IS~疾走する思春期の転生者~   作:大2病ガノタ

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新華の、幸せなひととき


中学1年(表)---欲しかった日常

 

 

 

---中学校教室

 

 

 

「なぁステイルー」

「俺の顔にはバーコードはねぇし魔術も使えねぇからな。取り敢えず、何も言うな………」

「ちょっと待ちなさいよ一夏ー!」

「ちょ、(りん)やめっ」

「そりゃー!」

「ハロ~」

「あぐしっ」

 

 

 

時は過ぎ、新華、一夏、(ファン)は中学生になった。現在は昼休みの教室に新華、一夏、凰、そして中学に上がってから新たに友人となった五反田(ごたんだ) (だん)の4人で過ごしている。中学に上がってからはこの4人で過ごしている事が多く、学校以外ではこれに弾の妹の(らん)を加えた5人で遊んでいる。凰は仲良くなったこの面子(めんつ)に、呼びやすい様に(りん)と呼ばれるようになった。

 

 

 

「ハロ~」

「おー、お帰りーハロ。よくあのカップルから生還したな」

「コイツ、俺が敢えて言わなかった事を………」

「これで本当に付き合ってたら良かったんだがな」

「だから今更言うなと」

 

 

 

新華と弾は仲良くなってから、同じ苦労人気質を互いに感じたのか意気投合し、ここ数年で磨きがかかった一夏の唐変木っぷりに呆れていた。

そう、今更ではあるが一夏は超が付く程の唐変木である。具体的には----

 

 

 

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---回想:学校の屋上---side 新華&弾

 

 

 

「おい、どうだ新華見えるか?」ヒソヒソ

「…この位置からならギリギリってところかな? 変な所で気付きやすいからなあいつは」ヒソヒソ

「ところで声はどうすんだ?ここからだと微妙に聞こえないぞ? こんな装備で大丈夫か?」ヒソヒソ

「大丈夫だ、問題ない。一夏の制服の胸ポケに盗聴器を仕込んどいた」ヒソヒソしながらドヤァ

「どんだけぇ~」ヒソヒソ

 

 

 

現在2人は屋上の貯水タンクの裏にいた。弾が、一夏がラブレター貰って告られるみたいだから見に行こうぜ! と言ったのが発端だった。新華は小学生の頃から一夏の鈍感を見てきたので結果は分かりきっていたが、弾にそれを教える意味でも必要なイベントだと思い今に至る。

 

 

 

「そろそろだぞ、準備はいいかこの野郎、さっさと告られて面白い反応を見せやがれ」

「………」

『んーそろそろ来るかな?』

 

 

 

弾がいつでも来い!と気合を(何故か)いれた時、真下のドアからラブレターを送ったとされる女生徒が現れた。その顔は傍から見ても分かる位に真っ赤で緊張しているのが分かった。

 

 

 

「おおおおおおおおキタ━━━(゚∀゚)━━━!! 中々可愛い子じゃないの! さあどういう反応を見せてくれるのかな一夏くん?」

「………………………」

『君が俺に手紙をくれた子?』

『は、はい! そうでしゅ!』

「おおおお………聞いたか聞きましたか!? 噛みましたよ! これはポイントが高い!」

「落ち着つけ」

『で? 俺に話って何?』

『そ、それは、あうぅ///』

 

 

 

先程から小声で叫ぶという無駄なスキルを発動している弾を拳で落ち着かせ、一夏と女生徒の様子を伺う新華。だが彼には見えている。

この後の、弾も女生徒も予測していない展開になることを………

しかしそれを知らない弾はテンションが下がらない。しかしそれは女生徒も同じだろう。

 

 

 

『そ、そのえっと、わ、私と!』

「おお! 来る!」

『付き合ってください!』

「キタ━━━(゚∀゚)━━━!!」

『いいぜ、どこのスーパーだ?』

「『………………………………………………………え?』」

「やっぱりやらかしたな。これで27人目っと」

『この近くのスーパーは安売りしているところは今日無いからな、どこまで行くんだ?』

『………………う』

『う?』

『うわあああああああぁぁぁぁあぁぁ』ダッバンッガシャン

『? 何で泣いてたんだ? 買い物じゃないのか?』

「………………ナンダコレ、ひでぇ」

 

 

 

一夏のあまりの酷さに女生徒は泣いて猛ダッシュ。その一部始終を見ていた弾は絶句。そんな弾の肩に新華はポン………と手を置き

 

 

 

「割り切れよ…でないと、死ぬぞ(精神的に)」

「………………………………」

 

 

 

疲れた目で語っていた。

 

 

 

---side out

 

 

 

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「あれとおんなじ感じのが続出だったもんなー(遠い目)」

「その後のフォローも大変だった…あん中にヤンデレもいたんだぜ? 勘弁して欲しいわ…」

「まじで!? 無事で何よりだ…」

「………あんたらなにしみじみしてんのよ」

「いててて…」

 

 

 

一夏へのお仕置きが終わったらしい鈴が話しかけてくる。

 

 

 

「いや…知らないってある意味幸せなのかなってさ」

「確かにな」

「…何が…ってあぁ、そう言うこと」

「? なんだよ3人とも俺を見て」

 

 

 

鈴は2人の視線とその種類を感じて大体察したらしい。しかし一夏は気付かない。

 

 

 

「あ、そろそろ昼休み終わるぞ」

「次の授業なんだっけ?」

「やっべ、体育じゃん! 急げ!」

「うっわもう時間ねぇ!」

「あーもう!一夏のせいよ!」

「俺のせいかよ!」

 

 

 

3人が慌て出す。新華はこうなることが予測出来ていたから、下に既に体育着を重ね着していた。

 

 

 

「新華なんでそんな落ち着いているんだ?」

「いや、こうなると思って、ほら」

「重ね着…だと!? っていかん! こんなことしてる場合じゃねぇ!」

「あんたら早くしなさいよ! 先行くわよ!」

「俺も先行くなー」

「くっ、一夏急げ!」

「うおおおおおお!」

 

 

 

結局4人で走る。走りながら新華は思う。これが自分自身が欲していた日常だと。平和な世界で狂気に触れず、同級生と笑って、馬鹿して、遊んで、時には喧嘩をして、仲直りをして、苦労して、楽しんで------------------

 

 

 

「ハッ、ハッ、ハッ、ははっ」

 

 

 

そう考えてハロを抱えて走っているのに思わず笑ってしまった。どうしようもなく今が楽しくて、満ちていて、幸せで。

 

 

 

「はははっ、ははははっ、ははははははっ!」

「やべぇ、新華が壊れた!」

「なんで!?」

「新華ー! 戻ってこーい!」

 

 

 

後ろから3人の声が届く。それに答えて振り向く。すると3人はぎょっとして

 

 

 

「新華が…あの新華が…」

「普段良くて微笑みのあの新華が…」

「その微笑みすらレアなあの新華が…」

「「「笑ってる!?!?!?」」」

「先行くぞ、お前ら! 早く来いよ!」

 

 

 

そんな3人を置いてさっさと体育館に向かう新華。通り過ぎる先生達までぎょっとしている。

 

 

 

 

「フラグかもしれないけど………………この日常が、いつまでも続きますように」

 

 

 

 




はい、フラグです。
ハイネー!(笑)
ちなみに、フォローされた女子は皆主人公に感謝又は好意を抱き、イイ女に仕上がっております。
一夏の鈍感を例に例えたら…と考えてこうなりました。

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