チートじゃ済まない   作:雨期

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モンハン買ったのでもっと遅れると思ったらそんな事はなかったぜ。モチベーションが上がったのかな?

今回は黎音様の『輝く月の滴』とのコラボです。


コラボ第6話

 いくつになっても楽しみな事ってあるよな。実は今日は中学の郊外学習、つまりは遠足でオーストラリアまでやってきたぜ!! 遠足ってレベルじゃねぇが気にするな。

 初めての海外旅行だから楽しまないとな。次元世界には管理局の頼みで何度か飛んだ事はあるが、ウキウキ感が海外旅行の方が大きいのは不思議だな。

 

「一条! コアラ見ようぜ!」

 

「コアラなんて日本でも見れるだろ。もっとこっちでしか見れないものにしろよ」

 

「ならばエアーズロックであろうて。あそこは良いぞ」

 

「えぇ、あんなのただの岩じゃん」

 

「あれが岩だからこそ素晴らしいのであろうて」

 

 うちの班は賑やかだなぁ。エアーズロックか、悪くない。テレビや写真でしか見た事のないものを生で見るのは感動ものだ。たまに期待していたらがっかりするものもあるが、それはそれでがっかりを楽しめる。

 観光が終わったら土産も買わないとな。爺ちゃん婆ちゃんのリクエストは既に聞いているからいいけど、すずか達への土産はどうするか。

 

ーーゾッ

 

「ッ!?」

 

「どうした一条、何かあったか? ってすげぇ美人じゃん」

 

「普段高町さんと一緒に居るというのに目敏いであろうて」

 

 ああ、ただの美人なら俺がムッツリスケベって事にしてやるさ。だがあれは違う。すれ違っただけで感じたのは異様な気配。あれは異常だ。この世界にあんなもんが居たのか。雑魚なら放置した。でもあれは見過ごせない。

 

「ちょっとトイレ行ってくる」

 

「おう、気を付けてな」

 

「…………アリストテレス、結界」

 

《畏まりました》

 

 まさか海外にまで来て戦いを覚悟する事になるとは。世界が変化する中、先程の美人は何ら変わる事なくそこに止まっていた。結界を張る前から俺に気が付いていたのかもしれない。上等、やってやるぜ。

 

「突然結界とは。少々堪え性がないようだな」

 

「! 黙ってろ」

 

 振り向いた美人を見て驚かされた。長い銀髪に無骨な黒いコート、まあこれはいい。銀髪は珍しいがこの世界だと居ないわけじゃないし、服装だって着ている人間が良ければ美しくなるのは理解している。俺が驚かされたのは見た目ではない。

 

「お前、それで男かよ」

 

「実力差が見抜けないのはいいとしても、性別は間違えるなよ小僧。人を不快にさせる」

 

「だったら女みたいな見た目するな」

 

 やべぇ、とんでもないプレッシャーだ。一瞬とはいえ勝てるビジョンが見えなかった。だが怖じ気づくわけにはいかない。やると決めた以上引けない。

 しかし隙らしい隙が見当たらない。どんな攻撃をしてくるんだ。まずはこっちから牽制するか。いや、動き始めた。空中に文字を書いている…………ヲ? 逆だな。Fのような文字………… アンサズ!?

 

「シールド!!」

 

 咄嗟に展開したシールドを文字は意図も容易く燃やし尽くした。ルーン魔術、しかも俺のシールドを燃やし尽くすレベル。

 

「魔術師はこの世界には居ないはずだ! どこから来た!!」

 

「知らないな。だがそんな事を言うとは、小僧は違う世界から来たのか?」

 

「そうだよ! シールドスライサー!!」

 

 計5枚のシールドスライサーを間髪なく投げ付ける。だがそれも男の手に突如として出現した刀によって切り伏せられた。確実に面を狙ってたのを見るに一瞬にしてシールドスライサーの特性を見抜いたのか。それはどうでもいいが、あの刀を出した方法はまさか…………

 

「投影魔術…………」

 

「ルーンを知っていたようだから予想はしていたが、こんなマイナー魔術の知識を誰から授かった?」

 

