チートじゃ済まない   作:雨期

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現在次回作アンケでの一番人気はフェイト/エクストラです。エクストラはやるとなればCCCまでやるでしょうけど、主人公をマスターにするかサーヴァントにするか、マスターなら主人公のサーヴァントをどうするか、ザビーズをどうするかなどを皆さんにアンケするかもしれませんね。
アンケはsts終了までやりますんでまだ参加していない方は是非どうぞ。活動報告でお待ちしています。


第76話

「それじゃあ行ってきます。ヴィヴィオ、ちゃんとフェイトママ達の言う事聞くんだよ」

 

「はーい、なのはママ、お仕事頑張ってね」

 

 夜遅く、なのはとヴィータ、フォワード陣は地上本部へと向かった。翌日に控えた地上本部公開意見陳述会地ため、上本部を警備するためだに向かうの。

はやては警備ではなく参加するらしい。

「ヴィヴィオ、もう寝ようね」

 

「分かった! フェイトママ、絵本読んで!」

 

「うん、いいよ」

 

 なのは達の出張により六課の戦力は減少するが、明日誰かに狙われるとすれば地上本部。

それにまだフェイト、シグナムといった戦力に要という最終兵器も居る。何かあっても大丈夫だとその時は誰もが考えていた。ただ1人を除いて…………

 

「すずか、そんなとこに突っ立ってどうした。考え事か?」

 

「あっ、要さん。ええ、そんなところです」

 

 外でボーッと空を眺めていたすずかに要が声を掛けた。何故か不安そうな顔をしている彼女を放ってはおけなかったのだろう。

 

「悩みなら聞くぞ」

 

「悩み、というより心配なんです」

 

「心配って、地上本部か? まあ敵に鏡が居たらなのは達も太刀打ち出来ねぇもんな」

 

「そっちじゃなくて、ヴィヴィオちゃんが心配です」

 

「ああ、ヴィヴィオか」

 

 要も詳しい検査結果を聞いていたので知っているが、ヴィヴィオはかなり特殊な出生であり、その遺伝子には特別なものが含まれているようだ。その事から十分に狙われる可能性はある。

 

「六課には俺が居る。大抵の事からは守ってやる。最優先はお前だけどな」

 

「お願いしますね」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 …………寝過ぎた。もう11時じゃん。朝飯と昼飯を同じにするか。あ、そういえばもう公開意見陳述会やってんのかな。食堂のテレビで観れるかな。

 

「ふぁ…………なんかダルいな」

 

《間違いなく寝過ぎたせいでしょう》

 

「だよな」

 

 朝の準備を済ませて、軽くストレッチをしてから食堂に向かう。おお、食堂の大型テレビの前は既に人だかりが出来ている。適当に注文してから俺もテレビを覗き込んだ。今はレジアス、いやクソジジイの演説が行われているみたいだ。

 

『昨今の凶悪化する犯罪者を取り締まるには、才能が必要な魔導師のみでは対応しきれないのです! 質量兵器の導入は今後のミッドチルダの平穏を守るためにも必須なのです!』

 

『お言葉ですがゲイズ中将。我々技術部が開発した魔導式で質量兵器の代用は可能ではないでしょうか? 誰もが使え、人を傷付けない武器としてこれ以上ないものかと』

 

『確かに魔導式は素晴らしい。ですがあれはただ魔力の塊を撃ち出しているようなもの。無力化する事は多少魔法に精通している者ならば難しくはない。それ故魔力のように無力化出来ない物理的な質量兵器は有効な攻撃手段となり得ます』

 

 ケッ、屁理屈言いやがって。うちのすずかが作った魔導式を舐めんなよ。室長も黙ってないでなんか言ってやれ。

はやても…………寝てねぇか?

『分かりますか。質量兵器は』

 

ーーザザッ

 

 砂嵐になった? まさか、もう襲撃が来たのか?

