チートじゃ済まない   作:雨期

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入院中ですが、体も楽だし滅茶苦茶暇なので投稿します。


第65話

 地球にやってきて2日目の朝。今日から仕事が始まる。スターズ隊とライトニング隊に分かれてとあるものを探すようだけど、私もティアも何を探すのかはまだ伝えられていない。きっとエリオとキャロも知らないと思う。

 

「スバル~、抱かせて~」

 

「また今度ね」

 

「軟禁されて色々と足りないの~」

 

「軟禁って一晩部屋が違っただけじゃん。我慢我慢」

 

 それにしてもすずかさんのお家は広いなぁ。窓から見えるお庭も野球が出来そうなくらい

 

「おはよう。よく眠れたか?」

 

「あ、要さ……ん?」

 

「要さん、重力がおかしくなる靴でも履いているんですか?」

 

「見りゃ分かるだろ。素足だ」

 

 窓から顔を出して外を見ていたら要さんに話し掛けられたのだけれど、要さんは壁に立っていた。直立不動だ。重力を操るレアスキルを持っているなんて聞いた事もない。まるで地球に伝わるNINJAみたい。

 

「そんなに不思議か? ただ足裏の力だけで張り付いているだけだぞ。ほれ、壁に俺の足跡が付いてるだろ」

 

「つまりは馬鹿力ですね。スバルはこうなっちゃ駄目よ」

 

「いくら要さんに憧れていても無理だよ」

 

「お前らは今から任務だろ。早く行った方がいいぜ」

 

「いけない! ティア!」

 

「はいはい、急ぎましょうね。要さん、失礼します」

 

「頑張れよ」

 

 朝からインパクトの強いもの見ちゃったな。あれって何のトレーニングになるんだろう。でも私が素人だから分からないだけで、きっと意味があるに違いない。じゃなきゃあんな意味不明な行動しないもんね。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「やっと来たか。おせーぞ2人共」

 

「まあまあ、いいじゃないヴィータちゃん。そんなに急ぎでもないんだから。二人共、準備は出来てる?」

 

「「はい!」」

 

「うん、いい返事。じゃあヴィータちゃん、例の物を」

 

「ただの資料だろ」

 

 ヴィータさんに手渡された資料に書いてあったのはある動物の詳細だった。

 

「一角猫ですね。これが資料ですか?」

 

「うん。なんでも地球に観光に来ていた人が一角猫に逃げられたみたいなの」

 

「他所から動物を持ち込むのは禁止されてんのによ。そいつはお説教されたが、猫はまだ捕まってねぇんだ」

 

「それを捕まえるのが今回の任務ですね!」

 

「エリオとキャロにも同じ事をしてもらう予定だよ。でも競争とかじゃないから変な闘争心は燃やさないように」

 

 動物を探すなら複数で探した方が効率いいからなのはさんの言う通り、どっちが先に見つけるとか気にしないでいこう。

 でもこの猫ってどんな動物かな。資料に軽く目を通したけどちっちゃい角の生えた三毛猫にしか見えない。パッと見たらただの猫と区別がつかないかも。

 

「一角猫は特有の波長を持った魔力を常に放っているわ。それをデバイスで感知すればすぐに区別がつくわよ」

 

「ふぇっ!? なんで私の考えが分かったの!? ティアってレアスキル所持者!?」

 

「顔に出てたわよ。そこもスバルの可愛さだけどね」

 

「詳しいじゃん。動物好きだったか?」

 

「訓練校時代の友人の1人が動物に詳しかったので、その子に叩き込まれました。まさか役立つとは」

 

「どんな事でも無駄にはならないって事かな。ではスターズ隊、出動!」

 

「「了解!!」」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 うーん、猫の魔力は感知出来ているんだけど、肝心の猫が見当たらない。残り香ってほど弱い魔力でもないから近くに居てもいいはずだけど。

 

「スバルさん! ティアナさん! お二人も魔力を感知したんですか?」

 

「そうだよ」

 

「エリオはともかく、サポートが得意なキャロもこの周辺で感知したなら間違ってはいないようね」

 

「ティアナさん…………酷いです…………」

 

 ズバッと言うのがティアだもん。気に入った人以外には厳しいし、エリオは今後も苦労するだろうね。

 

「でもどこに猫は居るんでしょう?」

 

「近くにある隠れる場所といえば、この家くらいね」

 

 確かにこの辺りで探していないのはこの家だけど、間違いなく人が住んでいる。この家の人に拾われたなら返してもらえばいいだけなんだけど、もし気に入られて返してもらえないとなると大変だ。

 

ーーピンポーン

 

「すみません。誰か居ますか?」

 

「ティア早いよ!?」

 

「どちら様ですか?」

 

 ティアの早い行動に驚かされたけど、家から女性が出てきちゃったからきにしない方向で行こう。あっ、この人が抱えている猫、今回のターゲットの一角猫だ。やっぱりひろわれていたんだ。

 

「私達は仕事でそちらの猫を探していたのです。申し訳ありませんが渡してもらえませんか?」

 

「ペコを? でもペコは私が見つけたし、もう家族同然なんです」

 

「違法輸入品なんです」

 

「ペコは物じゃないです!」

 

 ティアがこっちを見てきた。どうやら交代してもらいたいらしい。私だって交渉事は得意じゃないけど、ティアに比べたらマシだもんね。

 

「ちょっといいですか? 家族同然って貴女はいいましたよね。でもその子にはその子で家族がちゃんと居るんですよ」

 

「どういう事です」

 

「こういう事です」

 

 取り出したるは飼い主と一角猫、そしてその子供達の写真。資料の中にあった写真の1つだから間違いなく本物だ。

 

「分かったでしょう? その子を本当の家族の元へ返してあげましょう? ね?」

 

「…………でも」

 

「家族同然なら大切なのは貴女の気持ちだけじゃない。分かりますよね?」

 

「……はい」

 

 ふぅ、分かってもらえて良かった。これで無事に任務達成。早くなのはさん達に連絡しよう。

 

『なのはさん、スバルです。一角猫の確保を完了しました』

 

『お疲れ様。こっちも終わったから帰ってきていいよ。戻ったらみんなで色々楽しもうね』

 

『はい!』

 

 この後知ったのだけど、なのはさん達はレリックの回収をしていたみたい。どうせなら私達に頼んでくれても良かったのに。でもバーベキューや銭湯ってお風呂が楽しかったからいいかな。




アリサ「あれ、私の出番はどこに?」

シャマル「地球であれば出番が来ると思ったのかしら。哀れね」

アリサ「出番のために逆ナンしていた人に言われたくはないですね」

シャマル「ち、違うわ! そんな事のために逆ナンするわけないじゃない!!」

アリサ「そーですね。まあこうやって後書きに出番があるだけ良しとしましょう。じゃあ今日は何の日お願いします」

シャマル「分かったわ。本日1月29日は『南極昭和基地設営記念日』ね」

アリサ「日本の南極観測隊が南極に上陸したんですよね」

シャマル「この時の住まいはほぼプレハブだったみたいよ」

アリサ「南極にプレハブ…………想像しただけで凍えそう」

シャマル「出番が貰えてもそんな場所には行きたくないわ」

アリサ「ではまた次回」

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