チートじゃ済まない   作:雨期

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新キャラ出るよ!!


第52話

「こことここにサインを頼む」

 

「ほい…………これでいいか?」

 

「完璧だ。これで君も正式な局員だ。一条要三等陸士」

 

 かなり長引いちまったが、これで俺も管理局員か。なんか階級で呼ばれるのってくすぐったいな。

 

「サンキュークロノ。三等陸士か。なのは達は空尉とかなんだよな。早く追い付かないとな」

 

「君ならばすぐ上に上がれるさ。無論、好き勝手行動するようなら階級は変わらない可能性も忘れないように」

 

「へいへい」

 

 流石に職についたとなれば、これまでのように自由に行動出来るなんて思ってねぇよ。とはいえ俺には俺の考えもある。それに背くような行為はお断りだ。

 

「しかし君が同僚か。寒気がするな」

 

「言ってくれるじゃねぇか。俺だっててめぇが同僚なのに違和感しか感じねぇよ」

 

「お互い様というわけだな。では行こうか。君を待っている人が居るんだ」

 

「ん、了解」

 

 待っているつってもすずかだろう。そうそう、すずかもこないだ技術部に入って一応管理局員になったみたいだ。役職は違えど同期ってわけだ。

 

「要さん! こっちですよ!」

 

「はいはい。そう騒ぐなって。今日はどうしたんだ?」

 

「ふふ、魔導式ハンドガンが改良されたのでそれを使ってもらいたくて」

 

「ほう」

 

 持った感じかなり軽量化されているようだ。勿論これだけではないだろう。威力も強化されているはずだ。他に改良出来そうな部分といえば弾の精製速度辺りか。

 

「あー、いいかな?」

 

「あ、クロノさん居たんですか」

 

「居たんですかって、それはあまりに酷くないかな」

 

「そうですね。失礼しました」

 

「まあいいさ。今日はこの後要の入隊祝いにレストランを予約してあるのだが、すずかは時間があるかい?」

 

「はい。空いています」

 

「ならばすぐにでも準備を」

 

ーービーッ ビーッ

 

 警報音? チッ、レストランに行く準備が別の準備になっちまうじゃねぇか。今までならアルバイトだからある程度拒否出来たが、ついさっき局員になっちまったから無視するわけにもいかない。

 

「いつでも出動出来るよう準備してくれ」

 

「「了解」」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 発生したのは空港での大規模火災らしい。なのはとフェイトは既に生存者探索に入っているようだ。

 

「要さん、生存者のための救急キットと酸素マスクです」

 

「助かるすずか。じゃあさっさと探してくる。アリストテレス、サーチは任せた」

 

《畏まりました》

 

 本来の入り口は崩れて入れそうにないか。どこか良さげな場所は……あの窓を割って入るか。

 

「よっ」

 

 窓から入って見えてきた空港内は火の海と言うに相応しい光景だった。魔法か防火装備で身を固めないと普通は近付く事すら不可能だろう。まあ俺には関係のない事だ。

 

「アリストテレス、生存者はいそうか?」

 

《真っ直ぐ進んで下さい》

 

 アリストテレスの指示に従い火の海を突っ走る。空港内には荷物や機器が散乱しているが、人影は一切ない。殆どが既に退避してしまったのだろうが、アリストテレスが反応するって事は一応生存者は居るはずだ。さてどこかな。

 

「お、なのは。そっちの嬢ちゃんは生存者か」

 

「要君も来たんだね。この子は私が連れていくから他の生存者を探してくれないかな」

 

「OK」

 

 なのはに先を越されていたか。少女は俺を見て怯えているようだ。失礼だな。自分で言うのもなんだが、そこそこイケメンだと思うぞ。

 

「う…………」

 

「う?」

 

「う、え……」

 

 少女が上って言うもんだから見上げてみたら天井が崩れそうになっていた。怯えていたのは俺が怖いからじゃなかったのか。なら許そう。あ、崩れてきた。

 

「なのは、嬢ちゃん、動くな」

 

ーードガアァァッ

 

「むっ、スピアガン!!!」

 

 降ってきた瓦礫を粉砕した俺は即座に巨大なニードルガンであるスピアガンをぶん投げた。天井を落とした何者かがはっきりと見えたのだ。生憎と手応えはあっても、逃げられてしまったようだ。

 

「要君……」

 

「ん、大丈夫。何か居たが逃げ出した。さっさと嬢ちゃんと一緒に脱出しな」

 

「分かったよ。後はお願いね」

 

「任せな。アリストテレス、生存者は?」

 

《2時の方向に……しかし、これは》

 

「行くぞ」

 

