チートじゃ済まない   作:雨期

62 / 99
とりあえず要君を働かせてみた。


第53話

 管理局員となってそれなりの時間が経ったが、俺の事もかなり知られるようになってきた。だがそれが良いものとは限らないのが世の常というか…………

 俺の出動回数はあの火災以外ゼロだ。それもあって俺は穀潰しだの給料泥棒だの言われる始末。しかもエースになったなのは達と仲も良いから嫉妬による嫌がらせも激しい。まあ俺がジュエルシード事件や闇の書事件に関わったってデータはORTの関係上抹消されているし、アルバイト時代の実績は全て管理局にくれてやったから、みんなが知らなくても仕方ないっちゃ仕方ないけど。

 

「はぁ、俺が出動出来る仕事はねぇのかなぁ」

 

「その愚痴を言うためにわざわざ技術部に? こんな事をしているから不平不満を言われるのではないかな」

 

「そりゃそうですけどねぇ。室長さん、仕事下さいよ」

 

「戦闘専門の君に技術部が何を頼めと言うんだい。的にでもなるかい?」

 

「なるべく人に知られる仕事がしたいですね」

 

「昔はよく勧誘されていたそうじゃないか。そこで働けばいいじゃないか」

 

「勧誘はリンディさんが規制した日からぱったり途絶えました」

 

《あの、主、クロノ様から連絡です。今すぐ応援に来てほしいとの事です》

 

「おっ、ナイスタイミング」

 

 あんまり知らないが、今の俺の出動権はクロノが持っているようだ。だから普通の警報とかじゃ俺は出動が許されていない。いやはや面倒な限りだ。でも超久しぶりの仕事頑張るぜ。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

「お待たせしました」

 

「早いな。走ってきたのか?」

 

「その通りです」

 

「……君の敬語は相変わらずイラッとくるな」

 

 何がいけないのだろう。俺はそろそろ慣れてきたからクロノにも慣れてもらいたいものだ。それにしても周りの視線が痛いのなんの。てめぇみたいな穀潰しがクロノさんと話すんじゃねぇ、って雰囲気が滲み出てるぞ。

 

「それで私は何をすればよいのでしょうか?」

 

「ここに来るまでに現状のデータは送ったはずだ。何をすべきか君なら分かるだろう。一応言うが、今あの銀行に犯人が人質をとって立て籠っている。犯人は人数は不明。犯人は食料を要求している。君は魔力を抑えてデバイスを持たず、食料を持ち込むふりをして1人で制圧しろ」

 

「了解」

 

「クロノさん! そんなのにやらせるつもりですか!?」

 

「最も確実だからな」

 

 さて不満はクロノが抑えているうちにさっさとやってくるか。食料はこの袋に入っているのか。おっと、アリストテレスは投げ捨てて……

 

《酷い……》

 

 食料はあの入り口でデバイスを構えている奴に渡せばいいんだな。ははっ、警戒してらっしゃる。

 

「そこに飯を置け!!」

 

「はいはい」

 

 デバイスを食料に向けて何やってんだ? あっ、何か仕掛けられてないか調べてるんだな。なかなか用心深い。でも本当に用心すべきはそっちじゃないんだよな。

 

「よし! 持ってこい!」

 

「はいはい……さようなら」

 

ーーズドン

 

「う゛っ!?」

 

 ちょっと近付いて腹を殴って気絶させる。バリアジャケットがあるからって油断しすぎだ。次はシャッターは切り刻むか。弁償させられる事はないだろう。

 

ーーザンッ

 

 最近武装拳を使う機会が少なかったから精度は心配だったが、何も気にする必要はなかったみたいだ。犯人がどんな奴らか分からないが、早く終わらせてしまおう。

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 仕事自体は余裕だった。人質を救出するまで1分。犯人全滅まで1分。久しぶりの仕事が2分で終わるってないわぁ。

 それ以上にないのが周りの態度だ。事件後階級は曹長になったし、事件の様子をテレビ局が生放送していたのもあり、俺の存在が世間に知れ渡り、俺を馬鹿にしていた奴らもゴマをするようになってきた。クロノに謝られたけど、あいつは悪くないしなぁ。

 

「一条さん、取材が来てますよ」

 

「今行く」

 

 最近はこうやってマスコミの取材も増えた。これがメインの仕事になりつつあるのが少し悲しい。金は大量に入るんだが、こんな事をしたいわけじゃないんだ。戦いたいんだ。

 

