チートじゃ済まない   作:雨期

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もう一気に終わらせにいってしまおうかな。


第77話

 要ですが機動六課の雰囲気がびっくりするくらい暗いです。ってんな感想はどうだっていいんだ。

 

「ヴィヴィオ…………辛い思いしていないといいけど」

 

「相手はあのジェイル・スカリエッティやからね。何かしら実験されてても」

 

「はやて。そこまでにしておけ」

 

「う、ごめんなさい」

 

「また昨日みたいに動けなくさせられたらどうしよう」

 

 あいつらの話を信じるなら昨日の花粉の抗体は既に出来ている。だが新しい植物が開発されているかもしれんしな。

 

「私に考えがあります」

 

「言ってみろティアナ」

 

「六課を捨てましょう」

 

「はぁっ!? 何言ってんだ!! スバルが居なくなって頭おかしくなったのかよ!!」

 

「いや、いい考えかもしれん。昨日の襲撃で罠が仕掛けられている可能性も捨てきれん。そんな六課にいつまでも居るのは危険だ」

 

「じゃあシグナム、どこに行くとかは決まっとるん? そう簡単に出来る事やないよ」

 

「俺に宛がある。少し待て」

 

 俺の記憶が正しければあれが空いているはずだ。昨日あんな事があったから通信が繋がるかは不安だが…………

 

『クロノだ。今は忙しいから用件は短めに頼む』

 

「アースラ貸せ。六課代わりにする」

 

『君は何を言っているんだ?』

 

「どうせもうすぐ廃棄するなら最後に有効活用してやるって言ってんだ。いいな」

 

『分かった分かった。手続きはそっちでやってくれよ』

 

「おう。解決したぞお前ら。今日からアースラが機動六課の仮基地だ」

 

「強引過ぎるわ要さん」

 

 知らんな。面倒な手続きは、シャマルにでも頼んでおくか。こっちはさっさとアースラの受け取りに行こう。大きな引っ越しだ。急いだ方がいい。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「ギン姉、私達どうなっちゃうのかな?」

 

「大丈夫よ。私が守るから」

 

 動けない状態じゃ抵抗の仕様がないよ。あんなの卑怯だ。いくら技術部の人が作った防衛システムが優秀でも無理なものは無理だよ。

 それにしても私達って誘拐されただけで殆ど制約を受けないんだよね。部屋から出れない事以外は不便な事は何もない。

 

ーーコンコン

 

「食事じゃよ」

 

「そこに置いておいて下さい。これ以上近寄らないで下さい」

 

「これは手厳しい。では出ていかせてもらおう」

 

「あっ、待って!」

 

「スバル? なんで引き留めるの?」

 

「だって私達を軟禁する理由が知りたいもん」

 

「良いぞ。話してやろう」

 

 床に座り込んだ要さんの偽者。隙だらけに見えるけど、きっと攻撃しても無駄だ。この人はそれだけ強い。

 

「お主らは自身が何者か知っておるじゃろう」

 

「何者か…………」

 

「戦闘機人という事じゃ。お主らも認知しておるじゃろうが、こちらに居るナンバーズは戦闘機人じゃ。その原型となったのがお主ららしい」

 

「なら私達を研究材料にしようという魂胆なのかしら。それなら私だけにして。スバルには指一本触れさせるつもりないわ」

 

「あー、その予定はなくなったから安心せい」

 

 何を言っているのかよく分からないよ。スカリエッティから見れば私達は貴重な研究材料なのにどうして止めたんだろう?

 

「今のお主らは人質なのじゃよ。望むのならば多少の娯楽と運動程度ならば提供するぞ」

 

「じゃあ体を動かしたいなぁ」

 

「ここは敵の本拠地なんだから少しくらい警戒なさい」

 

ーーポカッ

 

「いたっ」

 

「良い良い。監視は付けさせてもらうが、施設は使わせてやろう」

 

 うーん、敵なんだけどこうして接していると悪い人には思えないんだよね。口調も相まって気のいいお爺ちゃんっていう感じ。ギン姉は警戒しているけど、私はあんまり気にしないようにしよっと。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「スカリエッティよ、ナカジマ姉妹に施設を開放する。良いな?」

 

「自由にしてくれ。いやしかし、くくっ、みんなの驚く顔は凄かったね」

 

「敵を騙すにはまず味方から、そういう事じゃ」

 

 昨日の襲撃で先に誘拐されていたヴィヴィオであるが、その作戦は鏡とスカリエッティが2人で組んだ作戦であり、この2人以外は元々の予定通りに襲撃を行ったのである。ヴィヴィオを誘拐出来ずに落ち込むみんながヴィヴィオを見た時の表情はスカリエッティの画像フォルダにしっかり保存されている。

 

「あの作戦を提案された時にはどうなるか心配だったが、想像以上にあっさり終わったものだね」

 

「フェイト・テスタロッサとそのデバイスは闇の書に取り込まれた事がある。その時のデータは儂の中にあるからのぉ。それを利用するだけの容易な作戦じゃった」

 

「10年前のものでも役に立つのだね。ああそうだ。施設開放の前に聖王の様子を見てきてくれ」

 

「ん? ナンバーズが相手をしておるのじゃから気にする必要はないのではないか?」

 

「これが意外と手こずっているようでね。頼んだよ」

 

 スバル達との約束もすぐにやらなくてはならないというわけでもなく、鏡はヴィヴィオが居る部屋へと向かった。中からは騒がしく楽しげな声が聞こえてくる。室中ではヴィヴィオ、クアットロ、チンク、セッテの4人が麻雀していた。

 

「どうじゃ、元気にしておるかの」

 

「あっ、鏡おじさん! あのね、クアットロお姉ちゃんがイカサマばっかりするの。さっきも麻雀でツバメ返ししてきたの」

 

「よくツバメ返しを知っておるのぉ…………クアットロ、子供相手にそれはないぞ」

 

「だって強すぎるんですものぉ」

 

「バレバレだったから気にしないけどね。それポン」

 

「なかなか楽しんでおるようじゃの。もう少し怯えるものと思っておったのじゃがな」

 

「要おじさんが言っていたんだ。人生どうやっても無理な事はある。そんな時は誰かに助けてもらうか、諦めろって。だからママ達が助けに来てくれるまでのんびり待つんだ」

 

「ほう、あのオリジナルがのぉ」

 

「うん。あっ、流れたね。テンパイ」

 

「テンパイだ」

 

「テンパイ」

 

「…………ノーテンよ」

 

 このままナンバーズが相手をしていても問題ないと判断した鏡は静かに部屋を抜け出し、スバル達に施設開放について説明するためのんびりと歩いていった。




アリサ「更新早いですね」

シャマル「前回が遅かったのよ」

アリサ「でも前回もいつぞやの時期に比べたら早かったですけどね。2週間くらい掛かった時期もありましたし」

シャマル「作者も就活生だったものね」

アリサ「どんな人とでもぶつかる壁、就活。作者でも出来たから今就活生な人も頑張って。じゃあ今日は何の日しますよ」

シャマル「本日2月25日は『夕刊の日』。夕刊は取っているかしら?」

アリサ「朝刊だけで十分じゃないですか?」

シャマル「夕刊はその日のまとめみたいなものよ。タイムリーよ」

アリサ「タイムリーですね。でもテレビニュースで補えますよね」

シャマル「…………そうね!」

アリサ「諦め早っ!? はぁ、ではまた次回」

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