Lov3たのしぃいいいいい!!!!
つい先日小学校を卒業して春休みに入ったぞ。前世も合わせると2度目の小学校卒業だが、どっちが印象的かと言われたら間違いなくこっちだろう。
「ふぅー、ねむぅ」
《主、まるで遊園地で連れ回されたお父さんのようですよ》
「うっせぇ」
何か区切りがつくとだらけちまうタイプの人間なんだよ。刺激的な事でもあれば話が変わってくるが、また次元世界を巻き込むような事件は勘弁な。面倒な事この上ない。
「…………ププピルッ」
「? 何か言ったか?」
《いえ、私は言っていません》
何か生き物の鳴き声のように聞こえたが、はてあんな鳴き声の生き物は俺は知らん。なんというか電子的で他の動物とは一線を画するような。
どうにも気になって辺りを見回してみたふ浮遊しているものを見つけた。白っぽいクラゲのような体をして、その中心には黄色い大きな目玉が1つ…………ってあいつかよ!!!
「死ねぇい!!!」
「ピッ!?」
いやはや驚きすぎて腕を突き刺しちまったよ。でもこいつ相手なら許される。放っておいたら大災害なんて可愛いレベルの被害が出ちまうもんだからよ。お、崩れて消えた。やっぱりデータなんだな。
《今のは一体?》
「クラモン。デジモンの1種だ」
《デジモンですか。以前も出現しましたね》
「あれが切っ掛けでデジタルワールドと繋がりが出来ちまったのかな。調べる必要がありそうだ。めんどくせぇ」
《そのわりには楽しそうですね》
ちょうど良さげな事件が転がり込んできたんだ。楽しまなくてどうするよ。まずはクラモンが出現した場所を見つけないとな。
「要さん!!」
「んお? 太一じゃないか。お前も来ていたのか」
以前デジタルワールドからやってきた少年の八神太一が現れた。こいつも転生者らしく、前回たまたまやってきた時には共闘したんだよな。初めてデジモンを見た時は感動したなぁ。
「お前もって、まさかもうデジモンに会いました?」
「おう、潰しておいたぞ」
「はは、やる事なくなっちまった」
なんだ、さっきのが最後か。太一が来たんだからデジタルワールドへの繋がりもなんとかしてくれるだろう。畜生、俺が乗り込んでやろうか。
「あの、要さん。以前デュークモンを倒したあれを教えてもらえませんか?」
「あー、そんな約束だっけ。ORTだ。知ってる?」
「…………頭おかしいんじゃないですか?」
「ていっ」
ーードゴォッ
「ぐっはあぁぁぁぁああっ!!?」
おっと、つい本気で殴ってしまった。しかし誰の頭がおかしいと言うのか。比較的正常だ馬鹿野郎。
「いたた、ギャグ補正がなければ死んでますよ」
「メタいぞ。じゃあ後処理頼むぞ」
「待って下さい!」
「なんだよ」
「俺と、試合して下さい」
ーーーーーーーーーーーー
以前要さんはクロスモンやデュークモンという究極体を圧倒する戦いをしてのけた。その力の源はORTと分かったけれど、それがどれほどのものか感じてみたくなったのだ。だから要さん、そんな可哀想な人を見る目で見ないで下さい。
「止めておこうよ太一。危ないよ」
「大丈夫だってアグモン。要さん、どうですか?」
「お前がやりたいなら拒否しないけどよ…………条件がある」
「なんですか?」
「アグモン、いやウォーグレイモンと戦わせろ」
「えーっ!!!」
俺はその条件で通るならいいんだけど、アグモンはとてつもなく嫌そうだ。アグモンが嫌がるような事はパートナーとしてしたくないのに。
「無理強いはしねぇけど、条件を飲めないなら戦わん」
「…………俺の我が儘でアグモンに迷惑は掛けられません」
「太一…………僕やるよ!」
「アグモン?」
「確かにあの人は怖いけど、別に命に関わる事じゃないもん」
「ありがとう、アグモン」
「決まったな。ならどっちからやる?」
「当然俺からです」
「OK。アリストテレス、結界」
《畏まりました》
要さんが準備をする間に俺はサバイバルナイフを取り出して構える。それを見ても要さんは動きもしない。型の内戦いをする人が居るのは知っているが、要さんのそれは隙だらけで相手を舐めきっている。隙を狙わせて反撃するような人じゃないのは前の共闘で分かっている。
それでも油断は出来ない。油断したら俺に隙が出来る。それが狙いという可能性もなくはない。
「来ないならこっちから行くぞ」
ゆっくりと歩いてくる要さんだが、相変わらず隙しかない。意図がさっぱり分からない。残り数歩で俺の間合いに入るのに。
「ハッ!!」
首目掛けてナイフを突く。間合い内での最速の突き。要さんは避ける素振りもしない。それなのに…………どうして俺の攻撃は当たらず、俺は宙に舞っている?