「何がマイナーだ。本来投影魔術で実用に耐えうるものは創れねぇ。偶然迷い込んだ転生者だったか」

 

「蛇の依り代になった記憶はないが」

 

「誰がピアニストの事を言った」

 

「ピアニスト?」

 

 あ? 型月系の能力を持ってるくせにロアがピアニストって呼ばれているのを知らないのか? まさか転生者じゃないとか…………いやないだろ。

 

「では小僧の言う転生者とはなんだ?」

 

「死んでから神様に転生させられた奴だよ。大抵なんか特典があるようだが」

 

「神とはまた面白いものを出したな」

 

「事実だ。そっちは転生者じゃないのか?」

 

「生憎と死んで神に会うなどと愉快な経験はしていないな」

 

 嘘を言っている眼ではない。だとしたら型月世界の天然チート辺りか。そんなものが居るなんて、めんどくせぇ。

 

「さて私が転生者でないと分かったならこの結界を解いてもらえるかな?」

 

「断る。疑わしきは黒、って言うだろ」

 

「やれやれ、お灸が必要か」

 

 チート野郎が手をかざすと無数の青いレーザーが飛んできた。蒼崎青子の技じゃねぇか。しかもレーザーに混じって十字架を模した投擲剣である黒鍵も飛んでくる。全てを回避しようにも密度が凄まじい。シールドを張ってもレーザーの破壊力と黒鍵に付与された鉄甲作用って投擲技術によって簡単に粉砕される。

 

「よく粘る。だが」

 

「!? うし」

 

「スフィア!」

 

 弾幕によって姿が見えていなかったが後ろに回られていたらしい。どんな高速移動をすれば弾幕を残したまま回り込めるんだ。

 後ろから飛んでくるは極太レーザー。前方には弾幕。どうあがいても回避は無理だ。受けきる!!

 

ーーゴォッ

 

「ブレイク!!」

 

「ッ!」

 

 一発目は耐えた。だがこの技は二発目、場合によっては三発目もある。更に前方の弾幕もそこに追加されるわけだ。一発目の間に既に黒鍵がいくつか突き刺さったが、これは体に力を籠めて即座に砕いた。さあ二発目、来る!

 

ーーゴォオオオッ

 

 強力な魔力の波に呑まれるが、ここは踏ん張る。終われば反撃だ。

 

「ぐ、ぉ…………しゃあっ!!」

 

 耐えた! よし潰す! さっきから遠距離攻撃主体だから近接戦闘はそこまで

得意じゃないと見た。こっからは俺の間合いで殴りまくってやる!!

 

「ウラァッ!!」

 

「無駄が多いな」

 

 1秒もかからず踏み込んで殴ったというのに刀で受け流された。舐めやがって。これがどんな名刀か知らないが、軟らかい刀程度、砕くのは一瞬

 

ーーザンッ

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

 私の目の前には腹を押さえて膝をつく小僧が居る。いくら迷惑だったとはいえや腸がこぼれ落ちるほどに切り刻んだのはやり過ぎだっただろうか。しかしこの小僧からは人ならざる何か強大な力を感じたように思ったのだが、この程度だったか。

 

「や、ろぉ……やってくれる」

 

「もう回復したのか。死徒以上の回復力はあるのではないか?」

 

「うっせぇんだよ!!」

 

 懲りもせず殴ってくるか。速さも威力も一流とはいえ相手が悪い。今度は手足の筋を断つ。

 

「くぅ…………なんて、速さだ」

 

「これが本来の私の速さというわけではない。この刀から少々力を感じたように借りているだけだ」

 

「投影魔術の時点で分かっちゃいたが、その刀も宝具か」

 

 投影魔術=宝具に直結する思考はどうなのだろう。確かに投影魔術は主に現存しないものを魔力で代替品として創る魔術だから宝具なども創る事はあるだろうが。

 しかし本当に目を見張る回復力だ。筋を断って数秒で立てるまでに回復したようだ。その回復力に免じてネタばらしをしてやろう。

「この刀の銘は『雷切』。知っているか?」

 

「一応日本人なんでな。だが雷切に動きを速くする力があるとは初耳だ」

 

「いや、そんな力はない。これは半身と引き換えに雷を切るだけだ」

 