 

ーーカラン

 

「あれ? 体が」

 

「おいどうし、って動かない!?」

 

 誰かが食器を落としたと思ったら俺以外の全員の体が動かなくなっているみたいだ。何かの魔法かもしれないな。こっちにも襲撃が来たって事か。

 

「要さーん!」

 

「すずか、動けるのか?」

 

「なんとか。夜の一族だからかもしれませんね」

 

「動きにくい以外に問題はないか?」

 

「はい。頭もはっきりしてますし、呼吸も大丈夫です」

 

『こっちも同じです』

 

 全員同じ症状なのか。特に命に別状はないようだが、早く助けてやらないと。

 

「ちょっと外に出てくる。みんな安静にな」

 

 急いで外に出ると六課は霧に包まれていた。魔力は感じない。だが六課は霧が出るような環境じゃない。人工的なものと見ていいだろう。そうだ、ヴィヴィオは大丈夫だろうか。

 

『フェイト、聞こえたら返事くれ』

 

『要! なんだか体が動かなくって。なのは達も同じ事になってるって連絡が』

 

『あっちもかよ。ヴィヴィオは?』

 

『私の隣に居るよ。魔法は使えるからシャマルと一緒に結界を張って守ってる』

 

『分かった。しっかり守れよ』

 

ーーズドンッ

 

「んんっ!?」

 

 なんかデカイものがぶつかってきやがった。こりゃ、デカイ種か! って事は今回も相手はあの坊主達だな。しかしかなりの衝撃だったな。2mはありそうな種が高速で飛んできたから当然っちゃ当然だけどよ。

 

「飛んできた方向は、こっちか」

 

 霧深くて見通しはかなり悪かったが、敵はすぐに見つかった。えぇと、マイトとマイカと…………あの狐は鏡と合体したり新人達を圧倒した久遠だったか。他にも眼帯付けてる奴とおっさん、召喚師の少女にユニゾンデバイスも居るな。

 

「鏡は居ねぇのか。舐めてんのか?」

 

「どうでしょう」

 

「ふん。まあいい。んで、今回はどんな目的だ? それとみんなが動けなくなったのはてめぇらの仕業か?」

 

「前者は秘密ですが、後者はお教えしますわ。あれは私達の作ったパラライフラワーの花粉による症状ですわ。先週から管理局全体にばらまいておきましたの。体の自由は奪えますが、1、2時間で治る上に二度目は抗体が出来て効かなくなってしまいます」

 

「こりゃ丁寧にどうも。ちなみに妊婦に影響は?」

 

「そういえば奥様が妊娠中でしたわね。安心して下さいまし。影響はありませんわ」

 

「そりゃ良かった。んじゃやらせてもらうぜ」

 

 一歩踏み出して、一番近くに居た召喚師の少女をぶん殴る。しかし外れた。距離感が掴めなかった。この霧のせいだな。幻術に近い代物とみた。

 

「地雷王!!」

 

「おうおう、大層な虫けら出したもんだ。で?」

 

 帯電している巨大な甲虫を召喚されたが関係ない。距離感が掴めないのならばそんなものどうでもいい攻撃をするのみ。力を拳に込めて、大気ごとぶん殴る!!

 

ーーゴォッ

 

 霧も虫も吹っ飛ばしたのはいいものの、虫があいつらを守ったのか戦闘不能になっているのは誰も居ないか。

 

「久遠さん、高度な解呪でもない限り霧は解除出来ないのでは?」

 

「あれは上位存在過ぎるの。勝てないよ」

 

「てめぇの仕業か狐。いつぞやは世話になったな。あの幻術は効いたぜ」

 

「久遠知らなーい」

 

「言ってくれる」

 

「余所見をしている余裕はあるのか?」

 

「あるさ」

 

 おっさんが槍で連続突きをしてきたが、全部片手で打ち払う。おや、なんかおっさんの見た目が変わっているな。ユニゾンしたみたいだな。

 

「下がれ騎士ゼスト! ランブルデトネイター!!」

 

ーードゴォオオオンッ

 

「ゲホッ、煙いわボケ」

 

「やはり無傷か」

 

 爆発するナイフか。設置技や施設破壊としてはこれ以上ないくらいに便利だな。格ゲーで使いたいくらいだ。一般の魔導師を瀕死に追いやるにも十分な火力がありそうだ。

 

「せめて俺に通用する攻撃しろよ」

 

「でしたらこれを差し上げますわ。魔王の雫」

 

ーージュァッ ボトッ

 

「うおいっ!?」

 

 腕が、腕が落ちたぞオイ!? 骨まで一瞬で溶かすってどんな液体だよ!! 確かにこの広い世界、食獣植物とか強酸性の液体を持っている植物もいるが、このレベルは初めてだ。ちょっとビビった。

 