「ガハッ!? ゲホッゲホッ…………!!」
地面に叩き付けられてから腹部に激痛が走る。その痛みで気付かされた。俺の突きが当たるより圧倒的に速く、俺は腹を殴られたんだ。一体どれだけ速く殴ればこんな事になるんだ。
「続けるんだろ?」
「くぅ、当然!!」
息を止める。世界がモノクロに変化し、時間の流れが遅くなる。勿論本当に時間が遅くなるわけじゃなく、俺の集中力が高まったのだ。『ゼロの集中』という技術だが、無呼吸で戦わないといけないから短期決戦をしなくてはならないというリスクを背負ってしまう。
だからこの先は動きを止められない。止めるなんて無駄な行為をする時間はない。心臓への突き、首への払い、時にはパンチやキックでの牽制もする。しかしそれらが全て当たる前に要さんは俺を殴り飛ばした。
殴られるだけ殴られて要さんが隙しかない理由が理解出来た。この人は攻撃は最大の防御を素でやってのけているのだ。守る必要がないのだから隙だらけ。なんて単純な答えなんだ。だが単純だからこそ強い。俺がどんなに策を練っても要さんは殴るだけなんだから。
「そぉら、抜骨だ」
ーーゴキッ
「うぁっ!?」
左肩の関節が外れた!? どんな技術か知らないが、治している余裕はない。要さんの手が右肩へと迫る。見えている、見えているのに体がついてこない!
ーーポンッ
「終わりだ」
「…………」
「試合なんだ。これ以上」
「オ、ウェエエエエエエエッ!!!」
「ぬぉぁっ!!? 突然吐くなぁ!!!」
「ゲホッゲホッ……す、すみません。息を止めていたので、ゲホッ」
ただ息を止めていただけじゃなくて激しい動きをして、更に殴られまくったからつい吐いてしまった。まだ未熟なんだな。
「次はウォーグレイモンだが、太一よ、その状態で進化させられるのか?」
「だ、大丈夫です。いくぞアグモン。ワープ進化だ!」
「アグモン、ワープ進化ぁ!!」
アグモンが光に包まれて究極体のウォーグレイモンへと進化をする。俺はゆっくりと休ませてもらおう。凄く疲れた。
ーーーーーーーーーーーー
あのウォーグレイモンとこの手で戦える。最高じゃねぇか。デジモンは全て好きだが、特に初代アニメは大好きだ。懐古厨と呼ばれたって構わねぇ。デジタルワールドの特殊金属であるクロンデジソイドで出来た黄金の鎧、実に美しい。
「要、覚悟しろ」
「言ってくれるな。お前も本気でやれよウォーグレイモン!」
太一は人間だから軽く手は抜いたが、ウォーグレイモンにそれをしてはやれない。まずは懐まで飛び込んで殴る!!
「効くか!」
やはり簡単に受け止められるか。反撃として振りかぶられた爪はドラモンキラーという竜型デジモン殺しだが、当然普通に斬れる。というか当たれば軽く命を刈られる。速いし避けるのも厳しい。
「武装・ORT!!」
ーーガキャン
まあ受けてしまえばいいんだけどな。クロンデジソイドとはいえORTをどうにか出来るものじゃない。問題はここからどう倒すかだ。ただ殴るだけだと避けられるのは火を見るより明らか。ならまずは視界を塞ごう。
「フンッ!!」
地面を殴って砂煙を上げる。手っ取り早く視界を塞ぐにはやっぱりこれだな。次は上空へ跳ぼう。この状態で相手の選択肢は守りを固めるか砂煙から抜け出すかの2択といったところか。ああ、砂煙を晴らすという選択肢もありだな。だが上空へ跳べば大抵の選択肢は潰せる。
「ん? …………やべ」
既にウォーグレイモンの気配は砂煙の中にはない。跳んでから気付くという痛恨のミス。ウォーグレイモンの速さと飛行能力を考慮すると…………俺の真上だろう。
「ガイアフォース!!!」
「まぶしっ!?」
黄金の鎧と太陽が重なって姿を視認出来ないが、必殺技が放たれたようだ。ガイアフォースは分かりやすく言えば単純なエネルギー玉だが、威力が凄まじい。俺のシールドで受けきれるか?