「やっぱりそうだよな」

 

「だが雷を切るとするとその太刀筋はどれほど速いと思う?」

 

「! 憑依経験の模倣。雷切の持ち主の動きを真似しやがったな!!」

 

「理解が速いな」

 

 これだけの言葉で回答に辿り着くとは思わなかった。小僧の言う通り私が行ったのは憑依経験の模倣という技術。雷切は雷を切れる。しかし雷を切るという過程には人の力が必要だ。超高速で降ってくる雷を真っ二つに出来る人の力がな。その力を私は利用しただけだ。

 

「雷撃をも越える太刀筋だ。降参するなら今のうちだ」

 

「…………嫌だね。勝ち筋なら十分にあるんでな。そうだ、まだ名前を言っていなかったな。俺は一条要。転生者だ」

 

「……ゼフィリスだ」

 

「ゼフィリス……覚えておいてやる。ORT解放!!!!」

 

 ORTだと!? 小僧、要から感じていた人ならざる何かの正体はこれか!!

 

「Gyuaaaaaaa!!!」

 

 まるで蜘蛛のような姿をしたその巨体。感じる膨大な力。確かにORTだ。これをよくもまあ人の身で内包していたものだ。転生の特典とやらだとしても人の中に大人しく収まるような存在ではないというのに。

 

「Guoooo!!」

 

「フッ!!」

 

 憑依経験の模倣によって攻撃を回避するだけならばなんとか可能だが、あの甲殻を貫ける一撃が現状放てない。いやあれが純粋なORTのみの存在ならどうする事も出来なかったが、あれは人間がORTになったもの。ならばあれが使える。

 

「後より出て先に断つもの(アンサラー)」

 

「Gii!?」

 

 投影した気る宝具となる鉄球を浮かばせる。要は気が付いたようだがもう遅い。常時必殺の貴様が悪いのだぞ。

 

「斬り刔る戦神の剣(フラガラック)!!!」

 

 鉄球から刃が出て短剣へと変化し、ORTへと高速で飛んだ。だがそこにORTは居ない。居るのは心臓辺りに小さな穴を開けた要だ。

 フラガラックは相手の必殺技に呼応し、必殺技発動前に遡ってダメージを与える究極の後出しカウンター宝具。今回は要がORTに変化する前に遡り要を貫いた。

 

「私の勝ちだ。まだ抵抗するならいくらでもフラガラックを投影しよう」

 

「あー、はいはい、俺の敗北だ」

 

 本心としてはまだ負けを認めたくはないのだろうが、認めざるおえないはずだ。フラガラック程度の傷ならば即座に再生するとはいえ奥の手と思われるORTを封じられた状態では要が私に勝つ事は出来ない。

 

「もう好き勝手してくれ。ここまで勝ち目がないとは思わなかった」

 

「では好き勝手しよう。今回は犬に噛まれたとでも思うといい」

 

「そんな風に割り切れる性格してねぇから…………次は勝つ」

 

「そうか。あるといいな」

 

「てめぇの居る場所に乗り込んででも機会を作るから絶対にある」

 

 目が本気だな。この手の輩は有言実行するのは経験上分かる。やれ、相手をすべきではなかったか。下手につけられても困る。早く帰らせてもらうとしよう。




アリサ「やっと涼しくなってきたと思ったら残暑もある。そんな今日この頃」

シャマル「話すネタがないんだけど」

アリサ「そんな時は個人的な話をすればいいんですよ」

シャマル「うーん、はやてちゃんが男を作ろうと模索しています」

アリサ「え゛」

シャマル「冗談よ。でも最初にこのボケをシグナムに言ったら暴走したわ」

アリサ「そりゃそうですよ。では今日は何の日やりますか」

シャマル「本日9月17日は『モノレール開業記念日』ね」

アリサ「東京にモノレールが通った日みたいですね」

シャマル「東京オリンピックのための準備ね」

アリサ「東京オリンピックといえば『AKIRA』という漫画で2020年東京オリンピックが預言されていたとか」

シャマル「あれは預言ではないと思うわよ」

アリサ「さんをつけろよデコ助野郎って名台詞よね。ではまた次回」

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