「復元しねぇと…………終わり」

 

「気持ち悪い…………」

 

「そこな少女。人を傷付けるような事を言うな」

 

「今の再生速度は気持ち悪いと言われても仕方がないですよ」

 

「俺を溶かすそっちの方が気持ち悪いっての。もう怒ったぞ。ぶっ飛ば…………鏡、今頃来たのか」

 

「地上本部が片付いたからのぉ」

 

「全員動けないのに随分と時間がかかったな」

 

「自動防衛システムが凄まじく邪魔だったのじゃ」

 

 流石は技術部。こいつすら足止め出来るもんを作るとは。だが厄介な事になったな。全力でやれば十分に勝てる相手とはいえ、そうするとあっちも全力で来る。ここいら一帯が更地になってもおかしくない。遊ばずさっさとケリつければ良かった。

 

「さてお主ら、帰るぞ」

 

「…………へっ? いや鏡さん。僕らはまだ任務を達成していないのですが」

 

「構わん。オリジナル相手ではヴィヴィオとやらを奪う事は無理じゃろう」

 

「やっぱりヴィヴィオ狙いだったか」

 

「うむ。しかし無理ならばやる必要はない。ではなオリジナル」

 

 帰ったか。地上本部は知らんが、六課は守れたって事でいいだろう。一応辺りを見回ってから戻ろう。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 特に異常なし。六課に居た人々の麻痺はまだ回復していないが、回復まで1、2時間って言ってたから時期に良くなるはずだ。

 

「フェイト、入るぞ」

 

「要? 入っていいけど、敵は?」

 

「追っ払ったよ。安心しな。ヴィヴィオ、ちゃんとフェイトママに守られ…………は?」

 

「どうしたの要」

 

 どうしたのって…………なんで、なんでこいつはヴィヴィオじゃなくてヴィヴィオの持ち歩いていた兎のぬいぐるみを大事そうに守ってんだよ!!

 

「おいフェイト…………それとはいつから一緒に居る」

 

「それって、ヴィヴィオは物じゃ」

 

「答えろ!!」

 

「ひっ!? あ、朝から。ベッドの中からずっと」

 

「クソッ!!! 完全にやられた!!!」

 

 鏡の野郎、ヴィヴィオを拐う必要なんてなかったんだ。既にヴィヴィオを拐い終わってたんだ。ずっとフェイトと一緒だからって油断してた。フェイトが幻術に掛けられて偽物を守り続けるなんて可能性、これっぽっちも考えちゃいなかった。

 

「か、要、何があったの?」

 

「とりあえず目覚ませ。アリストテレス」

 

《分かりました。フェイト様、失礼致します》

 

「? 何をしたの?」

 

「改めててめぇの隣に居るのを見な」

 

「隣にって、ヴィヴィオしか…………なに、これ…………」

 

《バルディッシュにも細工をしてあるようです。これでは気付けなくて当然かと》

 

「嘘、私…………ヴィヴィオを…………」

 

 そりゃショックを受けるよな。かける言葉が見当たらねぇ。

 

『要君、聞こえる?』

 

『なのは…………そっちどうなった』

 

『…………ごめん。スバルとギンガが拐われて』

 

『こっちもヴィヴィオを守れなかった』

 

『えっ…………?』

 

『回復したならすぐに戻ってきてくれ。作戦会議をするぞ』

 

 ここまでやってくれた礼はしっかりしてやる。もちろん全力でか。




アリサ「スバルまで拐われているんですがそれは」

シャマル「大変ね。流石は何も考えていない作者といったところかしら」

アリサ「シャマルさん本当に大変って思っています?」

シャマル「私の予感だけどそろそろギャグに走るわ」

アリサ「がっつりシリアスな時期じゃないですか」

シャマル「乙女の予感だから当たるかもしれないわよ」

アリサ「おと……いやなんでもないです。それじゃあ今日は何の日お願いします」

シャマル「本日2月24日は『鉄道ストの日』よ」

アリサ「ストライキですか。もし私達がストライキをしたらここはどうなりますかね?」

シャマル「代わりなんていくらでもいるのよ…………」

アリサ「楽屋に帰ると暇そうな人が一杯いますもんね」

シャマル「考えるのは止めましょう。もしかしたら奪われるかもしれないわ」

アリサ「それは嫌ですね。ではまた次回」

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