チートじゃ済まない   作:雨期

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今回はなっぺ様の『The Fantasic Story 〜其は不屈の夢物語〜』とのコラボになります。


コラボ第13話

「この世界でよろしかったですか?」

 

「ああ、問題ない。本当にこの価格でいいんだな?」

 

「勿論です」

 

「OK、買った」

 

 いやぁ、大きな買い物をしちまったぜ。この次元世界全てが俺の物か。なんか王様になった気分だ。資源は少ないが、俺のためのトレーニング施設やすずかのための実験場を造るのに資源は関係ないな。気温変化も少ないから酒蔵も造ろうかな。

 

「入金はこちらにお願い致します。それでは私はここで

 

「おう、サンキュー」

 

 この世界を売ってくれた業者だが、室長の知り合いだとか。噂よりかなり良心的な奴だったな。室長が手回しをしておいてくれたのかもしれない。

 

「…………さぁてと、不法侵入者は誰かな」

 

 少なくとも人型の生物は俺しかいないはずのこの世界でさっきから人の気配がする。人の土地に無断で入るとはふてぇ野郎だ。お仕置きが必要だな。

 

「あっちか…………おっ、居たな。ってどっかで見た顔だな。誰だっけ?」

 

 今立っている場所から数㎞離れたところに男(?)1人、女3人の計4人がとぼとぼと歩いていた。男に?が付くのは見た目女だからだ。まあ直接話せば思い出すか。

 軽く走って謎の4人の前に移動すると、そのうち3人は驚き、足を止めたが、1人、一番年上に見える女は特に驚く様子も見せなかった。気が付かれていたらしいな。

 

「ここは俺の土地なんだが、お前ら誰だ?」

 

「えっ!? あっ、すみません」

 

「ふむ、その様子だと私達の事は覚えていませんか。その姿を見る限りこちらの世界は10年以上は経過しているようですし、当然かもしれませんね」

 

「トゥード、知り合い?」

 

「トゥード…………ああ思い出した!! いつぞやの芸能事務所にスカウトされていた3人組!! ん? でも今回は1人多いな」

 

「それを知っているなんて、まさか要なのか!?」

 

「おうよ。そっちは吼太とリーム、だったか?」

 

「うわぁ、あのカナメがこうなるんだ。コータもいつかは」

 

「無理じゃね? ありゃ一生女顔だ」

 

「要!?」

 

「それでそっちの嬢ちゃんは?」

 

 十数年前に会った時には居なかったな。綺麗な金髪で、どことなく日本人顔近いがそうではない顔立ち。ハーフなんだろう。

 

「は、初めまして。鏡ありすです」

 

「鏡?」

 

「やっぱり気になります? 珍しい名字ですよね」

 

「ああ、うん」

 

 鏡って聞くだけであいつを思い出しちまう。ああ嫌だ嫌だ。もうあんな執念の塊とは会いたくねぇ。

 

「しかし何でまたこの世界に来たんだ。事故か?」

 

「そんなところかな」

 

「ふーん、何にせよお前らは不法侵入者なんだよなぁ。お詫びが欲しいよなぁ」

 

「お詫びって…………まさかいけない事をするつもり!? 薄い本みたいに!!」

 

「体を使うって意味じゃあ間違ってないかもな。手合わせ願おうか?」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 久しぶりに会った知り合いが大人になっていて、戦いを申し込まれるというよく分からない状況になってしまった。とりあえず作戦会議だ。

 

「カナメの実力って未知数なんだよね。トゥードはどう思う?」

 

「まず勝ち目はないかと」

 

「あの人そんなに強いの!?」

 

「恐らく私達が出会ってきた誰よりも強いでしょう。マスター、最初からクロスオーバーフォームを使う事を提案します」

 

 トゥードがここまで言うなんて…………ここはトゥードの意見を採用しよう。それに全力じゃないとたぶん要の機嫌を損ねる事になりそうだ。

 

「まずはどう攻めるかだよね。一応カナメも魔法使いみたいだし」

 

「でもさっきオレ達の前に現れた時に魔力とかは感じなかったぞ」

 

