チートじゃ済まない   作:雨期

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病院の大部屋だとお爺さんの寝言がよく聞こえます。


第68話

 最近私ティアナ・ランスターは考える。私は戦力になっているのかと。あ、今スバルの事じゃないのかって考えた人が居るかもしれないけど、私だって一応は管理局員なんだからそういう事も考えるわよ。

 コホン、とにかく私は器用貧乏だ。この色物揃いの機動六課では何か特別な事を習得しないとやっていけない気がする。スバルとのラブラブコンビネーションアタックも魅力的だけど、ここは私の力だけで何とかしてみようと思う。

 

「よし! やるわよ!!」

 

 でも何からやろう。あ、そうだ。この前のホテル・アグスタでの警備の時、ガジェットに接近されて危なかったから接近戦も対処出来るようにしよう。そうと決まれば話は早い。まずは双銃での接近戦の方法なんかを調べていこう。

 

 

 

 

 

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 最近ティアナが訓練後も自主トレをしているみたい。要君みたいに無尽蔵な体力と魔力があるならあんまり気にしなかったかもしれないけど、ティアナは体力も魔力もそこそこだ。それなのにあんな事をするなんて…………

 

「なんだろう。私の指導が気に入らないのかな。落ち込んじゃうなぁ」

 

「おっ、なのはさーん! どうしました? お元気なさそうですけど」

 

「ヴァイス君…………」

 

「悩み事ですか? 要さんみたいに頼りにはなりませんけど、話くらいは聞けますよ」

 

「…………これは要君に話してもあんまり意味なさそうだし、ヴァイス君に相談しようかな」

 

 トレーニング至上主義の要君に話したら『大いに結構。どんどんやらせてしまえ』なんて返事が返ってきそうでちょっと怖い。常識人のヴァイス君に話そう。

 

「最近ね、ティアナが訓練後も自主トレをしているの。それも結構な時間」

 

「向上心がある、ってわけでもないですよね。突然ですか?」

 

「うん、突然。適当な自主トレは私だって認めるけど、やりすぎはちょっと」

 

「…………もしかしたら劣等感とかじゃないですか?」

 

「劣等感?」

 

「こう言っちゃなんですが、機動六課は色が強いです。この中に居たら誰でも一度は自分はいらないんじゃないかなんて考えると思うんですよ。俺だってヘリの運転手ですが、邪魔なんじゃないかって思った事がありますから。前線に出る新人達なんか特にですよ」

 

 劣等感…………自分で言うのもなんだけど、私もフェイトちゃんもはやてちゃんも幼い時から魔導師としてトップクラスを走ってきた。挫折だってあったし、壁にぶつかる事もあった。でもそれらは自分の力で乗り越える事が出来た。でももしかしたらティアナには私達が越えられない壁に見えているのかもしれない。

 

「それにティアナの過去、知っていますよね?」

 

「そりゃ…………ね」

 

 ティアナの唯一の肉親であったお兄さんは管理局員だったけど、事件で犯罪者に殺害されてしまったらしい。その時、お兄さんが何て言われていたかも噂では聞いている。正直思い出したくもない。そんな酷い噂。

 

「兄の無念を晴らす。そんな気持ちもあるかもしれません。まあ色々と言いましたが、こればっかりは本人に直接聞かないと分かりませんよ。どうせだったら俺がちょちょいと探りを入れましょうか?」

 

「ありがとうヴァイス君。でもこれは隊長と隊員の問題だから私が直接会って話すよ」

 

「そうですか。だったら早く行ってやって下さい」

 

「うん!」

 

 この時間だとまだティアナは自主トレをしているかもしれない。

 

 

 

 

 

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 確かこっちの方で隠れてやっていたのを何度か見たけど…………あっ! 居た! ってあれ?

 

「フゥハハハ!! 遅い遅い遅いぞぉ!!!」

 

「か、要、さん!! まっ」

 

「まだ喋る余裕があるか!! スピードアップだぁ!!!」

 

「!!!!??!?」

 

 なんでティアナが要君にボッコボコにされているの? 要君は何がしたいの? トレーニングなの? 馬鹿なの? 一応止めるの。

 

「そこまでなの!!」

 

「おっ、なのは。お前もやるか?」

 

「やらないの。それよりティアナに話があるんだけど…………話せる?」

 

 返事はなかったけど、倒れながらも親指を立ててbってやったからまだ余裕はあるみたい。それなら話させてもらおう。

 

「ティアナ。どうしてティアナがこんな自主トレをしているか私は分からないけど、悩みがあるなら言ってほしいな。仲間なんだからさ」

 

「あ、じゃあ私のようなタイプの魔導師がどうやれば接近戦でガジェットをあしらえるか教えて下さい」

 

「…………え?」

 

「なんかティアナは自分の短所を伸ばしたいんだと。だから俺に頼んできたんだ。なかなかいい心掛けと思わねぇか?」

 

「いつでも頼ってばかりも何ですから、自分で出来る事は自分でしちゃおうと思いまして」

 

「劣等感とかは?」

 

「何ですかそれ」

 

「お兄さんの無念を晴らすとか」

 

「なのはさんそういうドラマが好きなんですか?」

 

「…………そうなの」

 

 そっかそっか~。私の心配していたような事はなくて勝手な自主トレだったわけだぁ。ふーん。

 

「バ・イ・ン・ド♪」

 

「「!!?」」

 

「あのねティアナ。そういうメニューは今後用意してあったの。それに自主トレは適当にしないと駄目だよ」

 

「そそそそ、そーですねー。かっ、勝手にやって申し訳なかったですー」

 

「うんうん、分かってくれて嬉しいの。でもこれまでの自主トレで疲れが溜まってるでしょ。お休みしようね」

 

「わ、分かりました!! ですからバインドを外して下さい!! それにそこに浮いてるアクセルシューターは」

 

「O・YA・SU・MI」

 

《アクセルシューター》

 

ーードオンッ

 

「ティ、ティアナーー!!? おいなのは! 流石に顔面直撃は」

 

「レイジングハート、ガトリングモード」

 

《OK。ガトリングモード》

 

「なのはさん、その物騒な形態のレイジングハートは何ですか?」

 

「すずかちゃんに作ってもらったの。機動性はないけど、火力は凄いよ。この全身に巻き付けられたカートリッジなんてお洒落でしょ」

 

「流石は俺の妻。それで何故それを俺の顎に突きつけるのですか?」

 

「ティアナの無理な自主トレに付き合った、O・SHI・O・KI」

 

《ディバインバスター・ガトリング》

 

ーードガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ

 

 

 

 

 

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「今回の任務を説明するの。みんなしっかり聞いてね」

 

『はい!』

 

「なぁシグナム、なんで要とティアナはアフロなんだ?」

 

「…………若者のファッションじゃないか?」




アリサ「暗い過去なんていらんかったんや!!」

シャマル「ちなみに裏設定。ティアナの女の子好きは、兄の遺品の中にレズ物の本があって、せめてもの供養として自分がレズになろうと決意したからだそうよ」

アリサ「そんな供養は嫌だ。もうさっさと今日は何の日に移りましょう」

シャマル「そうしましょう。本日2月1日は『テレビ放送記念日』よ」

アリサ「今じゃ欠かせない生活の必需品の1つですね」

シャマル「テレビのない生活なんてどうやって過ごせばいいのか分からないわ
。それくらい浸透しているものね」

アリサ「まあ今はインターネットという便利なものがあるのですけど」

シャマル「でもオリンピックはテレビで観るでしょう」

アリサ「間違いないですね。ではまた次回」

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