チートじゃ済まない   作:雨期

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今回のメインは主人公?


第59話

「付き合ってくれてありがとうね、要」

 

「基本暇だからな。エリオ、肩車してやろうか」

 

「あはは、結構です」

 

 今日はフェイトとエリオに付き合ってキャロのお迎えに空港に来た。やる事がないからよくこういうのに付き合っちまう。たまには戦いたいな。何かいい敵出てこないかな。

 

「人多いな。キャロ埋まってねぇよな」

 

「そうなったらフリードが飛び回るから気が付くと思うよ」

 

「フリードかぁ。俺嫌われてるからなぁ」

 

 キャロはフリードリヒって白い小さな竜を従えているんだが、そいつが俺に全くなつかない。考えるまでもなくORTのせいだ。以前文句を言ったら無視されてしまった。俺だってあいつを触ってみたいのに。

 

「……居たぞ」

 

「どこ?」

 

「エスカレーターの上。民族衣装来てるから目立つな」

 

「確かに居ますね。行きましょう!」

 

 エリオの奴、久しぶりに会うからってはしゃいでるな。子供はこれくらい元気なのが一番だ。キャロもこっちを見つけたみたいで走ってきている。エスカレーターで走るのはマナー違反だぞ田舎娘。

 

「キャッ!?」

 

「キャロ危ない」

 

 あーあー、急ぐから転けやがった。結構な高さから転げ落ちそうになるがここはエリオがナイスフォロー。自分の体をクッションにキャロを受け止めた。この時魔法を使ったのとキャロの胸と尻を触ったのは多目にみてやろう。

 

「エーリーオー、キャロのどこを触っているのかな?」

 

「ふぇ、フェイトさん? あっ! いやこれは事故で」

 

「問答無用!!」

 

 多目にみれない保護者がここに居たようだ。頭をグリグリされているエリオが俺に助けを求めるような視線を向けるが、俺では止められない。他の家の躾に口出しはしない主義なんだ。

 

「フェイトさん、エリオ君も反省してますし、私も気にしてませんから」

 

「駄目だよキャロ。ここで甘やかしたらエリオがダメ男になっちゃうからね。そんなのキャロも嫌でしょ」

 

「…………そうですね!」

 

「なっ、納得しないで!!」

 

 さあ早めに帰って技術部にでも顔を出してこよう。局長さんがまた面白い玩具を開発したらしい。まだやっていないすずかへのお仕置きもやらなきゃいけないからな。

 

「要さん見捨てないでーー!!!」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 ところ変わってある研究所。そこで1人の男が無数のモニターとにらめっこしながら何かを打ち込んでいた。彼の名はジェイル・スカリエッティ。次元犯罪者だ。

 

「この世界にもあれと同じものは発見されていないか。次の世界だ」

 

「ドクター、お茶が入りました」

 

「ウーノか。そこに置いておいてくれたまえ」

 

「まだあの怪物について調べておられるですか?」

 

「そうとも。あれは素晴らしい。完成された生物だ。それが何故不完全な人間などと共存しているのか不思議ではないかね?」

 

 スカリエッティがあるボタンを押すとモニターにはORTと要の様々な画像が映し出された。その画像は初めてORTがこの世界に姿を見せた画像から要が武装・ORTをしている画像まで多岐に渡る。

 

「一条要。彼はある時までは実に平凡な少年だった。だがある時、PT事件の時からその異常な力を見せ始める」

 

「その時に怪物が彼に宿ったと考えれば自然ではありませんか?」

 

「私もそう考えた。となると同時期に地球にやってきたユーノ・スクライアに付いてきた可能性が高い。だから当時ユーノ・スクライアが渡り歩いた次元世界を事細かに調査したのだが、ORTの痕跡はこれっぽっちも出てこなかった。過去の文献にもORTの存在は載っていない。まるで一条要の中から湧いて出たようだ」

 

「その意見、間違ってはいないのぉ」

 

「誰です!!」

 

「初めましてじゃな。それだけORTについて調べておるのならば知っておるじゃろうが、儂は鏡じゃ」

 

 スカリエッティの背後には鏡とその一行が立っていた。スカリエッティが何か言おうとする前にウーノが声を上げた。

 

「どうやってセキュリティを潜り抜けたのです!」

 

「儂は仮にもロストロギアから生まれたデータじゃぞ。この程度のセキュリティは朝飯前じゃ」

 

「ならばナンバーズは!? あの子達をどう突破したというのです!!」

 

「? あの娘達か? 弱かったのぉ。マイト達だけで2人は片付いたわい。残りは儂じゃがな」

 

「マイト達というのはその子供達だね。どのナンバーズかは知らないが、彼女達のうち2人に勝てるとは素晴らしいと言わざるおえないね」

 

 鏡の言葉に怒るどころか感心するスカリエッティをウーノは信じられない目で見た。ナンバーズはスカリエッティが手塩にかけて造り上げた存在。スカリエッティにとっても実の子に近いものであるというのに彼は笑っていたのだ。

 

「では君の目的を教えてもらおう。ここまで来て遊びでしたでは流石の私も怒るよ」

 

「簡単な事よ。儂と協力をせぬか?」

 

「私にメリットはあるのかな?」

 

「ORTとオリジナルの情報を教えよう。それとそうじゃな、ナンバーズとやらも鍛えてやる」

 

「成る程、それは願ったり叶ったりだが、君にメリットはないのでは?」

 

「そうでもないぞ。儂がオリジナルと戦う邪魔をするものが減るじゃろ」

 

「君達の邪魔などしていたら命がいくつあっても足りないのだがね。ともかく君達の協力を受け入れよう」

 

「感謝する。ではナンバーズとやらの怪我でも治してやろうかのぉ。マイト、マイカ、お主らも手伝いなさい」

 

「「はい!」」

 

「久遠は?」

 

「儂の頭にでも乗っていなさい」

 

 突然鏡との協力関係となってしまったが、スカリエッティはORTの情報が手に入るとあってホクホク顔だった。当然まだ鏡を信用していないウーノにとっては心配事が増えたようなものだが、スカリエッティの顔を見て機嫌を損ねないよう何も言う事が出来なかった。




アリサ「鏡がスカリエッティ陣営についたわね」

シャマル「これで戦力は平等かしら」

アリサ「でも六課って要さんが突出しすぎなような」

シャマル「気にしちゃ駄目よ。それとまだ出ていない六課設定をここで説明しておくわ。実はマテリアル娘は六課で働いています」

アリサ「へぇ~、ならいつか出ますね」

シャマル「そうね。じゃあ次は今日は何の日。本日1月5日は『いちごの日』」

アリサ「考えるまでもなく語呂合わせですね。分かります」

シャマル「それもまた記念日の特徴じゃない。分かりやすいのは大切よ」

アリサ「それもそうですよね。ではまた次回」

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