「ええ、マスターの言う通り、あれは魔法を使わない単純な身体能力によるものです。どのような魔法を使用するのか分かりませんが、あの身体能力だけでも脅威でしょう」

 

「うっそみたい。瞬間移動だと思ってたわ」

 

「まだかー?」

 

「も、もう少し!」

 

 あんまり待たせると強制的に戦闘になるかもしれない。早いうちに作戦を決めよう。

 

「あっちもオレ達の手の内を知っているわけじゃないんだ。とにかく速攻を仕掛けるぞ」

 

「「了解」」

 

「頑張ってねコータ」

 

「どうやら終わったみたいだな。ありすちゃんは参加しないって事でいいな?」

 

「はい」

 

「ならこれ持っていてくれ」

 

「えっ、ひゃあっ!? 腕!?」

 

「いくらリアルだからって投げ捨てないでくれ。義手だよ」

 

「あ…………ご、ごめんなさい!」

 

 あの右腕は義手だったのか。これはチャンスかも。いざという時には要の右側に移動すれば攻撃を凌げるかもしれない。でもリアルな義手だなぁ。ありすが投げ捨てるのも頷ける。

 

「カモーン、どっからでも掛かってきな」

 

「往くぞトゥード、リーム。合体だ!!」

 

『『我等、汝に力与えん』』

 

「ほう」

 

 トゥードとリームが光の柱となり、その光はオレを包む卵となる。そして卵が割れた時、オレは竜のような兜を被り、鎧を着た戦士の姿へと変化した。身長も要と大差なくなり、体格差を気にする事もない。これが今のオレの最強、クロスオーバーフォームだ。

 

「格好いいじゃないか。背中のマントや両肩の無駄にデカイ盾もいいアクセントだ。そういう変身は幾つになっても心踊るな」

 

「ありがとよ」

 

 その褒められた盾、いや盾を模したブースターを使い一気にマッハまで加速して要へ近付く。まだ要に動きはない。ならのままこ攻撃する。ガントレッドに付いた3本の爪を要の胸へと全力で突き…………刺さらない!? 逆に爪に罅が入っただと!?

 

「武装拳・鎧。いい突きだが、俺の筋肉と武装拳の前には紙束みたいなもんだ」

 

「くそっ! それなら!」

 

 一旦距離を離して、腰のホルスターから2丁の拳銃を抜き要へと狙いを定め、居ない!? どこに消えた!? 気配を探っ

 

「ふんぬっ!!」

 

「っ!!!?」

 

 これまで感じた事もない衝撃が背中に走る。気が付けばオレは地面にめり込んでいて呼吸もままならない。痛みが強すぎて意識がはっきりしているのは幸いか。しかしたった一撃、それだけでここまでの実力差を見せつけられるなんて。

 

『マスター、気を確かに』

 

『ヤバイよコータ。鎧に罅が入っちゃった』

 

「トゥ、ード…………何を、され……た?」

 

『殴打です。多少の魔力は感知しましたが、単純に魔力を集めただけの強化とも言えない強化で、腕力によるものが大きいかと。先程爪を防いだのも同じです」

 

 武装拳とか言っていたやつか。でもそれ以上に肉体が怖いなんて、どんな鍛え方したらそうなるんだ。

 今分かっている情報を纏めると、要は有り得ないほどに鍛え抜かれた肉体の持ち主で、マッハすら余裕で反応出来る反射神経を持っている。しかも本気を出している様子はない…………勝てないじゃん。

 あの防御を突破する攻撃はある。でもそれに素直に当たってくれるのか。

 

「生きてるか? 動く気配がないから心配だぞ」

 

「自分で、やっておいて…………何が心配だ…………」

 

「それだけ話せれば大丈夫かな。でもその様子じゃもう戦えそうにないな。お疲れさん」

 

 ……………………こいつ…………自分が強いからって調子に乗ってるんじゃねぇ!!

