チートじゃ済まない   作:雨期

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後ろの初めてはカメラでした。


第71話

 はやてとカリムにアリストテレスについて話をし終わったところで、なのはから金髪幼女が病院から抜け出したと報告された。いやどうしろってんだ。捜してくれ? お前がやれよ。パパになる練習? 大きなお世話だ。

 

「ちょっと幼女捜してくれ」

 

「何やその危ない響き。まあ私もなのはちゃんから連絡受けたから事情は分かるけど」

 

「そういうこった。じゃあな」

 

「ちょっ! シスター・シャッハどないすればええねん!?」

 

「どうせすぐ起きるから放っておけばいい!」

 

 それよりこっちが大事だ。なのはを怒らせたりして以前のようなガトリングは食らいたくない。いくら死ななくても目の前で打ち上げ花火を乱射されているようなものなのだ。流石にこえぇよ。

 

ーードンッ

 

「むっ!?」

 

「っとと、失礼。急いでいたもので…………」

 

 廊下の曲がり角で人とぶつかってしまったが、謝る必要はなかったかな。

 

「これはこれはゲイズ中将。お怪我はありませんか」

 

「寄るな怪物めが。貴様のような奴が近くに居るだけで寒気がする」

 

 このおっさんはレジアス・ゲイズ。管理局でも結構なお偉いさんだが、黒い噂が絶えない事でも有名だ。レアスキルとかが嫌いで俺にもしょっちゅう突っ掛かってくる。こいつに対して敬語なんてもう止めた。

 

「言ってくれるじゃねぇかクソジジイ。俺もてめぇみてぇな汚職野郎が上に居るだけで頭が痒くなる」

 

「証拠もなく妄想をのたまうなよ怪物」

 

「あるぜ、証拠」

 

「っ!?」

 

 こいつのバックには最高評議会って管理局の最高峰が居るから油断していただろうが、俺のバックには管理局の頭脳とも言われる技術部が付いている。管理局のあらゆるシステムを作った技術部の前に隠し事は不可能。つまりこいつのやってる事は全部筒抜けだ。

 ただこいつが有能なのは事実だし、この世界のためを思っての行動ってのも聞いてる。何と繋がっているかまでは室長さんは教えてくれなかったが、こいつが後悔するまで放置でいいらしい。

 

「くだらん脅しだ」

 

「それなら動揺すんなよ。やるにしてもほどほどにしろよ」

 

 ああ、くだらねぇので時間食っちまった。なのはの奴に怒られなきゃいいんだがな。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 ここが件の病院か…………

 

「広くね…………?」

 

「そうすよね」

 

「おお、ヴァイス。お前も駆り出されたのか?」

 

「事件でもなきゃヘリの整備しかやる事がないですし」

 

 それも重要な仕事だろう。どれだけ幼女が心配なんだよ。お、そうだ。ヴァイスにあれくれてやろう。

 

「ヴァイス、これやる」

 

「何すか? って拳銃? 魔導式の新型すか?」

 

「いいや、どっちかってと質量兵器。オークションで買ったもんだ」

 

「あのオークションで…………いくら?」

 

「533で落とした」

 

「……………………いやいやいや! 頂けませんよ!!」

 

 やっぱりそんな反応になるよな。うんうん、正常でよろしい。

 

「まあ受け取れ。信用出来る奴に持っていてほしいんだ」

 

「理由を教えて下さい。そうでないと受け取れません」

 

「ヤバイ」

 

「なんて大雑把な」

 

「ははは、もし俺を殺したくなったら撃ってもいいぞ。1発しかないけどな!」

 

「あ! ちょっと!!」

 

 さあさあ金髪幼女出ておいで。これだけだと危ないおじさんみたいだな。アリストテレスは上手くサーチ出来ないらしい。このポンコツめ。俺が探知しようとしても子供なんざ病院に大量に居るから役に立たねぇ。ん? 俺もポンコツか?

 

《主、なのは様の反応がありました。合流しますか?》

 

「ああ。捜している姿を見せないと怒られるかもしれん」

 

《そこが重要なのですね》

 

 当たり前だろ。えっと、なのはは…………げっ、既に幼女を見つけてんじゃねぇか。俺いらなかったな。

 

「よう、早かったな」

 

「要君おそーい」

 

「これでも超特急だ。んで、この子は何で」

 

ーーササッ

 

 少し手を伸ばしたら幼女はなのはの背後に回ってしまった。こういうのが地味に傷付くんだよ。子供ってのは純粋だから何か感じているんだろうな。エリオとキャロ? あいつら不純なんだな。

 

「大丈夫だよヴィヴィオ、この人は……………………大丈夫だよ」

 

「何かあるだろ。優しいとか、人当たりがいいとか」

 

「うーん、ヴィヴィオ、この人は体当たりが強いよ」

 

「おい!」

 

 体当たりよりももっと別のものがあるだろう。ったく、もう帰ってやろうか。

 

「…………おじさん」

 

「俺か?」

 

「怖くない?」

 

「さてな。それはお嬢ちゃんが何を怖いと感じるかによるな」

 

「…………?」

 

「はは、分からなくてもいいさ。おじさんは一条要。よろしくな」

 

「ヴィヴィオはヴィヴィオ」

 

「良く出来ました」

 

 頭を撫でてやると今度は逃げられなかった。どうやら怖くない存在と認識されたらしい。うむ、良かった良かった。

 

「これからこの子をどうするつもりだ?」

 

「六課に連れていこうと思うの。もう元気だし、独りは嫌みたいだから」

 

「いいんじゃねぇか。ただちゃんと病院には言うんだぞ」

 

「分かってるの」

 

 本当に分かってたのかね。しかしヴィヴィオは何者か今だ不明なんだよな。こんな幼女に何か出来るとは思わないが、今後しばらくは警戒をしておこうか。




アリサ「ヴィヴィオちゃんの正式登場でいいかしら」

シャマル「他にもレジアス中将とかが出てたけどね」

アリサ「でも要さんみたいな階級で中将にタメ口使ったら大変よね」

シャマル「仮に見つかっても要君だからね。始末書程度になるんじゃないかしら。その始末書を書くとは思えないけど」

アリサ「要さんらしいわ。じゃあ今日は何の日にしましょう」

シャマル「本日2月3日は『節分』よ。言うまでもないわね」

アリサ「この歳になると豆を食べて恵方巻を食べるだけになりますね。そういえばシャマルさんは豆はいくつ食べます?」

シャマル「18よ」

アリサ「…………え?」

シャマル「18よ」

アリサ「いや流石にそれは」

シャマル「じゅ・う・は・ち・よ」

アリサ「…………ではまた次回」

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