チートじゃ済まない   作:雨期

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次回作の舞台は昔中途半端になったSO2にしようかと考え中。だって好きなんだもの。でも他に良いものがあればそっちにするかも。


第72話

 ふぅ、ジェイル・スカリエッティに協力するようになりかなりの時間が経ったが、この状況は初めてじゃ。

 

『ハァ~…………』

 

 スカリエッティ陣営のほぼ全員の空気が思い。常に溜め息を吐いておる。原因はアンヘルが死んだ事じゃろう。末っ子で純粋無垢な性格で誰にでも好かれておったし、ナンバーズの誰も勝てぬ強力な力を持っておった。様々なショックを感じておるな。あのクアットロですら落ち込んでおるんじゃからどれほどのものか分かってもらえるじゃろう。

 

「ほれ、今日はみんな大好きカレーライスじゃ」

 

「いらないっス」

 

「ノーヴェ、一戦やらぬか?」

 

「気分じゃねぇ」

 

「チンク、新しいスティンガーを作ったのじゃが」

 

「ん、あ、ああ。あとで見せてもらう」

 

 参ったのぉ。ここまでモチベーションが下がっておっては勝てるものも勝てなくなる。いざとなれば儂と久遠、マイトとマイカのみでも管理局を制圧可能じゃが、それでは協力した意味がい。ああくまで儂がオリジナルと一騎討ちをするために協力しておるのじゃから、こやつらに管理局の相手をしてもらわねば。

 

「やぁ鏡君…………コーヒーを頼むよ…………」

 

「何じゃスカリエッティ。アンヘルを作った時のように疲れておるではないか」

 

「いや、ね。あらゆる、手段を用いて……一条要を、倒す方法を考え、てたんだ…………」

 

 この言葉を聞いたナンバーズ達は一斉にこちらを見た。もしかしたら復讐が出来るかもしれないと考えておるのかもしれんな。人間臭いのぉ。しかし期待するだけ無駄じゃろう。結果は見えておる。

 

「一応聞いておこうかの。倒せる可能性は?」

 

「…………ゼロだ。どんなにやっても、何をしてもあれには届かない。不可能すら可能にするのが私の科学だと考えていた…………私は……惨めだ…………」

 

「そんなとこじゃろうと思うたわい。オリジナルは儂がやるお主らは大人しく」

 

「ふざけるな! 妹の敵討ちをするなと言うのか!!」

 

「お主らしくないのぉトーレ。敵討ちなどくだらぬ事は止めよ。それともオリジナルに挑んで無惨に殺されるか」

 

「このっ!」

 

 トーレが拳を振りかぶる。いつも冷静でなくてはならないお主が感情を抑えられずにどうする。この戯けが。

 

「ライドインパルス」

 

「私の!?」

 

「既にナンバーズ全てのISは会得した。当然アンヘルのもじゃ。お主らに儂を倒すのは不可能。大人しく本来の計画を実行するが良い」

 

「でも、妹の敵は」

 

「じゃから言ったじゃろう。ナンバーズの全てのISを会得した。つまりはお主らと共に戦うわけじゃ。お主らの無念、全て儂が背負おう。じゃから、お主らはお主らで出来る事に全力でやり遂げるのじゃ

先を見据えよ。過去を振り返るなとは言わぬ。しかしそこにお主らの進むべき道はない。過去には戻れぬのじゃからのぉ。湿っぽい話は終わりじゃ。飯にしようぞ」

 

 これで少しは回復してくれると良いのじゃが。感情を持ちながら兵器に生まれてしまうとは難儀な事じゃな。いや儂も同じようなものか。違いは兵器寄りか人間寄りか、それだけじゃな。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 ナンバーズの問題は一時的とはいえ抑えたから次はマイトとマイカじゃな。オリジナルに負けたその日から研究室に籠って新たな植物の研究をしておる。いくら光と水があれば光合成出来るとはいえ、たまには食事を取ってもらいたいものじゃ。

 

「入るぞ」

 

「どうぞ」

 

 扉は5重にされ、消毒やらなんやらを潜り抜けた先の部屋の中は、大量の植物が生え、花粉や種子が飛び交っていた。本来この部屋に入るには特別な防護服とマスクが必要となる。理由は簡単。ここにある全てが致死性じゃからじゃ。この中で素の状態で問題ないのは開発者のマイトとマイカか、儂くらいじゃ。

 

「どうしました鏡さん」

 

「軽食じゃよ。最近何も食べていなかったじゃろ」

 

「ありがとうございます。いただきますわ」

 

 一見何も問題なさそうじゃが…………心労はかなり溜まっておろう。

 

「研究は進んでおるかの? あまり無理するでないぞ」

 

「一条要さん対策は止めましたから無理はしていませんよ」

 

「なんと。何故?」

 

「まず私達の植物が鏡さんに通用しない時点で彼には通用しないと判断しましたの。それにアンヘルさんを殺した時の映像があまりに絶望的すぎましたので」

 

 儂としてはワクワクしたのじゃが、他の者にあの映像は確かに厳しかったか。

 

「音速で逃げるアンヘルを目視、その後変身、そして跳躍。この3つの過程を行いながらも僅か10mでアンヘルさんに追い付くその速さ。もしあれを僕達にやられたらと思うと…………」

 

「そうじゃのぉ。では今は何をしておるのじゃ?」

 

「スカリエッティさんのお願いで管理局制圧に便利な植物を作っていますわ」

 

「ほほう」

 

 出来ぬ事より出来る事をやるのは良い事じゃ。儂が思っていた以上にこの2人は成長しておったの。では儂もあれの仕上げに取りかからせてもらおう。




アリサ「さむひ…………」

シャマル「冷え込むわね」

アリサ「本編はおじいちゃんがみんなを励ましてたりしていたけど、大丈夫なのかしらね」

シャマル「大丈夫じゃない方が戦う私達としては楽なんだけど」

アリサ「シャマルさんが、戦う?」

シャマル「それは、まあ、少しはね」

アリサ「へぇ。あ、今日は何の日やります?」

シャマル「そうね。本日2月6日は『海苔の日』」

アリサ「海苔、ですか?」

シャマル「海苔の需要拡大を目指してですって。それ以外にも色々とあるけれど、面倒だから流すわ」

アリサ「海苔はやっぱり焼き海苔ね。パリッとした食感が堪らないわ」

シャマル「佃煮もいいわよ。でも殆どの海苔に言える事はご飯に良く合うって事ね」

アリサ「それが海苔ですよ。ではまた次回」

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