 アリストテレスの反応で生存者がどうなっているかは大体理解出来た。それでも救出しないとな。しっかりと家に帰ってもらおう。

 だがどんなに探しても生存者の姿はない。アリストテレスのサーチミスならこいつにお仕置きすればいいだけだが、そうではないようだ。床と引っくり返された瓦礫に残った大量の血痕。そしてよく知る魔力の残り香。

 

「鏡の野郎…………何を考えてやがる」

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 時は少々遡り、要が空港へ突入する瞬間を眺めている人影があった。要のマテリアルである鏡だ。

 

「ふむ、オリジナルも大変じゃのぉ。少し観察するか」

 

「あそこに行くの? 久遠熱いのやだなぁ」

 

「ならばここで待つと良い。儂だけで行ってくる」

 

 鏡は久遠を置いて要を追った。バレないよう魔力を極力抑え、天井を走っていく。そして要がなのはと合流している時、鏡はある事を考えた。ここで要の力を再確認しておこうと。

 そこで行ったのが天井落としだ。鏡の予想通り見事に天井は粉砕され、その上反撃までされてしまった。腕を貫いただけであったものの、自分の早計な行動を少し反省した鏡であった。

 

「いやはや儂も阿呆じゃのぉ」

 

 即座に撤退した鏡は腕の再生がてら気まぐれに燃える空港内を歩いていた。そこで小さな、呻き声のような救いを求める声を聞いた。

 

「あ……たす、け」

 

「おや、生存者か。しかしその怪我では助からんぞ」

 

「わた、し…………の、子」

 

「ふむ」

 

 女性を潰している瓦礫を退けると、女性の下に居たよく似た2人の少年と少女の姿が見えた。この女性と子供であろう。しかしその2人の子供から生命の音は殆ど聞こえたない。

 

「お主の子か。助かる見込みはないぞ」

 

「たす ……け…………」

 

「親の執念か……よかろう」

 

 本来助ける義理もない鏡のただの気まぐれ。本当に助かるかも分からないというのに鏡の返事を聞いた女性は安心したかのように息絶えた。鏡は女性とその子供2人を自身の体内に取り込むとその場を去った。

 鏡は久遠の元へ戻るとすぐに体内から女性の遺体と子供2人を取り出した。

 

「お帰り鏡。それどうしたの?」

 

「助けを求められたからのぉ」

 

「でも、生きてるのそれ?」

 

「生かす手助けをするのじゃよ」

 

 鏡はまず女性の遺体を再び体内に取り込んだ。そして腕から触手を伸ばすと子供2人に突き刺した。触手からは徐々に何かが送られていく。すると黒かった子供の髪が深緑へと変化をしていく。怪我も少しずつではあるが治っている。

 触手が子供から離れた頃には子供の変化は完全に終わった。しかし目を覚ます気配がない。

 

「何したの?」

 

「こやつらの母親の血肉と植物の因子を混ぜたものを送ったのじゃ。少なくとも拒絶反応は起こらないはずじゃが、息を吹き返すかはこやつら次第じゃ」

 

「…………っ」

 

「ぁぅ…………」

 

「ほう、もう意識を取り戻し始めおったか。ほれ、起きぬか」

 

ーーペチペチ

 

「……んん」

 

「だ、れ……?」

 

「儂は鏡。お主らの母親にお主らを頼まれた者じゃ」

 

「! おかあさまは!?」

 

「死んだ」

 

「か、鏡。あんまりそういうのは」

 

「いつかは知る事じゃ」

 

 まだ幼い2人の子供にはあまりにも残酷な宣告に久遠は慌てるが、鏡はそれを気にもしない。

 

「これからお主らがどうするかは自由じゃ。儂についてくるのも、家に帰るのも選ぶのはお主らじゃ。頼まれたからには最後まで見届けてやるがの」

 

「おにいさま……どうしましょう」

 

「……かがみさんについてくよ」

 

「わかりましたわ」

 

「ならば名を問おう」

 

「ぼくはマイトです」

 

「マイカですわ」

 

「よろしい。改めて名乗るが儂は鏡。こっちは久遠じゃ」

 

「よろしくね!」

 

 こうして鏡の同行者として新たな仲間が増えたのであった。




アリサ「今回の新キャラってリメイク前にも出てたわね」

シャマル「生まれるまでの経緯なんかはかなり違うけどね」

アリサ「一応2人の年齢は6歳という事になっています。stsの時は9歳くらいになるのかしらね」

シャマル「あの2人がショタロリなのは違和感があるわね」

アリサ「さあ今日は何の日やりますよ」

シャマル「本日12月3日は『奇術の日』よ」

アリサ「マジックって認識でいいですよね。こんな日まであるんだ」

シャマル「マジックって不思議よね。種が分かっても魔法みたいだもの」

アリサ「魔法使いが何を言いますか」

シャマル「それはそうだけど、違うジャンルですもの。あれはあれで憧れるわよ」

アリサ「まあ確かに凄いですけどね。ではまた次回」

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