 

「う……おおおおおおぉおぉぉぉぉっ!!!」

 

「無理するなって。そうやって立つのも苦しいんだろ」

 

「五月蝿い! ドリルだ!! 更にクライマックスチャージ!!!」

 

「ドリルとかまた男のロマンを持ってきたな」

 

『コータ! いくらなんでもやりすぎ!』

 

「ツワモノスラスター、魔力充填臨界突破!!!」

 

 リームの忠告も無視して準備を済ませる。両肩のブースターからは魔力が翼のように吹き出し、ドリルには残った魔力全てが籠められる。要はこれを見ても余裕の態度を崩さない。そんな態度をすぐにでも出来ないようにしてやる。

 

「くらえぇぇぇぇぇぇぇっっっ!!!」

 

 スラスターの力でオレは音速を越える速度で要へ突進する。ここで要はようやく動きを見せる。そう言っても左腕を防御に回しただけだ。

 

「エクス!! ドリル!!!」

 

 ドリルに籠めた力が要の左腕と衝突して弾ける。ここで耐えるのは流石と言ったところだが、このまま押しきってやる!!

 

「ストラァァァイクッッッ!!!」

 

 完全に決まった。爆音と砂煙を巻き起こして要を吹っ飛ばした。だというのに、この手応えの無さはなんだ。

 

「やる。これを使う必要があるとは思わなかったぞ」

 

「…………その腕は、一体?」

 

『! そんな、究極の一(アルティメット・ワン)!? こんな事が…………』

 

『トゥードはあれが何か分かるの!? ヤバイ雰囲気はビンビンするけど』

 

『あれは各惑星が生み出した最強の生物。星そのものと考えても過言ではありません』

 

 なんだよそれ! 要は星を宿しているって事なのか!? あっ、ヤバッ、クライマックスチャージを使ったからクロスオーバーフォームが、保てない。強制的に解除される。

 

「おっと、どうやら俺の勝ちみたいだな」

 

「反則だろ…………それ…………」

 

「ORTの事か? うん、反則だ。怒ってもいいぞ」

 

「怒る気力もねぇよ…………」

 

「大丈夫コータ? 怪我はない?」

 

「ああ、ありす。大丈夫だ…………って背中いてぇっ!!?」

 

「はっはっは! さっきまでアドレナリンで軽減されていたのが一気に来たみたいだな。ありすちゃん、義手持っていてもらって悪かったな」

 

「は、はい」

 

 うおぉぉぉぉぉ……………………背中が、背中がぁぁぁぁぁぁ…………死ぬうぅぅぅぅぅぅ……………………

 

「悶えるコータ…………萌え!!」

 

「何を言っているのですかリーム様。マスターご安心を。骨などに異常はありません。手形がしっかりと残るでしょうが、1ヵ月もあれば消えます」

 

「悪い悪い。そういえば話は変わるが、ありすちゃんは吼太の何なんだ? リームは恋人とか」

 

「いいえ私が恋人です」

 

「あれ? リームフラれ」

 

「ボクが恋人だよ」

 

「んん? じゃあどっちが恋人だ?」

 

「「私 (ボク)」」

 

「……………………ハーレムか!! 羨ましいな若いの」

 

「マスター、否定しなくてよろしいのですか?」

 

 ひ、否定したい。でも、せ、せ、せ背中がぁぁぁぁぁぁ!! チクショー…………やらなきゃ良かった…………いてぇよ………… 




アリサ「この後吼太君達はこちらの神様の力によって帰還しました」

シャマル「戦闘短かったわね」

アリサ「実力的に戦闘になるレベルではなかったですからね。吼太君はこれから成長期ですし一気に延びるはずですよ」

シャマル「そういえばこの作品も終わりが近いのよね。次の次には本当に完結なんですって」

アリサ「ですから残り少ない今日は何の日もしっかりやりましょう」

シャマル「そうね。本日3月30日は『国立競技場落成記念日』ってこれは去年もやったから『マフィアの日』よ」

アリサ「なんだか凄い日ですね」

シャマル「マフィアの語源となった言葉が出来た日らしいわ。ただ語源には諸説あるそうよ」

アリサ「諸説あるというのはよくある話ですね。ではまた次回」

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