「シールド4重!! ってうぉい!?」
自慢のシールドを4枚重ねにしてガイアフォースを受け止めようとしたが、まるで濡れた和紙のように砕かれた。仕方がないので武装化した両腕で受け止めるものの、地面へ叩き付けられた。
勢いが全く衰えないガイアフォースのおかげで俺の体はどんどんと地面にめり込んでいく。やばい、動けなくなる。
「くっそ!! ORT部分解放!!!」
いつまでも押されるわけにはいかない。俺の腹からORTの脚が生えてガイアフォースを打ち砕いた。自分でやってなんだが、ORTの脚が腹から生えている姿はキモいな。
「あだっ!?」
またORTに叱られてしまった。いちいち痛みを走らせるのはやめてもらいたい。
「ふぅ…………流石ウォーグレイモンだ。やるな」
「まだ全力を出していない相手に褒められても嬉しくはないな」
「分かっちまうか。まあ試合だから全力を出す必要はないだろ」
「でも俺は要さんの全力を知りたいです。ウォーグレイモン! あれをやるぞ!!」
「本気か太一」
なんだなんだ。さっきまで休んでいたのがでしゃばってきたぞ。一体どんな事をしてくれるのか。俺に全力を出させるつもりなんだから相応のものじゃないと…………ってアグモンに戻ったぞ。さっぱり考えが読めん。
「マトリックスエボリューション!!!」
「アグモン進化!!」
いやいやいやいや! それお前達の技術じゃないだろ! もっと別世界の…………
「シャイングレイモンバーストモード!!!」
もういいやツッコミ疲れる。では説明しよう!! マトリックスエボリューションとはデジモンと人が融合する事によって進化する方法だ!!
そしてシャイングレイモンバーストモード(以下シャイングレイモンBM)はグレイモン系でもトップクラスのデジモンだ。炎の剣と盾と翼を持っていて、その力は太陽に匹敵するとも言われている。
「そこまで全力を出させたいか。ならそのやる気に免じて見せてやる。ORT解放」
ORTへと姿を変えてシャイングレイモンBMを見下ろす。相手は一瞬たじろいだが、それを感じさせない気迫で突進してきた。そうだな、気持ちで負けたら勝てねぇもんな。
「うおぉおおおおおおおおおおおおっ!!!!」
「Gyuaaaaaaaaaaaaaaaaa!!!!」
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戦いが終わった広場では要は両腕を失っているもののしっかりと立っており、太一とアグモンは仰向けで倒れていた。双方静かに空を眺めている。
ーーグゥ~
そんな静かな空間に大きな音が響いた。誰でも聞いた事があり、おそらく鳴らした事もあるちょっと恥ずかしい音。お腹の音だ。
「太一ぃ、お腹減ったぁ」
「俺もだ」
「人をこんなにしておいて図太い奴らだ。腕が再生したら美味い店を紹介してやるが」
「いえ、俺達は帰ります。ありがとうございました。ほら、アグモン行くぞ。帰るのにもお前の力がいるんだから」
「うん。要、またね」
「またな」
太一とアグモンは立ち上がってふらふらとしながら歩いていった。それを眺めていた要のお腹も小さく鳴った。
アリサ「今回から始まりましたコラボ回。しばらく続きますのでご了承下さい」
シャマル「次は誰とコラボするのかしら?」
アリサ「秘密です。そっちの方が楽しいじゃないですか」
シャマル「まだ決まってないだけだったりして。じゃあ私達は出るの?」
アリサ「秘密です。言ったら悲しいじゃないですか」
シャマル「無いって言っているようなものじゃない!!」
アリサ「まあまあ、作者がLov3にハマっているせいで次の更新は不明ですけどね。では今日は何の日やりますよ」
シャマル「本日8月26日は『レインボーブリッジの日』よ」
アリサ「封鎖した日ですか?」
シャマル「開通した日よ。確かにレインボーブリッジといえば封鎖ってイメージもあるけど」
アリサ「なんだつまんない」
シャマル「レインボーブリッジ封鎖ネタもいつまで通じるのかしら?」
アリサ「ではまた次回」