チートじゃ済まない   作:雨期

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なのはを鍛えようそうしよう。


第6話

 大型プール施設に行くのに子供だけでは少し心配という事で、恭也さんと美由紀さんが保護者として着いてきてくれている。パンフレットで見てみたが、流れるプールや波の出るプール、スライダーいった子供でも楽しめるプールもあれば、競泳用や運動用のプールも完備されている総合プール施設のようだ。

 

「実はうちの会社も関わってるのよ」

 

「流石アリサちゃんのお父さん。地元の発展に余念がないね」

 

「当然よ」

 

 ここでバニングスの地元は日本じゃないだろとツッコミを入れたくなってしまう。でも心の故郷と言うやつだろうか。

 

「見えてきたよ。大きいね」

 

「俺達の街にこんなものが出来るなんてな」

 

 確かにかなりデカイ。東京ドーム何個分なんて表現は良くあるが、あれってはっきり言って分かりにくくね? 東京ドームの広さを日本人全員が知ってるわけじゃねぇぞ。とりあえずデカイと認識しろという意味だろうか。

 

「いらっしゃいませ」

 

「無料券があるのですが使えますか?」

 

「はい。ひーふーみー……6名様ちょうどですね。ではお入り下さい」

 

 入り口を入ってすぐに更衣室でもあるかと思ったが、どうやら色々な店があるようだ。昼はここのレストランで食うのもいいかもしれない。

 

「こっちが更衣室だな。じゃあまたプールで」

 

「またね」

 

 更衣室も随分と金を掛けてるな。ロッカーの数が半端ねぇ。端から端まで一体いくつあるのやら。

 そんな事より早く着替えてしまおう。まあ水着は既に履いてきているんだがな。プールに行く時には必ずというほどやる行為だが、帰りの下着を忘れるのが稀にある。

 

「あ、恭也さんも履いてきてたんですね」

 

「楽だからな。要君、女性の着替えは長いから先に行ってジュースでも買って待とう」

 

「はい」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 恭也さんの言う通り、俺達が着替えるよりかなり時間が掛かってから女性陣はやってきた。手にはカバンを持っているが、浮き輪やビーチボールが入っているらしい。今回なのはは使わないかもしれないけどな。

 

「うわ~、南国みたい」

 

「ハワイをイメージして造られたそうよ」

 

「さあみんな、泳ぐ前に準備運動は忘れるなよ」

 

 恭也さんの言葉で各々準備運動を始める。そして準備運動が終わった辺りで俺はなのはを呼んだ。

 

「なのは、こっち来い」

 

「何?」

 

「泳ぎの練習をするぞ。恭也さんもお付き合いお願いします」

 

「分かった」

 

「うにゃ……運動は苦手だよ」

 

「だからやるんだろ」

 

「美由紀、アリサちゃんとすずかちゃんは頼むぞ」

 

「任せて恭ちゃん。じゃあ行こっか」

 

「「はい」」

 

 こうして2つのグループに別れる事になった。俺達が向かったのは50mプール。あんまり人は居ないな。やっぱり家族で楽しめるようなプールに行くんだろうな。

 

「これは立派な。使わないと勿体無いな」

 

 だがうちは違う。運動大好き恭也さんから見れば夢の施設だろう。これで協力は仰ぎやすくなった。

 

「恭也さん、なのはは体育祭に向けて体力作りをしたいそうなので手伝ってもらえます?」

 

「えっ、要君何を」

 

「あのなのはがそんな事を!? うっ、くぅ……涙が出てきた。良しなのは! お兄ちゃんが全力でフォローしてやる!! 目指すは1等賞だ!!!!」

 

「お、お兄ちゃん!? 」

 

 チョロすぎ。ここまでチョロいと罪悪感もあるが、これもなのはのため、心を鬼にして頑張ろう。

 

「まずは軽く3往復だ!!」

 

「重いよ!?」

 

 そんな事で重いなんて言うなんて情けないな。仕方ない。俺も付き合ってやるとしよう。

 

「んじゃなのは、泳ぐぞ」

 

「あ、足付かな……あぶぶ」

 

 スタートの水深は1.6m前後かな。ってなのははなんで溺れかけてるんだ? まさか浮けないのか? でも泳げばなんとかなるだろう。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 ああ、いい運動になった。泳ぐってのは本当に気持ちいい。

 

「ハァ…………ハァ…………」

 

「生きてるかなのは?」

 

「おに、ちゃん…………と、かな……め君……のばかぁ……」

 

 もう死にそうだな。まあ最後は沈んでたからほっといたらガチでヤバかったな。恭也さんは頑張ったなのはのために飲み物と食べ物を買いにいっている。

 

「か、かな……く……」

 

「何だ?」

 

「…………こ、れ」

 

 なのはが硬く握り締めていた手を開く。引き揚げられた時には何かを掴んでいたが、何だろうな。誰かのロッカーの鍵でも拾ったか?

 

「……ジュエルシードォ!? なんでこんな場所に。いやそれより良く取った!!」

 

「ユー……ノ…………く、んに…………カバン、中」

 

「カバンの中にユーノが居るんだな! よし分かった!! 今度お前の好きなもん奢ってやる!!」

 

 俺は急いでなのはのカバンに居たユーノにジュエルシードを封印してもらった。いやはやなのはには驚かされる。体力は無いが根性だけは人一倍だ。こういうとこは見習わなきゃいけないな。立派だよ、本当に。

 後日俺がなのはに2000円のクレープを奢らさせられたのは別のお話。




鍛える過程はキンクリした的な? まあ泳いでただけですし。
今回のなのははパワプ○的に言えばスタミナが20上がったレベル。

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