チートじゃ済まない   作:雨期

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今日から食事が始まりました。病院食美味しいです。


第67話

「要君、どうかなこの衣装」

 

「ユーノに聞けよ」

 

「ユーノ君とは向こうで会う予定なの。今目の前に居る要君が悪いの」

 

 俺の前でらしくないドレス姿を披露するなのは。別に今回はなのはだけじゃなく、フェイトやはやて、果てにはシグナムまでドレス姿だ。かく言う俺もスーツ姿だ。

 理由は今回の任務がオークション会場で客に扮装して警備する事だからだ。出展されるロストロギアがレリックと勘違いされて狙われるかもしれないというなんとも言えない情報だ。

 

「ふへへ、やっぱりシグナムの体はええなぁ」

 

「止めて下さい主! ヴィータ! 見てないで助けろ!!」

 

「うっせぇおっぱい魔神」

 

「な、なんだと!? ひゃっ!?」

 

「そこのレズ共、準備しろよ」

 

「一条! この際お前でいい!! 何とかしろ!!」

 

「主の欲望くらい従者が何とかするんだな」

 

 ったく、騎士なら騎士らしく覚悟を決めろってんだ。俺はすずかに頼まれたオークションの品物を確認するので忙しいんだ。ええと、どれを買うんだったか。出品表は…………これこれ。槍に金属に、工具? これもロストロギアの類いなのか?

 

「ん…………んん!?」

 

「どうしたの要。みんなのドレス姿に興奮した」

 

「フェイトが寝言とは珍しいな。そんなんじゃねぇ。ただ、買い物が増えたからよ」

 

「?」

 

 全く、こんなものどっから迷い込んだんだか。なんであれ数少ない俺の天敵となりうるものだ。手に入れておいて損はない。俺の財布が軽くなる。

 

 

 

 

 

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 今日はオークション会場の警備だけど、僕達六課の新人は外での警備を担当する事になっている。場所がどうだって事で手を抜くなんて事は当然しないけど、きらびやかな中の警備が少し羨ましくもある。

 

「エリオ君」

 

「何、キャロ?」

 

「今エッチな事考えてた?」

 

「考えてないよ!? ただ中の警備もいいな、って」

 

「つまりフェイトさんのドレス姿を間近で見ていたいって事?」

 

「違うよ!? フェイトさんのドレス姿は綺麗だけど違うよ!!」

 

 キャロの発言がたまにボケなのか本気なのか分からなくなる。特に最近はティアナさんに毒されている部分もあるから僕が更正させてあげないと。とは思うのだけど、ペースを完全に奪われちゃうからなぁ。

 

「楽しそうだな」

 

「「要さん!」」

 

「ほれ、差し入れ」

 

 ココアだ。甘味が強めのやつだけど、僕は結構好きだ。要さんはまたフリードを触ろうとしているけどやっぱり逃げられている。もう諦めればいいのに。

 

「くっそ、そんなに俺が嫌いか」

 

「フリードのストレスになるから止めて下さい」

 

「おぉ……キャロがひでぇ……」

 

「最近はそんな感じです」

 

「エリオ君?」

 

「何も言っていません!!」

 

「…………若いのに苦労してるな」

 

 うぅ、昔の清楚なキャロに戻ってほしいよ…………昔も言うほど清楚じゃなかったような…………いやでも今よりはマシだった。

 

「じゃあ俺はスバル達のとこに行くな。屋上だったよな」

 

「はい、いってらっしゃい」

 

 ビルを魔法も使わず登っていく要さんの姿は、こう、何て言うか、同じ人類には思えない。どうすればああなってしまうんだろう。

 

 

 

 

 

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 現在サーチャーに引っ掛かるものは無し。スバルに近付く不届き者も無し。そして軽食すら無し。お腹減ったわ。

 

「いよっ。お疲れ」

 

「きゃあっ!? か、要さんですか。いきなり下から飛び出してこないで下さい」

 

「おー、要。何しに来た?」

 

「お前らに差し入れ。欲しいもん持ってけ。あ、ヴィータにはアイスとシャマルには週刊誌な」

 

「それはどういう選択なのかしら?」

 

 ああ、助かるわ。出来合いの料理でもお腹に貯まればそれでいいわ。飲み物も用意してくれているし、意外と気が利くのよね要さんって。

 

「はむっ!! モグモグ、ゴクンッ! おかわり!!」

 

「スバルはえぇよ」

 

「それより要君、中の警備はいいのかしら?」

 