「失礼します。ん、なのは。お前も取材か?」

 

「要君? 対談って聞いてたけど、要君と対談なんだ。変な気分だね」

 

「全くだ」

 

「生放送みたいだし、変な事言わないようにしないとね」

 

「安心しろ。そこら辺は弁えてる」

 

「一条さん、高町さん、こちらへどうぞ」

 

 きらびやかな撮影用に変えられた部屋へと案内される。待っていたのは今人気らしい若いアナウンサーであった。だがこの時の俺となのははアナウンサーの人気なんて知るわけもない。

 

「皆さんこんにちは♪ リリカですよ♪ 今日はなんと生放送♪ ゲストは次期エースと名高い高町なのは一等空尉と突如現れた管理局の秘密兵器こと一条要陸曹長です♪」

 

「初めまして」

 

「よろしくお願いします」

 

「お二人はリリカの事はご存じですかぁ♪」

 

「ご、ごめんなさい。最近テレビを観る機会がないので」

 

「新聞の必要な記事しか読まない主義なので」

 

「ざんねぇん♪ 今日はリリカを覚えて帰って下さいね♪」

 

 うっぜぇ!! なんだこのバカウンサー!! 喧嘩売ってんのか!? いや、媚売ってんのか。覚えたくなくても覚えそうだわ。

 

「お二人は同じ地球出身なんですよね♪ 面識はあったんですかぁ♪?」

 

「幼馴染みでしたから」

 

「やぁん♪ 運命的♪ でしたらお付き合いなんてしちゃったり♪?」

 

「これにはユーノ・スクライア無限書庫司書長という立派な彼氏が居ますが、ご存じない?」

 

「にゃっ!? か、要君は何言ってるの!? ユーノ君とは付き合ってないよ!! 」

 

「まだだったか」

 

「まだ、でもないの!!」

 

 照れおってからに。まあこれで俺とすずかの話題は出さずに済みそうだ。このバカウンサーの前で下手に口を滑らすわけにはいかないからな。

 

「仲が良さそうでリリカ嫉妬しちゃいそう♪ では次の質問ですが、休日は何をしていますか♪?」

 

「「トレーニングです」」

 

「えっ♪?」

 

「「トレーニングです」」

 

「そういえばなのは、技術部の室長さんが高重力下における魔法強度のデータが欲しいらしいから暇があれば顔を出してやってくれ」

 

「分かったよ。フェイトちゃんやはやてちゃん達も誘っておくね。私の方も上司さんが要君と手合わせをしたいと言ってたよ」

 

「ふむ、なのはの上司なら無下に断るわけにもいかんな。余裕ならいくらでもあるからそちらのスケジュールに合わせると伝えてくれ」

 

「うん」

 

「えと、お二人の強さの秘密が分かった気がしますね♪ ではもう少しお話を伺いましょうね♪」

 

 ここからもどうでもいい質問の応酬だった。くだらねぇなぁ。管理局の面子のためにも我慢しておくが、そうでもなければもう帰っているほどだ。

 

「ああ、もうこんな時間♪ 惜しいですけど終わりにしないといけないですね♪ 最後に視聴者プレゼントをお願いしますぅ♪」

 

「はっ? プレゼントなんて聞いてないぞ」

 

「えっ、要君には連絡いかなかったの?」

 

「ゴミでもない限りなんでもいいですよ♪」

 

「うーん、アリストテレスで」

 

《止めて下さい!!》

 

「なら机に置いてある土産物のマリモ持ってくる」

 

「サインもお願いしますぅ♪」

 

 かったるい。これが終わったらマスコミ対応をクロノに相談しよう。あいつは最年少執務官だったからそういうのには慣れてそうだからな。




アリサ「要さんは秘密兵器」

シャマル「確かにそんなに表に出せる人じゃないわよね」

アリサ「残り数話でstsに入るみたい。どんな風に改変されるのかしらね」

シャマル「鏡君が活躍しそうよね。要君より目立つと思うわ」

アリサ「主人公なんていらなかったんですね。では今日は何の日いきましょう」

シャマル「本日12月4日は『E・Tの日』よ」

アリサ「それは、出して大丈夫な日ですか?」

シャマル「ただの記念日よ。作者は某テーマパークのE・Tのアトラクションが嫌で堪らなくて泣いた事があるんですって」

アリサ「なにそれおかしい」

シャマル「子供ってよく分からないわね。ではまた次回」

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。