 

 

 

 

「………」(゜д゜)

「…数馬、気持ちは分かるけど戻ってこい」

「まぁ、個人で作った鳥が羽ばたきだけで飛べばそうなりますけど…青木君ですからね…」

「ですね」

「はっ!」Σ(゚д゚)

 

 

 

 

 

数馬は再起動を果たし皆で騒ぎ出す。しかし皆のテンションは直ぐに一夏を筆頭にして沈黙する。

 

 

 

 

 

「…? どうしたんだ一夏」

「いや、新華はコレを夏休みに作ったって言ってたからさ…」

「そうなのか?」

「ああ。それで、作ってる所想像したら…」

「「「「「「………」」」」」」

『トリィ?』

 

 

 

 

 

トリィが一夏の肩に留まる。一夏達はそのトリィを見て新華の制作風景を思い浮かべる。新華がノリノリで作っている所を。今の拒む態度ではなく、一夏達を喜ばせようと思い制作している風景を。

 

 

 

 

 

「………新華にお礼、言わないとな」

「そうだな。『親しき仲に礼儀あり』という。きちんと礼は述べねばな」

「ああ」

『トリィ?』

「そういえばこのトリィってハロみたいに喋るのかしら?」

「あ、確かに。どれどれ…」

 

 

 

 

 

一夏は肩にトリィを乗せたまま説明書を読む。一夏の周りには新華と違い、一夏自身の人柄で人が集まっていた。

 

 

 

 

 

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--------------

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「お、良かった。売り切れは無いな」

「ですね。早く買って戻りましょう」

『トリィ!』

 

 

 

 

 

一夏と実は一夏宅最寄りの自販機に買出ししていた。一夏の頭には新華におけるサヤカのように、トリィが乗っていた。

 

 

 

 

 

「すっかり懐きましたね、トリィ」

「そうだなー。えっと…箒がお茶で鈴が烏龍茶、ラウラがスポーツ飲料でセシリアは紅茶…と」

「んで、五反田さんが午後ティーで蘭さんが鈴さんと同じ。あとは…」

 

 

 

 

 

2人で飲料を買い手に持っていく。トリィはハロとは違い収納が出来ないらしい。

 

 

 

 

 

「さて、戻ろうか」

「はい。ん?」

 

 

 

 

 

実と一夏は少し離れた街灯の影に誰か居るのに気付いた。その距離は自販機で何かを買うには離れすぎて、かつ一夏の知り合いではなかった。

 

 

 

 

 

「………、っ!?」

「君は…M、だったね」

「……また会ったな、貴様とはこれで3度目か」

「ち、千冬姉…!?」

 

 

 

 

 

影から出てきたのは素顔を晒したMだった。実は冷静に、再び会えた事を認識する。

 

 

 

 

 

「…今日は世話になったな」

「え…?」

「いやいや。それで、今度は名前を聞かせてくれるのかな? 『サイレント・ゼフィルス』の操縦者さん」

「なっ!? じゃあ、学園祭に居た、あの!?」

「ふんっ…貴様に名乗るのは癪だが、いい機会だ。聞け、織斑 一夏。私はお前だ(・・・・・)

「な、何…?」

 

 

 

 

 

一夏は2人と自分の温度差に戸惑う。そして、彼女の顔が姉の千冬に似すぎている事に動揺を隠せなかった。

 

 

 

 

 

「…私の名前は織斑 マドカだ」

「え…」

「マドカ…」

「私が私たるために…お前の命をもらう」

 

 

 

 

 

そう言ってマドカは拳銃を一夏に向け引き金を引く------

 

 

 

 

 




新華の眼鏡は簪と同じ理由ですが普段は掛けません。

新華がハロと来らトリィでしょう。ちなみに最近思い出しました。主人公はシンですし種デスでも殆ど空気でしたから。
というか御手洗 数馬ってキャラ、6巻分を書くまで知らなかった&忘れてました。原作のパーティで喋ってないんで、こっちで勝手に喋らせてます。その言い訳として新華と接点が無い事にしました。
まだsideは終わってませんよー。次回は一夏、実sideからの予定です。
では、今年もよろしくお願いします!

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