「本来六課の任務だからな。六課じゃねぇ俺が居る必要はない。本音を言えば買うもん買ったから暇になったんだよ。俺が買うまでにテロが起これば働いたんだがな」

 

「何買ったんだ?」

 

「すずかに頼まれたもんと、個人的に欲しかったもんだ。1000くらい掛かったかな」

 

「…………はい?」

 

 どれくらいがオークションの相場か分からないけど、1000って万が当然付くわよね。要さんってそんなにお金持ちだったのね。普段身近すぎて忘れていたけど、この人も立場としては雲の上の人だったわ。

 

「いやはや、あれがあんなにも高値になっちまうとはな」

 

「モグモグ、何が、高かったんです?」

 

「秘密だ。食うのもいいが、敵の襲撃に備えろよ」

 

「問題ありません。スバルは私が守ります」

 

「そりゃ頼もしい」

 

 スバルってどこか小動物的だからついつい過保護になっちゃうのよね。それにパートナーだし…………人生のパートナーだったらいいのになぁ。

 

「ガジェットの転送反応確認! どうやら来たみたいよ!!」

 

「今更か。俺は屋上から援護射撃をしよう。好きに暴れてきな」

 

「要が援護なんて珍しい事もあるもんだ。おっしゃ! スターズ隊出るぞ!!」

 

「「了解!!!」」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 さて、援護射撃をすると言ったものの、本当はそんな気更々ない。ただ警戒しておいた方が良さそうなのが見えたから屋上から監視するだけだ。

 おっさん1人に幼女1人、よく分からん人型の生物1体にツヴァイと同じくらいの大きさの妖精のようなのが1匹。あの妖精はツヴァイと同じユニゾンデバイスかもな。俺に気付いているのはおっさんだけか。

 

「少しでも動いてみろ。串刺しだ」

 

 右手にはおっさん達を威圧するためのスピアガン、背後には援護射撃用の大量のニードルガンを展開しておく。久しぶりに働けてアリストテレスは満足げだ。

 

「シャマル。地上には新人、ヴィータ、ザフィーラが居るだけか?」

 

「機動六課はそれだけね」

 

「OK」

 

 あんまり数が多いと援護射撃する対象を見すぎておっさん達の監視が疎かになる。おっと、おっさんが俺の存在を他の奴にも教えたようだ。こっちを見てやが

 

「シッ!!!」

 

 …………やったか。ティアナの近くの空間が一瞬揺らめいたと感じ、スピアガンをぶん投げたが、どうやら気のせいではなかったらしい。かなり大型のガジェットを貫いていた。ステルス機能持ち。昔なのはに怪我を負わせた奴か。

 っておっさん達は! …………遅かった。逃げ足の早い奴らだ。味方なら交信かをしてくるははずだから敵だったと思うが、あれはスカリエッティの味方か、または第三勢力か。

 

『要さん、ありがとうございます。油断しました』

 

『ありゃ油断とかそういう問題じゃねぇから気にするな。まあ今後はああいう敵も居るって覚えておきな』

 

『はい』

 

 ティアナは特に問題なし。敵に気付けなかった事でショックを受けて動きが鈍る事もなく、平常通りやれそうだな。いいメンタルしてるぜ。

 

「シャマル、ステルスガジェットに注意しながらサーチしてくれ」

 

「分かったわ。要君も見つけ次第撃ち落としてね。あれは新人には少し辛いかもしれないわ」

 

「おうよ」

 

 この後は問題なく襲撃を凌いだんだが、出品されてたロストロギアがいくつか盗まれたらしい。あっれー、どっから侵入したんだか。まあ悪いのは俺じゃねぇからいっか。




アリサ「要さんが意外にお金持ち」

シャマル「本人が言うにはトレーニング用具と食事ぐらいにしか使わないから貯まってたんですって

アリサ「でも1000万の中にはすずかが出したお金もあるんでしょう?」

シャマル「2割くらいがそうみたいね」

アリサ「奥さんのために8割負担とか…………」

シャマル「久しぶりに出番が貰えてよかったわ。さあ今日は何の日やるわよ。本日1月31日は『生命保険の日』」

アリサ「生命保険が出来た日ですね」

シャマル「いいえ。保険金が初めて支払われた日よ」

アリサ「何故そっちが記念日に!?」

シャマル「なんでかしら。不思議ね」

アリサ「不思議ですね。生命保険って管理局だと結構大切そうですよね」

シャマル「まあ死人が出ないわけでもないものね。ただこれは言えるわ。要君には不必要」

アリサ「間違いないですね。ではまた次回」

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