チートじゃ済まない   作:雨期

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要とすずかのデートです。考えるのが非常に面倒でした。


第55話

「すずか、暇か?」

 

「見ての通り魔導式の新作開発中ですよ。明日なら空いてますけどどうしました?」

 

「なら明日デートな」

 

「ふぇ…………?」

 

「あぁっ! 月村君! その薬品を混ぜたら」

 

ーードゴオォォォン

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 翌日、要とすずかはデートのために地球へ帰ってきていた。ミッドよりも海鳴がいいという要の我が儘のためだ。

 

「昨日は驚きましたよ」

 

「驚いただろうな」

 

「どうして突然デートなんです?」

 

「いやほら、付き合ってから恋人らしい事やってなかったからさ。なんか悪い気がして」

 

「確かに何かやったって事はないですね」

 

 技術部でほぼ毎日会っているため、2人共何も不満に感じる事はなかった。それもあってか2人が恋人らしい事をする事は全くなかった。それにイラついたのは友人達であった。要はそんな友人達に半ば無理矢理すずかをデートに誘うよう命じられたのである。

 

「疑問も解消したところで始めようぜ、デート」

 

「要さんから誘ったんですからデートコースくらい決まっていますよね?」

 

「任せとけ」

 

 急に決まったデートとはいえ、要もしっかりと準備をした上で誘っている。まずは買い物をするために近くのショッピングセンターへと向かった。

 

「実は最近自炊に凝ってるんだよ」

 

「要さんがですか? じゃあ今度ご馳走して下さいね」

 

「なら少し調理器具も見ていいか? 先に服のつもりだったが」

 

「いいですよ。どうせなら美味しいもの食べたいですもの」

 

 特別な事は何もないただの買い物。それでもデートという意識があるだけで2人は楽しげだった。買い物が終われば次は昼食。同じショッピングセンター内にあるフードコートで2人は昼食を取ることにした。

 

「結構種類があるもんだな。どうするか迷うな」

 

「私は要さんと同じものにします」

 

「げっ、俺もお前に合わせるつもりだったのに先に言うのかよ。しゃーない、ならオムライスにするか」

 

「はい」

 

 席に座り料理を待つところで要は他の席をチラリと見た。そこにはサングラスやカツラやマスクといった変装道具を付けた誰が見ても怪しい3人組が居た。実は朝から尾行されているのには気が付いていたが、あまりにお粗末な変装に声をかける事さえ恥ずかしかったのだ。

 

「何やってんだか」

 

「要さん、何かありました?」

 

「ほらあいつらだよ。あれでバレてないと思うのかね」

 

「ああ、尾行していたなのはちゃん達ですか。なのはちゃんとフェイトちゃんは本気でバレてないと思っているかもしれませんね。はやてちゃんは遊んでいるとしか」

 

「今度気配遮断についてみっちり教えないとな」

 

 そう、尾行していたのは2人のデートが心配で見に来ていたなのは達であった。要に見られていると気が付いたなのは達は隠れるように身を屈めながら話し合いを始めた。

 

「バレた?」

 

「しっかり見てたからバレたかも」

 

「大丈夫や。私達がこんなアホみたいな格好して地球に来とるなんて誰も思わへん」

 

「「……そうだね!」」

 

「ふふっ、2人は可愛いなぁ」

 

 聴力を底上げしてこの会話を聞いていた要はツッコミたくて堪らなかったが、なんとか堪えて無視を決め込んだ。下手に話しかければ周りからあんなものと知り合いなのかと白い目で見られてしまう。それだけは避けたいなのだ。

 

「あれ、要さんとすずか?」

 

「アリサちゃん! 久しぶり、元気?」

 

「うん元気よ。2人はいつの間に地球に帰ってきたの?」

 

「今朝だな。デートのために帰ってきた」

 

「へぇー、ふーん、リア充爆発し……ても死なないわね。じゃあ私はやる事があるからここで」

 

「おう、またな…………あいつなんでこんな所に居たんだ?」

 

「このショッピングセンター、アリサちゃんの家が経営に携わっているんですよ。知らなかったんですか?」

 

「…………あいつも金持ちだったな。忘れてた」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 ほぼ1日買い物で潰すという何ともつまらないデートをしていた2人は最後に海の近くまで来ていた。夕日が沈む様子を眺めている2人に会話はない。だがその顔は満足げであった。

 しかしそれを見て不満な様子のなのは達。1日中デートを観察していた暇人達にとって2人の行動は実に退屈なものだろう。

 

「抱け! 抱くんや!」

 

「せめて手でも繋げばいいのにぃ!」

 

「やっぱり要じゃ駄目だったんだ。デートコースも私達が決めれば……」

 

(…………あいつらうるせぇ)

 

 デートは切り上げてなのは達を懲らしめようかと要が考え出した時、すずかの携帯が鳴り始めた。

 

「もしもし。お姉ちゃんどうしたの? うん、今は要さんと一緒。これから? 要さん、ここからの予定は何かあります?」

 

「どっか適当な所で夕飯にするつもりだったが、何かあるなら忍さんに任せる」

 

「あ、お姉ちゃん。そっちに任せるって。えっ、ほんと? 行く行く。要さん、今日はうちに泊まっていって下さい。夕飯も用意してくれるそうですよ」

 

「そりゃありがてぇ。行かせてもらう」

 

「「「朝帰りフラグキターーー!!! 「うぜぇ!!!」きゃあぁぁあああああああっ!!?」」」

 

ーーキラーン

 

「ファーッ!!」

 

「ゴルフかよ。すずか、遊んでないで行くぞ」

 

「はい!」

 

 華麗に吹っ飛ばされたなのは達がどうなったのか確認もしないで2人はさっさと月村家へと向かうのであった。夜の月村家でナニがあったのかは誰も知らないし、知ろうとしてはいけない。




アリサ「作者に直談判(物理)をしたら久しぶりに本編に出れました」

シャマル「なら私も今度やってみようかしら。人体を治すのが得意だから弱点がよく分かるのよ」

アリサ「私も付き合いますよ。とりあえず今日は何の日いきますか」

シャマル「本日12月23日は天皇誕生日だけど敢えてこっちにするわ。『テレホンカードの日』!!」

アリサ「公衆電話なんて最近見ないですから使う機会もないですね」

シャマル「もしもの時のためにあるといいってくらいのものね。でも物によっては数万から十数万になるテレホンカードもあるのよ」

アリサ「どんなものにもプレミア品はあるんですね。しかしあの1枚が十数万かぁ。ロマンですね」

シャマル「みん」の家にもとんでもない宝物があるかもしれないわよ

アリサ「では次回もお楽しみに」

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